怪獣娘一言シリーズ   作:電王牙

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今回の話は『ウルトラ怪獣モンスターファーム』のネタが少しあります。
控えめに言ってハマってます。

……今月の更新無しにならないギリギリで間に合ってよかった。


湖上ランと苦手なもの

 

 

GIRLS東京支部。

廊下をエレキングの怪獣娘、湖上ランとその幼馴染みにして恋人の水無月レイジは並んで歩いていた。

 

「この後は?」

「新刊購入。店舗別特典狙い」

「OK。手伝う」

「ありがとう」

 

淡々とそして最小限の会話で後の予定が決まる。長い付き合いだからできる阿吽のの呼吸である。

二人が廊下を歩いているとマガバッサーとマガジャッパの怪獣娘、風巻ヨウと竜波ユカが前からやってきた。

 

「エレキングさん、レイジさん、こんにちはー!」

「こんにちは」

「ええ、こんにちは」

「ん、こんにちは」

 

挨拶を交わすとヨウは瓶を差し出した。

 

「これ、ギランボさんから貰ったんですけど食べませんか?お裾分けです」

「ギランボ…………ってことは飴?」

「はい、今度のイベントで配る予定の物の試供品だそうです」

「へぇー」

 

瓶にはリボンが結ばれ、ジャックオーランタンなどのハロウィンを思わせるイラストが描かれていた。

 

「んじゃ、ひとつ貰うかな。ランも居るだろ?」

「そうね、ならお言葉に甘えましょう」

 

レイジが白い飴玉を取り口に放り込むと、ランも赤い飴玉を口に入れた。

二人が口の中に飴を入れて軽く舐め転がすと二人は少し眉を潜めた。

 

「ん……これ、ブドウ味か?」

「はい、なんでも色と味がバラバラになってるビックリキャンディーだそうですよ」

「はー……面白い物考えるもんだなぁ……」

「…………そうね」

 

レイジが感心しているとランはやや遅れてそれに同意した。

 

「……そういえばラン、昔はハッカ苦手だったけど大丈夫か?」

「そうなんですか、意外~」

「…………そんなことないわ。子供じゃあるまいし、とっくに食べれるようになってるわよ」

「あー、んじゃこの後予定あるからまたな、二人とも」

「あ、はい」

「それじゃあ、また~」

「…………またね」

 

ランとレイジはマガコンビと別れるのだった。

 

二人は廊下を歩いて行く。

レイジが近くの事務室を確認し、そこに誰も居ない事を確認するとランの手を引いてる入り、扉の閉じて鍵を施錠する。

 

「ラン…………大丈夫か?」

「…………」

 

レイジが問い掛けるとランはプルプルと震えながら目に涙を浮かべていた。

 

「らいじょうぶ……じゃない……」

「あー……やっぱりか……。ハッカ、苦手なの治ってないのか……」

「らって…………」

 

ランはハッカ味の飴が苦手だった。スースーする味が子供の頃から苦手であり、それは高校2年生となった今も変わらなかった。

 

「ほら、ダメなら吐き出しな」

「いや…………せっかくもらったんだから……ふたりとギランボに……」

 

折角貰った以上、食べている途中で吐き出してしまっては二人とギランボに悪い。

その思いからランは飴を吐き出そうとはできなかった。

レイジは頭を掻きながら、仕方ないという顔をした。

 

「ったく……しゃーないな……」

「んむ!?」

 

レイジはランの唇をいきなり奪った。

唇が重なり合うとレイジはランの唇の間から彼女の口内へと舌を潜り込ませた。

ランはハッカの味から逃れようと奥歯の間に飴を挟んでいた為に、あっさりとレイジの舌の侵入を許してしまった。

レイジの舌はランの口内をまさぐるよううねうねと動く。

舌と舌が絡み合う。くちゅくちゅと唾液の混ざり合う音がランの思考が蕩けさせて行く。

口の中にはランの唾液とレイジの唾液、そしてブドウ味とハッカ味が混ざり合っていた。

やがてレイジの舌がランの口内にあった飴玉を見付けると口内を器用に転がして行き、レイジの舌は飴と共に引っ込んで行った。

 

