双子(疑惑)ですが、なにか?   作:LW

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黒の核晶奪取戦クライマックス!


18 お休みなさい、ルクスリア

『【強欲】と【色欲】を捧げる』『【嫉妬】を捧げるわ』

 

「オリくん、ソフィア」

 

オリくんとソフィアの声が聞こえた。

すると蛇腹剣の拘束が解けて、インウィディアは灰のように崩れ堕ちる。

 

「アワリティアとルクスリアは!?」

 

さっきのオリくんとソフィアの声。

嫉妬だけじゃなくて、強欲と色欲も捧げられていた。

ならアワリティアとルクスリアも!と期待を込めて確認したけど、

アワリティアとルクスリアは健在だった。

 

アワリティアは苦し気にのた打ち回り、

ルクスリアも大火球の制御を失い、地上に落下している。

弱体化はしているらしい。

 

「中々楽しかったよ。

 次が有れば、正気のキミと戦いたかったかな?」

 

どうやら向こうも決着が着いたらしい。

立っているのはアリエルだ。

イラはノイズを上げながら消滅した。

 

「魔法担当!」

 

アワリティアとルクスリアが弱体化している内に、止めを刺す!

魔法担当と協力して、二つの魔法を同時展開。

 

「メドローアッッ!!!」

 

まずはデカブツのアワリティアだ。

あの竜の巨体で、メドローアを回避する余地は既に無い!

 

「随分世話になったけど、未練は無い。

 【暴食】を捧げる」

 

アワリティアのカバーに入ろうとしたグラが、

アリエルの宣言で消滅した。

メドローアは暴食で止まる事無く、アワリティアを葬る。

 

「残りは、ルクスリア一人!」

 

ルクスリアは、地上に墜ちてまだ倒れていた。

私は二発目のメドローアを構える。

メドローアなら、クリフォトを完全消滅させられる筈。

もう魂の残り香になってまで、使い潰さる事も無い!

 

「メドロー………」

 

これで終り!ルクスリアにメドローアを放とうとしたその時、

ルクスリアが輝き出して、辺りが光りに飲み込まれた。

 

 

「此処は、知ってる」

 

光りが治まると、また別の場所に居た。

今度も日本の街並み。でもこれは知っている。

平進高校が在る地元の街だ。空も普通に青い。そして何より、

 

「この姿も、懐かしい気がする」

 

私は日本に居た頃の、黒髪の女子高生の姿に戻っていた。

下半身も足が二本!普通に人間の足だった。

懐かしい二本足は、何だか鈍足過ぎる気がした。

 

「この展開。アレだよね?」

 

この展開は心当たりが有る。

判定無しでこれがそうだと気付けた時点で、

多分オリくんのオリハルコンメタルは有効。

それでもこうして見えているだけ、これの凄まじさを体感する。

 

直ぐに叡智様で干渉して、事態を打開する事も考えたけど。

私は好奇心に駆られて街を行く。

自分がどんな悪夢を見る事になるのか、興味が湧いたからだ。

 

「オリくん、ソフィア!?」

 

無意識に歩くのを委ねると、辿り着いたのは教会だった。

何だか見覚えの有るクラスメイトらしい人達が、参列している。

何の集まりかって?これは結婚式だ。

 

オリくんとソフィアの結婚式だった。

オリくんの礼服姿も決まっていたけど、ソフィアが!

ソフィアのウエディングドレス姿が、とても綺麗だった。

 

何て言ったら良いかな?幸せオーラを噴出している。

あのソフィアが!いつも影を落としている感じのソフィアが、である。

私はそれを見ているしか出来無い参列者だった。

 

「やっぱりこれって幻燈結界(ファンタズマゴリア)!!?」

 

ファンタズマゴリアとは!

原作でルクスリアが得意とした、凶悪な幻覚結界である。

捕らえた者の精神をズタズタに破壊して、SAN値直葬に追い込む。

原作でも、某実戦部隊が壊滅している。

 

「ああああああぁぁぁぁぁぁっっっっっっ!!!!!!」

 

幻覚だとしっかり認識しているのに、ガンガンSAN値が減る!

