「は? 前に言ってた羂索って奴が姿を見せただぁ!?」
「おっ、ちゃんと覚えていたんだね。天元様のリセット防止を六眼に邪魔され続けた羂索殿だ。ついでに夏油殿と術式が似ている不死川……名前はなんだったかな? 彼も来ていたぜ」
理子を連れて学校から脱出した後、部屋に戻った一行の前には少々消耗した様子の童磨が待ち構えていた。普段の訓練で童磨の力を知る五条達からすれば驚くべき姿であり、追加で持たされた情報は更なる驚きを与える。
他人の死体を乗っ取り生き長らえる平安以前の術師と、夏油と同じく呪霊を取り込み己の一部にする例えるならば人と呪いのキメラの様な術師の話は聞いていたが、それが今回の件に関わるというのは予想外だった。
「……いや、そもそも何度も融合を邪魔してるんなら今回も来るだろうが。教えておけよ,そっちの情報も」
「これは申し訳無い。まさか五条家がその程度の情報も伝えていないとは予想外だった。何の為に長い歴史があるのやら。さて、厄介な連中が関わっているなら高専に向かって時間まで引き篭もるのが一番だと思うけれど、羂索殿ならどうにか潜入しそうだしなあ」
童磨の言葉に理子は拳を握り締める。自分を狙って学校に潜入した刺客はアッサリと撃退したが、その様な呪詛師も命を狙っているのなら学校にはもう行けない。
天元と融合し、自分が消えるまで閉じ籠っているしかないが、それも安全が保証されてはいないのだから。
唇を噛み締めるも自由が欲しいとは言えない彼女の肩にそっと夏油の手が置かれた。
「そうか。なら理子ちゃん、少し提案があるんだが……行ってみたい所はあるかい?」
「え?」
「高専も安全じゃないのなら黒井さんと一緒に何処かに観光しに行こう。なあに、私と悟の二人、ついでに其処の性悪が居れば大丈夫さ。帰りだって悟の術式なら何とかなる。時間ギリギリまで遊び尽くそうじゃないか」
照り付ける太陽、押し寄せる波。温暖な気候は春でも海水浴を楽しめる。其処は沖縄、理子が最後の時間を過ごすのに選んだ場所だった。
童磨や鵺との特訓により既にこの時点で反転術式を身に付けている
「冷害への恐怖から生まれた俺には苦手な気候なんだけれどなぁ。黒井殿、冷えたビールを買ってくれるかい?」
「此奴、仕事中に酒を飲む気じゃぞ!? ……おい、主とやらはどんな奴なのだ?」
「普通に良い子だよ。部下の童磨は性格が悪いけれど。他は善寄りだったり兄妹仲が良かったりかな。童磨は皆に嫌われているしさ」
「年相応の餓鬼だ。性癖どうかしそうなのやら、性悪の童磨とかが部下に居るけれどな。因みに童磨は仲間から嫌われている」
「ハハ! 酷いぜ!」
それからの時間は理子にとって夢の様な時間であった。ある程度の自由は保証されているとは言え、決して事故や病気で死ぬ訳にはいかない身。遥か遠くの地で巻き込んでも平気な同年代達と遊ぶ。
海水浴にBBQ、水族館。郷土料理の店を梯子して、夢の様な時間は過ぎて行く。
「今日も思いっきり遊ぶぞ! 夕方まで休まずに楽しむのじゃ!」
遂にやって来た最終日の朝。五条の長距離移動なら秒で高専まで戻れるのだからと最後の時間を精一杯楽しもうと夜遅くまで計画を練り、三人もそれに付き合う気だ。
いや、最後の最後まで遊んだ後は本当に消えてしまっても良いのか問い掛け,逃す計画さえ立てていた。
「あっ、さっき夜蛾殿から連絡があって、直ぐに高専に戻って来いってさ」
それを不要だと普段の笑みを浮かべ童磨が会話に割り込む。
「あぁん? 夕方までに戻れば良いって話だっただろうが」
「彼女の意思を最大限に尊重するべし。天元様がそう仰った筈だが?」
当然、二人は反発を見せる。理子達二人を背中に庇う様に前に出て直ぐにでも童磨へと攻撃を仕掛けられる構えを取り、冷や汗を流しながら童磨と対峙する。
「その必要は無くなったから二人の安全の為にも戻って来いってさ。厄介な奴に狙われている以上、理子ちゃんにも消える準備をして貰わないと……おっと」
童磨の顔面へと振り抜かれた五条の拳は頬を掠めただけに終わり、まるで嗜める様に閉じた扇が腕を軽く打つ。直ぐに呪霊が殺到したが、全て凍り付き砕け散った。
「おいおい、十年後ならいざ知らず、今の君達が俺に勝てまいって。無駄なんだから帰ろうぜ? 沖縄料理は諦めて寮の食事にしてゲームでもしたらどうだい?」
「ざっけんな! 自由にさせるっつったなら最後までさせろ! おい、傑。理子達連れて逃げろ。時間まで逃げ切ればこっちの勝ちだ!」
「ああ、本当に彼女を天元様とは合体させない気なんだね。無意味な事に労力を使うべきではないと思うぜ? そうだ! 今日はハンバーガーの期間限定メニューが出るんだし、皆でそれを食べに行くのはどうだい?」
怒りに任せて五条が猛攻を仕掛けるも童磨はヒラリヒラリと慌てる様子も無く避け続ける。だが、その攻防の中で童磨は確実に二人から遠ざかって行き、夏油はその隙に飛行可能な呪霊を呼び出していた。
「待て! 妾が天元様と融合せねば大変な事になるのは分かっているだろう!? だから此処は……」
「いや、その必要は無いよ。最初から決めていたんだ。理子ちゃんが拒否するなら連れて逃げようって。大丈夫、私と悟の二人なら最強だから」
逃げる訳にはいかないと残る事を主張する理子であったが、その手は消えてしまう事への恐怖で震えてしまっていた。虚勢を張って名誉ある事だと口にしても生贄である事は変わらない。大切な人達との別れへの恐怖が最後の時間を却下された事でぶり返したのだ。
それでも使命の重大さから逃げ出せないでいる彼女に夏油は優しく微笑み掛け手を差し出す。生きて来た中で教え込まれた使命の重要さに迷う理子であったが、震える手を伸ばして夏油の手に自分の手を重ねた。
「これが青春って奴だね。人間って良いなあ」
その手に更に重ねられたのは童磨の手。背後から撃ち込まれた五条の蹴りさえも振り返りもせず扇で防がれ、そのまま童磨は理子の顔に自分の顔を近付けた。
「俺の主が天元様の初期化を済ませたから君は解放だ。だから無意味で無駄な事は止めて安全な場所で過ごそうぜ」
「は? 今、何て言った?」
「おいおい、人の話はちゃんと聞こうぜ? 良識を疑うなあ」
とあるキャラクターの強化案
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キャラメルマン
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バイキンUFO