「はぁ……」

「ぷぁ……はぁ…………♥️」

 

二人の唇を唾液のブリッジが一瞬結ぶ。しかしその橋はすぐに途切れた。

 

「いきなり……なにするの…………♥️」

 

ランは頬を上気させ、ハッカの味に涙を溜めていた瞳を潤まながら睨みつける。

レイジは悪びれた様子もなく飄々と答えた。

 

「これなら飴、無駄にしないだろ?」

「もう……♥️それなら言ってくれれば…………」

「吐き出したの、お前が食べさせるか?」

「ばか……♥️」

 

二人は唾液に濡れた口元を拭い、息を整えると鍵を開け、部屋から出ようと扉を開けた。

 

「「あ…………」」

「「え…………」」

 

そこには扉の近くで聞き耳を立て、顔を真っ赤にしたノイズラーの怪獣娘、鳴無ミサオとホーの怪獣娘、葦原ルイが立っていた。

怪獣娘の特性により高い聴覚を持つ、ミサオが部屋の物音を聞きつけ、同行していたルイとトモに部屋に聞き耳を立てていたのだった。

 

ランとレイジは目の間の二人を目撃し、完全にフリーズしていた。先程まで激しいキスをしていた反動も少なからず影響しているのだろう。

 

ミサオとルイは更に顔を赤くして慌てた。

 

「みみみみみ、見てない!アタシら何も見てないから!!」

「そそそそそそそそうです!き、ききき聞いてただけですから!!」

 

二人はそう言いながら走り去って行った。

数秒遅れて残された二人は状況を理解した。

 

「なぁ……これって……」

「……事務室で逢い引きしていたと勘違いされたわね」

「追って説明……するとお前のハッカが苦手な事を二人に話さないと行けなくなるな……」

 

ランは頭を抱えた。

 

「もう……そっちでいいわ……」

 

二人は説明を諦め、予定していた買い物に向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ランとレイジが去った事務室の二人が唇を重ねていた位置から丁度死角になる机の下から小柄な人が一人出てきた。

医務室の責任者、朝日野ショウカである。

 

「ふむ……まさかエレキングはハッカが苦手だったとは」

 

偶然事務室に居た朝日野は咄嗟に机の下に隠れ、一部始終を聞いていたのだって。

 

「ふふふ、これは面白い物を見てしまったなぁ……」

 

朝日野は白衣をはたき、埃を落とすと医務室へと帰っていった。

 

 

 




解説コーナー



・湖上ラン
作者が怪獣ファームで育てたエレキングの苦手なものに『宇宙ハッカ』とあったので、今回の話が作られた。
他にも『ブラックコーヒー』も苦手で好きなものが『レッドキング飴』と『怪獣ビスケット』だったので、そこそこ子供舌という設定が生えた。

かわいい弱点が増え続けている。


・水無月レイジ
ランの彼氏。彼氏が意外と弱点が多いことは把握しているが黙っている。

舌使いが上手い。


・風巻ヨウ、竜波ユカ
ギランボから貰った飴を渡した二人。この後は広報部の手伝いの予定。

ちなみにヨウは水色のイチゴ味、ユカは水色のオレンジ味の飴を食べていた。


・ギランボさん
特撮恐竜さんの『怪獣娘トリガー ~ウルトラマントリガー復活計画~』の相談に載った際に提案したキャラ案と概ね同じようなキャラ。今回、飴繋がりで名前だけ登場した。


・鳴無ミサオ、葦原ルイ
ランとレイジの諸々を部屋の外で聞いて真っ赤になった中学生二人。

実はホーも聴覚がいいという設定が存在しており、それを回収して聞き耳を立てたのはこの二人となった。

この後一日悶々としていた思春期の女子中学生。


・朝日野ショウカ
何故か居合わせた。
こうして偶然居合わせることにより怪獣娘の弱点等を知ってしまうらしい。
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