「いや、バイキンUFOが目の前にあるんだぜ? 傑だってドラえもんのタイムマシンがあれば乗ってみてぇだろう?」
「どちらかというと航時機派かな? 再放送を何度も観てたし」
未だ暑さ厳しい炎天下、反射熱を発生させる炎天下のアスファルトの上で五条は正座をしていた。無下限を禁じられて汗がダラダラ流れる中、目の前ではフワフワの細かい氷に通販で取り寄せた高級シロップのかき氷を食べる夏油達。
最終調整前に起動させられたせいで調子が悪くなったバイキンUFOを前にお仕置きという名の嫌がらせが行われていた。
「ちゃんと見ておけよぉ? アレが好き勝手にやった報いだからなぁ」
「うん、分かった。突こう」
「棒とかあるかな」
「うへぇ。短期間で馴染んでるよ、この双子」
「何か乗せる? 重石的なの」
保護され高専で暮らす事になった美々子と菜々子は近くに落ちていた枝で五条の痺れた足を突き始め、堕姫も面白がって指先でツンツンと的確に刺激する。
幸吉だけは冷めた目を向けつつ童磨が出した巨大な氷で涼みつつ整備を続けていた。
「手動操作と呪術の操作の二つで漸くちゃんと動かせるって言ったのに……」
「悪かったって。それよか武装はどうなってんだ? バイキンUFOロボにはなれるんだよな? 俺はスーパーカビだんだんが好きなんだよねほら、アンパンマンを一度倒した奴」
「は? 復活からの逆転がワンセットだろ? ちゃんと観てから語れ」
苛立ち混じりの声と共に動き出したロボ達が五条の太腿をゲシゲシと踏み付け、家入はその様子を写真に撮りながら爆笑している。
これ始め五条達が高専で過ごした青春の日々の記録。そして小学生組は宿題の多くが残っているのをすっかり忘れて狛治にお説教されて、五条に写真を撮られる事になるのは余談である。
「お前は儂が可哀想とは思わんのかぁああああああっ!!」
特級呪霊 半天狗。額に巨大な瘤を持つ老爺の様な姿の呪霊であり、その性格は凶悪かつ被害妄想の他責思考。責任を押し付けるかの様に分身を作り出し、小さな本体は逃げ隠れする。
自分は謂れのない罪を被せられた哀れな被害者だと叫んで人を襲い続ける半天狗は巨体を持つ老爺の姿のまま自分を追い詰めた相手に掴み掛かる。
「頭が可哀想とは思うかな」
拳が老爺の胸を貫き、背中から飛び出した手に掴まれているのは半天狗の本体。自らを掴む手に爪と牙を突き立てようとするも呪力の濃度に薄皮すら破れず、そのまま放り投げられた先にの空間が裂けて現れたのは鋭利な牙を持つ口。
「虐めないで……」
「五月蝿い」
口は無慈悲に閉じられ、半天狗はただの呪力の塊へと分解されて吸収されていった。周囲を探り実は本体が逃げていたなんて事はないと判断した少年が服に付いた土埃を払い落とすと茂みを掻き分けて一人の男が現れた。
「おっ、倒したから加勢してやろうと思ったら終わったのか。確か姉ちゃんの仇だったんだろ? 気分はどうだ?」
彼が出てきた茂みの後方の地面は大きく抉られ、まるで巨大な蛇が地面を削りながら暴れ回ったかの様な惨状だ。それだけの戦いがあったのが伺えるにも関わらず目立った怪我どころか汚れすら無く、息も乱れていない。
「うーん。先生に譲れなかったのが残念、かな? あの人は敵討ちに躍起になるタイプじゃないと思うんだけれど、昔からああだったの? 甚爾さん」
現れたのは禪院甚爾、目には下弦の文字が浮かび上がっており、手には特級呪具が握られている。長年の友人の昔について訊ねられた彼は一瞬だけ考え込むとズボンに挟んでいた競馬新聞を読み始めた。
「さて、次のレースはっと……」
「ええ!? 聞かない方が良い奴!? ちょっと甚爾さん!? おーい! 下弦詐欺! 賭博下手!」
鬼邸 創示 十六歳 特級呪術師 所属 京都府立呪術高等専門学校一年
僕が呪術高専東京校で暮らし始めてから月日が経ち、傑さんは教師になったし、悟さんも親友の真似をして教師になった。そして僕も一応は学校に所属するんだけれど、傑さんと幸吉と僕は京都校に配属されたんだ。
加茂との繋がりがあるから僕がこっちなのは仕方が無いとして、傑さんがこっちなのは総監部から悟さんへの嫌がらせだ。マジで腐ってるよ、あの連中。
メリーさんが居れば一瞬で東京校に行けるのに地味な手口しちゃってさ。
「そういや恵君って東京校になりそうだってさ」
「マジか。五月蝿えのが居なくなるから助かるぜ」
ちょっとした事があり、半秘匿死刑の名目で呪霊と人間を行ったり来たりしている甚爾さんだけれど、この発言は元の性格だ。ギャンブル好きで割と駄目人間なこの人。
実家の待遇が酷いのを考えれば先生という親友が居なかった場合にはどんな事をしていたのか心配になるよ。賞金首の呪詛師潰したり呪詛師襲って財産奪う生活していたらしいんだけれどさ……。
「甚爾さんって生活態度滅茶苦茶だよね」
「女三人侍らせれるテメェが言うか?」
……未だセーフ。今だに童貞だから、辛うじて。女性陣の視線が痛い時もあるけれど!
「……黒桜はちゃんとガス抜きしとけよ? フォウ同様に厄ネタなんだ。お前の目を盗んで悪さする気でいるぜ、彼奴」
「それは分かってるんだけれど付き合いが長いからね。まあ、責任もって管理するさ」
家族を失ってから十年、未だに無惨には勝てそうにない。千年の縛りで底上げされた才能があっても呪術師としての経験値が違いすぎるし、そもそも滅多に顔を出さない。
彼奴が掛けた呪いで消えた僕の家族、その代わりに側にいてくれた皆は僕にとって家族同然だ。あっ、童磨は別。無惨と同列で家族を奪った相手だし。
「もう三人とも抱いてやりゃ良いじゃねえの」
「無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理っ!?」
抱くって事は裸になって、それから……。
何をするのか想像しただけで顔が熱くなって来る。立場が立場だから見合いとかハニトラとかが来るのを何とか避けているけれど、堕姫は気軽に相手を求めて来るだけど、残り二人は少し執着がヤバいからなあ。下手にかわせば不満が溜まっちゃうから……。
「今度お泊まりデートでも誘って……うん?」
学長からの連絡が届いている。えっと、特級に呪われて怪我人を出した人を悟さんが保護したから調べろ、か。名前は……。
「乙骨憂太!?」
幼い頃の友人本人らしき相手の情報に僕は思わず携帯を取り落とす所だった。
とあるキャラクターの強化案
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キャラメルマン
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バイキンUFO