結婚式のイベントが進んで、指輪交換!誓いのキスシーンへ移行!

 

オリくんが、ソフィアとキスしてるぅぅぅっっっ!!!!!!

飛び出して止めたかった。でも、

ソフィアが余りにも幸せそうだったから、つい躊躇してしまう。

性質が悪いよ、ファンタズマゴリア!流石の悪名高さだ!!

 

「まだ、続くの!?」

 

その後は呆然とヴァージンロードを見送って、

ブーケトスも逃す事になる。ブーケを手にしたのは、男の大島君だ。

女子の参列者から非難の声!でも大島君の周りは盛り上がっていた。

 

しかも悪夢は結婚式だけで終らなかった。

オリくんとソフィアは、マイホームを購入した。

結婚式編が終り、次はイチャコラ夫婦生活編らしい。

 

「ちょっとこれって、まさかだよね!?」

 

流石は某実戦部隊をSAN値直葬に追い込む悪夢!

ファンタズマゴリアは情け容赦無かった。

オリくんとソフィアは、初日の夜から夫婦の営みに突入した。

 

ベッドに押し倒されるソフィア。

その姿に抵抗の素振りは無い。

 

私は耐えられなくなって廊下に出る。

廊下に出て目を閉じて耳を塞ぐ。それでも声は聞こえた。

 

「アアアアアアッッッッッッ!!!!!!」

 

余りのショックで、結界を破る事も忘れて倒れる。

倒れて、夜が明けた。

 

それからはもう!散々な展開だった。

その後も毎晩営みが行われて、私はそれを見せ付けられ続ける。

やがてソフィアのお腹が大きくなった。

妊娠→出産とイベントが進んで、オリくんとソフィアに子供が産まれる。

 

生まれた子供は、ソフィア似の女の子だ。可愛い。

私は子供を産みたく無いと思っている。

それは禁忌をカンストさせて、この世界の真実を知ったからだ。

気持ち悪かった。自分が殺した相手が、

自分の子供として産まれるかもしれない現実が!

 

それでも子供は可愛いかった。

また笑顔が増える。だけど、其処に私は居ない。

 

「そもそも何で私が居ないかな!?」

 

これはアレなの?私が不在。

帰って来なかった世界線の結末とか、そう言うヤツ!?

だから私が居ないの!!?

 

「それとも、アルビノじゃないから?」

 

自分の髪を見る。

黒髪だった。日本に居た頃の黒い髪。

 

オリくんは私の事を好きだと言ってくれた。

でもオリくんは、アルビノ好きだった。

それで私がこの世界に居ないのかもしれない。

 

「YES]

 

保留していたタッチパネルをクリックする。

Dの事とか!戦闘ノウハウとか!どうでも良くなった。

私はただ、オリくんと一緒に居たいだけだった。

 

 

≪スキルを還元します≫

≪ステータスを還元します≫

≪称号を還元します≫

≪スキルポイントを還元します≫

≪経験値を還元します≫

≪D謹製『神の基本講座』をインストールします≫

≪神化を終了します。これ以降システムサポートを一切受けられません。

 ご利用ありがとうございました≫

 

神化が完了した。

Dは戦闘ノウハウが一旦零に!と言っていたけど、

→システムサポートを一切受けられません。

と言う一文が、一番拙かったと思う。

 

オリくんのオリハルコンメタルのパスが、切断されている。

復旧の目処は、多分無い。

私が神化してスキルが、互換性の無い下位システムになった所為だ。

PS1でPS2のゲームはプレイ出来ない。それと同じ事。

オリくんのオリハルコンメタルに護られている感覚が恋しい。

 

そして危険な行為だったとも思う。

仮にもファンタズマゴリアの只中で、アレが悪夢だと気付けたのは?

