アークナイツRPG トロフィー「救済の手を」取得RTA   作:星ねこ

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始まりの終わり

「なに……これ。」

 

 

いつものように朝起きて、あの二人に朝用のご飯を持っていこうとする、そうするはずだった。廊下に出て向かおうとした私の目の前には、紅く染まった「ナニカ」が大量に捨てられていた。

 

 

「うっ…………」

 

 

その光景はあまりにも悲惨だった。

思わず、喉元から何かが出そうになる。

喉を抑えようとしてトレイが床に落ちる。

カラン、という無機質な音だけが鳴り響く。

 

何とか堪えて、「ナニカ」が転がっている廊下を歩き出す。

 

 

何が、起こったのだろう。

なぜだか、とても嫌な予感がした。

 

 

悪寒が走る。手に持っていたトレイを廊下に落としたまま、2人がいる部屋に向かった。

 

 

 

 

「2人とも!大丈、夫……」

 

 

いない。イフリータはここにいた。けれども、あの彼女は――――

 

 

 

 

ああ、私はまた、失敗した。

 

 

「……サイレンス?」

 

 

「イフリータ……」

 

 

思わず彼女を抱きしめる。幸運だったのはイフリータが残っていたことだ。

もしこの部屋に誰もいなかったら…………

 

 

そう考えるだけでゾッとする。

 

考えたくもない。

 

 

「な、なぁサイレンス。と、とりあえず離してくれ。苦しいよ……」

 

 

「……ごめん。……シクスがどこに行ったか、知ってる?」

 

 

「分からねぇ……あいつは……シクスは何処にいるんだ?また早くから研究?をしているのか?」

 

 

その言葉を聞きすぐさま部屋から離れる。

 

イフリータが私を止めようと声をかけた気がしたが、それは直ぐに消え去っていった。

 

 

 

研究。要は実験のことだろう。シクスが実験を受けていた場所……

 

確か、サリアが警備担当のところだったはずだ。

 

 

過呼吸気味になりながらも、走る。廊下を走っていると徐々に血の跡が増えていった。

 

 

実験棟のシクスが受けていた場所に着くと、中から聞き馴染みのある声が聞こえてくる。

 

 

「……これは……ふざけるな……こんなものが……」

 

 

サリアだった。

 

 

どうやらなにかの書類を見て、思わず机を叩いているようだ。

苛立ちのようなものが見えたが、同時に焦りの感情も見えた気がした。

 

 

「……サリア?」

 

 

「サイレンス!?」

 

 

彼女に声をかけると、サリアは驚いた様子で、見ていた資料を隠そうとした。

 

 

「……シクスは?」

 

 

「……君も、何となく察してはいるだろう。彼女は、脱走した。」

 

 

単純な言葉だった。けれども、私にその事実は受け止めきることは出来なかった。

 

 

嗚咽が出る。後日聞いたが、一種のパニック状態になっていたらしい。

 

 

サリアはそんな私を見て、肩を貸した。

 

 

「大丈夫か?」

 

 

「ええ、今は。……それで、貴女が先程まで見ていた資料だけど――――「見てはダメだ!!」

 

 

サリアは悪行をこなした子供を叱るように叫んだ。

それに私が少し怯んだのを見たのか、

 

 

「……すまない。」

 

 

と謝ってくる。

 

 

「こんなもの、君は見なくてもいい。真実を知るのは、私一人で十分だ。」

 

 

「いいえ、私も知るべきよ。」

 

 

「だが―――」

 

 

 

「決めたの。」

 

 

 

「もう、逃げないって。」

 

 

この時彼女が何を考えたのかは分からないが、サリアは黙って私に資料を渡してきた。

 

それは1つのカルテ。

 

研究対象者:被験者番号 810番

 

シクスのものだった。

 

そこには―――まるで非人道的な実験の数々が残されていた。

源石埋め込み、臓物の取り出し。そして【規制済み】の融合。

 

 

彼女はこんなにも苦痛を受けていた。

けれども、私たちを心配させないというためだけに、彼女は笑っていたというの?

