双子(疑惑)ですが、なにか?   作:LW

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今回はカティア過去回。
学園に来る前の、お見合いカティアです。


24 だからカティアは、カティアでしか無い

「あぁ、流石に凹む」

 

自分の口から出る女の声にも、もう慣れた。

その声を使って女らしく喋るのも、もう慣れていた。

女に生まれ変わったんだから、そうするしか無い。そう信じた。

 

自分には姉が居た。今じゃなくて、日本に居た頃の話だ。

女社会で揉まれて過ごした。と言っても良いと思う。

公言したい訳じゃないが姉の玩具にされて、女装させられた事も珍しく無かった。

化粧の仕方、服やアクセサリーの選び方とかも仕込まれた。

 

後はイイ男の選び方。

男にそんな事を教えてどうしろって言う感じだったけど、姉には逆らえない。

きっと何かの役に立つから!と愉しそうに笑っていた。

 

流石の姉も冗談の心算だったんだと思う。

だけど長い人生で何が役に立つのか、本当に解らない。

何の因果か、自分は女に転生した。

きっと何かの役に立つから~と姉に仕込まれた女子力スキルは、

実際に役に立った。おかげで比較的楽に公爵令嬢を演じられた。

 

女装するのも抵抗が少なかった。

女らしい言葉遣いも、直ぐに覚えた。

服やアクセサリーを選ぶセンスは、教育係に初日から褒められた。

自分は女としてやって行ける!そう信じていた。

 

「お前中身大島かよ!ウケる☆

 オィオィ、オレを笑い殺す心算か!?」

 

そうして公爵令嬢として過ごしている内に、

私も年頃になって、婚約者を紹介された。

 

相手はレングザンド帝国王太子、ユーゴー・バン・レングザンド。

詰りは王族。公爵令嬢の婚約者として、これ以上相応しい相手はそう居ない。

これは私の人生詰んだかなぁ?と、

割と本気で覚悟を決めて、婚約者との見合いに望む。

 

ハッキリ言ってしまうと私は、まだ【大島叶多】だった。

どんなに上手く公爵令嬢を演じられても、

心はカルナティア・セリ・アナバルド。カティアになっていない。

だから甘く見ていたのかもしれなかった。

 

「初めまして、王太子殿下。

 カルナティア・セリ・アナバルドと申します」

 

見合いの席には、三人の男が姿を現した。

中央に居るのが王太子殿下。式典で見掛けた事が有る。

次期剣帝の名に相応しい体育会系の偉丈夫だ。

他の二人は一歩下がった処に居る。護衛か御目付役か?

右隣りに居るのがヘラヘラした昼行燈。

左隣りに居るのは、眼鏡が似合いそうな秀才風だった。

 

「殿下」「!?」

 

「オゥ、どうしたイッセー」

 

これから見合いが!と言う処で、昼行燈が王太子殿下に何か耳打ちする。

眼鏡が似合いそうな方も、少し顔色が変わる。

そして↑冒頭の王太子殿下の台詞に戻る。

ユーゴー・バン・レングザンド王太子殿下は、

元クラスメイトの転生者。【夏目健吾】だった。

 

因みに昼行燈が夏目と仲が良かった【桜崎一成】で、

今の名前は【イッセー・ブロッサム】。帝国の伯爵家の跡取り。

眼鏡が似合いそうな方が【枝葉連理】。学年主席を独占し続けたヤツだ。

ユーゴーの弟で、帝国の第二王子。

今の名前は【レンバートン・レングザンド】。

 

帝国が誇る若き三巨頭が全員転生者!

シュンに続いて、元クラスメイトとの再会だった。

だけどシュンの時と違うのは、盛大に笑われた事。

↑笑っていたのはユーゴー一人で、

 イッセーはあっちゃ~と言う顔。レンバートンは溜息を吐いていた。

 

シュンが結構あっさり受け入れてくれたから、油断していた。

女として否定されたのが、メチャクチャ辛い。

今までの努力を否定されたのが、想像以上に辛い。

自分自身を否定されたのが辛い。その日私は、婚約を破棄された。

 

 

「兄上が失礼を。

 代わりにもならないだろうが、帝国の王子として謝罪したい」

 

真正面からバッサリ否定されて流石に凹んでいる処を、

ユーゴーの弟。レンバートンが謝罪に現れた。

こうしてユーゴーのフォローに回る事も多くて、

ユーゴーの方はイッセーが宥めているらしい。

 

「レンバートンが謝る事じゃないだろう。

 っいえ、無いですわ」

 

「楽な方で構わない。こちらも転生者で事情は把握している。

 名前もレンで良い」

 

「ならこっちもカティアで頼む。もう長いからな、慣れたよ。

 慣れた心算だった」

 

「カティア」

 

「上手くやれる心算だった。もうカティアになった心算だった。

 だけどダメだった。そう言う事だろう?」

 

結局私は大島叶多のままだった。

だからあっさり見破られて、婚約を破棄された。

そうだよな?いくら転生して女になっても、

態々元男と結婚何て、したく無いのが普通だ。これは当たり前の展開。

当たり前の展開だと理解出来るのに、どうしてこんなに辛いんだろう?

