我食らう、故に我有り。この世の全ての害毒が我の糧であり、力の源。我を創造せし”鬼舞辻無惨”は性根が腐り果てた上限の弐を除いた他の十二鬼月が消滅してから我を作り出し、力を与える前に封印を施した。
「次代に託せるのは一体のみだが、こうすれば何とでもなる。少々面倒な能力ではあるが私の後継者であれば使いこなせるであろう。もっとも、この世に貴様が使い物になるだけの害有る物がどれだけ増えるのか甚だ疑問では有るが」
人の心など呪霊たる我には不可解な物ではあるが、それでも無惨なりに親族である後継者への愛情が込められているのだろうし、それが常人とはかけ離れた呪術師の価値観と照らし合わせても歪な物だとは理解可能だ。
しかし、使い方が悪い故に無惨な結果に終わるも物自体は悪くない奴の頭でも予想は出来なかったか。千年もの間に人の営みによって世界は汚され、更に空の彼方に行けば強き毒が太陽から発せられている事を。
成る程、奴は確かに創造主ではあるが……私は後継者である今の主の為に生まれた存在であり、育てたのも今の主だ。ならば唯一無二の主は今の主である。
……特にあの性悪と共通項目を増やしたくない訳では多分無い。我、考えるのは苦手である。
そんな我の趣味は外の世界を覗き見る事。上弦に与えられる個室だが、その中身は持ち主に左右される。妓夫太郎達の様に呪物に宿った呪力を元にした事で人の記憶を持ち合わせる場合は生前の住処に似るらしく、それなりに整った女郎部屋と荒ら屋が障子で区切られていると聞いた。童磨のは……聞きたくないから他の事を考えていて知らん。
私の場合は濁った水。全身をゆったりと浸かれる程の広さと深さを持ち、食事の時以外はずっと部屋に籠もって僅かに開けた入り口の隙間から外を覗き見るのが日課だ。
だが、今見ている光景は面白くも何ともない。禪院家とやらに呼び出しを受けた主が保護者である狛治と共に大きな屋敷に向かい、上から目線で頼み事をされている。
「呪力の底上げ? えっと、無理……かなぁ? 僕の術式だと呪力の器は大きく出来ないから。その子の天与呪縛が呪力が少ないって以外なら少しはどうにか出来たと思うけれど……」
昼日中から酒臭い男の後ろに控えた双子の少女。どうも呪術師の御三家の出身の割には呪力が乏しいらしく、主の術式でどうにかならないかと頼まれたのだが、そもそもそんな事態に陥ったのは童磨の仕業だ。
「確かに術式の書き換えとか追加は出来ないけれど、体質とかは変えられるぜ。現に無惨様は死産だと思われた上に何度も病気で死に掛けた位に病弱になる天与呪縛を持っていたんだけれど、呪力の結晶化の応用でどうにかしたんだ。それで多少呪力の出力は下がってしまったんだけどさ」
資料が残っていない故に長らく側で仕えていた奴に行われた尋問。呪力や反転術式の結晶以外にも利用価値がないのかと色めき立った上層部に童磨が告げた言葉。
利用価値を示すのは悪い事では無いが、そのせいで主は大忙しで我の食事さえ回数が減った。最初は呪霊からの情報や天与呪縛によって得られる呪術師としての能力を惜しむ者も多かったのだろう。
結局、偽名で接触を図って来た小僧の縛りの一部をどうにかして広大な呪術の範囲を狭めた事で今回みたいな面倒な事に繋がった訳だ。
確か”ファイナルフォームメタル之助”だの”パーフェクトマシン太郎”だの名乗って居たが、主と少し仲良くなったのは良きことだ。無惨には友達が居なかったらしいからな。
「うーん、まさかお見合いまで勧められるだなんてさ。先生が加茂家との兼ね合いを出してくれなかったら困る所だったよ。あのオジさん、凄くお酒臭かったしさ」
急に呼び出しを受けて向かったお屋敷だけれど、僕は近付いただけで嫌な予感がしていたんだ。だってさ、呪術師って呪霊の元になる呪力が殆ど漏れないのに……あの屋敷じゃ凄い事になってたんだよね。最近は呪物とかから吸い取ったり心霊スポットを回って呪力を集めても殆ど回収されちゃってたのに、一応許可を取って吸い込んだら十分な量が集まった。
殆どが他人と自分を比べるって感じの内容で、あの女の子二人にそれが向けられていたんだ。
まさか会って初日で結婚を勧められるとは思わなかったよ。先生が断ってくれて良かった。だって僕じゃ何って言えば上手に断れるか分からないもん。
「それが保護者である俺の役目だ。出来る範囲でお前を守るさ。……特に禪院家は面倒な家だ。仮にお前が一員になったとして、子に術式が継承されなければ呪力も今までと同じく一切剥奪されるだろう」
「はくだつ?」
「奪われる、という意味だ。まあ、関わらずに済むなら関わらない方が良い。じゃあ帰りの新幹線まで時間があるから甘い物でも食べてお土産でも選ぼう」
「うん!」
ああ、帰るのが楽しみだな。新しいのを創り出す時は呪術高専で夜蛾さん達の前でって約束だし、今すぐ新しい子に出会えないのが残念だなぁ。
「えっと、夜蛾さんに夏油さんに五条さんに……七海さんもだね。昨日は堕姫が迷惑かけちゃったし、お仕事大変だろうから」
僕のお友達の十二鬼月だけれど力が凄いからって最近は夏油さん達学生の任務に同行しているんだけれど、普段は女子寮のお風呂を使えって言われてる堕姫が面倒臭がって男子寮のに入っちゃったんだよね。しかも次の日に一緒にお仕事に行く予定の七海さんが遭遇して鼻血出して卒倒しちゃったしさ。
「大人になるって大変なんだね」
「うん? そうだ。だから子供の内は沢山遊ぶ事だな」
「そうだね」
「勿論勉強もだ。算数のテストが休み明けに有るんだろう?」
「……そうだね」
うーん、先生には敵わないや。所で……。
「先生は天与呪縛をどうにかしないで良いの?」
先生にも二つの天与呪縛が存在する。呪霊が見える程度まで少なくされた呪力と呪具が使えないって縛り。その代わりに凄い身体能力と武術の才能を得たらしいんだ。
「いや、俺は構わない。呪霊への対応は無理だが、他の相手と戦うには今の力が必要だからな」
「童磨を殴れるよ?」
「……いや、良いさ。誰かを殴る為という理由でお前を守る力を……彼奴は」
言葉の途中で先生は人混みに視線を向ける。あの口元に傷があるオジさん、呪力が全然無いなぁ……。
所で先生、少し迷ったよね?
とあるキャラクターの強化案
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キャラメルマン
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バイキンUFO