アークナイツRPG トロフィー「救済の手を」取得RTA   作:星ねこ

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知らない方がいいことも、世の中には存在する。
【知る】という行為そのものが、禁忌に触れてしまうことと同義になってしまうからである。


これは、【知った者】と【知らなかった者】のお話。


【知る】という事、【理解する】という事

 

P.M.1:00。

 

龍門スラム街 ロドス医療班、応急処置テント内にて。

 

 

 

「……よし、どうかな。少しでいいから、腕は動かせる?」

 

 

「はい……ん、大丈夫みたいです。」

 

 

「うん、じゃあ当て木入れて固定して、動かさないでおいてね。あと一先ず数日は動けないことを分かっててね。骨は折れてるから。」

 

 

目の前にいる、丸椅子に腰掛けカルテを書きながら私を治療してくれた人は、ロドスの医療オペレーターである、サイレンスという人らしい。

 

なんでも、ライン生命からロドスに入った源石研究者のようだ。今回のロドス側の医療オペレーターとして作戦に参加したらしい。すっごい今更事ではあるが、普通の研究員を戦場に出すのは正気の沙汰では無いなと思う。武装のひとつぐらい持たせるべきだとは思うのだが……

 

 

「はい、ありがとうございます。では、私はもう出ますので―――――」

 

まぁ、いいだろう。まだ仕事は残ってるのだから。

身体を起こして動こうとする。

その瞬間、全身に激痛が走る。痺れるような痛みが節々を走っていった。

 

 

「っ……!あだだだだ!?」

 

 

「あ、まだ痛むだろうから動くのはやめた方がいい……って、言うのは遅かったか。」

 

 

はぁ、と1つため息をつきながらサイレンスさんがカルテを置きながらこちらを向く。

 

 

「うん、やっぱり数日は動けないね。ロドスでしっかり治療を受けてもらうのをオススメしておくよ。治療設備は整っているから。」

 

 

「……ありがとう、ございます。」

 

 

少し一礼し顔を上げると、サイレンスさんはどことなく嬉しそうにしていた。意図は分からない。

 

 

「……少し、貴女と話したいのだけれども構わない?」

 

 

「ええ、勿論。私に答えられることなら何でも大丈夫です。」

 

 

「何でも……か。」

 

 

サイレンスさんはその一言に少し頭を悩ませる。ふと、どこかへ行ったかと思うと、コーヒーカップにコーヒーを注ぎ私に手渡しし、言葉を紡がせていった。

 

 

「……長くなりそうだし、コーヒー、入れてきたわ。嫌いじゃなければいいんだけど……」

 

 

「あぁ、お気遣いどうも。……うん、美味しいですね。」

 

 

ブラックコーヒーのようだが、苦味がいつものより少し柔らかく、溶けていくような感触が舌を通り抜けていく。どう感想しようか迷うが、一重に美味いと言っておきたいくらいには美味しいものであった。

 

 

 

「良かった……じゃあ、一つ。」

 

コーヒーに浸っていると、どうやら向こうは決心がついたみたいだ。彼女は切り出すように、こちらをハッキリと向いて質問を始める。

 

 

「なんでしょう。」

 

 

「貴女が、今回こんな大怪我を負った原因とも言えるレユニオン隊員……いや、幹部?ともかく、貴女はあの人と知り合いなの?」

 

 

「それは――――」

 

 

サイレンスさんが睨むようにこちらを見てくる。

すぐに、「はいそうです、知り合いです」とは言い出しにくかった。でも言わなくては、なにか語弊をうみそうな状況に陥りそうではあった。

掌に収まっているコーヒーが、じわりじわりと熱さを増して行った気がした。

 

 

「そう、です。あの人と、私は知り合いです。」

 

 

結局口に出す。

 

 

「……なるほど。じゃあ、もう一つだけ。」

 

 

 

「あの場所にいた、貴女の知り合い。もしかしてだけど、シクスだった?」

 

「……へ?」

 

 

変な声が思わずでた。確かに、今回戦ったのはシクスさんだ。間違いはない。どこか以前よりおかしな点はいくつかあったけれども、あの人の顔や声は鮮明に覚えている。

 

 

だが、何故シクスさんをサイレンスさんが知っているんだろう?

