カティアチームの探索パートです。
「レン、これは!?」
「【竜の墓標】」
フェイの必死の快走(飛行)のおかげで、
サダクビア領の手前で、先行する白織達に追い着けました。
その後レンの提案で、
私達は白織達とは分かれて、別の迂回ルートを進む事に。
霧に覆われた峡谷は視界が悪くて、
フェイの龍の直感が無ければ、危うい場面も何度か有りました。
「竜の墓標?」
「文献でしか見た事が無かったが、まさかこんな処でか」
そうして迂回ルートを進んだ私達が見たのは、
霧の峡谷に密かに佇む廃村らしき物でした。
ですが問題は、其処では有りません。
その峡谷の廃村には、至る処に巨大な骨が野晒しになっていました。
それは陸に打ち上げられた鯨の骨かと思いましたが、
此処は異世界で、これは鯨の骨では有りません。
竜。ドラゴン。最強の魔物。
本来なら最強で在る筈の竜が、その屍を晒していたのです。
「これ、全部竜の骨なの!?」
「竜の墓標と言うのは、古戦場か何かですの?」
「竜の骨は高額で取引される。
これだけ有れば一財産!人間の所業では無い。とされている」
竜を討伐出来る人間。
凄腕の冒険者が居たとしても、それなら竜の骨の野晒しは在り得ない。
「それなら、魔物同士の?」
「その可能性も低いと言われている。
竜の墓標は世界各地で確認されているが、
竜と争った筈の、相手の痕跡が見つかった事が無い」
「竜が、負け続けたって言うの!?」
竜を討伐し続けて、痕跡も残さない。
竜は確かに屍を晒しているのに、しかもそれが世界各地に!?
「レン、
竜の墓標と言うのは、もしかして」
痕跡が無いと言うのなら、討伐者が何者か?
と言う問題に、明確な解答が出る気がしません。
ですが手段だけなら。
竜の墓標は古戦場では無い。と言う事です。
竜は何処か別の場所で敗れた。
敗れて、その亡骸が纒て遺棄された。
歴史ロマンでは無く、ミステリー路線になります。
†
「そろそろ、日が暮れそうですわ」
竜の墓標の考察で盛り上がる一幕が有りましたが、
痕跡が無い以上、やはり想像の域は出ませんでした。
「今夜は此処で野営だな。
折角の屋根だが、この有様だ。予定通りテントを設営した方が良いだろう」
「そうですわね?」
この廃村の状況では、いつ倒壊が起きても不思議では有りません。
準備して来たテントを用意します。
「フェイも、構いませんか?」
「って言うかさ、私の方がお邪魔して良いの?
カティアってレンと婚約者でしょう?」
「其処で、気を使おうとしないで下さい///」
「私は外でも大丈夫だよ?」と、気を使われてしまいます。
テントは用意して来ましたが、
男女別!と言うより、グループ別で用意するのを失念していました。
今夜は三人一緒のテントです。
「それにしてもさ、
カティアとレンは公爵令嬢と王族なのに、
平然と保存食を食べてるね?」
「何ですの、突然?」
テントを無事に立てて、夕食の時間。
フェイが疑問を口にします。今夜の夕食は、予め用意して来た保存食。
旅の野営なのですから、公爵令嬢も王族も無いと思うのですが?
「研究室に籠る時も、割と普通に食べている。
人間は不便な生き物だ。と常々思っているが」
「うわっそれ、ヒキコモリの発想だよ!?」
確かに健康に悪そうです。
ずっとポーカーがしたくて、サンドイッチを作った人かと思いました。
日本風に言うなら、
カロリーブロックやウィズゼリーで生活しているかのよう。
ブロックもゼリーも栄養補助食品ですが、主食では有りません。
料理が出来る身としては、やはり健康に悪い気がします。
「料理は出来ますが、旅先では材料の調達が」
「どの道その余裕は無い。
カティアの手料理は、次の機会と言う事で良いだろう」
†
「レン、早いですね?
おはようございます」
「おはよう。
カティアも充分早いと思うが?」
早朝。
何事も無く夜は明けた。
竜の骨が野晒しになったままの、廃村の一夜。
夜中にアンデットでも湧くかと警戒していたが、杞憂だった。
アクシデントに期待していた訳では無いから、それは良い。
「やはり気になりますか?」
「あぁ、何と言っても竜の墓標だ。
課外講義の最中なのが悔まれる」
世界各地で確認されているとは言え、やはり竜の墓標は稀少だ。
最強の魔物で在る筈の竜は、何故屍を晒す事になったのか?
竜は何者に敗れたのか?そもそも争ったのか?
カティアの考察も興味深かった。
先人が解け無かった謎に、自身も挑みたい。
課外講義の最中である事が、本当に悔まれる。
「夏季休暇に入ったら、また此処に来るとしよう」
「それでしたら、今度はレンが誘ってくれますか?」
「夏に海も行かずに、山(峡谷)で調査か?
