ちょっと間が空いて久しぶりに投稿。
今回は『先輩と後輩の話』の続き。
尚、このルートは連作として続いている扱いです。
GIRLS東京支部、講義室。
その日、エレキングの怪獣娘の湖上ランは見習いの怪獣娘二人に新人研修の講義を行っていた。
「今日の講義はこれで終わりよ」
一人は腰まである空色の長髪と高い身長、GIRLSの制服に包まれたスタイルの良い肢体のクールビューティー……に見えるが本人も自覚があるくらいに子供っぽい部分が抜けないマガバッサーの怪獣娘、風巻ヨウ。
「ありがとうございましたー!」
もう一人は緑掛かった青髪をボブカットにしたおっとりとした印象の少女。マガジャッパの怪獣娘、竜波ユカ。
「あ、ありがとうございました」
講義が終わり、ランは資料を片付けつつ、二人に訪ねる。
「最後に何か質問はあるかしら?」
「私は特に無いなー、ジャッパは?」
「わ、私も特には、無いです」
「そう。ならこれにて終了ね」
ランが資料を片付け終え、講義室を去ろうとするとヨウは何か思い付いたように手を叩いた。
「あ、はい!質問ありましたー!」
「……何かしら?」
手を上げならランに声を掛ける。ランは足を止めて振り返った。
「エレキングさんって彼氏さん居ますよね?」
「居るけどそれがどうしたの」
「彼氏さん居るってことはどのくらい進んでるんですか!」
「は?」
「ふぇ……?」
ヨウの質問にランは手に持っていた資料を落としそうになった。
「……いきなり何の質問をしているのかしら」
ランは平静を装い、ポーカーフェイスを維持していた。
「あわわわ……」
一方でユカは頬を染めながら汗をかいていた。
「だってエレキングさん大人っぽいし、彼氏さんと経験豊富ですごく進展してそうなんですもん」
「……ま、まぁ確かに。それなりに経験は豊富ね」
ランは平静を装っていた。……何故なら先日、漸く恋人である水無月レイジと一線を越えたばかりなのだから。
それ以前に二人で出掛ける場合もアニメショップ巡りが中心になることもあって、色気があるデートなどしたことがなかった。
「私やジャッパも彼氏居るけど、まだエッチとかしたこと無いもんな~」
「ちょ、ちょっとバサちゃん!?そんな事大きな声で言わないでよぉ~!」
ユカの発汗は更に激しくなってきた。GIRLS制服のジャケットを来ていなければしたのYシャツは汗で透けていただろう。
「その辺りどうしたらいいかな~って思いまして」
「…………そ、そうね。この後用事があるから、次回の講義の後にでも教えてあげるわ」
「やった、ありがとうございます!」
「あうあう~……!?」
そう言うとランは踵を返して退出するのだった。
退出した後、ランはGIRLS内の給湯室にやってきた。彼女は時折ここで紅茶を飲んでいる。
そして周囲に人がいないか確認してから頭を抱えていた。
(……何を見栄を張ってるのよ。経験なんてこの間の1回だけじゃない!しかも殆ど受け身で自分の方から何もできなかったわ!そもそもデートも8割方アニメショップ巡りで残りも映画(※アニメ)見たり、自宅でアニメ見たりゲームしたりじゃない!どうアドバイスしろっていうのよ!)
