怪獣娘一言シリーズ   作:電王牙

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遂にタイトルから女の子の名前が消えてしまった件。

今回のお話はレイジとランのカップル+ナナヤとレイカのカップルの組み合わせで1シチュエーションです。



レイジとナナヤとラブレター

「おーい、水無月。お前に客だぞー」

「ん?」

 

昼休み、水無月レイジが教室で寛いでいると黒板側の入り口付近の席に座るクラスメートから声を掛けられた。

呼ばれて扉付近に近付くと廊下には一人の女子生徒がいた。

 

「あの……少し、お時間よろしいですか?」

「え、おう」

(((!?)))

 

彼女からそう声を掛けられ、レイジは彼女についていくのだった。

 

そしてついていくレイジを見て、クラスメート達は驚くのだった。

 

「……騒がしいわね?」

 

そこにエレキングの怪獣娘である湖上ランが黒板から遠い方の扉から戻ってきた。

 

「!?……湖上!」

「どうしたのよ二瀬?」

 

幼馴染みの男子生徒、二瀬ナナヤに声を掛けられ、騒がしさの原因を聞くと。

 

「早まるな、落ち着け!」

「はぁ?」

 

ランは『何を言ってるんだ』と言わんばかりの表情をするのだった。

 

 

 

 

 

──────

 

 

 

 

 

所変わって廊下の一角、中庭が見下ろせる場所。

 

「で、心配して覗き見してる訳か」

「別に……心配なんてしてないわよ」

「へーへー」

 

事の経緯を聞いたランはそのまま表情を変えずに教室を出て、廊下から中庭のレイジの所在を見つけ、そのまま様子を見ていた。

ちなみにナナヤは好奇心のまま出歯亀である。

 

「しっかし、レイジに堂々と告白する奴がいるとはなぁ」

「…………ふん」

「ま、アイツがそうそうOKするわけ無いだろ?」

「まぁ、それもそうね……」

 

不機嫌そうなランの表情は少し柔らかくなった。

 

 

 

 

「あの、これを!」

 

女子生徒がレイジに手紙を手渡した。

 

「ん?いいぞ」

「あ、ありがとうございますっ!」

 

レイジはふたつで手紙を受け取り、渡した女子生徒は頭を下げて去っていくのだった。

 

 

 

「OKしたァァァ!?」

「う、うそ…………な……なん……なんで…………」

 

その様子を見ていたナナヤは驚愕の声を上げ、ランは目尻に涙を浮かべながら震えているのだった。

 

 

 

 

──────

 

 

 

 

教室に戻ったレイジとラン。ランはふらふらと、席着くと机に突っ伏してどんよりとしたオーラを放っていた。

 

「ん?なんだこの淀んだ空気」

 

そこに何も知らないレイジが戻ってきた。

 

「あー、いや……そこまで大したことは無いぞ?」

「そうか」

 

レイジが戻ってきてランから溢れる淀んだオーラは更に濃くなった。

ギギギ、と首だけ動かしてレイジをハイライトの消えた瞳で見つめる。

 

「つーか、ラブレター貰って即OKとか、らしくないな?なんかあったのか?」

「いや、これはナナヤ宛てだぞ?」

「お?」

「えっ……」

 

レイジは受け取ったラブレターをナナヤに手渡した。

ランから溢れる淀んだオーラは霧散し、彼女は立ち上がった。

 

「あー、そういうことな」

「……どういうことかしら」

「時々あるんだよ、ナナヤに渡してほしいって頼まれるの」

「そ、そうだったの……」

 

ランの表情は明るくなり、笑みがこぼれていた。

 

「ちゃんと読んでやれよ?」

「わーってるて」

「結構人気なのね、二瀬」

「んなことないと思うけどな~」

 

ナナヤはラブレターを後で読むつもりでしまいつつ、話を切り出した。

 

「てか俺も時々レイジ宛てのラブレター渡してくれって頼まれるけど断ってるんだぜ?」

「え!?」

「はぁ?初耳だぞ!?」

「そりゃ言ってないからな」

 

ナナヤもレイジ宛てのラブレターを時々渡してほしいと頼まれるが、ランのレイジへの気持ちを知っているために毎回断っているのである。

 

「……二瀬、後でジュース奢ってあげるわ」

「え?ありがとう!?」

「……なんなんだ?」

 

ナナヤのファインプレーにランはお礼として奢ることを約束したのだった。

 

「てか、俺ラブレターとか貰ったこと無いぞ?」

「ん~、音沙汰無いってことは諦めたんじゃないか?」

「まぁ、俺よりいい人見つけたって所じゃないか?良いことだろ?」

「むぅ……」

 

ランは『レイジよりいい人なんかいない』と反論したかったが流石に面と向かってそんなこと言えないので何も言えずに少しむくれるだけだった。

 

 

 

 

 

───────

 

 

 

 

所変わって、ここはナナヤの自宅。

 

「ということが去年あったんだよ」

「……そんなことがあったんですか」

 

家主のナナヤに、ラブレター騒動から紆余曲折を経て交際中のレイジとラン。

そしてナナヤの恋人であるウインダムの怪獣娘の白銀レイカが集まっていた。

 

集まった状態でナナヤが去年の出来事をレイカに話し始めたのだった。

 

「もう、あのときは本気で初恋に破れたって思ったんだから……」

「あー、その悪かったな」

 

付き合っている今だからこそ、当時は落ち込んで妬いていたとランはレイジに告げられるのだった。

 

一方でレイカは自分の恋人がラブレターを貰っていた事に少しモヤモヤとした感情を抱くのだった。

 

「最近は俺もナナヤ宛てラブレターは断っているんだがな……」

「……下駄箱に入ってるとは思わなかった」

「え……」

 

ナナヤは今朝、下駄箱に入っているラブレターを発見した。

それを聞いてレイカは少し落ち込んだような表情をするのだった。

 

「まぁ、受け取った以上は読んだ上で断るさ」

「そうね。ウインダムを泣かせたら承知しないわよ?」

「おー、怖っ」

「白銀、安心しろ。コイツはそうそう浮気とかできるような奴じゃないから」

「は、はい」

 

 

 

 

───────

 

 

 

 

レイジとランが帰宅し、レイカは彼の家に泊まり、同じベッドで眠りについて暫くして。

 

 

「ナナヤさん……」

「どうした?」

 

レイカはナナヤの背にそっと抱きついた。

 

「その……ちゃんと断ってくださいね?」

「ん?当たり前だろ?」

「は、はい。……でも、ナナヤさんが取られちゃうかもしれないと思うと……!」

 

ナナヤはレイカに向き直り、まっすぐに答えた。

 

「俺はレイカから離れないよ」

「……!はい!」

 

レイカは満面の笑みで答えるのだった。

 

 




解説コーナー

・水無月レイジ
現在はランの彼氏。それなりに人気があるらしく、モテるがランとの仲を応援する者も多いのでラブレターを貰ったことは無かった。


・湖上ラン
現在はレイジの恋人。昔は彼女の方からの片思いだった模様。
結構な人が彼女の思いを知っている上に意外と乙女な所もあってクラスメートはほぼ全員その恋路を見守っている。


・二瀬ナナヤ
現在はレイカの恋人。そこそこラブレター貰ったりするけど、なんやかんやで断ってた。
現在はレイカも居るのでバッサリ断っている。
レイカが別の学校なので恋人が居るとあまり知られていない。


・白銀レイカ
現在はナナヤの彼女。今回のラブレター騒動で少し妬いた。
ナナヤが取られてしまうかもと思ってしまうことがちょくちょくある。
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