”それ”が見えたのは何時からなのか覚えていないけれど、僕の視界には周りの人には見えない物が見えていた。
それは僕以外には見えていないって知ったのは見えだしてから数日後で、最初は僕をからかっているんだろうと思ったんだけれど、優しいお祖母ちゃんまで変なのは居ないって言うんだから気が付いたんだ。
あれはホラー映画に出て来るお化けと同じで、僕にはそれを見る力が有るんだって。最初は嬉しかったけれど、ある日それは怖さに変わった。だってお使いの途中に町中に立っていた大きな口で短い足が生えた肉の塊みたいなのに気が付いた人が居て、反応したら襲われていた。
「見えているって気が付いたら襲って来るんだ……」
それから毎日見えない振りをして過ごしたんだけれど、お使いの帰り道、近道に通った先で変なのが僕の後から付いて来ていた。
「ねぇ、君。俺の事、見えてるでしょ? ちょっと見えない振りが下手かな? そんなんじゃ馬鹿な奴は騙せても俺みたいなのは騙せないぜ?」
僕の家は結構古い家で近所からは幽霊屋敷だなんて噂されている。でも家の周りじゃ変なのは見た事が無いし、だから油断していたんだ。
家の裏庭の古い倉は何故か家族の誰も興味を持たないし、近付いちゃ駄目だって言われてるから離れた場所から見てるだけなんだけれど、今日は偶々倉の裏あたりの塀に沿って歩いてたら塀の上に座っている変なのを見つけた。
ヘラヘラと笑いながら僕に向かって手を振っているのは時代劇にでも出て来そうな格好だけれど瞳が虹色で赤が混じった白っぽい髪。
何か信用に値しない怪しい見た目で、多分この人も人間じゃない。今まで見たどんな化け物よりも化け物だ。
「おいおい、返事くらいしてくれよ。呪霊にだって心が有るんだし、傷付くんだぜ? 人の嫌がる事を進んでやれって言葉を勘違いしてないかい?」
だから僕は無視してたんだけれど気にせずに返事をしないんだけれど気にせず軽薄な喋り方を続ける。でも、僕が家の玄関をくぐった途端に様子が変わった。
「ええっ!? もしかして君って此処の家の子だったのかい? それならそうと言ってくれたら良いのに。あっ、でも俺が何か分かっていないっぽいな。君、呪術師って知ってる?」
「……知らない」
「そうか! あれだけ大勢の身内の人生を狂わせて、先祖が築き上げた物を全部台無しにしたあの方が哀れだと思ったんだけれど、君という後継者が誕生したなら全ては必要な犠牲だったって事だ! うっうっ。本当に良かった……」
「……オジさんは嘘泣きが下手だね。新人の俳優さんみたい」
どうもこの人の言葉は薄っぺらいし、何処か演技に聞こえる。だから指摘したんだけれど、怒らせたら不味いかな? 多分この人もお化けだし。
えっと、”じゅれい”だっけ? それがお化けの名前なのかな?
「おっと、結構酷いな。俺は本当に嬉し泣きしているんだぜ? じゃあ、早速挨拶をしておくか。俺の名は童磨。今後君を守り教え導き、地獄への道行きに同行する家来さ」
「……創示。
「そうだな。先ずは君のご先祖である無惨様と、呪術師と呪霊について教えてあげよう。何せ君には今後穏やかな日常は許されないんだからさ。ああ、こんな小さい子が望まずに過酷な道を歩むなんてどうして人生ってのは残酷なんだ」
「だから泣き真似は止めてって。……じゃあお使いの品を渡したら僕の部屋に行こうよ」
ずっと見えていた存在について教えてくれるみたいだし、多分あっちに行けって言っても聞いてくれなさそうだ。なら教えて貰った方が良いよね?
凄く胡散臭いけれど……。
「おいおい、そんな目で見ないでくれよ。俺だって心を持ってるって言っただろ?」
「……嘘っぽい」
どうも童磨の事は信用出来ないし、ずっと無視してた方が良かったかも……。
今、凄く後悔してるよ、僕。
だって凄く胡散臭いんだもの!
「えっと、その負の感情から生まれるお化けが呪霊で、それを倒す力を持つのは呪術師って事で良いんだよね? それで別々の呪術が使える術式って奴が引き継がれたり引き継がれなかったり」
あの後、家には誰も居なかったので買って来た物を冷蔵庫に入れて、カレーを温めていたコンロの火を危ないから消した後で僕は胡散臭い童磨の話を聞いていた。
「ああ、そうさ。ちなみに俺は特殊な呪霊でね。君のご先祖様である鬼邸無惨様に仕えていて、長い年月を得て漸く同じ術式に目覚めた君に仕える事になったんだ。いやぁ、あの方の術式も嫌われたもんだぜ。何せ君以外には一切引き継がれなかったんだからさ。お陰で無惨様の死後に目覚めたら街並みが様変わりして驚いたぜ」
何となくだけれどご先祖様の無惨って人は多分性格が悪くて、目の前の呪霊はそんな人に実は好かれていなかった気がするんだけどさ。
なんでかそんな確信があったよ。
「……あれ? でも僕以外の誰も呪霊は見えてないよ?」
「うんうん、だから俺は哀れんだんだ。だって呪術師ってのは凄い選民思考だってのに、術式を引き継げない子達は一切の呪力を扱えない非呪術師にされる呪いを掛けられたんだから」
「ご先祖様に?」
「うん。反対する奴に”私のする事は総じて正しい。私は間違えない。お前如きが私の行動を決める気か”とか言ってた。俺には詳しく分からないんだけれど、本来は自分の意志で結ばなくちゃ意味の無い縛りを呪術を使って強制した結果らしいぜ。特殊な縛りだけれど本人には才能があったからさ。まあ、その結果が誰も引き継げなくって呪術師である事さえ子孫に忘れられてるんだけど。笑えるよな」
「……取り敢えず”仕える”とか言われても信用しちゃ駄目だってのは伝わった」
聞く限りじゃパワハラ上司って感じのご先祖様だけれど、目の前の……えぇ!? 目玉ほじくってる!?
「いやー。どうもお気に召さない態度を取ったみたいだからお詫びにね。次は舌でも引っこ抜くかい? おいおい、この程度で吐いてちゃ今後保たないから頑張りなよ」
目の前で人の姿をした相手が目玉をほじくる姿を見せられた瞬間、胃の中の物が逆流して来た。背中に童磨の手が当てられてさすって来るけれど、ヘラヘラした軽薄な声を聞くと更に気持ち悪くなってくる。
(あはははは。一応仕える相手だから気は使うけれど……ちょっと遊んでも良いよな? ああ、楽しみだなあ。この子が染まって行くのがさ)
とあるキャラクターの強化案
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キャラメルマン
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バイキンUFO