後半から過去のケレン領イベントになります。
サイボーグポティマス戦です。
「今日から実技の講義な訳だが」
学園が始ってから一週間が経過した。
復習の座学が終り、今日から実技の講義が始る。
と言っても、やはり転生者にとってはヌルゲーでしか無い。
動かない的に魔法で射撃とか!話にならない。
詰り問題は、どれだけ上手く手加減出来るか?と言う事になる。
無駄に俺スゲェ!をやる必要は無い。
「ソフィア、自信の程は?」
「ふふふふふ、大丈夫よ。問題無いわ」
同じグループのソフィアが、昏い笑みを浮かべていた。
これから呪殺でも始めそうな勢いである。
あぁそうだった。ソフィアは、一時期白織の強化キャンプに参加していたな?
護身用とかで強制的に!ケレン領でイベントが有った後の話だ。
実技(実戦)と言う事で、
当時のトラウマを自分で掘り返しているのかもしれない。
「白織は」
「?」
白織は平然としている。
だがその顔は、手加減?ナニソレ美味しいの!?と言う顔だ。
「白織は、やり過ぎるなよ?」
「………」コクコク
解っているかどうか怪しかった。
入学初日でも、フェイをデコピンでノックダウンさせている。
「おはよう!今日の調子はどう?」
「………」↑(指を立てている)
「貴方に心配される事じゃないわ」
見事なワンパンノックダウンを演じたフェイが、懲りずに関わって来る。
しかも白織とソフィアを相手に、上手く付き合いを成立させていた。
「流石は主席」
「あれが主席Lvか」
実技は始り、ヌルゲー射撃を眺める事になる。
やはり真面なのは転生者だけだった。
特に主席入学のレンバートンのLvを把握して、あれ程度で行く事を決める。
「凍てつきなさい」
手加減魔法でレンバートンと同じくパーフェクトを、
続いてソフィアも、絶妙の力加減でパーフェクトを出し続ける。
「どうよ!?」
「流石だソフィア」
やはりソフィアは制御が上手い。
得意気な顔をしているのが微笑ましい。
だが微笑ましいエピソードは此処までだった。
「ヒャド」
白織が魔法を放つ。
最下級魔法を使ったのは解る。白織なりに手加減したのも解る。
だが手加減するなら、魔力も手加減するべきだった。
「【今のはメラゾーマでは無い。メラだ】」
あっやっちまった!と言う顔の白織。
ヒャドで的周辺が、広範囲に凍結している。
終ってからネタに走って誤魔化そうとしたが、
そのネタが解るのは転生者だけだ。
「今のはヒャドでしょうがぁぁぁっっっ!!!!!!」
そのネタが解る転生者のソフィアから、激しい突っ込みが入る。
今日も白織とソフィアは、仲が良かった。
†
『白織。話しが有るの』
管理者サミットが終って、
転移が使える私が、ソフィアをケレン領の屋敷まで送る事になった。
赤ん坊のソフィアを揺り籠に寝かせると、念話が繋がる。
『私、Ⅱに告白したわ』
『………』
ソフィアもオリくんの事が好き。
何と無く察しては居た。ソフィアとも長い付き合いだから。
『Ⅱの隣りに居る間だけ、私は私で居られた。
私に興味が無かっただけかもしれないけど、それでも私は救われた。
日本に居た時から、ずっと好きだった』
『………』
『でも、告白何てする気は無かった。
Ⅱはあんなヤツだし、私は自分に自信何て無かったから』
『なら、どうして?』
『転生して、人並みの容姿を手に入れたわ。
だから、人並みの幸せも欲しくなった。この気持ちが抑えられなくなった。
ごめんなさい。私は、Ⅱの事が好き』
ソフィアの告白を、ただ静かに聴く。
だけど私は、突如結界が張られた事を認識する。
屋敷全体を覆う封鎖結界だ。
「ソフィア!」
『ちょっ!?何っっ!!?』
揺り籠に寝かしたばかりのソフィアを抱き上げる。
抱き上げて、即離脱。
するとフード姿の侵入者が、窓を破って室内に侵入して来る。
「バギ」
狭い室内で有る事を考慮してバギを放つ。
先頭の侵入者が吹き飛ばされて壁に激突。フードが捲れる。
「エルフ」
「ッッ!!!」
侵入者はエルフ!
