先祖はパワハラ上司らしい 自分は頑張ろう   作:ケツアゴ

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少年はあまりってレベルじゃない

『万世極楽教』、それは平安の時代、未だ呪術を扱う者達が公的な立場を持っていた頃に創設された天元を崇める団体であり、今の世の中になっても残っている。

 初代教祖は常人ならぬ容姿の青年であり、運営には陰陽師や貴族の多くが関わっているともされていた。

 

「まあ、俺が一時的に受肉して作った団体なんだけれどね」

 

「貴様が原因かぁああああああああああああああああああああっ!!」

 

 星漿体・天内理子の護衛と抹消。国内の結界の根幹に携わる天元を天元のまま維持する為に同化しなければならない生け贄の少女を守るべく指定された建物に向かった悟と傑が目にしたのは少女に胸ぐらを捕まれてガクガクと揺さぶられる童磨の姿。

 

「おいおい、そんなの言ったら核を発明した学者は未だに罪を重ね続けている事になるんだよ? 当世の人間については責任を負えないよ。そんな事も分からないなんて馬鹿だなあ、君」

 

 勢いと怒りに任せて騒ぐ少女とヘラヘラ笑いながら煽る呪霊、そしてオロオロする女性とついでに氷の拘束具を着けて床に転がされた男達。

 

 二人は顔を見合わせて巻き込まれる前にそっと扉を閉めた。

 

 

「何で彼奴が居るんだ?」

 

「さあ? あの子だって狙われているし護衛に残っていると思ったんだけれど……」

 

 漏れてくる声から未だに騒がしくなっているであろう部屋の前、巻き込まれるのは嫌だから少し時間を空けてから入ろうとした時に聞こえた夜我からのメールを知らせる着信音。

 書かれていたのは一文だけ、『アレが居ると知ったら嫌がると思った』、それだけだ。

 

「まあ、教徒は非術師だから護衛としては良いのかな? 強いし人間に近い姿だし……」

 

「にしても他にあるだろ。あの毒女は仕方無いとして兄妹の方とかよ」

 

 夜蛾にはアレ呼ばわりされ、世間と周囲の人間を舐め腐った二人にも関わりたくないと入室を躊躇される童磨。当然だが部屋に居た二人は初対面な訳で……。

 

 

「あのぉ。高専から派遣された護衛の方ですよね? どうにかなりませんか? アレ」

 

 そっと扉が開いて顔を覗かせた女性がこの短時間で受けた精神的疲労は幾ばくか。それを何となく察した二人は真顔で首を左右に振るのであった。

 

 

 

 

 

「俺が護衛に選ばれた理由は強いってのが一番で、見た目が人間に近いから少しは安心だろうって配慮だよ。ほら、ハサンちゃんは密室での護衛には向かないし、あの兄妹は兄が醜悪だし縁壱殿は主への負担が多過ぎるからね。必然的に護衛として優秀な俺が選ばれたのさ」

 

「テメェは中身が醜悪過ぎて全部台無しだろうが。護衛対象を胃潰瘍で死なす気か?」

 

「先生方もボケたのかな? ああ、京都の学長か総監部のご老人方の案だろうさ、悟」

 

 氷の分身に盾、広範囲への攻撃も近接戦もこなすが全てを飲み込んで無に帰す、寧ろマイナスな童磨を前にお付きの黒井の背に隠れながら理子は小動物のように威嚇するばかり。

 

「酷いなぁ。天元様を崇める宗教に関しては当時の彼女の力を信仰で底上げする狙いがあったし、鬼邸家は無惨様の呪いで術師として終わっちゃったから管理は他に丸投げだったんだ。それなのに俺ばかり攻めるなんて酷いや。ううっ……」

 

「戯けが! バレバレの泣き真似などするでないわ! って言うか天元様って女だったのか!?」

 

「え? その程度も知らなかったのかい? さっき自分は天元様になるが天元様も自分になるとか偉そうな演技しておいて、融合する相手がどちらかと言えば女だって事さえ知らされてなかったとか……うわぁ」

