下弦
鵺 メリーさん 静謐のハサン 黒死牟(刀形態)
上弦
堕姫・妓夫太郎 フォウくん 童磨 公害怪獣ヘドラ 縁壱 黒桜
私が妓夫太郎と赴いたのは地図にも載らない程の山奥で、未だ迷信が強く残る村で暴走した村だった。私にとってはそれ程苦労もせず、将来の呪術世界の改革の為に呪術師の才覚を持つ子でも見付けられればラッキー程度だったのだが……。
「これは何ですか……?」
確かに才覚のある子は見つかった。但し、暴行を受けた状態で牢屋に閉じ込められた状態で。私の問い掛けに村人達は今回の祟りはこの化け物の仕業だと口々に宣う。
頭に過ぎるのは先日の任務で大怪我を負ったらしい灰原達の姿。反転術式の玉で傷は癒えていたが、情報とは違う強さの呪霊に殺され掛けたという。
今は名前を変えて暮らしているが理子ちゃんをくだらない信仰や金を理由に狙って連中の事が頭を過り、今目の前でいる連中に私は……。
「おぉぉい。何やってんだ、馬鹿がよぉ」
そんな風に思考が濁り始めた私の後頭部を叩いた妓夫太郎は迷わず牢屋の扉を破壊すると二人に向けて反転術式の玉を翳した。
「五月蝿え連中にあーだこーだ言う暇があったら餓鬼共を助けてやれよなぁ。ほれ、俺が怖いなら食いもんここに置くから食えよ。腹減ってるみたいだからなぁ」
妓夫太郎の見た目と人間ではない事を察してか双子は傷が癒えても怯えていたが、そんな様子を気にする事もなく二人に食べ物とお茶のペットボトルを与える姿に私は我に帰った。
村人達は扉が急に壊れた事で悲鳴を上げて逃げ出して、双子は迷いつつも与えられた弁当を指で摘んで恐る恐る口に入れ、一口食べた途端に手掴みでがっつき始めた。
「俺みてぇに周りと違い過ぎる奴は弾かれるってのは変わらねえなぁ。ほれ、落ち着いて食わねえと詰まらせるからなぁ。おい、夏油。この二人、駄目って言っても連れて帰るぜぇ?」
「……そうだね。彼女達には保護が必要だ」
子供二人を暴行して監禁していた。その事実があれば警察に裁きを任せても良いだろう。湧き上がっていたドロドロとした感情はいつの間にか消え去っており、代わりに双子が泣きながら食べる姿を見て少し空腹を覚え始めていた。
「先ずはお風呂と着替えかな? 窓の人に手配を頼まないと……」
服屋に行って、それから銭湯? それよりも医者に診てもらう必要もあるか……。
二人の今後について考えていると余計な考えはすっかり忘れられた。思えば呪術師は人を救うのが使命って考えを強く持って以降、それは当然の事だからと動いていた気がするな。
助ける力があって助けを必要とする相手が目の前にいるから助けるなんて呪術師でなくても当たり前の事だったのにね。
その後……。
「あの二人に懐かれるのは構わねえんだが、妹が拗ねちまってんだよなぁ」
「あー、うん。ベッタリだったからね、君達兄妹って」
この相談にはどんな助け方をすべきなんだろうか分からないな、うん!
