僕のお父さんは体の大きな人だった。凄く逞しくて、ちょっと涙もろい。あと、お経を唱える癖が有った。
「南無……。可哀想に可哀想に……」
道端で車に牽かれたらしい猫の死体に手を合わせて涙を流すお父さんは優しい人だなって思ったよ。
……この後に不審者として通報されたけれど。僕と公園に遊びに行くと十回に一回は通報されていて、警察の人も一応駆けつけるけれどお父さんの姿を確認したら直ぐに戻って行ってたんだ。
そんなお父さんの趣味は骨董屋を巡る事で、旅行先でも行ってたんだけれど、ある日買って来た古い棚の中に隠し扉が有って、中に入っていたのは下手くそな木彫りの笛。
僕はそれが何故か気に入ってお父さんに貰ったんだけれど、持っているだけで不思議な感じがするんだ。
……今なら分かるんだけれど、これには呪物と同じで強い力が込められている。それも呪力とは正反対の……。
「到着したぞ。ほら、疲れているだろうが少し頑張ろう。終わったら寝て良いからな」
「先生。じゅじゅつこーせんって東京だよね? 此処、凄い田舎っぽい……」
「東京も郊外はこんな感じだ。……まあ、今後も何度か来るだろうし、観光はその時にだ」
思えばテレビで観る東京の流行のお菓子とかレジャー施設には一度も行った事が無かったし、どんな所かと期待していたら着いた先は山の中。
ちょっと残念だなって思っていると空中に口が勝手に出現、童磨が出て来て……警報が鳴り響いた。
「おや? 矢っ張り呪霊が侵入したら知らせる結界が張ってたのか。いやー、ごめん。これは大騒ぎだな」
「……貴様、分かっていただろう。鬼邸君、そういう訳だから後で創った呪霊を登録する事になる」
「はーい」
凄い音でアラームが鳴っているし、校舎の方で少し騒がしいのが聞こえて来るけれども童磨はヘラヘラ笑いながら口だけ謝ってる。
「童磨、あんまり悪戯しちゃ駄目だよ」
「おっと、お叱りを受けてしまったな。これは反省せねば」
「いや、お前は反省などしないだろう」
「狛治殿は手厳しいなぁ。俺だって悪いと思ったら反省するとも」
つまりは悪いと思わなかったら反省しないって事だよね?
多分夜蛾さんも先生もその事には気が付いてるけれど童磨はのらりくらりと追及を避けるばっかりで、アラームが鳴り止んで僕達が先に進んだのは少し後の事だった。
「やあ。君が創示君だね。私は夏油傑だ。君の術式に似た術式を使うから呼ばれたよ。宜しくね」
「うん、宜しくお願いします」
校庭っぽい所まで来れば待っていたのは数人で、その中に居た前髪が少し変なお兄さんが話し掛けて来る。
……あれ? このお兄さん、呪霊を体内に入れてる?
「お兄さん、変な物食べてお腹壊さない? 童磨も呪霊を食べるけれど、人間が食べたら凄く変な味だって言ってたよ」
「呪霊繰術か。千年前にも知り合いが居たけれど、ゲロを拭いた雑巾の味だって愚痴をこぼしてたよ。俺だったらそんなの食べたら鬱になっちゃうな。確か不死川って名乗ってたっけ」
「……いや、私は平気だよ」
夏油さんは平気だって言っているけれど、お母さん達が僕の誕生日の前、お姉ちゃんの命日が近付いたら見せる表情に少し似ているし、多分本当に嫌な味なんだろうなあ……。
多分周りに心配されるのが嫌で隠してるっぽいし、童磨ったら絶対見抜いて言ってるよ。
本当に能力は頼れるのに人間性は(呪霊だけれど)本当に酷いもの。後で代わりに謝っておかないと。
「それよりも君の呪術を見せてくれるかい? 呪霊を創り出す所を見てみたいからさ」
この人は良い人っぽいな。遠くから何かを使って見ているのを感じるけれど、この人が此処に居るのは多分僕の為だろうし、周りの人も童磨の言葉を聞いて心配そうにしている。
嘘だって思えたら良かったんだけれど、嘘を言わないって縛りを結んでいるからさ……。
「うん、じゃあ、今から創るね。童磨、この前の三体から奪った分全部使うよ? 容量もそれが限界っぽいしさ」
なんか童磨が”近くに指が有るから取りに行こう”って向かった先で遭遇した呪霊。童磨が押さえ込んでいる内に少し食べさせて貰ったんだけれど、特に火山みたいな頭のが強かった。
