汗を搔いたり汚れたりで大変な時期です。
と言う訳で、今回は入浴タイム☆
「~♪」
良い湯加減だった。
異世界初の試みだったけど、上手く行った。
アラクネに進化した。
上半身だけとは言え、人の姿を取り戻した。
真っ白なアルビノになったけど、
人の手、人の髪が有って、何より懐かしい自分の顔が有る。
何だか人間に戻った気がして来る。
でも取り戻したのは、身体だけじゃ無かった。
それは心であり、常識であり、習慣だった。
私はお風呂に入りたくなっていた。
汗を流したい。と言うのも有ったけど、
肌の手入れが、髪の手入れがしたくなった。
端的に言うなら、綺麗になりたくなった。
衛生的な問題も有ったと思う。
でも【綺麗になりたい】と言う女の欲求を、私は取り戻していた。
「温泉、は無理?」
今日の採掘を終えて、上層の蟻の巣に戻った。
其処にいつものハンモッグ風の、蜘蛛の巣の寝床が有る。
だけど今日は!寝る前に入浴がしたい。
お風呂に入りたい。だけど当然ながら、蟻の巣にそんな物は無い。
穴を掘っているから、温泉も掘れる?
オリくんに頼めば、案外温泉も掘れるかもしれない。
オリくんのレアセンサーは頼りになる。
温泉もあっさり見つかるかもしれない。
因みに温泉は、基本的に何処でも掘れるらしい。
約1000m位掘れば、何処でも湧く!と聞いた事が有る。
異世界でも、これは適用される常識かな?
1000m。1000mか~。お風呂の為に、更に1000m!
「内風呂を作ろう」
黒の核晶の採掘と言う一大イベントの最中に、流石に無理だと判断した。
それに私は!今直ぐお風呂に入りたい。温泉を今用意するのは無理だ。
なら内風呂!
要するにバスタブとお湯が有れば、内風呂の完成!お風呂に入れる。
まず土魔法でバスタブを作る。
下半身の蜘蛛の部分が全て湯船に入るから、
それなりの広さと深さが要る。
「息は、どうだろう?」
それこそ温泉Lvのバスタブを作って、
水魔法で水を注いで、火魔法で温度調整!
そろそろ行けるかな~と言う処で気付く。
上半身の肩までお湯に浸かると、下半身の蜘蛛の頭が水没する。
でも上半身にも頭が有って口が有る。当然呼吸が出来る。
「試すしか、無い」
手製の白い服を脱いで、手製のバスタブに入る。
上半身の肩までお湯に浸かる。温度は丁度良かった。良い湯だった。
「うん、大丈夫」
下半身の蜘蛛の頭は水没している。でも苦しくは無い。
人と同じように上半身で呼吸している。
一応お湯を飲み込まないように、口を閉じているだけだ。
「~♪」
でも身体を洗う手段が、お湯を浴びるしか無い。
禊か行水を、お湯でやっている気分になる。
「石鹸。シャンプー。リンス」
此処まで来ると、次に洗顔系のアイテムが欲しくなる。
日本に居た頃、石鹸を自作した経験なら有る。
材料は確か、
【苛性ソーダ】とか【グリセリンソープ】とか【石鹸素地】だった気がする。
どれも薬局で売っているような素材で、
異世界で天然素材から用意出来る気がしない。
「むぅ」
異世界でも、街に行けば洗顔系のアイテムが売ってるかな?
街に行ったら欲しい物。私は自分の身体を見下ろした。
「女の身体」
改めて自分が女だと認識する。
蜘蛛をやっていると、普段は性別が気になら無かった。
でもアラクネに進化して、
人の上半身が生えて来ると、自分が女だと言う事を強く意識させられる。
「下着も、売ってるかな?」
洗顔系アイテムも欲しいけど、下着も欲しい処だった。
蜘蛛の糸でサラシは作れた。
ショーツはまだ要らない。腰から下が蜘蛛だからだ。
だけどブラジャーは難しい。上手くフィットする感じのヤツが作れない。
『オリくん』
『白織か、どうした?』
私は久々の湯船に浸かって気持ち良くなって、
色々と気が抜けていたんだと思う。
もう夜で結構遅い時間だったと思うけど、オリくんに念話を繋げていた。
『下着、売ってる?』
『………………』
あ、と気付いた時にはもう遅かった。
相手が恋人でも、これは無い。恋人相手だから無い!とも言う。
久々にやらかしたああぁぁっっっ!!!!!!
†
『結論から言うと、異世界にも女性下着は存在する』
色々と沈黙が続いたけど、オリくんは真面目な話だと理解してくれた。
アラクネに進化して、
上半身だけだけど人の姿を取り戻した事も喜んでくれた。
序に入浴中なのも、口を滑らせてしまったけど!
『街に入れなくても、手段は有る』
オリくんの下着入手大作戦の概要はこうだった。
まずオリくんがメイドさんに指示を出して、下着を買いに行かせる。
↑この買い物に関しては、催眠のスキルで指示を出せるらしい。
そして入手した下着を人気の無い場所に隠す。
それを後から私が回収!と言う流れだった。
流石はオリくん!頼りになる☆
『但しメイドに指示を出す事になるから、
下着のサイズを暴露して貰う事になる』
『!?』
そうだよね~?