退屈なバカンスになると思うが」
と言った処で此処は異世界だ。
夏は海!と言うのは、日本人的感覚でしか無い。
海にも魔物は出るから、異世界には海水浴と言う習慣は無かった筈。
「其処は、察して下さい」
「相変わらずの物好きだな、カティア」
決して皇帝に成れない者。
それが帝国に置ける自身の立ち位置だった。
自身には生まれながらに兄が居て、
兄は皇帝に!と望まれる立場と能力が有った。
それを羨んだ事は無い。
王族に生まれて、異世界生活で苦労する事も無く、
自由に生きる権利まで手に入れた。
先に兄が生まれてくれた事に感謝はしても、羨む事はやはり無い。
だが皇帝に成る事は無い。自身もそれを望んでいない。
だからカティアが、皇帝の妃に成る事も無い。
カティアはそれで良いと言う。
レンのお嫁さんに成れるからと、カティアは物好きだった。
今回も身一つで帝国を出て、サリエーラまで留学して来た。
帝国の王子として、出来る事は何も無い。
「調査とは別に、バカンスの時間を取ろう。
夏季休暇は長い。それ位出来る筈だ」
物好きな婚約者と、夏季休暇の計画を立てる。
だからそれは偶然だった。
早朝の朝日に竜の骨が照らされて、それが光ったように見えた。
「レン?」
カティアの声は聞こえていたが、聞いてはいない。
それに目を奪われる。
竜の骨。牙の隙間に何かが挟まっている。
それは何かの金属片に見えた。
牙の隙間に挟まっていた事から、
竜を屠った討伐者の武器や防具の破片の可能性も有ったが、
これはそんな気がしない。これは、
「鋼の翼」
これは破片でしか無いから、
ウィングと言うよりフェザーだが、何故か翼だと思った。
次にこう言う時こそ【鑑定】だろうと、
スキルを使おうとして、それに気付いた。
「寝坊にも程が有る」
「レン!来ますっっ!!」
夜中では無く早朝!
アンデットも寝坊するのか!?と、意味の無い思考が頭を巡る。
竜の墓標に相応しい骨の竜が、アンデットが湧く。
「ッッッ!!!???」
現れた骨の竜。
鰓骨が有る。元は水竜か海蛇竜なのか、本来なら無い展開。
生前の常識を覆して、アンデット化して顕在。
カティアの推理は、正解なのかもしれない。
咄嗟に謎の金属片に使う心算だった鑑定を、骨の竜に使う!
鑑定は敵対行動にも取られるアクションだが、
この状況下で、今更敵対行動も何も無い。情報が欲しい。
ドラゴンテラー LV■■■ 名前■■■■
ステータス
HP■■■■■
MP■■■■■
SP■■■■■
■■■■■
平均攻撃能力■■■■■
平均防御能力■■■■■
平均魔法能力■■■■■
平均抵抗能力■■■■■
平均速度能力■■■■■
スキル
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
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■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
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■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
称号
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鑑定結果が一気に流れて来て、眩暈がする。
種族名程度しか解らないゴミ情報だ。価値は無い。
だがこれは鑑定妨害された訳でも、LVが足りなかった訳でも無い。
この■で塗り潰された鑑定結果が、
ドラゴンテラーのステータスなのだと、鑑定のスキルは解答を出した。
嫌な予感がする。
「魔法が!?」
「マズイな」
そんな嫌な予感は見事に的中。
隣りでカティアの放った爆炎の魔法が、すり抜けた。
耐えた訳でも、無効化された訳でも無い。すり抜けたように見えた。
元から其処に何も無かったかのように、魔法がすり抜けた。
「カティア、レン!下がってっっ!!」
「フェイッ!!」
異常を察知したフェイが、初手から龍の姿で合流した。
合流したと同時に開幕からのレーザーブレス!
しかしこれも地表を撫でるだけで、ドラゴンテラーをすり抜けて行く。
「何なのコイツ?蜃気楼とかなの!?」
「撤退だ!構うなっ!!」
それなら本当に助かるが、そんな気はしない。
だから直感に従って撤退を選択!
カティアの手を取って、素早くフェイに飛び乗る。
念の為に火属性以外の魔法も撃って見たが、やはりすり抜けて効果が無い。
属性の問題!と言う解り易い展開の気配が全くしない。
「黒い霧!?」
ドラゴンテラーから黒い霧が溢れ出る。
溢れ出て、周囲に浸蝕しながら広がって行く。
浸蝕のスピードが速い。
警告を出す暇も無く、黒い霧の浸蝕に飲み込まれた。
†
補足&解説枠。
凶悪な敵キャラ登場回です。
竜の墓標
かつて前文明時代末期に龍が、人類鏖殺を決定した戦争。
人類側のHMX-13シリーズが、討伐した龍の屍を積み上げた場所。
カティアの推理通り、古戦場では無くゴミ捨て場。
【龍】では無く【竜】の墓標と呼ばれているのは、
人類に取って龍は竜共々雲の上の存在で在り、
正しい区別が出来ていないから。と言う設定。
海水浴
アナレイトやレングザンドには無い習慣。
サリエーラにも無かった習慣だが、
白織が四肢漂流事件で、水竜を乱獲してパワーバランスが崩壊!
サリエーラの浜辺は安全度が↑。急速に海水浴が流行る結果に☆
アンデットの寝坊
ドラゴンテラーが湧いたのは、金属片を解放したのがトリガー。
アンデットの睡眠無効はデフォルト。
ドラゴンテラー
HMX-13シリーズに討たれた龍の魂が、
世界に焦がした残滓。魂の影。
魂に直接干渉可能な深淵魔法か、
一部の特殊攻撃以外は、一切干渉が不能。
間違っても人類が対処可能な存在では無い。
実は原作のパペット・タラテクト(初期型)と、同格程度のステータス。
次で雨雲の巫女イベントもラストの予定。
金属片の正体に気付いた人は、勘の良い人。