サイレンスさんと昔からの知り合いだった?それも有り得る。それか最近出会ったのだろうか?よく分からないが、ひとまず答えよう。

 

 

「ええ、あの人はシクスさんでした。」

 

 

「……!そん、な……」

 

 

その瞬間、サイレンスさんがその場に膝をついた。手に持っていた黒く暖かいコーヒーも手放し床に散らかる。項垂れるように膝をつき、表現するならば、それは放心状態に近いものだった。

 

 

「サイレンスさん!?」

 

 

慌てて立たせようとするが、自らの怪我の影響もあり、激痛を含めて身体が思うように動かせない。

 

なんとか無理やりサイレンスさんを立たせようとした時、彼女の口が少し開き呟き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は何も出来なかった、ただ見ているだけだった、あの時救えるはずだったのに、何も出来ずにいつも通り過ごそうって愚かな考えをしていた。その間にもシクスは辛い思いをしていたはずだ、でもシクスは何も言わずに笑顔でいてくれた。だから安心していられたんだ。でもシクスは結果的にあの場所から出ていってしまって私たちは残されたんだ。あぁ、あの時しっかり何があったら知れていれば私でもどうにかできたはずなのに あぁごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいどうか許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して許して」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……極度のパニック、いや発狂とも言えなくもないような口調でサイレンスさんは呟き続ける。手で頭を抑え、その場にかがみこんでしまった。彼女の精神状態は見るからに良くない、一旦落ち着かせないと。

 

 

「サイレンスさん、落ち着いてください!」

 

 

「私はいくらあの時の罪を懺悔したところで足りないくらい罪深い者なんだ許されるべきことではなかったんだ許されるだろうっていうその考えが甘かったんだ」

 

 

「……私はあなたとシクスさんの間に何があったか知りません。ですがひとつ言えます、あの人はちゃんと許してくれますよ。」

 

 

「何も知らない人はそう言えるでしょう、私はどれだけ許されても罪を負い続けるべき人なんだから。」

 

 

「……そうですね、私は何も知りません。何が起こったとか、何をあの人が選択したとか。だからこそ、言えるんです。あの人とはそれなりに長い付き合いをしてますから。」

 

「あの人にとって、許す許されないの概念なんて無い。基本的に、勝手にしていてっていう人ですから。自分のやった事の責任は、シクスさんはちゃんと分かっているはずですし、本人と話せばそのへんも解決するはずです。」

 

 

少し落ち着いてきたのか、サイレンスさんは大きな深呼吸をしながら、テント内にある丸椅子に腰を掛けた。

 

 

「……ありがとう、ございます。それと、酷いことを言ってしまって、ごめんなさい。」

 

 

「いえいえ、私は慣れてますから。落ち着いてきたら、少しだけいいですか。私も聞きたいことがあるんです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――

 

 

 

 

 

 

「……そろそろ、いいですか?」

 

 

「……ああ、大丈夫。ありがとう。」

 

 

「いえいえ。では、質問を。シクスさんとサイレンスさん……一体、何があったんです?」

 

 

「……詳しくは、言えないけれど。それでいいなら。」

 

 

あの人の手がかりが何かしら掴めればそれでいい。それでいいんだ。あの人はスラムにいた時より変わりすぎている、サイレンスさんのさっきの様子から分かるに、何かあったんだろう。

 

あんな感じで狂気に陥ってしまうような原因が。

 

 

「……私は、ライン生命に所属していた。そこで源石の研究をしていたわ。鉱石病の根絶を目指して。」

 

 

「はい。」

 

 

「ある時、ライン生命の研究棟に一人の人が来たの。それが、シクス。」

 

 

「ライン生命に……」

 

 

ライン生命に行っていたのか。いつ行ったのかは分からないが、行ったタイミングとしてはスラムで別れた時だろうか。その辺なら辻褄が合いそうだが……

 

 

「うん……そこで、えっと……」

 

 

「……言い出しにくかったら、言わなくても良いですよ。」

 

 

「そっか。……でも、これだけは話さなきゃ。私は許されない事を知った。禁忌とも言える、ね。貴方が言う、彼女が変になったのもこの事に関係してるかも。」

 