 

 

あんなに元気そうだったのに。

 

 

カルテのページをめくる度、起きた事実がグサリと私に刺さっていく。

 

 

私が彼女を守ってみせるって、思っていたのに。

 

 

守られていたのは、私の方だったのね。

 

 

動悸が早くなる。カルテの一文一文に目を通す度に、目眩が起きそうになる。

 

吐き気がしてくる、事実は躊躇などせず私を突き刺してくる。

 

 

カルテに目を通す度に、どこからか声が聞こえてくる。

 

 

「お前は何も守れない」

 

 

やめて。

 

 

「結局、何も守ってくれなかった」

 

 

そんな顔しないで。

 

 

「大丈夫、私が何とかするから。」

 

 

やめて、そんな事言わないで。

 

 

「イフリータをよろしくね。」

 

 

待って。

 

 

「私はイフリータとは家族になれないからさ。」

 

 

待ってよ。

 

 

「イフリータは家族を求めてるんだよ、サイレンスみたいな。」

 

 

違う、あなたもイフリータには―――

 

 

「じゃあ―――――」

 

 

待って。

 

 

「?なんで泣いてるのさ。」

 

 

待ってってば。

 

 

「大丈夫、すぐ戻ってくるから。」

 

 

 

私を、置いて行かないでよ。

 

 

 

 

「――――――アルム」

 

 

 

何かがちぎれる音がした。

 

 

「―――――――あ、」

 

 

私の意識はそこで途絶えた。

 

 

 

 

「全く……なんなんだよ、サイレンスまで……ん?」

 

 

部屋の片隅に、見知らぬ紙が落ちていた。

何か書かれているが、内容はよくわからなかった。

 

 

「なんだこれ?……?後でサイレンスに聞くか。」

 

 

 

サイレンス、サリア、イフリータ、フィリオプシスへ。

 

 

ごめん。何も言わずに行っちゃって。

 

 

本当は、何か一言言えば良かったけれども。

言えなかった。

 

 

状況が状況でさ。本当はもうこれも書いてる余裕なんてないんだけれど。

私がいたら、皆まで危険になるかもしれない。だから、何も言わずに飛び出しちゃった。愚痴は……また会ったらちゃんと全部聞くよ。

 

 

サイレンス。イフリータをよろしく。

サリア。ちゃんと寝てね?

イフリータ。早寝早起きちゃんとしてね。

フィリオ。無理はしないでね。

 

 

またみんな、無事で会おう。

 

 

 

シクス

 

 

 




サイレンス:サリアにその後介抱され休む事に。
一時的に極度なパニック障害に陥るが数日で少し落ち着いたらしい。
数日間倒れたままで、目覚めた後はイフリータと一緒に脱出するための計画を立て始める。

また、救えなかった。守れなかった。

サリア:倒れたサイレンスに動揺を隠せずにいたが、直ぐに近寄り彼女の部屋まで運ぶ。
その後、イフリータの元へ向かう。

あと一歩、踏み出せていれば。結末は変わっていたのかもしれない。

イフリータ:朝目覚めた時にシクスが居ないことに気づいたが、以前と同じだと思い込む。が、様子が変なサイレンスと出会い、謎の紙を見つける(シクスの書いた手紙)
フィリオプシスがイフリータの様子を見に来た時には、もうシクスはいないと察していた。
その後はフィリオプシスと共に部屋に残る。


約束、守れなかった。

フィリオプシス:廊下の異常に気付き、警備員たちの惨死体から以前シクスが暴走した時と同じと推定し、2人の部屋に向かう。
が、そこには様子がおかしいイフリータしか残っていないことを確認し、彼女が脱出したと推測した。

手は、伸ばせたはずなのに。



???:螟ァ荳亥、ォ縺?繧医?√し繧、繝ャ繝ウ繧ケ縲らァ√?縺ゅ↑縺滄#縺ョ莠九r隕句ョ医▲縺ヲ縺?k縺九i縺

次回からはいつもの感じに戻ります。

エンジョイプレイ書きたいんですけどよろしいか?

  • やれ(鉄華団)
  • まず完走させようぜ?
  • MODありの奴見たいゾ。
  • 新しくRTA走って、どうぞ。
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