DJ少女達は可愛い   作:ぽぽろ

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清水絵空は積極的かわいい

暖かい春の陽気に包まれ鳥も囀り、花も心做しか喜んでいるかの様なそんな気持ちのいい朝。

 

「知らない天井だ……」

 

僕は謎の場所で起きた。

上から下がるシャンデリアや周りにある民族的なものや骨董品、他にも高価そうな物が並んでる部屋。

 

「すぅ……すぅ……」

 

ここは……見たことあるような…無いような。

 

「すぅ……すぅ……」

 

 

さっきからやけに首筋辺りに生暖かい人の息見たいものが掛かるんだが、何故だろう。

 

「わぁぁぁぁ!????」

 

過去一びっくりした。死ぬほどびっくりした。

僕が反対側に顔を向けたら清水絵空がいたのだ。

太陽に照らされて彼女自慢の深緑色の髪の毛は輝いていて、それこそ自然の様な丸ごと包み込む温かさを感じる。

鼻は小ぶりで唇は鮮やかなピンク色、顔も整っていていつも二つに結っている髪の毛は下ろされていて大人っぽさというか色気の様な物を感じさせる。

ってこんなに観察してる場合ではなくて

 

「何故僕は絵空ちゃんの家で……?」

 

昨日は確かしのぶと夜遅くまでゲームをしてその後寝たはず。ちゃんと鍵をかけて。

まぁ、朝起きたら人がいるのは、まあいい。

いや、良くないけど。

でも幾ら絵空ちゃんや僕といえど高校生の男女、こうやって同じ布団に入って寝ているのは宜しくないだろう。

春奈ちゃんにバレたら『破廉恥です!』って怒られそうだね。

起きようにも動こうにも僕の服を絵空ちゃんが掴んで離さないため身動きひとつ取りにくい。

 

もし、この現場を清水家の使用人に見られたとしたら………

ぶるっと背筋が凍る。ドアの方へ顔を向けるとまだ閉まっているのでセーフ。

まだ僕は生きてられる。よし、まだ世界は味方。

 

「絵空ちゃーん、起きてー、早くしてくれないと僕、清水家が敵に回っちゃうから」

「んっ……ん……」

 

目の前のお姫様はまだ目を覚まさない。

そんな時に王子様のキスで目が覚めればいいのだけど、リターンに対してリスクが大き過ぎる。そんな事をしたら世界という名の清水家が敵に回ってしまう。絵空ちゃんも絵空ちゃんのお父さんも怒って今の家を追い出される羽目になる

あれ?今僕って中々に危険なのでは?

地雷原でタップダンスをしているみたいな。

 

そう言えば、一人暮らしでアパート借りる時に近くの不動産屋に行ったら周りが清水家傘下のアパートばっかりだったんだよね。

しかもそれはココ最近のことだそうな。

麗ちゃんに他に無いかと聞いてみたら、『すみません、うちは不動産屋はやっていないので……私の家のお部屋ならタダで貸出できますよ!』

と満面の笑みで言われた。麗ちゃんなんと非道な薄情な。

 

「ふぁ……秋、おはよう。今日もラブリーな一日にしましょう?」

「うん、突然で悪いんだけどさこの状況説明してくれない?」

 

そんなこんなでどうでもいい事を考えていると、やっとこさ起きたお姫様。

起きると同時に僕をぎゅっと抱きしめる。

僕と彼女を隔てるものは薄い彼女のパジャマと僕の服。それもあまり厚いとは言えず身体の柔らかい感触がダイレクトに伝わってくる。そしてふわりと香る甘い匂い

 

「あの……絵空ちゃん?」

「昨日の夜はとってもラブリーで熱い夜だったわねぇ~♪」

「本当に辞めてまじ辞めて、今そこに使用人さんがドアに手を掛けてるから、僕、射殺されちゃうから」

「誰も貴方を殺しはしないわよ、というか私がさせるわけないじゃない」

 

男らしい……惚れそう

 

「それでなんで僕はここに?」

「えっと……それは……その……」

 