 

「許されない事……」

 

 

どんな事が起きたのかは、やっぱり分からない。詳しく話したがらない素振りから、どれくらいのものだったかは分かるが。

 

 

「……なるほど、ありがとうございます。」

 

 

少しだけ、手がかりを掴めた気がした。目の前からすぐに消えていきそうではあるが。

 

 

「ううん、こちらこそ。私もだいぶスッキリしたよ……思ってたよりも、溜め込んでいたみたい。」

 

 

「そうでしたか……なら、良かったです。」

 

 

そう言うと、サイレンスさんは少しばかり微笑んで

 

「うん、ありがとう。」

 

 

そう言ってくれた。

何だか、自分の口角も釣られて上がっていく。

 

先程のゴタゴタで結局あまり飲めてなかったコーヒーに、口をつける。

 

ほんのりとした温かみが、自らの舌にじんわりと残っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、???にて。

 

 

 

【……ったく、演算装置も機能しねぇか……演算形態にはなれるからいいが。

あぁくそ、なんでこんな時に出てこねぇんだアイツ……】

 

 

「やっほー、ジョン。どう?上手くやってる?」

 

 

【おい、ジョンって呼ぶなって言ったろ?それはもう昔の名前だ。】

 

 

「ごめんごめん、つい癖で……ってか、その格好何?なんというかこう……いや、その前に一応聞くけどここ数日寝てる?」

 

 

【あ?寝てるわけねぇだろ、1週間は寝てねぇな。飯食わなくても過ごせるのはこの形態のいい点だよな。演算形態いいわぁ。】

 

 

「…………バッッッカじゃないの!?」

 

 

 

【……ッだぁ!?痛ってぇ!!お前、ふざけんなお前!久しぶりの再会で雷流す馬鹿がいるかよお前っ!ってか俺耳いいの知ってるよな!?なんで耳に電流流した!?死ぬかと思ったんだが!】

 

 

「知ってるに決まってるじゃない。私達兄妹よ?全部わかってるし耐えると思って撃ったから。加減はしといてあげたからね〜。」

 

 

【くっそ、たち悪ぃ……】

 

 

「む〜……何のために医療免許取ったと思ってるの?皆の健康見るためだよ?これでも私、クルビアの医療会社で仕事してたし。健康管理はしっかりするんだよ?体に大切な要素だからね。」

 

 

【いやマジいってぇ……ん、あぁなるほど、お前の中に「アレ」が入れられたのもその時か?】

 

 

「勘がいいね。そうだよ、まぁ【アレ】は全部自分で入れたけどね。いやぁ、死ぬかと思ったよ〜。」

 

 

【……やっぱお前アレだな。アホだろ。】

 

 

「は?」

 

【ゴメンナサイ。】

 

 

 

【んで、なんか用事があったんだろ?】

 

 

「うん、やぁっとあの設計図できたから持ってきたの、試作だけどね。大変だったんだよー?演算。」

 

 

【演算やってるのは「深き者」達だがな。】

 

 

「彼らは暇だからいいの。ほら、これみて。」

 

 

【……確かに図面はいいが、コア壊すにはなんか足りない気がするな。】

 

 

 

 

「そりゃあ、これ撃つ人必要だからね。」

 

 

【……はぁ!?自動じゃねぇのかよ!】

 

 

 

「だって!無理なものは無理なんだもん!」

 

 

【お、おう……そうか……やっぱり、シクスを待つしかないか。】

 

 

 

「父さんを待ってもいいんだけどねぇ……あの人、どこにいるか分からないし。ふらっとどこかに旅しに行っちゃう人だしさ。私たちが起動すると、間違いなく四肢吹き飛ぶし死にかねないからね。」

 

 

【そんなのをあいつ一人に任せるのもどうかと思うがな……】

 

 

 

「ははは……あのアーツ使えるのはシクスだけだからね……まぁ、実際にやってもらうのは【深き者】の予定だし、シクスがやらないって言うなら私たちでやるだけだよ。たとえ死んでも、大丈夫でしょ?」

 

 

【あぁ。とっくの昔に覚悟は出来てるんでね。

さて、と。じゃあもしものための支度を、始めるとするかな。】

 

