双子(疑惑)ですが、なにか?   作:LW

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昔は、何気に踏み越えて来たと思う。


32 ロンダルキアの悪夢

「生きているのか?」

 

まずそれが奇跡だった。

確かにあの黒い霧に飲み込まれた。

アレは確実に致死の一撃だった。

カティアかフェイの、防御が間に合ったのか?

 

「カティア!フェイッ!!」

 

二人は直ぐ近くで倒れていた。

まだ意識は戻っていないが、二人とも無事だ。

特に変わった様子も無い。強いて言うなら、フェイが人型に戻っている程度。

 

だがこれで、二人が何とかアレを防御した。と言う可能性が下がる。

一体どうやってアレから生き残ったのか?謎は残ったままだ。

 

「気の所為か?」

 

あの黒い霧に飲み込まれるまで、手に握っていた金属片。

確かに金属片は掌に在る。在ったが、

そのサイズが、記憶の中の物とは違う気がする。

 

「大きくなって、いや違うか」

 

金属片は、元々何かの【破片】だ。

大きくなっていると言うより、欠損部分が復元した。と言うべきか?

自己修復機能か?原因は何だ?トリガーは?

 

「それは調査決定として、

 課外講義はこれで終りか」

 

未だ意識の戻らない二人と、

ドラゴンテラーの脅威を換算。退き際だろう。

課外講義は終ったのだと、そう判断した。

 

 

「ゴーレム続きだったからな?やはり、か」

 

「此処なの、白織?」

 

「………」コクコク

 

あれからもゴーレムやコボルトの襲撃は続いた。

だが霧の峡谷を進むと、

やがてコボルトの数は減り、ゴーレムの襲撃が増える。

 

それを容易く突破して、

学園側の資料に示された先に、それは在った。

 

「えっ、ちょっとこれって!?」

 

「遺跡。だろうな?

 此処から遺跡攻略タイムって事だ」

 

「ダンジョンアタック」

 

それは土砂に埋もれた建造物の入口だった。

建造物自体は埋もれているが、入口はしっかり健在。

愚かな侵入者を、今も待ち続けている。と言いた気だ。

 

「行きます。探索はお任せ下さい」

 

先頭の斥候は、経験豊富なセンサー持ちのセリオが担当。

後方警戒は、音源探知に強いソフィアが就く。

自身は白織とセンターを担当する。と言っても、

この面子でサーチに弱いヤツは居ない。当然の嗜みである。

 

「Ⅱ、可笑しいと思わない?」

 

「そうだな?ファンタジーな異世界ダンジョンと言う気がしない。

 これは、SF系ダンジョンだ」

 

「………」コクコク

 

「それで片付けるの!?」

 

このダンジョンは、ファンタジーの古代遺跡!と言う気がしなかった。

ゴブリンやコボルトが塒にして居そうな、穴倉系でも無い。

此処はSFの近未来系ダンジョン。更に解り易く言うなら、

隔離施設かシェルターを連想させる内部構造だった。

 

「前方、来ます」

 

シェルター(仮)に入ってからも、散発的な襲撃が続く。

ゴーレムが、更にロボっぽいヤツに変わった。

遂にファンタジーな異世界で、銃火器を装備!

壁が突然オープンして、砲塔が出現した事も有る。

 

「キラーマシンモドキも、装備してた」

 

「白織は、もう経験済だったな?」

 

そうだった。

この異世界はファンタジー系だが、前文明時代と言うヤツが存在する。

例の産廃エルフが大活躍した時代だ。

MAエネルギーの台頭で、SF的文明が超群雄した。

かつての日本ではフィクションだった産物が、当然のように存在したらしい。

 

「ちょっと!

 いくら私の結界の中だからって、雑談が長いわよ!?」

 

真紅の結界が、先程からロボの銃撃を防いでいた。

後方のソフィアが張る【血界障壁】だ。

自身の血で、大気中の水分を支配する水の結界術!水属性無効の効果も有る。

 

「解っている。

 大丈夫だ。問題無い」

 

「フラグ回収」

 

此処に到るまで、ゴーレムを粉砕して来たのと同じ理屈だった。

拳に龍の力を集束して、貫く。

ただそれだけで衝撃波が発生して、ロボを粉砕した。

 

「空拳」

 

「ぐはっっっ!!!!!!」

 

竜の騎士に続いて、某筋肉妖怪の真似をしてしまった!

