一日の始まりを告げるアラームがなり、それを止め目を覚まし朝の支度を始める。
支度を終え部屋から出るとそこに小さな少女が立っていた。
かいと
『あら?おはよう海人、今起こしに行こうと思ってたのに』
『おはよう雷。今日は自分で起きられたから』
『そうなのね、じゃあ早く食堂に行きましょ!電たちが待ってるわ』
雷に手を引かれながら食堂へと後をついて行きながらふとここに来てからのことを思い出す。
10年前当時7歳だった俺は、深海棲艦の侵略攻撃により故郷と家族を失った。
焼け野原と化した町で死にかけの俺を救ってくれたのが、この鎮守府の提督であり現在俺の父さんだ。
初めは、家族を失ったショックや、男が俺と父さんの二人だけであとはみんな艦娘という環境になれずふさぎ込んでいた俺だが、この10年間皆に支えられてきたことで今現在がある。
そんなことを考えているうちに食堂に近づいてきた。そこで俺はある事を雷に伝えなければならない、とても嫌だが。なぜ嫌なのかはすぐにわかる
『い、雷そろそろ手をはなしてくれない?』
その瞬間周りの気温がさがったきがした。
『え?どうして?』
雷の手を握る力がいっきに強くなった
『つっ!、そろそろ食堂に着くし、誰かに見られるかもしれないし』
『?何も問題ないじゃない』
いや問題しかない、この状態を誰かに見られたらと思うだけで胃がキリキリと痛み始める。一刻も早く手を放してもらわなければ、それに俺の手も段々と強くなっていく雷の握力に悲鳴を上げている。
『それとも…わたしと手を繋ぐのがそんなにいやなの?』
さらに力が強くなる
『ぐっ!そんなことは、、』
まずい、このままだと冗談なしに手が砕ける、、
『何してるのよ雷!』
ギリギリのところで誰かの声に助けられた、この声は
『あ、暁』
『チっ、』
雷が舌打ちをする
『もう、来るのが遅いと思って来てみれば…』
暁の視線が繋いでいる手へと向けられる、胃が痛み始める
『雷、海人の手をはなしなさい』
『いやよ、どうしてかしら?』
『海人が嫌がってるでしょ』
『そうなの海人?』
緩められていた雷の握力再び強くなる
『そ、そんなことないぞ!』
『海人は、嫌がってないみたいよ暁』
『…まあいいわ、早く食堂に行きましょう』
暁は雷を睨みながらそう言うともう片方の俺の手を握った。不味い、このまま食堂に入るのは非常にまずい。だが俺に成す術などなく痛む胃とともに食堂に向かった。
食堂に入るとさっきまで食事や会話をしていた皆が俺と手を繋いでいる雷と暁を見て静かになる。突き刺さる視線に俺は気づかないふりをしながら朝食を受け取りにいった、さすがに両手がふさがっていると朝食を受け取れないのでそこで二人は手をはなしてくれた。すると食堂に再び喧騒が戻った。よかった、
『間宮ねえ、伊良湖ねえおはよう』
いつも美味しいごはんを作ってくれる二人に挨拶する
『『おはよう海人』』
『今日のご飯もおいしそうだ』
『うふふ、ありがとう。』
『よく噛んでゆっくり食べるんだよ』
『分かってるよ』
トレーを受け取り電たちのいる席へ向かう
『あ!海人やっときたのです』
『遅かったね』
『待たせてごめん電、響。』
『いいよ、それより早く食べよう』
響のその言葉で食事を始める。
『海人学校はどうだい?』
いつも通り美味しいごはんを食べ進めていると響が聞いてきた
『どうっていっても、普通だけど』
『そうかい...』
『どうしたんだ急に?』
『いや、海人ももう高校2年生だろうだから彼女の一人や二人いるんじゃないかと思ってね』
......
食堂が静まり返る
視線がが一斉に俺に集まる。質問の主である響もハイライトの消えた目でこちらを見ながら答えを待っている、中学生の時学校でバレンタインチョコを貰ったことを皆に自慢したことがあるその後どうなったかは思い出したくもない。なので俺が出す答えは決まっている。
『いないし、つくる気もないよ』
『…そうかい、ならいいんだ』
食堂にまた喧騒が戻る
…後で胃薬を飲もう
その後は何もなかったように他愛ない話を皆でして、おれは皆より先に朝食を食べ終えた。
『ごちそうさま、じゃあ学校いってくる』
『『『『いってらしゃい』』』』
四人のいる席を後にし、食器を返却する
『ごちそうさま』
『お粗末様。はい、海人これ今日のお弁当ね。いってらっしゃい』
『ありがとう伊良湖ねえ、いってきます』
食堂を出る際にもみんなに
『いってきます!』
いってらっしゃーい!
とみんなが答えてくれる。そうして食堂を後にする。
みんな怒らせさえしなければとても優しい家族なんだけどな、
そして父さんにも挨拶しに行った後、玄関へといき靴を履き替えていると後ろから誰かに抱き着かれた。
『だーれだ?』
『何だよ熊野ねえ』
『正解ですわ。行ってらっしゃいのハグしてあげようかと思いまして』
『ありがとよ』
『どういたしまして』
そう言うと離れたので立ち上がり後ろを向くと、鈴谷ねえと熊野ねえがいた。
『海人、鈴谷もハグしてあげるけどどうする?』
鈴谷ねえがからかうような顔で言ってきた
『いや、そろそろ学校に行きたいんだけど...』
『は?』
やば、心の声が!
『ふーん、熊野とはしといて鈴谷とは嫌なんだ』
『い、いや、そういうわけでは』
ハイライトの消えた目で鈴谷ねえが近づいてくる、俺は蛇に睨まれた蛙のようになる
『じゃあ、ハグしてあげるね』
鈴谷ねえが抱き着いてくる、すると段々と抱きしめる力が強くなる
『ぐっ、す、鈴谷ねえ?』
耳元で鈴谷ねえが囁く
『今日は、特別にゆるしてあげる。でも、もしまた鈴谷の機嫌を損ねたら』
抱きしめる力がさらに加わり体が軋み、呼吸ができなくなる
『がはっ!...』
『その時は前みたいにオシオキだからね』
『わか...った』
『ふふ、じゃあ許してあげる』
鈴谷ねえの手が離れ、俺は膝をつく
『ゲホッゲホッ!』
『鈴谷やりすぎですわ!』
『ゴメンゴメン、海人大丈夫?』
『だっだいじょうぶ』
呼吸を整え何とか立ち上がる
『じゃあ、俺行くから』
俺はその場を逃げるように去った
まだ一日が始まったばかりだというのにどっとつかれた、これから学校があることを考えるとさらに嫌になる
『はぁー、何かいいことないかな』
そんなくだらない事を呟き学校に着いた
上履きに履き替えるため下駄箱を開けると身に覚えのない封筒入ってていた
『なんだこれ?』
封筒を取り出し見てみる