先祖はパワハラ上司らしい 自分は頑張ろう   作:ケツアゴ

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同行者

「いやいや、悪いね歌姫ちゃん。任務の最中に缶ビールなんて飲ませて貰って。大人として情けないし、仕事は頑張ろう。夏油殿達に比べれば下の下である歌姫殿には俺なんぞの助けなどは不要だろうが」

 

「五月蠅いから酒でも飲んで黙っていろって言った筈よね? 理解していないのかしら? それと馴れ馴れしく呼ぶなっての!」

 

「縛りをちゃんと結んだのか確認しないのはいただけないかな? それじゃあ後輩にどんどん差を付けられるだけだ。弱いなら弱いなりに……おっと、危ない。殴って来るだなんて酷いなあ」

 

 あの子供が呪術高専に保護されてから1ヶ月近くが経過した頃、従えてる特級呪霊が生徒の任務に同行する様になった。ええ、それは別に良いわ。ちゃんと縛りを結んだ上で手助けをするのは助かるし、危険な任務で経験が積めるもの。

 

 でも……。

 

「なんで私に同行するのがアンタなのよ!」

 

「それは上に言って貰わないと。俺は命令に従っているだけだしさ」

 

 よりにもよって私に同行してるのは性格がひん曲がった糞野郎。ヘラヘラ笑いながら煽って来る上に任務中に自販機でビールを買い込むとかどうなってるの!

 ……あの反転術式の結晶が出回ってから硝子も任務に出る回数が増えたけれど同行している呪霊の性格は悪くないらしいし、本当に此奴だけは勘弁して欲しいわ。

 

 大声で怒鳴っても聞き流されて、どうせ効かないと分かった上で殴っても避けられる。ヘラヘラヘラヘラと何処かの馬鹿と同類ね。……いや、流石に此奴と同じ扱いは悪いわ。悟が糞なら此奴は糞のどぶ川煮込みに生ゴミを添えましたって感じだもの。

 

「……童磨様が申し訳有りません」

 

「良いわよ、アンタは気にしないでも」

 

 童磨の言動に申し訳無さそうにしているハサンを見ていると本当に呪いなのかって思えて来るわね。呪いに転じたら理性がぶっ飛ぶのが普通なのにこの子やらあの兄妹は記憶も人格もそのままだし……。

 

 しかし本当に良い子ね。何時もは創示君にベッタリと引っ付いているけれど仕事熱心だし、この前は情報収集のミスで遭遇した二級呪霊を息を吹きかけたり触ったりするだけで毒殺したし、矢っ張り特級呪霊だなっては思うけれどさ。

 

 

 マジで童磨とは天とマントル内部位の差だわ。

 

 

「アンタってマジで元が人間じゃないって感じよね」

 

「ん、そうだな。俺は寒さに対する畏れから誕生した呪霊だし当然だろう? にしても俺って嫌われてるなあ。よし! 此処は面白い話をしてあげようか」

 

「いや、結構だから」

 

「童磨様だけが面白いと感じても無意味かと」

 

 童磨が言う面白い話なんて信用出来ないわ。それなら悟が真面目な口調で改心したって言うのを信じるわよ。どっちも絶対に有り得ないんだけれども。

 

 

「いやいや、当時の呪術協会が自分達の無力を晒してまでも秘匿した事だぜ? あの呪いの王と呼ばれた両面宿儺、彼はどんな呪術的だって敵わないとされていたのは知っているだろう? 無惨様は臆病だから勝てる可能性があっても戦わなかったんだけれど、そんな両面宿儺を一人で退け生涯残る傷を与えた男が居たんだ」

 

「はあ!? いや、だってどんな呪術師だって歯が立たない最強の呪詛師だったじゃない。それこそ指に千年以上呪力が残ってる程の。そんなの誰が退けたって言うの!?」

 

「侍だよ。それも年老いた上に呪力なんて殆ど持たず、天与呪縛さえも与えられていない士分なだけの一般人さ。武器だけが辛うじて四級呪具に分類される刀だったっけな。彼は強かった。生まれつきの縛りなんて持たないのに誰よりも強かった。……まあ、家族とは若い内に死別したそうだけれどさ」

 

 ……あれ? これって私が知らない方が良い話を聞かされているんじゃないかしら?

 

「ちょ、ちょっと待ちなさい! これ以上は……」

 

「名前は縁壱、継国縁壱。まあ、呪術師達からすれば到底敵わない相手を刀一本で返り討ちにした侍だなんて存在を許せないよね。徹底的に存在を無かった事にしたよ。もしかしたら上層部は知っているかもね。ほら、新たに知る者を出さない為にもさ」

 

 

「それは! 私が! 狙われるって話でしょ!」

 

 駄目だ! 此奴、マジで嫌いよ! ……私、大丈夫よね? 

 

 

「おっ! 今回の討伐対象が出て来たよ。うわぁ、理性が薄いタイプだね。じゃあ、俺の手助けは要るかい?」

 

「ネンゴウガ、ネンゴウガカワッテル!」

 

「誰がアンタの力を借りるかっての! 大人しく見学してなさい!」

 

 姿を現したのは三級の中から上辺りに分類される呪霊。幾つもの腕が全身から生えている上に急所の頭に巻き付いて護っているけれど、この程度ならどうとでもなるわ。

 

「ウロ……」

 

「うっさい黙れ!」

 

 よし、此奴で憂さ晴らししましょう。……どうせなら悟の方に此奴を付けなさいよね。

 

 

 

 

「……ちっ! 全然発動出来ないわ。硝子とかの説明を聞いても意味不明だしよ」

 

「ケケケ! お得意の無下限術式も常時発動は自殺行為なんだって? そりゃ反転術式を会得したいよな。例外的な使い手だったあの女だけでなくて七歳の餓鬼でさえ使えるんだしよ」

 

「うっせぇ。テメェも一緒に祓うぞ、鵺。大体、あの餓鬼の才能は代償として千年間呪術師を一切出さなかった結果だろうが」

 

 あの餓鬼が従える特級呪霊が任務に同行するのは別に良い。面倒臭い時は押し付けてサボれるし、数が多い雑魚の相手には人手が必要だ。だが、同行するのがこの性悪だってのが気に食わない。

 

「もっと他のが居ただろ。あの兄妹とか、傑に同行してる人形と珍獣とかよ。ああ、あの小動物はテメェより上だっけか?」

 

「あぁんっ? 必死扱いて反転術式の糸口も掴めてない奴が何言ってるんだ?」

 

「……よし。祓う」

 

 上層部の腐ったミカンの嫌がらせなのか俺に同行してるのは鵺だ。正直言って性根が腐ってるにも程があるし、他のにして欲しい所だぜ

 

 睨み合って呪力を高める。確かに此奴は並の特級よりは上だが術式は格下相手に特化した物だ。確か滅したら一つ椅子が空くだけだって話だし別に良いだろ。

 

 いい加減に我慢の限界が来ていたし、反転術式も思ったよりも会得が難しいから八つ当たりの相手が欲しかった所だ。……まあ、流石に完全に祓うと後が面倒か。

 

「んじゃ、ちょっと手加減して……っと、お客さんかよ」

 

 突然足元で咲き乱れる色鮮やかな花畑。其れと同時に出て来たのは右の脇腹を大きく抉られた状態だってのに殺意を向けてくる顔から木を生やした特級呪霊だった。

 

 確かあの餓鬼が一部を食らったけれど取り逃がしたって奴だよな、此奴。

とあるキャラクターの強化案

  • キャラメルマン
  • バイキンUFO
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