 

 

 

 

「その前に、ジョンは寝なさい。」

 

 

【いや、俺は―――――わぁったよ、わあった。寝るから、寝るからそのアーツを構えるのはやめてくれ、死ぬほど痛かったから……】

 

 

「わかればよろしい。ちゃんと寝るんだよ?布団置いてあったから勝手に敷いといたよ。それ使って寝てね。その肉団子みたいな演算形態は解除しておきなよ?そうじゃないと寝れないだろうから。じゃ、おやすみ〜」

 

 

「……おう……」

 

 

 

 

 

 

 

「んー……どうしても、難しいな。自動化は出来ない……それに、使う時には源石を大量に消費する。

物云々は、私の【深き者】に任せるとして……出来るよね?……うん、任せるよ。

問題は……鉱石病、か。リスクは……うん、高いね。」

 

 

「まぁ、私達が使う時になったらこの問題は意味無いな。数年前に、本当はもう死んでいた命だ。鉱石病にまだなってないとはいえ、かかってもそこまで周りに影響は与えないはず。……シクスへの精神的ダメージっていうところを除けば。」

 

 

 

「……うん、分かってるよ。今呟いたのは最終手段だし。それに、死にそうになってもあなた達は必死で助けるでしょ?じゃないと死んでしまうから。……ふふっ、ごめんね。脅すようなこと言って。でも、それくらいシクスは大切にしたいんだよ。」

 

 

「彼女は命の恩人で、私の大好きで可愛い妹だからさ。妹を守るのは、姉の責任でしょ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……いつまでそうしてる気だ、父さん。」

 

 

 

「……ジョン」

 

 

 

「その名前は……いや、言っても無駄だな、好きに呼んでくれ。で、アンタはいつ動くんだ?」

 

 

 

「……もう、夜も深い。寝なさい。」

 

 

 

「話を聞けよ……で、また傍観者のままでいる気か?」

 

 

 

「違う。もう、事は成した。私のすべき事は、終わりを告げたんだよ。」

 

 

 

「【だから座して待て】、ね。へいへい、従っとくよ。」

 

 

 

 

「んで、シクスにどう説明するつもりだ?アンタに対する恨みMAXだと思うんだが。」

 

 

 

「……皆が、説明してくれないか?」

 

 

「なんでだよ!面と向かって話すんだろ!?前言ってたじゃないか!?いつまでも縮こまってないで、ちゃんと動いてくれよ!」

 

 

「ははは……分かった、動いてみる。すまんな、こんな父で。」

 

 

 

「はぁ……父さん、トリースは。」

 

 

「……シクスと出会う、だと。コアで会うとも言っていたな。」

 

 

 

「OK、なら計画に変更無しだな。じゃ、父さんはいつも通りに動くんだな?傍観者として。」

 

 

「あぁ。私は、皆の人生に残ることのない人間だったからな。本当はここで、消えても良かったんだが。」

 

 

「子供の脳から、父親は消えねぇよバカ。残るべき存在なんだよ…………で、やるんだろ?」

 

 

 

「ああ、【傍観】をしてから【行動】する。そこにいて、そこに居ない。それが私という者だからな。寝てからでいい、支援頼むぞ、私の息子。」

 

 

 

「わぁってるよ父さん。アンタの存在は俺が消して、俺が覚えててやる。」

 




次こそはRTAします。ウソジャナイヨ。

文章量長くなったのは、楽しく書いてたからです。暖かい目で見てあげてください……

なんか出てきた人をまとめてみた

シクスちゃんの姉:情報として、過去に出てきてはいます。出てるはず。探せばあるかも。

ジョン君:関係者っぽい。お兄ちゃんらしいですね?演算形態とやらになれるらしい。絶対ろくな姿してないゾ。

【父さん】と呼ばれた人:誰だよ(ピネガキ)なんか存在消せるらしい。なんだお前!?

トリース:どんな人物か、コレガワカラナイ。(情報なし)

エンジョイプレイ書きたいんですけどよろしいか?

  • やれ(鉄華団)
  • まず完走させようぜ?
  • MODありの奴見たいゾ。
  • 新しくRTA走って、どうぞ。
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