双子(疑惑)ですが、なにか?   作:LW

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今回はユーリ登場回です。

髪はアッシュブロンドと描写しています。
ツッコミが有る方は、感想までお願いします。


26 磔刑の聖女Ⅰ

「それでは、始めっ!!」

 

サダルメルク学園に留学してから、早いもので一週間が過ぎました。

座学を一通り復習した。と言う事で、今日から本格的な実技が始ります。

 

「緊張するな」

 

「そうですわね?」

 

一週間も過ぎれば、クラスでグループが出来るのは異世界でも同じでした。

やはり同じ出身国でグループを作る事が多くて、

私もアナレイト王国出身者のグループに居ます。

 

「おはよう!今日の調子はどう?」

 

「………」↑(指を立てている)

 

「貴方に心配される事じゃないわ」

 

ですがフェイは、早くもサリエーラの生徒の輪に入っていました。

初日で結構な騒ぎを起こしていた気もしましたが、

付き合いを成立させている様子です。

 

白織・サイネリアとソフィア・ケレン。

そして二人の婚約者、フェンブレン・ツヴァイ・サイサリス。

三人共、元クラスメイトの転生者です。

白織は神獣の巫女だと噂されていますから、特に目立っています。

 

「フェイは凄いよな?

 サリエーラで、もう上手くやってるんだ」

 

「そうですわね?」

 

「カティア」

 

口から先程と同じ言葉が出ていました。

上の空です。流石にシュンに心配させてしまいます。

出来る事なら、私もレン(婚約者)と同じグループが良かった。

 

「今からでも行って来たらどうだ?」

 

「ですが」

 

サダルメルク学園に留学してから、まだレンと話しが出来ていません。

講義に出席しているようですが、終れば姿を消してしまいます。

レンは転移が得意ですから、

学園内でも使っているのでは?と思う程のロスト振りです。

 

「こう言うのは、一人で悩んでいても仕方無いから」

 

「シュン」

 

これは他人から見た方が良く解る。と言うヤツでしょうか?

実の妹に好かれても天然スルーなシュンに、アドバイスを貰う日が来る何て!

 

「レンバートン君。前へ」

 

「はい」

 

ですが私が動くより早く、レンの出番が来ました。

レンもスタンダードに、帝国出身者のグループに居ました。

講師に指名されて、前に出ます。

 

今日の実技は、一定距離からの射撃です。

的に向かって魔法で射撃します。但し火属性は禁止。延焼防止の為です。

比較的火属性が得意な私は、それだけで不利な内容。レンはどうでしょう?

 

「そう言えば?」

 

レンの事ばかり考えていましたが、

帝国のグループに、ユーゴーやイッセーが居ませんでした。

それ処かこの一週間!学園で二人を見掛けた記憶が有りません。

 

「男子寮でも見掛け無いな」

 

「留学して居ないのでは無いですか?」

 

シュンやスーも、二人を見ていないと証言します。

留学して居ない!?まず在り得ない展開だと思うのですが、どうでしょう?

今年は例の神獣の件で、誰もがサリエーラへ留学を希望しましたから。

アナレイト王国だけでは無く、帝国でも同じだと思うのですが。

イッセーはまだしも、帝位継承者のユーゴーまで来ないのは可笑しいです。

 

「流石は主席だな?レンバートン君」

 

「いいえ」

 

と思っている内に歓声が上がります。

レンが射撃の実技で、見事にパーフェクトを出しました。流石です。

 

「若葉さんっっ!!!」

 

ですがレンのパーフェクトも、続く三人の前では霞みました。

ツヴァイとソフィアはまだ良かったです。

まだ常識の範囲内で、レンと同じパーフェクトを叩き出しただけ。

ですが白織は、氷魔法で的の周辺を全て凍結させました。

 

「しかも今【ヒャド】って呟きましたよね?」

 

ヒャドと言うのは、某有名RPGに出て来る呪文です。

氷系の下級呪文。作中で一番弱い氷の魔法。

 

「これってアレだよな?

 【今のはメラゾーマでは無い。メラだ】って言うあの」

 

「使ったのは、ヒャドですけど」

 

バーン様のアレです。

シュンと二人で、懐かしいネタを思い出しました。

こうして初めての実技は終り、タイミングをすっかり逃していました。

 

 

「うわあああぁぁぁっっっ!!!!!!」

 

実技の講義が終って、これからどうしましょう?

と言う処で異変は起きました。誰か生徒の突然の悲鳴。

 

「魔物?学園の中で!?」

 

「黒いタラテクト!?」

 

声が聞こえた方を振り向くと、

其処には影のような黒いタラテクトらしい魔物が!

それも七体。いつの間にか野外演習場に姿を現していました。

 

「戦えない者は下がると良い」

 

「下がりなさい、邪魔よ」

 

突然の非常事態に、生徒達の行動は様々でした。

大半は逃げ惑うばかりですが、避難誘導をする生徒も居ます。

サリエーラグループのツヴァイと、意外ですがソフィアです。

逃げ惑うしか出来無い生徒達を庇って、黒いタラテクトの進行を防いでいます。

 

「若葉さんっ!!」

 

シュンや私は、前に討って出ようとしました。

前に引き付ける事で、後方に逃げた生徒達を狙わせない為です。

ですが半数の三体が後方へ行ってしまいます。予想以上に速い!

 

「………」

 

その内更に二体は、

壁役のツヴァイとソフィアの処に行きましたが、

残りの一体は棒立ちの白織の処へ!

