アークナイツRPG トロフィー「救済の手を」取得RTA 作:星ねこ
「……ごめんなさい、こんな時間に。ちょっと、話がしたくて。」
話がしたいと言い出した彼女――サイレンスは、いつになく真剣な眼差しをしてシクスを見つめていた。
「……話?」
「……そう。少しだけ、ね。」
そう言うと、彼女は「座っても?」と聞いてくる。
「勿論。」
シクスはそう答える。少し眠たそうにするが、直ぐに自らの舌を噛んで眠気を飛ばした。
「それで、話って?」
サイレンスが座ったのを見てから、シクスは聞く。彼女の紅い目は静かに傍観の姿勢を取っていた。
「……貴女の、護衛担当。いえ、監視担当と言いましょうか。私は、その担当者のことを知っているのだけれど。」
「……サリアのこと?」
その言葉に、サイレンスは深く頷く。
「ええ。サリアは、私の昔の同僚だったわ。いや、今も形式上はそうなのかもしれないけれど。」
研究者は含みを持たせたような言い方をする。
「……何かが、あったんだね。」
深く、しかししっかりと彼女は発言する。
「……ええ。私と、サリアは……なんと言ったらいいのかしら……いや、同僚でいいか。そう言っておきましょう。以前は彼女とも様々な研究をしていたわ。でもある時、私は彼女と対立したわ。彼女は……逃げたの。全てを捨てて。」
「……それは。」
それは違うとは言えなかった。全てを捨てていたなら、あんなに人間らしく生きようとは思わないだろうから。
でも―――
口には出せずにいた。
「だから、私たちは離れた。互いに。でも少し、後悔もしてるの。イフリータはサリアに懐いてるし、本当は会わせてあげたい。でも……」
「……出来ない、んだね。」
研究者はそれに対し頷く。少女は、その行為を見てから少し考えて、
「それを、相談するために来たの?」
と言った。
「半分は、あってる。もう半分、お願いしたくて。」
「……?えっ、と……」
歯切れの悪い回答に、少女は困惑する。
少女がそれについて聞く前に、女性は少女の手をとって言う。
「貴女には、イフリータの傍にいて欲しいの。」
「イフリータの、傍?」
「ええ。貴女が来てから、イフリータはよく笑うようになったから。毎日楽しそうに何があったのかを話してくれるし。勿論、貴女が良ければだけれども。」
少女は頭を掻きながら、少しの間考えて、答えを出した。
「……私が、イフリータの傍にいるのは構わない。」
その言葉に、女性は反応する。
「……っ、じゃあ「けれども、私は彼女の心の埋め合わせでしかないから。私は良くても、イフリータは良くないと思うはず。」
「そんなはずは……」
「ある。私は、あの子の心境がわかる。」
少し、辺りが静寂に包まれる。暗闇で染まる部屋の中、彼女の赤い目と灯りだけが輝いている。
口を切り始めたのは、少女の方だった。
「私には―――――」
「愛情というものが、注がれてなかったのだから。」
――――――
おまけ
走者のイベント中の反応
「不穏〜!!!!!!不穏なこと言うな君〜!!!!!!」(愉悦クッキー☆捕食中)
――――――
「愛情……?」
「そう。いや、イフリータは違うのかも。ただ、私は愛情というものを貰わなかった。」
少女は、軽く一息ついてから続ける。
「私は、とある一家の末っ子だったの。6人兄弟のね。有名な貴族一家で、一家全員他の一般人とは違うアーツを持っていたの。皆それぞれ個性あるアーツを持っていたわ。それを活かして、スポーツをやってたり傭兵をしていたりしてたはず。」
「一家全員……」
有り得るのだろうか。多少なりと、親のアーツが受け継がれるはず。血の繋がりがあるのなら、受け継がれないのはおかしいはずだ。
だが、彼女の目は真実を語っていた。
「うん。例えば……姉さんの【狂化】。自分を暴走状態にさせてアーツの全力を出させたり。あとは兄さんの【兆候】とか。少し先の未来を見たり。」
「【狂化】、か。」
そういえば、知り合いにそのアーツを持ってる人がいた気がする。
この子の関係者なのかな……いやまさか、そんなはずは。
研究者はそう思う。いや、そう信じたいだけだった。
「けれども。6つ子の末っ子として産まれた私には、アーツが無かった。」
「アーツが……無い?」
アーツが無いなんて有り得るのだろうか?