いつもならこちらを揶揄いながら答えるはずの絵空ちゃんだけど、今は少し頬を赤く染めて口ごもっている。僕はそれに対して首を傾げながら答えを待つ。

 

「き、昨日ホラー映画?ってものを見たのよ」

「ホラー映画、成程それで?」

「とても面白かったのだけど見た後寝るのが怖くなっちゃって………」

「大人っぽい絵空ちゃんでもそんな可愛い所あるんだね!」

 

確かによく見てみると目は少し腫れぼったく、赤くなっていて涙を流した後の様なものが分かった。

 

「可愛い……?」

「うん、絵空ちゃんって大人っぽいイメージがあるけど、夜寝れなくなるなんて子供っぽくて可愛いなって」

「ふふっ、ありがとダーリン♡」

「それはやめて、みんなに殺される」

「愛してるわ、ダーリン♡」

「あばばばば」

 

絵空ちゃんのイタズラ心に火がついたのか、いつもの甘い蠱惑的な声を耳元で囁く。

 

「私だって、好きでもない人にこんな事言わないわよ?」

 

ふむ、という事は僕と絵空ちゃんは友達を超えて親友ということだろうか。

信頼されているという事、そんな事を言われて嬉しくないわけが無い

 

「って……あれ?なんてそんなに項垂れてるの?」

「いいえ、なんでもないの、そうよね、これで気づいていたらもうとっくに私のモノにやっているはずだし……もっとアプローチをするべきなのかしら……」

 

途中からボソボソと言われても僕には聞こえないし知らない。でもバカにされているような気もする。

 

「ねぇ?これからも私と一緒に寝てくれる?」

「ベットが別れててちゃんと事前に言ってくれたらいいよ」

「えぇ~いいじゃない~♪ただ寝るだけよ?」

「僕達高校生、そして男と女、分かる?」

「でも私のパパとママは一緒の布団で寝てるわよ?」

「僕達は絵空ちゃんのパパとママじゃないからね」

 

みんな友達にしては距離とかが近すぎやしないだろうか。そして、世話を焼きすぎでは無いだろうか。確かに外で手を繋いで歩いてたり抱きしめあってる女の子2人組を見るけれど、それを男にするのはもっと親密な間柄、例えば恋人などとするべきだろう。そして、確かに僕は生活は壊滅的かもしれない。でもそれはきっと茉莉花さん等のせいもあって……

 

よし、今度衣舞紀さんかダリアさんあたりに自立するためにレクチャーしてもらおう。

ダリアさんだと茉莉花さんが知って『お世話が出来ない』と泣くだろうから、衣舞紀さんがいいだろうか。

 

「こんなに貴方の周りの子が積極的なのは貴方に選んで欲しいことがあるからなのよ?」

「僕が選ぶこと……」

「出来れば私を選んで欲しいのよねぇ~♪」

 

え?何僕の進路?皆心配するほど僕の進路って危なかったりする?テストは毎回色々な人に教えて貰ってるから大丈夫なはずなんだけどなぁ。でも絵空ちゃんを選ぶとか言ってたし……流し目でそんな風に見られても分からないよ。

そんな事を考えていると絵空ちゃんがはぁ、とため息をついた。

 

「何か間違ってた?」

「ん~全部かしら」

「そっかぁ」

「ペナルティとして今日は一日私が貴方にくっついて学校で生活してもらいまぁす♪」

「え、ペナルティなんて聞いてない」

 

あの後本当に僕の腕を絵空ちゃんが離してくれる事はなかった。

皆からすごい目で睨まれて僕はその日を過ごすことになった。

いつも無表情の咲姫ちゃんが今まで見たことないくらいにすごい顔で睨まれた。

そんな中で絵空ちゃんが『ダーリン♡』なんて言うものだからみんなに怒られる羽目になってしまった。

何故僕が怒られないといけないのだろう。

世界はなんて不平等だ。




清水絵空
心の中に愛を沢山隠し持っているタイプ
使用人に連れてきてと言ったら1分も経たずに連れてきた。今回の事で周りに沢山マウントを取った。とってもラブリー。怖い物は苦手、多分。

このキャラでこんなのが見たい!というのがあれば活動報告のリクエスト募集まで

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