どうしてこう、特に好きでも無いキャラのスタイルで戦う事になるのか!?

 

「闘魔滅砕陣」

 

「白織が!滅砕陣をっ!!」

 

少しばかり気落ちしていると、白織が乗って来る。

次の襲撃で、ミストバーンの【闘魔滅砕陣】を再現!

蜘蛛糸でロボを拘束して、重力魔法で押し潰した。

 

「大魔王様の御言葉は、全てに優先する」(格ゲー的勝ち台詞)

 

「うぉぉぉっっっ!!!!!!

 原作再現だぁぁっっっ!!!!!!」

 

静かにミストバーンの名台詞を、

格ゲーの勝ち台詞のように決める白織。

いつもの白い制服が、白い闇の衣を彷彿とさせる。

 

「Ⅱ、

 それに白織まで」

 

盛り上がっていたら、ソフィアに愚物を見る目で呆れられた。

ミストバーンは推しキャラである。許容して欲しい。

 

 

「開きます」

 

「流石だ、セリオ」

 

目の前で電子ロックの扉が開いた。

勿論ロックを正規の手段で開くキー何て無かった。

無かったけど、セリオがハッキングで解錠した。

 

此処に来るまでもう何度目かのロックで、

その度にセリオが活躍していた。

指紋認証とか網膜パターンとかもクリアしている。

 

「STR対抗かと思った」

 

「INTとは言わないが、

 其処はDEX対抗じゃないのか?」

 

電子ロックの扉は頑丈そうだけど、私なら力づく(STR)で壊せる。

解錠(物理)だ。

INTは、ハッキングで解錠したセリオの事。

 

「DEX?」

 

DEXでどうやって?

糸でロックを解錠すれば良いの?これって電子ロックだよ!?

でもそんな私の疑問に応えたのは、オリくんでは無くソフィアだった。

 

「あら?それなら頑丈そうな扉は避けて、

 壁を溶かせば良くないかしら?壁の方が簡単そうじゃない」

 

壁貫きか~?

壁も隔壁で、決して楽勝って事は無いと思う。

扉の方が頑丈だけど、開く為に作られた扉の方がマシな気がする。

 

「ロックはセリオの活躍で開いた。

 先に進める。それで良いだろう」

 

オリくんがそう纏めに入って、先に進む。

進んだ先に在ったのは、広いドーム状のホールだった。

広さだけじゃなくて、天井も高い。

 

「プラネタリウム?」

 

「の、投影機か?」

 

広いドーム状のホール中央に鎮座するのは、

プラネタリウムの投影機に似たナニカ。あの星座を映すヤツだ。

 

「これは天候操作装置ですね」

 

天候操作装置?

前時代文明知識の有るセリオが、解説に入る。

じゃあ雨雲の巫女とか、儀式ポイントとかはどうなるの?

 

「こちらの魔法陣に入ると、自動で動力となる魔力が吸収されます。

 恐らくそれが、雨雲の巫女の役目かと」

 

あっ本当に装置の近くに魔法陣が有る!

でもそれって、ただの魔力タンク役。生贄枠じゃないの?

 

「魔力を吸収した後に起動。

 適切な天候を保つよう設定されています」

 

「適切な天候!今の雨続きが?」

 

「プログラムの再確認を行います」

 

セリオが手動で、微調整を行う。

長年オート任せだったから、ズレが生じていたっぽい。

吸収される魔力も、致死量では無いとの事。当然と言えば当然だった。

 

「大丈夫か?白織」

 

「余裕」

 

結局は予定通り、魔力が一番高い私が魔法陣に入る事になる。

少し大きい魔法一発分程度の魔力消費だった。

雨雲の巫女的に、

何か巫女っぽいポーズを決めようとしたけど、

流石に儀式で舞うような、詳しいヤツは知らない。

 

「何か、有る?」

 

「パッと見て白織は神秘キャラだから、

 そのままで巫女もイケる!」

 

パッと見て~とか言われると、実際はそうじゃない!って聞こえるんですが!?

