ToHeartクロス。ファンタジー仕様の外付け設定有。
そして今回はソフィア告白回です。
『いつも済まないな?
助かっている』
「………」
自身を抱き上げて歩くメイドは応えない。
当たり前だった。催眠のスキルの影響で、メイドに意識は無い。
赤ん坊の身だから、まだ言葉が話せない。
だから念話で話している訳だが、やはり意味は無かった。
ソフィアはまだ話しが有る様子だったが、
もう遅い時間だったので、一旦逗留先の宿屋に戻る事にした。
ソフィアとは、今夜また会う心算だ。
白織から夢枕の術式は聞いている。まぁ何とかなるだろう。
『この働きは、忘れない』
「………」
必要な事だった。そう信じている。
だが傍から見ればこのメイドが、貴族の子弟を連れ回している事になる。
赤ん坊の貴族の子弟をだ!処刑されても文句の言えない所業。
無論情報操作の催眠も行っているが、限界は有る。
色欲のスキルを取ってしまうか?
オリハルコンメタルは、自身も護れる。行ける気はしていた。
だが精神汚染は、本気で恐ろしいとも思っている。
『ありがとう。セリオ』
「………」
宿屋に着いて、少し休む事にした。
寝床に入れるように指示を出して、メイドのセリオを見上げる。
橙色の長い髪が、今日も綺麗だった。
催眠状態のセリオは応えない。
だが微かに、セリオが微笑んでいるように見えた。
†
「ソフィア」
「Ⅱ!
これが夢枕なの?」
夢枕の術式は成功した。夢の中でソフィアと合流する。
ソフィアは夢の中で、ダイ大のゲームPC【ソフィア】似の姿になっていた。
今は赤ん坊のソフィアも、成長したらこの姿になるのか?
白織も人型に変身した時のアルビノの姿だった。
こちらは夢の中で、前回と同じ日本で高校生をしていたのと同じ姿!
何か扱いに差を感じるが、大した問題では無いだろう。
「そうだ。お互い懐かしい姿だが、それは良い。
話しを聴こう」
「えぇ、そうね?」
そう言って、ソフィアが笑みを浮かべる。
ソフィアは一瞬想いを馳せるような顔をして、それから語り出した。
「私は、私が嫌いだった。
私は何処に行っても、ゾンビ顔だホラー顔だ。
吸血鬼だって言われたわ。今は本当の吸血鬼になったけど」
「………」
「笑えない話しよね?」と苦笑を浮かべるソフィア。
それが吸血鬼フラグだと言うなら、笑える話では無い。
「私は何処に行っても、人間扱いされ無かった。
私はバケモノだったわ。他の人からしたら、私はバケモノだった」
「………」
「でも貴方は、Ⅱは違った。
Ⅱの隣りに居た時間だけが、私が人で居られる時間だった」
「そんな大層な話じゃない」
ソフィア、根岸とは中学時代からの付き合いだ。
当時の根岸の事は知っている。
だが今のソフィアが言うような、そんな大層な話じゃない。
興味が無かっただけだ。だから嫌われ者の根岸に対しても、
ただその他大勢と同じ扱いをしていただけだ。感謝されるネタでは無い。
「知っているわ、興味が無かっただけ何でしょう?」
「なら、どうして?」
「言ったでしょう?
それでも私が人で居られたのは、Ⅱの隣りに居た時だけだって」
ソフィアに抱き着かれた。
胸に抱き着かれて、その願いを聴いた。
「お願いⅡ。
もう一度私を、人で居させて」
†
「ルールは解ったよ。
それにアレが問題の黒の核晶。終焉と救済の引鉄って訳だ。
D様。このゲームは私が参加しても?」
「えぇ、構いませんよ?
存分に愉しませて下さい」
魔王アリエルは、直ぐにDの存在に気付いた。
気付いて、ゲームの参加を申し出る。
「キミとは休戦って事で良いかな?
あの黒騎士とやらを先に仕留める!
出来ればこの先も休戦したい処だけど」
「………」コクコク
そうしてくれると助ける。
この魔王様、廃スペック過ぎるから!
「そう、なら私はアリエル。
キミは?」
「白織」
名前を訊かれているのだと気付くのに、少し遅れる。
名前交換とか!ヒッキーなゲーマーには難易度の高いイベントだった。
でも答えられた。私の名前は白織だから!
「なら、白ちゃんだね!
行くよっ!!」
そう言って私に背中を向けて、黒騎士に向かって行く。
何とも頼りになる背中だった。
「カァァァッッッ!!!!!!」
だけど黒騎士も負けてはいない。
スペルビアを喪い、先陣を切るのはイラだった。
イラの様子が明らかに変わった。これはスキルの発動!
憤怒の支配者スキルだ。
「へぇ、やるねぇキミ?」
イラがあのアリエルと、互角の格闘戦を始めた。あのアリエルとだ!
憤怒は暴走系の自己ブースト!使いたくない類の手札。
圧倒的なブーストの代りに、正気を失う。
まぁ向こうはアリエルに任せよう。格上の心配をしても仕方無い。
「【怠惰】を捧げる」
「「ッッッ!!!!!!」」
声にならない二重の悲鳴を上げて、アケディアが消滅した。
怠惰の支配者スキルは放置して置くと危険なので、早々に処理に入った。
序にこれで、アリエルにも正しくルールが伝わったと思う。
「支配者スキルを捧げれば、数が減るって訳だ?」
イラと応戦しながら応えるアリエル。
アリエルは暴食の支配者スキル所有者だ。だけど暴食を捧げる様子は無い。
タイミングを計ってる?それとも自力で行く心算?
