先祖はパワハラ上司らしい 自分は頑張ろう   作:ケツアゴ

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嫌われてるぞ、ドーマくん!

「此奴がヘドラ。……確かに”怪獣”だね」

 

 空中に現れた大きな口から這い出して来たヘドラの姿に夏油さんは暑くないのに汗を流しているし、どんな見た目なのか教えてる先生や夜蛾さんも驚いていた。

 術式をちゃんと使える様になってから呪力探知? ってのが使えるようにもなったんだけれど、それを使えば遠くから様子を見ている人達も驚いているのが分かった。

 

 ……あの術、小学校のお昼休みに使えば家のテレビとかこっそり観れそうで良いなあ。

 

 

「……」

 

 ヘドラは四足歩行で動く建物位の巨体で、真っ赤な瞳には上弦の文字が刻まれている。妓夫太郎と堕姫も見上げて驚いているや。

 

「格好良いでしょ! 妓夫太郎もダークヒーローっぽくって格好良いけれど、ヘドラも特撮に出て来そうでさ」

 

「……おい、一応誉められてるんだよなぁ? 梅……堕姫、俺、あれと一緒の扱いだがよぉ」

 

「良いんじゃないの? お兄ちゃんを醜いって言ったなら目玉を潰してやりたいけれど、誉めたんだから」

 

「そうかぁ。……一応乱暴な行動は自重しろよぉ。此処は吉原じゃないんだからよぉ」

 

 吉原? うーん、お祖父ちゃんが好きだった落語で名前だけは知っているけれど詳しい事は分からないや。

 でも、妓夫太郎が最初は困った様子だったのに堕姫に誉められて少し嬉しそうなのは良かったなぁ。

 

「……」

 

「此奴は喋らないのだな。他の連中は随分と流暢に話す上に君には友好的だが」

 

 出て来てからずっと身動きせずに僕達を眺めるだけのヘドラを見上げながら夜蛾さんが呟く。

 確かに妓夫太郎達はちゃんと話が通じるし、呪力だってこの場にいる殆どの人よりも多いけれど大人しくしてくれている。……ちょっと態度は悪いけどね。

 

「私達はこの肉体を持った瞬間に縛りを結んでいますので個人差はあっても主従関係に異議は有りません。……私は恩も有りますので」

 

「恩?」

 

 静謐のハサン……以後ハサンは背後から僕を抱きしめてほっぺを触りながら答える。こう密着されたら少し恥ずかしいけれど、人を触るのが好きだから仕方無いよね。可愛いお姉さんだし。

 

「……私は毒の娘、全身だけでなく吐く息や汗にすら毒を持つ身として生きていたのです。ですが呪霊の身になった時に少しだけ生前の能力を改造して貰い、こうして他者に触れても殺す事がなくなりました……」

 

「どんなのが創れるかは分からないけれど、術式を使えば大本は同じ範囲で改造は可能だから。僕が創った関係か僕には効かないんだけれど、鵺が脅かそうと顔を近付けた途端に毒を喰らっちゃって、慌てて改造したんだよ」

 

「主、テメッ! 余計な事を言うんじゃねえよ!」

 

 あの時の鵺ったら、数秒先に誕生しただけなのに先輩後輩がどうとか言って顔を近付けた途端に倒れたんだからなぁ。

 それからハサンの事が苦手だし、多分鵺と強さ自体は変わらないから術式の効果だって低いだろうから今後もこんな感じだろう。

 

「改造……か。それは創った呪霊以外でも可能なのか?」

 

「さあ? 俺が無惨様に仕えていた頃は他人を改造なんてしなかったしな。あの方、基本的に臆病者だし、縛りをガチガチに結んでいる俺達を辛うじて警戒しないって感じだったぜ。だから他人を強くしようとか考えもしなかったな。まあ、千年の間に随分と劣化した今の呪術師相手なら大丈夫だろうけど」

 