指示を出すのはオリくんだもん!それはサイズもバレるよ!!
でもサイズはフィットしないと意味が無いし、
此処まで蜘蛛の糸が届いているのに、自分で手を離すのは!
再度自分の身体を見下ろす。
そもそも的確なサイズを測る手段が無い。経験則から来る目測が頼りだ。
恐らくだけど、転生前のサイズと同じ!と言う事で良いと思う。
『………』(小声)
『解った。用意させよう。
すまないな、白織』
うぅ、そう言う処で誠意を見せないで欲しい。
別の話題!別の話題!
『どうして、知ってるの?』
でも訊きたかったのは、やっぱり下着ネタだった。
どうして男のオリくんが、異世界の下着事情を知ってるの!?
『赤ん坊でも風呂には入る。
一応貴族転生だから、メイドが洗ってくれる。
その時のメイドが、下着姿だった』
『メイドさんの御世話!』
『赤ん坊の身だ。一人で風呂には入れない』
解る。解るけどさぁ?微妙な気分になる。
オリくんが毎晩!メイドさんとお風呂に!!
『想像、した?』
『それを、訊くか?』
また別の話題。
色々悔しかったから、切り込んで見る。
湯船に浸かる自分の身体に触れる。
念話で、身体の感覚が伝わる事は無い。
『したな?
この状況で、白織の身体を想像しない方が可笑しい』
『!!!!!!』
ハッキリバッサリ白状するオリくん!
恥ずかしくなるのは、私の方だった。顎までお湯に浸かる。
『オリくん、大胆』
『大胆なのは、白織だろう?』
デスヨネ~☆
今夜の私は、少し大胆だったかもしれない。
『そろそろ、上がる』
『あぁ、お休み白織』
オリくんとの念話を切断する。
また色々やらかしたけど、汗は流せた。下着入手の目途も立った。
今夜は、特にぐっすり眠れそうだった。
†
『オリくん。この下着って』
翌日。下着を無事回収出来た。
サイズも問題無かった。下着を身に着ける感覚が、何だか懐かしい。
それは良かったんだけど、
『何か問題が有ったか?
一応貴族御用達の店の下着だ。品質的にそれ以上の物は難しい。
後は本当にオーダーメイドになる』
品質に関しては問題無い。
異世界で、この品質は予想外に高品質だと思う。
『ショーツも、有る』
『メイドがセットの物を買ったらしい。
話は聴いていたが、そのまま入れて置いた』
下着の入った紙袋には、ショーツも入っていた。
下半身が蜘蛛だから、これはまだ穿けない。
それだけなら問題は無かった。だけど!
『黒い、下着』
紙袋にはいくつかの下着が入っていて、
その中に黒い下着が有った。真っ黒だった。
『白い肌に黒い下着も【アリ】かと思って入れた。
無理なら止めて置け。
白い清楚系のヤツも有った筈だ』
うん、確かに白い清楚系も有る。
色々と気遣って、バリエーションを用意してくれたんだと思う。
思うけど!こんな処まで気を使わなくも!!
『黒いのが、好きなの?』
一言ハッキリ文句を言おうとして、
でも私の口から出たのは、そんな言葉だった。
『………………』
『オリくん?』
返事が無い。
念話が切断された訳では無いと思うけど?
『黒も映えはするだろう。だがやはり白だ。
白い肌に溶けるような白!これは外せない』
『白にする』
当初の予定通り、白で行く事にする。
そしてその後何日も、採掘作業を続けた。
オリくんの指示に従って、掘って掘って掘り続けた。
「空洞?」
そして、遂に掘り当てた。
其処は空洞になっていて、通路が先に続いて居る。
ゲームで言うなら?セーブポイントが有りそうな場所だった。
「核シェルター!?」
更に通路を進むと、
原子力発電所に有りそうな、重厚な金属扉が鎮座していた。
†
補足/説明枠。
今回の補足は、本当に些細な点です。
ショーツ
ショートパンツの事。下履き。
原作で白織は、下履きの事を【パンツ】と言っています。
しかし本作ではショーツ!
個人的にショーツと言った方が、女子力が高く聞こえます。
メイド
折原の世話役のメイドさん。
ナーサリィと思わせて、万能型の雑用メイド。
原作で言う処の、シュレインのアナポジ。予想外の出番増。
私にとって、有能メイドと言えばToHeartのセリオです。
セリオは、私の最推しヒロイン!
サブキャラで使いたくないなぁ~と言う心境。立ち絵未定。
因みにナーサリィと言うのは、
メイドの数有る専門職の一つで、子守専門のメイドの事。
雑用メイドは文字通り、幅広く何でも担当するメイドの事。
↑では下っ端っぽく聞こえますが、
何でも担当する為、幅広い能力と見識が必要なメイドの上級職☆
白織を風呂に入れてあげよう!
と思っている内に、一話分終りました。
これはサービスシーンではアリマセン!入浴シーンです☆
次回は、遂に始る黒の核晶奪取戦!