「黒桜さんですが少し主にベタベタし過ぎではないでしょうか?」
日課の放射能浴から戻った我が連れて来られたのは静謐のハサンの部屋。十二鬼月一人一部屋り当てられた(兄妹は例外)その場所で性別が女に分類される者だけで集まったのだが、この場所に居ない話題の主に対するハサンの言葉に我とメリーと堕姫の視線が集まる。
人に触れられる喜びを得たからと主を抱き枕にしているお前が言うのかと。
無論、空気を読める我は指摘しない。メリーもだ。
「未だ八歳の子供相手に何を嫉妬してるのよ。余裕無いわね、アンタ」
「堕姫さん、そうは言いますが彼女の目は完全に狙っている目ですよ!?」
……何か面倒なので戻って良いだろうか? 我は女よりも雌の方が正しい気がするしな。
呪具になった持ち物から作られた事で人間としての記憶と人格があるこの二人や女の子の姿と名前を持つ人形である事から中身も引っ張られているメリーと違い、純粋な呪霊である我とは別物だ。
正直男女のいざこざというか、幼い男児を巡るいざこざとかに巻き込まれたくはない。もう角でも持っていればこれがヘドラの生殖器だから雄であると主張したのだが……。
「それに一応アタシ達って創示の奴に危害を加えないってのと従うって縛り入れてるでしょ? 無理に襲いはしないだろうし、大きくなってから誘惑に乗るかどうかは自由じゃない?」
「誘惑っ!?」
「そんな事よりも最近保護した餓鬼二人、ちょっとお兄ちゃんが強くて優しくって格好良いからって懐きすぎじゃない? アタシのお兄ちゃんなのに! 境遇が境遇じゃなかったらほっぺ抓ってる所よ」
茶菓子を貪りながら寝転がる堕姫の言葉に顔を赤らめるハサンだが、生前とでも呼ぶべき時期の生活の差が出たな。暗殺者ならば色で誘う事もあっただろうが、毒の娘と色を売るのが当然の場所で生まれ育った差が出たか。
そして随分と柔らかくなったな、堕姫。
しかし、堕姫の言葉も尤もだ。精通も来ていない幼子相手に何を考えているのやら。黒桜は幼い姿と人格にもなれたが、そっちは誘惑はせぬ様だし……。
「私、メリーさん。あの子の筆下ろしは誰がするのか気になってるの」
おい、爆弾ぶち込むな。悪戯好きの性悪人形め。
とんでもない言葉をぶち込んだメリーは足をバタバタ動かしながら静かに微笑んで状況を楽しんでいる。これは揉め事遠起こして見学する気だな。
「私の方が先に仕えていますし、少しばかりやり過ぎて主を困らせている彼女よりも相手には相応しいのでは?」
……もう知らん。
あの黒桜、主人の目が届かない場所では少々好きに振る舞おうとする悪癖蛾が過ぎると我が体を切り離して監視役を買って出たが、呪霊や人間を食べれれば良し。叱るという形で相手をされるのも良しという問題児であるからな……。
縛りもあって甘く見ている者も居るが、我は一部の警戒組だ。
「ヘドラさん、どうかされましたか?」
帰ろうとした所を呼び止めたハサンに主との約束がある事を伝えて外に出て行く。本当は時間まで余裕があるが、この空間に居たくはないのでな。
そもそも呪霊や大昔の人間と現代人の貞操感には大きな違いがあるだろうに……。
童磨の相手をする次に疲れた気がする。
「あれね。将来的にアタシが手取り足取り仕込んでやっとくべきかしら? あの二人に襲われてもそれで大丈夫でしょうし」
……吉原の最底辺育ちってこんな物なのか? 人間はやはり度し難い。
呪霊の身でありながら人間という物に悩まされるという奇妙な体験をしながら校庭へと向かう。今日はもしもの時のリカバーを頼まれたが、何をするか迄は聞いていない。
ただ、凄くワクワクした様子であった事から子供らしい事なのだとあたりを付けた時、前方から飛来する物体が。
上に二本のアンテナらしき物がくっついた飛行物体、何処かで見た覚えがしないでもないその中には五条が乗っているのだが見るからに暴走して慌てている様子だ。
……無視しては駄目だろうか? どうせ悪ノリした結果であろうし。
仕方が無いので体で包んで止めたが、非常に面倒臭かった。
「助かったぜ、ヘドラ。まさかバイキンUFOがあるとは思わねえで勝手に乗ったら暴走しちまってさ」
助けるべきではなかったか。
ヘラヘラと反省の色がない姿にそう思う我……バイキンUFO!?
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とあるキャラクターの強化案
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キャラメルマン
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バイキンUFO