ついさっき管理者サミットでも話題に上がった、世界の害悪のエルフだ。
元々侵入者相手に手加減何てする心算は無かったけど、これで完全に無くなった。
「イオラ」
ソフィアの部屋を素早く脱出!
そしてソフィアには悪いけど、部屋に向けてイオラを放つ。
背後でイオラの爆裂音が響く。
ソフィアの部屋に侵入して来たヤツはあれで良い。
そのままソフィアを抱いてエントランスへ!どうせまだ居る。
「ふむ、伯爵家の護衛の者か?
その赤子は渡して貰おう」
拓けたエントランスには、
もうエルフである事を隠す気も無いのか、顔を晒した一人のエルフが居た。
見るからにボスキャラ面である。
「メラゾーマッッ!!!」
だけどエントランスで待ち伏せが有る事は察していたから、
もう魔法は用意して有る!
メラゾーマの炎が、ボスキャラ面に向けて放たれる。
「中々の威力だ。
もう少し結界の展開が遅ければ、危うい処だった」
メラゾーマの炎は、確かにボスキャラ面を灼いた。
だけど灼き尽す前に、新たな結界が重ね掛けされて炎が減衰した。
これは経験済の展開!魔術妨害の結界だ。
『ナニアレ?サイボーグなの!?』
腕の中で、ソフィアが驚きの声を上げる。
メラゾーマの炎は、ボスキャラ面の皮膚を溶かしていた。
皮膚が溶けてその下から、どう見ても機械の骨格にしか見えない物が見える。
「ポティマス」
口から自然とその名前が出る。
本人に確認した訳でも、鑑定を使った訳でも無かった。
だけど確信的にそう思った。コイツがポティマス・ハァイフェナス。
私の発言を肯定するかのように、機械の骨格を吊り上がて嗤っていた。
†
「どうした。
片腕では辛いのかな?」
サイボーグである事がバレた所為なのか、
掌から堂々とビーム砲のような物を撃ち続ける。
これは決して魔法では無い。
腕に仕込み銃とか、サイコガンか!と言いたくなる。
「ソフィアは渡さない」
『白織。アナタ』
確かにソフィアを抱きながら戦っているから、常に片腕が塞がっている。
大技(極大呪文)を使うには、両腕が居る。
そう言う設定だからそうして来た。そう言う癖が有る。と言う事だった。
そしてソフィアを渡す心算は無い。
ソフィアには、もう黒騎士戦で助けられた。
私の為に、危険な支配者スキルを(一時的に)修得させている。
命を助けられた恩は、命で応える。ソフィアは渡さない。
「ソフィア、ローラ姫。知ってる?」
『ローラ姫?』
ローラ姫。
と言うのは、某有名RPGの一作目に登場するお姫様だ。
ゲーム開始時には既に浚われた後で、
ローラ姫の救出が、勇者の目的の一つとなる。
そして勇者がローラ姫の救出に成功すると、
ローラ姫を文字通り、お姫様抱っこでラダトーム城まで送り届ける事になる。
だけど其処で問題が発生。
勇者はローラ姫を、お姫様抱っこで運んでいる。
詰り両手が塞がっている状態だ。ならどうやって、
ラダトーム城までの道中、モンスターの襲撃を掻い潜ったのか?
ルーラかキメラの翼を使った?それは無い前提である。
運良くモンスターが現れなかった?それとも逃げ続けた?
足だけで対処した。と言う説も有る。だけど、
『ちょっとおおおぉぉぉっっっ!!!!!!』
「なっしまっっ!!!」
ソフィアを、エントランスの上空に放り投げる!