 

「カティアは、元クラスメイトの事。どれ位知っている?」

 

「レン?」

 

「こっちは全然。全員の名前すら覚えていないし、

 名字だけで、ファーストネームが出て来ないヤツもザラだ」

 

「うわっ酷くね!?」

 

学年主席の発言とは想えない、酷い台詞だった。

流石に元クラスメイトの名前位は、覚えている物じゃないのか!?

 

「カティアは解るのか?」

 

「それ位、解るさ」

 

元クラスメイトの名前を上げて行った。

親しかったヤツ。親しく無かったヤツ。

変わったヤツや、良く知らないヤツも居た。

だけど全員のフルネームは言えたと思う。レンに驚かれる。

 

「カティアは大したヤツだな?

 これでは次のフォローが、上手く行かない可能性も」

 

レンは何か呟いていたけど、やがて口を開く。

それが私の、カルナティア・セリ・アナバルドの始りだった。

 

「大島叶多と言うヤツは知らない。

 大島と言うヤツがクラスに居たような気もするが、

 叶多と言う名前は今初めて知った。

 だからカティアは、カティアでしか無い」

 

 

「宜しかったのですか?」

 

「それはこちらの台詞だろう」

 

婚約が破棄されて、レンと話す機会が出来て、それからも交流は続きました。

レンは腕の立つ魔術師で、転移魔法が得意でした。

帝国から転移して、度々顔を出してくれます。

 

レンは大島叶多を知らない。カティアしか知らない!と。

私は自身が肯定された気がしました。救われた。と言っても良いでしょう。

 

レンと会うのが楽しみになりました。

レンは私をカティアとして接してくれますから、

私はカティアとして磨きを掛けます。

 

もう女らしく喋るのも、違和感が無くなりました。

女物の服やアクセサリーを纏うのも、当たり前に。

綺麗に髪を整えないと、落ち着かない。

 

そうやってレンと交流を重ねる内に、また婚約話が上がりました。

今度の婚約相手はレンでした。

仲良さげに交流を続ける私達を見て、帝国と王国が動きました。

特に前回!一方的に婚約を破棄した帝国側は、

外交的に今度こそ!と息巻いているらしくて、勝手な話。

 

「面倒な帝位を狙う心算は無い。それは兄上に任せる心算だ。

 詰りカティアは、皇帝の妃にはなれない」

 

レンは学年主席のイメージのまま、研究者肌でした。

一日中魔法やら、魔物の研究をして居れば満足なタイプです。

権力争いに、帝位継承に興味が無い。

これだからあのユーゴーとも、上手くやって行けているのかもしれません。

 

「でも、レンのお嫁さんには成れますわ」

 

「物好きだな」

 

「それはお互い様です」

 

この人に付いて行きたい。

それが私の、偽る事の無い本心でした。

 

 

補足&解説枠。

レンはカティアルートに入りました☆

 

叶多の姉

イメージでは二人以上。

姉一人で女子力染めにされる事は無いかな?と言う判定。

 

ユーゴー・バン・レングザンド(夏目健吾)

レングザンド帝国王太子。カティアの元婚約者。

カティアが元クラスメイトの大島叶多(男)だと知って、

即座に婚約を破棄。

こればっかりはユーゴーを非難出来無い内容。

 

原作ではカティアとスーを洗脳して復讐の手駒にしていますが、

この二人を使ってエロ方面で復讐してやろう!と言う発想が皆無。健全です。

 

イッセー・ブロッサム(桜崎一成)

帝国貴族。伯爵家の跡取り。

元クラスメイトの転生者の一人で、夏目とは親友同士。

 

本作の大きな変更点の一つ。

原作ではユーゴーと再会すら出来ずに死亡しているようですが、

本作では学園開始前の時期に、既に再会している設定。

ユーゴーの右腕。ムードメーカー役を務めています。

 

今回作中で、カティアの正体がバレたのはイッセーの所業。

こっそり鑑定を使って耳打ちしています。レンはこの耳打ちに気付いた展開。

 

レンバートン・レングザンド(枝葉連理)

レングザンド帝国第二王子。ユーゴーの弟。

オリクラスメイトB。元学年主席。

ユーゴーの左腕。頭脳担当のフォロー役。

 

一日中研究して居れば満足な研究者肌。

転移魔法が得意で、

婚約破棄されたカティアの様子を、度々確認していた。

 

元々は他人に興味が薄い優等生だったが、

平進高校時代に隣りの席だった長谷部結花が、

すっかり豹変した姿を目の当たりにして、考えを改める事に。

婚約破棄のショックで、カティアが壊れる事を心配していた。

 

ヒロインの立場や肩書では無く、

ヒロイン自身を見る事。それは主人公キャラのパッシブスキルですが、

見ていない事で救われるヒロインも居る。と言うのが本作のカティア。

 

因みにオリクラスメイトが増えたので、人数調整が入っています。

原作で死亡キャラの、

生物係の小暮直史。卓球部の林康太がログアウト。

元から教室に居なかった設定。別のクラスで生存しています。




旧版とは異なり、レンがカティアルートに入っています。
何気に一成も居て、帝国の動向に大幅な変更有。

次回はケレン領過去回。
サイボーグポティマス戦です。
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