「ちょっと童磨は黙ってて。それでヘドラなんだけれど、元から喋れないみたい。こっちの言葉は理解するし、何となく伝えたいことは分かるんだけれどさ。それでも凄いんだよ。毒のある物とか、海を汚しているゴミとかを全部吸収して水を綺麗に出来るし、その度に強くなるよ。もう直ぐしたら飛行だって出来るらしいし、そうしたら宇宙で、ほうしゃのー? を吸収しに行くってさ」

 

 まあ、その結果として僕に行き着いたんだから知っているけれど、怪獣が僕のお友達なんだから自慢したい。どれだけ凄いか語るのは楽しいよ。

 

「……有害物質を吸収する能力か。政府からの依頼が来そうだな。持ち運びが可能な反転術式を込めた物質も生成可能だし、これなら……」

 

 あれ? 先生、何で安心した顔をしているんだろ? ひとくしけーは免れるだとか分からない事も言ってるけれど。

 

 

「ご苦労だった。君の今後について話し合うから少し休んでいなさい。傑、一旦寮の食堂にでも……どうした?」

 

「えっと、妓夫太郎達を創ったら眠くなって……」

 

「では、私が背負い……あっ」

 

 ハサンが僕を背負おうとしたけれど、横から鵺の尻尾が伸びて僕に巻き付くと背中に乗せる。ああ、少し臭いけれどフカフカで気持ち良いや……。

 

 

 

「……鵺さん。それは最初にお会いした時の仕返しですね?」

 

「うおっ!? ちょっ、目がマジだぞっ!? 大体、餓鬼相手に目がヤバいんだよ、テメェは!」

 

「仕方無いですから譲りますが……添い寝の権利は私が貰います」

 

「いや、俺は元から要らねえよ」

 

 

 何か騒いでいるけれどもう限界。眠くって……あっ、そうだ。

 

 

「これ、呪力をどれだけ吸っても吸いきれない奴なんだけれど、渡した方が良いって童磨が言っていたから……お休みなさい」

 

 僕は口の中から童磨と一緒に回収しにいった誰かの指の干物を夜蛾さんに渡す。何か騒がしいけれど、僕は睡魔には勝てなかったよ……。

 

 

 

 

 

 

 ……予想以上に友好的だったな。あれは通常の呪霊とは全くの別物と考えた方が良いだろう。

 傑という前例が居るし、あの利用価値の高さならば上層部も大丈夫だろうが……別の意味で心配だな。

 

 事前に話は聞いていたが、通常の呪霊と同じく負の感情より生まれた個体や死者などが呪いに転じた個体と違って創られた呪霊達は随分とマトモだ。

 あの生前は兄妹だったという二人も生前の人格を保持しているらしい。時代や育ちに問題が有ると言えば有るが、概ねこれで大丈夫だろう。

 

 問題は……。

 

「おい、俺が宿儺の指が封印されている場所について尋ねた時、貴様は何と言ったか覚えているか?」

 

「ああ、当然だとも。俺はちゃんと”今現在封印されている指の場所は知らない”と正直に伝えたぜ。縛りも結んだが、それが無くても俺は正直な男だからな」

 

 問題があるとすれば童磨だ。間違い無く此奴は信用するのを控えるべき相手だと俺の勘が告げている。特級呪物である宿儺の指を少年が渡して来た事について問い詰めるも悪びれもしない。

 成る程、”既に封印は解いているから嘘ではない”とでも主張する気なのか。

 

 

 

「おいおい、俺ほど正直な呪霊は珍しいぜ? ああ、そうだ。夜蛾殿が何を怒っているのか皆目分からないが、俺が何か気に障る事でも言ったのならお詫びにちょっとした情報を教えよう」

 

「……言ってみろ」

 

「ヘドラって実はメスなん、だっ!?」

 

 言葉の途中で童磨を蹴り飛ばしたヘドラは出て来た口の中にのそのそと戻って行く。……本当に仲間からも嫌われているのか。




実際に角を持ってるのがオスらしい

とあるキャラクターの強化案

  • キャラメルマン
  • バイキンUFO
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