勇者もこうやってローラ姫を放り投げて、
その間に襲い掛って来たモンスターを撃退した。と言う四コマ漫画が存在する。
↑勿論ローラ姫は、地面に激突させる事無くキャッチしている。
それにターゲットのソフィアを上空に放り投げたから、
サイボーグポティマスが咄嗟に視線を、上空のソフィアに向けてしまう。
戦闘中に、これは明らかな隙である。
「ベギラゴンッッ!!!」
そして放たれるベギラゴンが、サイボーグポティマスを灼き払った。
サイボーグのボディは全て融解して、運良く頭部だけが残っている。
「結界は解析済だった。と言う事か」
「二度目だから」
残った頭部にライディンを落して止めを刺す。
さっきまでのビーム砲の回避ゲームでは、
放射系魔法を使って対処してい無かった。結界の効果で、
放射系魔法の使用禁止と、ステータスダウンが発生したフリをしていた。
実際にはとっくに、キラーマシンモドキと戦った時に解析済だった。
「勤勉の支配者」
このサイボーグポティマスが、
自身の魂を憑依させた器の一つでしか無い事も、解っている。
本体との決戦はまたいつか、
オリくんと過ごす平和な未来の為!潰させて貰う。
「ソフィア、無事だった」
『無事だけど!無事だけどさぁぁっっ!!!』
ソフィアも問題無くキャッチした。
でも考えて見たらソフィアは吸血鬼だから、
赤ん坊の身でも、床に激突しても死なない気がして来た。
こうしてソフィアの実家で起きた、エルフの襲撃事件は幕を閉じる。
結果ソフィアの自室がすっかり全損したり、
エントランスにちょっと穴が開いたのは、些細な被害だと思う。
因みにこの襲撃事件の後。
Dが黒騎士戦で使った怪しい影を創造する魔法で、私は自分の影を製作。
ソフィアの護衛として配置した。と言っても襲撃は無かったから、
私の影はソフィアの実家で、メイドとして務めただけで終っている。
†
補足&解説枠。
ケレン領で起きた過去イベントの補足です。
強化キャンプ
ケレン領で、エルフの襲撃事件が有った後のイベント。
護身用の訓練と称して、レベリングの旅へ出発!
原作程のスパルタでは無いモノの、アリエルとメラゾフィスが居ない二人旅。
自炊出来るって素晴らしい!とソフィアは全力で自画自賛する事になる。
伯爵家の護衛の者か?
ソフィアはフェイカーで情報偽装をしていましたが、
ポティマスは確定情報が無くても、浚ってから調べれば良い。と判断しました。
アニメ版ではアラクネでしたが、本作では神化済で人型です。
アリエルの眷属か?と言う誤解は発生していません。
ソフィアは渡さない
白織は義理が堅牢です。
原作では日本で蜘蛛をやっていた頃、
夏目に殺されそうになった処を先生に助けられて、これが先生擁護フラグに。
更に生徒に死亡者が出ると先生が悲しむからと、
戦争で転生者に死亡者が出ないように動いています。
本作でも白織の義理堅さは健在で、
黒騎士戦でソフィアが白織を助けた事を、決して忘れません。
ですが先生擁護フラグは折れています。
フラグが立つ前に蜘蛛だった白織を、Dが人型の身代わりにしたからです。
怪しい影
Dがルクスリア以外の黒騎士を映した虚像の魔物。
白織は自身を映して影(分身)を創造する事に成功しています。
原作の白織は【産卵】のスキルを使って、
迷宮の悪夢を量産する事を都合良くセーフと判定しましたが、
本作ではアウトとします。妊娠出産に対する忌避感は、根強い設定です。
ポティマスは戦闘キャラでは無いので、
充分【視線誘導】に掛かると思う。
次回はユーリ登場回です。
聖女(狂)がやりそうな戦法を生やしました☆