「有り得ないって、そう言われた。親にも、兄や姉にも。執事には……言われなかったか。でも皆、私を大切にしようとする気概すら見えなかった。親には無視され、兄妹にはいじめられていたの。」
彼女は懐かしむような目をしていたが、その話し方はからっぽのような、そんな気がした。
「唯一、1つ上の姉さんは私を守ってくれたりして、優しかったけれども。あと1番上の兄さんもか。でも、私の両親は私を愛してくれなかった。あそこの一家は、いらなくなったらすぐに切り捨てるところだったから、私も同じように切り捨てられた。」
「そん、な。」
いらなくなったから切り捨てられた。それじゃまるで―――――
「所詮、私はあの一家の道具でしか無かったの。あの一家は、色んなアーツの人材を集めて戦争に使うとか言ってて……なんだったっけな。私が産まれた時は、とあるアーツを欲しがっていたわ。アーツ名は……えーと、確か【剣製】?とかだったかしら。私たち兄妹は一家が欲したアーツを持つこと、又はそれを持ってる人物を探すことを目的としていたと聞いたわ。道具ってのはそういう事。」
どう声をかければいいか、分からなかった。
やがて、少女から口を切った。
「けれども、私はある街のスラムに捨てられたわ。結局、アーツは覚えなかったしね。」
「捨てられた……?天災が起きたところに住んでいたって、聞いていたけれど……」
「それは嘘。あの場所に兄妹の1人が住んでいたから。こう言っちゃあれだけど、死んでないかなぁ、って。見に行っただけ。」
少女は少し笑みを浮かべる。
狂気に満ちたような笑みだったが、決して目の色まで満ちてはいなかった。
「皮肉なものよね。使われなくなった道具みたいな人が、持ち主の欲していたモノを持つなんて。」
「……つまり、今のあなたはその【剣製】とやらが使えるって事?」
彼女はこくりと頷く。
これも運命か、そう呟きながら。
「……私には愛してくれる人というのがいなかった。だから、イフリータは私の傍にはいられない。教えてあげられないもの。それが、私の答え。イフリータ、いつも寂しそうにしていたから。サリアとサイレンスが、仲良くなってくれないかなって。」
「イフリータが……」
イフリータがそういうとは思っていなかった。イフリータは、表情によく喜怒哀楽が現れる子だ。けれどそんな彼女がそう思っていたとは知らなかった。
「だから、サイレンスが傍についてあげてほしいな。サイレンスは、イフリータにとって親のような存在なのでしょう?尚更私には出来ないよ。」
そんなはずはない。イフリータには友達という存在も必要だ。私やサリアでは出来ないような。
「そうだね。でも……イフリータは私と他人なのだから。」
その一言を言い切ると、彼女の目付きが変わる。
少し諦めていたような目付きから、穏やかな目に変わった。
私に言い聞かせるように。
「ねぇサイレンス。イフリータはね、私のような友達も求めているけどそうじゃない。家族を求めてるんだよ。」
手を取って、彼女は言った。
家族を。私は、イフリータの家族になれるのだろうか。
なる資格はないだろう。けれども、私にはそれをする義務がある。
ならなくてはいけないのだ。
私はもう、失いたくないから。
「そうだ、約束しましょ?私たちに何があっても、私達は助け合う仲間だって。何があっても、逃げることがないようにって。」
おまじないみたいなものだけれどね、そう彼女は呟きながら手を差し出した。
彼女にとってはこれも小さなものかもしれないけれど、私にとっては最大の「約束」だった。
「……ええ。私達は、助け合う仲間。逃げずに立ち向かう。約束しましょう。」
手を伸ばして、彼女の手を取った。
温かみのある手だったが、妙に冷たく感じてしまった。
「……色々、ありがとう。シクス。あと、こんな遅くにまでごめんなさい。」
「?……どういたしまして?相談なら、いつでも乗るから構わないけれどもね。」
少女は笑みを見せてくれた。
今日1番の笑顔を。それを見ると何故だろう、頬に涙が伝っていく。
「……大丈夫?」
「ええ……大丈夫よ……」
急いで涙を拭く。驚きで眼鏡を落としそうになった。
ふと、部屋に置かれてる時計を見る。もう深夜だ。新しい一日が始まっている。
早く戻ろう。
「じゃあ、おやすみなさい。」
「うん、おやすみなさい。」
彼女の顔をゆっくりと見てから、ドアから出ていく。
「……家族に、か。」
先程言われた言葉をもう一度口に出す。
家族になる。
私になれるだろうか。
「……大丈夫なはず」
そう呟く。
大丈夫だって。守ってみせるって。
いつものように、自分に言い聞かせた。
もう、逃げたりなんかはしない。
約束もしたのだから。
また、言い聞かせた。
シクス:選ばれなかった。生きることが許されなかった。それでも、諦めることは許されない。
この大地は、理不尽だ。
サイレンス:失いたくない。今度は守る。
そう、自分に言い聞かせてた。
エンジョイプレイ書きたいんですけどよろしいか?
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やれ(鉄華団)
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まず完走させようぜ?
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MODありの奴見たいゾ。
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新しくRTA走って、どうぞ。