ランはひとまず紅茶を入れ、一息ついた。
「はぁ……悩んでいてもしょうがないわね…………かくなる上は……!」
─────
所変わってGIRLSの医務室。
「で、私に相談に来た訳か」
「はい。他に相談できそうな相手が浮かばなくて」
自分と進展状況が似たような状態のミカヅキとベニオに相談してもあまり良い結果は出ないだろう。
自分より進展しているが後輩のかぷせるがーるずの3人に聞くのはどこかバツが悪い。
中学生であるサチコ、ミサオ、ルイのバンド組は勿論、論外である。
更に交際情報がスキャンダルになりかねなくて一部除いて隠しているクララもアウト。
そしてその辺り相談しやすそうな印南姉妹 二人揃って出張中だった。
ならばトモミに相談するかと思ったが、その彼女も資料作成の真っ只中であり、邪魔する訳にもいかなかった。
そしてランはGIRLS所属の怪獣娘の恋の悩みを数多く聞いており、ほぼ全員の恋愛事情を知っている朝日野を頼ったのだった。
「そこに関してはネットで調べたりとかはどうなんだ?」
「その……調べては居るけどBL方面に偏ってしまって……」
「あー、ホモではノーマルの参考にはあまりならないか」
エロス方面について調べたら自分の欲望に抗い切れずにBL方面について検索をしてしまうランだった。
「一応言っておくが……やおい穴は存在しない器官だからな?」
「わ、わかってます。……本当に無いんですか?」
「当たり前だ。……子宮に相当する器官の名残 体内あるが」
「なるほど……」
と人体の不思議について話が脱線し始めるのだった。
「ま、俗っぽい方は自分でやってみるのがベターなんじゃないかな」
「その……誘うのが……恥ずかしくて……」
ランは頬を染めていた。
「まったく……仕方ないな……」
朝日野はため息と共にそう言うと机の引き出しを漁り始めた。
少ししてピルケースから錠剤を取り出してランに手渡した。
「ほら」
「これは……?」
「媚薬」
朝日野はキッパリと言い放った。
「びやっ!?」
「うん。媚薬。あまり強力ではないけどね」
「……」
ランは頬 を染めながら掌にある錠剤を見つめていた。
「まぁ、お守り代わりにでも持っておくといいよ」
「えっと……はい……」
ランはその錠剤を小さなジッパー付きビニール袋に入れて持ち帰るのだった。
─────
数日後、ランはレイジの家に泊まりに来ていた。
レイジの両親は自営業をしており、現在は離れて暮らしている。
付き合い始めてから何度も泊まっているが、レイジはまったくランに手を出さない。
あくまでも合意の上でしか手を出さないつもりだった。
初体験のあの日、ランの方から覚悟を決めて誘い、二人はひとつになったのだった。
だが、あれ以来長らくご無沙汰だった。
ランが照れてしまい結局一緒に眠るだけに留まっている。
夕食後、ランは密かに例の錠剤を眺めていた。
「…………うん」
意を決して、ランは錠剤を飲み込んだ。
「レイジ……♥️」
「ラン…… 」
ランは錠剤を飲んでから体が熱くなっていた。
そしてその火照った体のまま、レイジに覆い被さり……そこから先は二人だけの秘密となるだろう。
─────
更に数日後、GIRLSの講義室にて。
講義を終えて、質問に答える時が来た。
大きな声で例の話 をする訳にはいかないので端の席に3人集まってランは話を始めるのだった。
「…………と、まぁこんな感じかしら?」
「す、すっげー流石エレキングさん」
「はわわわわ……すごい!」
ランの実体験に基づくアダルトな話にマガコンビの二人は頬を赤くするのだった。
「けど、私も貴女達もまだまだ学生。同じく学生の身でしている私が言うのもあれだけど、無責任な行為は避けるべきよ。避妊を忘れてはだめ。わかった?」
「はい。ありがとうございました!」
「ああああ、ありがとうございした」
こうしてランは無事に性教育の特別授業を終えるのだった。
─────
そして再び医務室にて。
「朝日野先生、助かりました」
「ふふ……その様子だと聞いたみたいだね。ダイエット用サプリメント」
「はい。……え、ダイエット用?」
「うん。流石に媚薬とか渡せないから脂肪燃焼効果のある薬を渡しただけ」
朝日野はそう言うと意地の悪い笑みを浮かべていた。
「なん……!」
一方でランは顔が思い切り真っ赤になっているのだった
その反応を見て、朝日野はくっくっくっと笑っていた。
「そんな……!確かに……熱く……!」
「脂肪燃焼効果を自分の体が興奮しているのだと勘違いしたみたいだね」
「~~~!!」
ランは声にならない悲鳴を上げて顔を覆っていた。
「まぁ……これで誘うのはもう大丈夫だろう?」
朝日野の言葉にランはジタバタするのをやめて、コクリと頷くのだった。
「ふふ……そのうち『本物』も使ってみるかな?」
「そ、それは遠慮します!」
GIRLS医務室勤務、朝日野ショウカは今日も悩みを解決するのだった。
解説コーナー
・湖上ラン
『先輩と後輩の話』の以前の話からの地続きなので、まだまだ経験は少ない。
これ以降は誘う時の照れこそあるけど、それなりするようになった。
・水無月レイジ
ランの方から誘ってきて驚くも受け入れた。
ちょっと搾られ気味。
・風巻ヨウ
堂々と夜のなんとやらを相談した猛者。
しかし、突っ込んだ話には照れる。
・竜波ユカ
ヨウが隣でとんでもない事を聞いて照れまくり、一緒にアダルトな話を聞くことになってしまった。
・久江野 アラシ
・奈良沢 ミナミ
それぞれヨウとユカの彼氏。
メインがランだったこともあり名前は出なかった。
・朝日野ショウカ
今回、相談を受けた。
今回使った脂肪燃焼の薬を媚薬と言って渡して自己暗示させる手段は彼女がよく使う方法だったりする。
そして本物の媚薬もこっそり持っているという噂もあるとか。