今はアリエルを信じるしか無かった。
「ベタン」
「ッッッ!!!!!!」
その暴食担当のグラが、私の方に向かって来る。
グラなら魔法が食べれると思っての配置だ。
インウィディアはイラの援護に回っている。
だけど魔術師系だと思って甘く見ないで欲しい。
ベタンの重力波がグラを捉えた!
やはり放射系は直ぐに食べられても、
フィールドに効果を及ぼすベタンは、一飲みとは行かないらしい。
グラはベタンも食べていた。だけどベタンもグラを潰し続けている。
「このままっ!!」
このまま押し切る!
そう思っていた私は聞く事になる。竜の咆哮を!
「アワリティア!」
ルクスリアと対峙していたアワリティアが、遂にその力を解放した。
クロウ・クルワッハの呪い。自らを竜に委ねる呪いの力だ。
戦場に突然!竜が現れて暴れる事になる。
今は一番近くに居るルクスリアを狙っているけど、これは!
「ッッ!!!」
案の定こっちにも飛び火して来た!文字通り炎のブレスが!!
【契約の虹】じゃ無いだけマシだけど、規格外の火力!
ベタンを維持出来無くなって後退する。
「あああぁぁぁっっっ、こっちも!!」
対するルクスリアも、竜を討伐しようと大火球を生み出す。
大怪獣決戦だった。
あっこれ、大火球の効果範囲内だ!巻き添えで死亡判定が入る!!
急いで効果範囲から退避しようとして、
インウィディアの蛇腹剣が伸びて来て拘束された。
「インウィディアッッ!!!」
アリエルが突破された!?と思ってインウィディアの方を振り向くと、
インウィディアの頭が半分位陥没していた。
陥没した頭で、意味不明の嗤い声を上げている。
最期の悪足掻きってヤツ!?タイミングが悪過ぎでしょう!!?
そうこうしている内に、ルクスリアの大火球が放たれた。
†
「Ⅱ?」
ソフィアを引き剥がせなかった。
頼られて、隣りに居たいと告げられて断れなかった。
引き剥がして見捨てられる程、ソフィアの事が嫌いでは無いらしい。
ソフィアを抱き締める。
すると安住の地を見つけたように、ソフィアも抱き着いて来る。
悪く無い。これが好意と言う感情である事を、既に把握していた。
「どうやら白織がマズイらしいな」
だがソフィアの感触を愉しむ甘い時間は、長く続かなかった。
オリハルコンメタルのパスを通じて、
白織の並列意思から現状報告!白織本人では無い処が、危険度高だ。
リアル黒騎士との戦い。支配者スキルの贄。魔王アリエル。
此処は戦場から遠く離れた場所で、自分は赤ん坊。
今から駆け着けても、何の役にも立たない。だが出来る事は有る。
「ソフィア、手を貸して欲しい。
白織を助けたい」
「貴方は、まぁ仕方無いわ」
ソフィアが腕の中で、ヤレヤレ。と言う顔になる。
そして【出来る事】を伝えた。それは、
「支配者スキルの獲得と、放棄の宣言?
支配者スキルって、Ⅱが散々危険視してたヤツでしょう?
大丈夫なの!?」
「大丈夫だ。
ソフィアも、護って見せる」
ソフィアの手を握って、その決意を口にする。
きっと今なら、オリハルコンメタルでソフィアも護れると確信した。
「解ったわ。
Ⅱの事、信じるから」
強欲と色欲を修得。ソフィアは嫉妬を修得した。
憤怒は相性が悪く、暴食は既に席が埋まっている。
「【強欲】と【色欲】を捧げる」「【嫉妬】を捧げるわ」
そして修得したばかりの支配者スキルの放棄を宣言!
オリハルコンメタルのパスを通して、宣言は白織に届く。
「これで良かったの?」
「あぁ、これでもう出来る事は無い。
後は白織の勝利を信じるだけだ」
†
補足/説明枠。
告白回の補足です。
メイド(セリオ)
折原の世話役のメイド。折原が外出する際に、抱いて歩く役。
結局立ち絵はToHeartのセリオが担当。キャラクロスです。
個人的にセリオは、サリエルとキャライメージが被っています。
脳内サリエルの立ち絵は、セリオが担当。
契約の虹
魂を七つの並行世界に分割して封印する!
と言うアワリティアの必殺技。
原作では竜になって暴走状態でも使用して来る。鬼畜仕様。
本作では使用不能。
因みにルクスリアも【奈落堕とし】は使えない設定。
頭が陥没したインウィディア
やったのは、勿論アリエル。
頭が陥没して動かなくなったので、後回しにしてイラに集中。
まだ息の有ったインウィディアが白織の方へ!
嫉妬でアリエルの暴食は封印されて、
捧げる事は出来無かった!と言う設定。
ソフィアも、護って見せる
オリハルコンメタルの真髄。または恐ろしいポイント。
好感度が一定以上のヒロイン(異性)が相手なら、
人数無制限!と言うチートスキル。
但し折原はハーレムキングでは無いので、その用途は実行不能。
ToHeartのセリオがクロス登場しています。
今回はチョイ役ですが、後でファンタジー仕様になります。
次回は黒の核晶奪取戦クライマックス。悪夢回です。