最後には逃げられたって言うか、童磨が”あれだけ強いのは珍しいし、今後も食べる為に”って逃がしたんだけれどさ。
「限界? 君が創れる強さの限界って事かい?」
「うーん、半分正解。無色の力に加える核となる呪力毎に器の容量が有って、強い奴はその後の呪霊を食べた時の吸収効率も良いらしいんだ。……あっ、五個余ったからあげるよ。これを呪霊に食べさせたら強くなるし、不味いのを食べる回数を減らせるよね?」
「あ、ありがとう」
先生達に見せたのは砂利程度の大きさだけれど、今出したのは野球ボールサイズのが数十個。容量の限界を感じたから余分なのを夏油さんにあげて、鎌と簪から吸い取った呪力を混ぜる。
呪力は透明な力の結晶を真っ黒に染めて、やがて真っ黒な人形が二つ現れる。それが瞬きをした時には人の姿になっていたんだ。
「君達のお名前は?」
”十二鬼月”で誕生した呪霊には基本的に名前が無いんだけれど、今回みたいに誰かの持ち物に籠もった呪力の場合は別で、持ち主の記憶や人格を引き継いで居るんだ。
「……妓夫太郎」
「ぎゅうたろう? 牛?」
「いや、違うなぁ。餓鬼に説明しても分からねぇだろうなぁ。随分とマトモに育ったみたいだからなぁ」
「私は梅……だけれど折角の新しい人生……人生で良いのかな? お兄ちゃん。お兄ちゃんも新しい名前にする?」
「俺は別に良い。お前だけ新しいのを貰えぇ」
一人は髪を振り乱したお兄さんで、凄くガリガリで猫背な上に歯並びも悪い。体にある斑点は何だろう?
「どんな名前が良いの? お姉さん美人だし、それっぽい名前から取る?」
もう一人は着物の帯と同じ模様が顔にも有るけれど凄い美人のお姉さんで、ちょっと寒そうな格好。夏油さんは顔を真っ赤にして横を向いてるよ。
「先に言っておくけれどそのままは嫌よ? 少しは捻りなさい」
「じゃあ、この前テレビで観たダッキからダキ。キの部分はお姫様の姫って漢字がキって読むらしいしさ」
「だったらダの部分は蛇とかどうだい?」
「……ねぇ、お兄ちゃん。私、此奴嫌い。蛇とか無いわ。……堕落のダで堕姫で」
「分かった! 宜しくね。妓夫太郎と堕姫」
あっ、童磨って同僚にも即座に嫌われるんだね。
因みに二人揃って瞳には上弦の文字が浮き出ている。数字は十二体揃ってないから無惨から繰り越しの童磨以外は持って無いんだ。
「えっと、次は残りのも見せた方が良いんだよね? ヘドラ以外の二体は上弦じゃなくて、上弦の部下の役割の下弦なんだけれど。因みに童磨は部下にした下弦の弐に嫌われてるんだ。”さっさとくたばれば良い”って思われてるよ」
下弦用の大部屋に繋がる口が開いて中から二体の呪霊が現れる。
「何だぁ? ちっ! 新人は上弦かよ。忌々しい」
最初に出て来たのは長い毛を振り乱した四足歩行の獣。蛇の尻尾と虎の胴体、そして猿のお面。下弦の内の一体”鵺”。ちょっと態度が悪くて、弱い者苛めが好きだから性格も悪い。
「……駄目ですよ。主の紹介を兼ねているんですから。それに新人っと言っても数日の差です。……これ以上騒ぐなら触りますよ?」
もう一人は黒い肌に紫の髪のお姉さん。髑髏の仮面で顔を隠しているけれど凄く可愛い顔なんだ。
こっちも下弦で童磨の見張りの為に部下になって貰った”静謐のハサン”。
ちょっと内気なお姉さん。
そして最後に童磨と同じ上弦。この前戦ったのが”自然への畏れ”の呪霊なら、こっちは”自然を汚す事への恐れ”……らしい。
「ヘドラ、出ておいで」
その名も……公害怪獣ヘドラ。空中に巨大な口が現れて、中から十五メートル程の大きさで四足歩行のヘドロの怪物が這い出して来た。
現在
上弦 童磨 兄妹 ヘドラ ?? ??? 未定一体
下弦 鵺 静謐のハサン ??? 未定三体
とあるキャラクターの強化案
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キャラメルマン
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バイキンUFO