 

「おい。お前達、この無礼者をボコれ。護衛仲間じゃろ」

 

「コレの仲間とか最低最悪最大最高の侮辱だわ」

 

「ハハハ、キレて良いかい?」

 

「どれだけ嫌われてるんじゃ、この呪霊は……って、ああっ!? もうこんな時間じゃ! 学校行かなきゃっ!」

 

 学校に行くと騒ぐ彼女に悟はあからさまに面倒臭そうな顔をする。狙われている以上、そして童磨が同行する以上は即座に高専へと向かう方が効率的だからだ。

 だが、それを横合いから諌められる。それは彼女の望みを最大限叶えろと共に言われていた傑よりも早く口を開いた童磨によって。

 

 

「おいおい、前回の六眼と無下限よりも経験やら何やらで大きく劣る術師とはいえ五条家の次期当主が襲撃者から女の子一人守れないのかい? まあ、弱いからね、君」

 

「は? 弱い? 誰が? 俺が? 上等だオラ! 天内,学校行くなら急げ!」

 

「お、おう。言われずとも行くぞ」

 

 煽られて反応する悟の姿に少しばかり動揺する理子ではあったものの、これで反対する者も居らず彼女は無事に通っている中学生へと向かって行くのであった。

 その道中の事……。

 

 

 

「それで何が理由だ? お前が善意で彼女の要望を後押しするとは思えない」

 

 移動中,声を潜めながら童磨を問い正す傑の目は疑いの色が鮮明に現れている。人の姿をしていようと,会話が成立すれども呪霊は呪霊。いや、他の呪霊であればもう少し分かりやすい。

 感情や人の心がある様に振る舞いながらも全くの別物、それが童磨だ。

 

 故に疑う。どうせ碌でも無い事を考えているのだろうと。

 

「酷いなあ。俺は彼女の意思を優先しただけだぜ? 友達も居場所も失う時が決まっている空虚で夢も希望も無い無価値な物だが、大を生かす為の生贄にだって安らぎは必要だろう? それを応援するのは……そうだな。主がやってるみたいにアニメの勝つと決まっているヒーローを応援する程度は意味があるさ」

 

「やはりお前とは相入れない。強さと知識がなければあの子に入れ替えを忠告している所だ」

 

「そうだろうね。俺は強くて優秀だから無関係な話だが、無能であれば入れ替えているだろうさ。無惨様も俺の事があんまり好きじゃなかったんだぜ」

 

 俺は忠臣なのに酷いよね? と童磨は肩を竦めてみせ傑は額に青筋を浮かべさせる。彼女を想っての行為は全て自己満足でしかないとヘラヘラ嘲笑う童磨を前に拳が震える中、軽薄で不愉快な顔から表情が消えていた。

 

「万が一の話だけれど彼女を助けたいと思ってたら無駄だぜ? 天元様と理子ちゃんの融合がなされない場合、幼い主への負担が大きいからね。俺は忠臣だと忘れないでくれよ」

 

「……」

 

「もしかして不愉快だったかい? じゃあお詫びに目を抉るか舌を抜くかしよう。ああ、他にあれば教えてくれ」

 

 理子と会う前、悟が提案したのが正しくそれだ。理子が嫌だと言ったら連れて逃げよう。天元様だって倒して見せると。それを見透かし忠告する様に童磨は再び表面だけの薄っぺらい表情を浮かべる。

 

 そして理子が通い通う学舎、ミッション系の女学院の前にて……。

 

 

 

 

「何でじゃあ!? 二人は勿論、貴様とて入って来るでないわ!」

 

「え? だって俺は人間ではないし呪力が無ければ見えないんだから良いじゃないか。あの二人は恥ずかしいけれど、俺は恥ずかしくないだろう?」

 

 護衛として童磨の潜入が決定した。一応屋上に待機ではある。

とあるキャラクターの強化案

  • キャラメルマン
  • バイキンUFO
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