間違い無くオリハルコンメタルの効果だ。

それが神化に因って切断された訳だから、

神化と同時に、悪夢に囚われても可笑しく無かった。

 

だけど元々ファンタズマゴリアは、

それが悪夢だと認識さえ出来れば破れた筈。

神化完了後に悪夢は破れて、現実に帰還する事が出来た。

 

「はっ!?サリエル様!!?」

 

どうやらアリエルも悪夢に囚われていたらしい。

今、正気に戻りました!と言う顔をしている。

 

「行ける」

 

スキルを、ステータスを、称号を、

残ったスキルポイントも、経験値も還元した。

Dの言っていた通り、戦闘ノウハウは組み直さないと行けない。

このままでは、本来なら木偶の坊の案山子だった筈。

 

だけど私はショートカットに成功していた。

神化後。ファンタズマゴリアに囚われる事で、

戦闘ノウハウを、悪夢の中で組み直した。

たった今出て来たのは、その後だ。私はもう戦える。

 

私は再度!メドローアを構える。

ルクスリアは、立ち上がろうとしていた。

その姿に、もう私が知っているルクスリアの覇気は無い。

 

「お休みなさい、ルクスリア。

 リーゼロッテ・ヴェルクマイスター」

 

メドローアを放つ。

もう二度と、貴方の眠りが妨げられませんように。

そう祈りを込めて消し飛ばした。

 

「おめでとうございます。

 黒の核晶!GETです☆」

 

はいはい。そうでした。一応それが目的だった。

空が青く晴れて、黒い月が大地に降りる。

事情を知らない原作キャラが居たら、

奈落堕としEDに見える展開である。でも此処に原作キャラは居ない。

無事に黒の核晶も手に入れる。

 

「これからどうする?」

 

色々と終った事を悟って、アリエルが話し掛けて来る。

結局手に入れた黒の核晶を含めて、やるべき事は多々有るだろう。でも!

 

「えっ人型になったから、オリくんを迎えに行く?

 あぁうんそっかぁ~、白ちゃんにはちゃっかり番が居るんだっけ?

 いやいや、番が居るのは大切な事だと思うよ?」

 

神化してアルビノになった事を散々確認して、

足も二本になって街へも自由に入れる!これでオリくんを迎えに行ける。

 

少し、ファンタズマゴリアで見た悪夢に魘されていた。

早くオリくんに逢いたい!そんな気持ちに囚われている。

 

「もう少し、待って貰えるか?」

 

先を急ぐ私の前に現れたのは、黒い人。

この異世界の管理者。黒龍ギュリエディストディエス。

まだ続くの?もう終りで良く無い!?

 

 

補足/説明枠。

異世界転生編も、もう終盤です。

 

強欲と色欲を捧げる

仮に七大罪の支配者スキルを全て揃えて挑んでも、

ルクスリアとアワリティアは、執念で残存する展開!

強キャラのスペルビアが、素直に沈むだけで御の字とも言う。

刀使いは優遇傾向な気がする。

 

逆に本作では、グラが強化されたと思う。

ダイ大原作でもメドローアをマホカンタ出来るので、

暴食でメドローアを処理出来る判定。

 

ファンタズマゴリア

11原作でも、猛威を揮ったファンタズマゴリア!

18禁攻めも余裕で出ます。

原作でも痴漢に遭って倒れる白織です。

恋人が他の女と営んでいるのを目撃したら、確実に倒れます。

 

悪夢だと認識出来る時点で、オリハルコンメタルは有効。

どんな悪夢だろう?と、確認しようとしたのがアウト。

自分でブラッドリミッターを解除するのと、同じLvの行動。

 

今回のソフィアの結婚式は、SANチェックが一番低い悪夢。

18禁攻めを解禁すると、酷い展開に堕ち続けます。

 

この悪夢イベントは白織に、

【でも子供は可愛い】と思わせる重要フラグ。

 

原作の白織は赤ん坊のソフィアも、もぐもぐしようとした程!

【美味しそう】から【可愛い】に、

人間的感性にジョブチェンジさせるには、数多くのフラグが必要。

今回の実体験もその一つです。

此処から私が最も描きたい、白織三大イベントに繋がります。

 

突然の11クロスで混乱したと思います。

ですがそれは、このファンタズマゴリアのイベントを描きたくなったから。

と言う事にして下さい。他にも理由は有りましたが、主な動機はそれです。




決戦+白織フラグに丁度良かった。と言う事。

次回は黒い人の出番です。

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