ですが白織は、棒立ちのまま結界を張って攻撃を防いでいます。

結界が破れる気配は有りません。寧ろそのまま後方を守っているようです。

 

「シュン!私達は前の敵を!!」

 

「あぁ、解った」

 

白織は、

後方のサリエーラグループは大丈夫そうでしたから、前に集中します。

 

「見た事の無いタラテクト種だ。新種なのか?」

 

私とシュンが暫く後方に気を取られている間に、

前方を支えていたのは、レンとスー。それに知らない女子生徒がもう一人。

アッシュブロンドに綺麗な碧色の瞳。

実戦経験も有るのでしょうか?動きに躊躇が有りません。

 

「レン君!」

 

「あぁ、助かる」

 

女子生徒の支援魔法を受けたレンが、反撃に出ます。

タラテクト種は炎に弱いのが常識ですから、レンが選んだのも炎の魔法。

 

「灼けろ」

 

炎の範囲魔法。では無く、これは熱エネルギーそのものですか!?

閃熱が二体の黒いタラテクトを捉えて焼却。

ですが残り二体は、持ち前のスピードで回避してしまいます。

 

「レン君!危ないっっ!!!」

 

「ユーリ!」

 

残り二体の内一体が、術後硬直で動けないレンを狙います。

私とシュンは、スーと残りの一体を相手にしていたから間に合いませんでした。

レンにユーリと呼ばれた女子生徒が、

レンを庇って黒いタラテクトの凶刃に掛かりました。

 

「爆ぜろ」

 

ですが黒いタラテクトの凶刃が、確かにユーリを貫いた瞬間!

黒いタラテクト自身も引き裂かれて怯みます。

其処へレンの爆裂魔法が炸裂して、黒いタラテクトが塵になりました。

 

「無茶をする」

 

「私は【磔刑の聖女】だから」

 

「そうか」

 

黒いタラテクトに貫かれて、

致命傷でも可笑しく無かったユーリの傷は、既に塞がり始めていました。

これは自動回復系のスキルでしょうか?

 

結局残りの一体は、シュンやスーと協力して私達が。

後方の三体はツヴァイ達サリエーラグループが、いつの間にか仕留めていました。

 

 

「いやぁ、突然の出来事で大変だったね?」

 

「手伝ってくれ、フェイ」

 

フェイは後方で避難誘導をしていたのを、私は気付いていました。

迂闊に龍の力を見せる訳には行きませんから、仕方有りません。

ですがフェイも、いざと言う時は助けてくれた筈です。

 

「それより白織やソフィアは凄かったよ?

 勿論ツヴァイも」

 

何でもフェイが言うには、

あの三人の後ろには、全く攻撃が来なかったらしいです。

おかげで避難した生徒も、余り動揺していないとか。

 

「問題無く、クエストクリアだな?」

 

「………」コクコク

 

「当然の結果ね」

 

凄い余裕そうですあの三人!

そして仲が良さそう。特にツヴァイと白織が、空気が違います。

 

「若葉さん」

 

「シュン。あの二人、婚約者ですのよ?」

 

「解ってる」

 

本当ですか?少し心配ですが、今はレンです。

レンはユーリと言う女子生徒を連れて、早々に引き上げました。

多分保健室に連れて行く為です。私も保健室に向かいます。

 

「レン」

 

「カティアか」

 

レンは、保健室から出て来る処でした。

ユーリは保健室で眠っています。寝かし付けた処らしいです。

 

「自傷スキルと仕切り直しのスキル。

 それに慰め程度の止血スキルだ。あんな戦いでは、いつ死んでも可笑しく無い」

 

「それが磔刑の聖女」

 

ユーリーン・ウレン。磔刑の聖女。

噂には聞いた事が有ります。神言教の新しい聖女だと。

 

そしてその聖女が、

元クラスメイトの【長谷部結花】だと、レンは言います。

 

「長谷部さんでしたの!?」

 

確か長谷部さんはレンの、枝葉連理の隣りの席でした。

ですが特に親しかった印象は有りません。

 

「それはそうだろう。碌に話した記憶も無い。

 機会が有ったのは転生した後だ。だから此処でも間違えた」

 

「間違えた?」

 

「ユーリを見捨てた。

 こうなる前に、助けられた筈だった」

 

 

補足&解説枠。

ユーリ登場回の補足です。

 

黒いタラテクト

白織が用意したグレーター・タラテクトの怪しい影。

転生者の実戦的実力チェックの為の動く的☆

 

白織がチューニングした代物なので、速度に極振り気味。防御が紙装甲。

当たらなければ意味が無い!を地で行くステータス。

 

侵入経路の偽装として、少し離れた場所に穴が掘って有る。

この穴が学園外まで繋がっています。

 

灼けろ/爆ぜろ

大体のお察しの通り、

灼けろ→ベギラマに相当。爆ぜろ→イオラに相当する魔法。

 

磔刑の聖女

神言教の聖女の一人であるユーリの異名。

自傷スキルで受けたダメージを対象に映して、

自身は仕切り直しのスキルで致命打からも生存する。

そして慰め程度の止血スキルで傷を癒す。

 

それがいつ死んでも可笑しく無い。と称されたユーリの自己犠牲戦法。

磔刑の聖女と呼ばれる由縁である。

 

聖女は勇者をサポートする癒し手ですが、聖女にも序列が。

序列一位が勇者の共となり、聖女自体は複数人存在する。と言う設定。




転生者の中にも反射系の転生特典持ちも居ますが、
自傷は反射系でもダメージ移しでも無く、ダメージ【映し】です。

次回はユーリとの再会過去回。
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