と若干気を悪くしていると、

「大丈夫。そんな白織も好きだから」と、抱き締められてしまう。

そうやって囁かれるだけで機嫌が良くなる私は、重傷だと思う。

暫しオリくんの温もりに、身を委ねる。

 

 

「空」

 

「天候操作装置。起動します」

 

頭上から何か、機械的な駆動音が聞こえて来る。

ドーム状の天井が開いて、空が見えた。

空は今も雨雲に閉ざされて、蒼穹が覗く事は無い。

 

「ちょっと!ナニよ、アレ!?」

 

「ボスキャラ登場!と言う事だろう」

 

空が開いて、セリオの宣言通り天候操作装置が起動する。

これで課題もクリア!と思っていたら、

開いた空から、骨の竜が飛んで来る。って何処から来たの!?

 

骨の竜はもう最初から戦闘体勢で、躊躇う事無く近づいて来る。

狙いは、セリオがオペレートしている天候操作装置!?

 

「邪魔はさせない」

 

まずは足止めに牽制。骨の竜にイオラを放つ!

だけど私のイオラは骨の竜をすり抜けて、後ろの壁を抉っただけ。

今のって、耐性とか無効化とは別次元の反応だよね!?

 

「ソフィア!」

 

その後も、事態は直ぐに動いた。

オリくんの、若干緊迫した声。ソフィアは直ぐにそれに応える。

 

骨の竜は黒い霧を放出して、あっと言う間に周囲に拡散した。

ソフィアの血界障壁が、黒い霧の浸蝕を阻んでいる。

この黒い霧!見覚えが有る。これは、

 

「腐蝕攻撃」

 

「あぁ、水を媒介にした腐蝕攻撃だ。

 範囲がエグイ」

 

水。多分骨の竜の体液が媒介。骨で体液ってどうよ!?と、

色々と可笑しいけどこの骨の竜は、アンデット化でその常識を踏み越えていた。

室内と言っても空は開いてる。霧の峡谷で、これは酷い展開。

 

「ドラゴンテラーか、

 スキルの大半がバグっている癖に、面倒なヤツが稼働しているな」

 

オリくんの稀少鑑定(レアセンサー)には、

ドラゴンテラーとか言うコイツの、面倒なスキルが表示されているらしい。

それは【再現】!それこそ面倒な説明は省くけど、

これは不死のスキルと、大差無い効果だと思う。

 

「何が、通るの?」

 

「深淵魔法と、ベースが龍だからな?

 対龍特効は入るらしい」

 

深淵魔法と対龍特効。

此処まで攻撃手段が少なく稀少だと殆ど無敵。だけど、

 

「深淵魔法なら、使える」

 

「待て、アレはドラゴンテラー(群体)になっている。

 深淵魔法一発では、仕留め切れない恐れが有る」

 

群体。複数の魔物の集合体。アンデットなら珍しく無い特性。

これは命のストックが、複数有るパターン。

 

「それなら、私達で押し切る」

 

「SD白織だと!?」

 

例の怪しい影の創造で、分身を10体創造する。

リソースを魔法行使に特化しつつ数を優先したから、

分身達がSD化した。これでも深淵魔法は使える。

 

「此処まで来ると怪しい影と言うより、マネマネだろう!?」

 

でも怪しい影の方が、愛嬌が有ると思う。

私達は様式美に習って横一列に並んで、そして唱えた。

 

「「「「「「「「「「「ザラキッッ!!!」」」」」」」」」」」

 

分身達と共に放つザラキ(深淵魔法)の11連射!

11連射のザラキを受けたドラゴンテラーは、

即座に削り切られて完全消滅した。圧倒的勝利である。

 

「ロンダルキアの悪夢か」

 

悪名高いロンダルキアのデスエンカの一つ。

横一列に並んだブリザードの、連続ザラキ!

一部ではデビルロードのメガンテも有名だけど、

お祈りタイムに突入するブリザードの方が、私は印象的だったりする。

 

 

補足&解説枠。

強いボスキャラの筈が、アッサリ沈みました☆

 

白い制服

課外講義中なので、制服を着用。

サダルメルク学園は、白制服です。

 

ドラゴンテラー強襲

前文明時代末期の戦争で、

HMX-13シリーズに敗れたドラゴンテラーは、

HMX-13シリーズを恨み、最優先攻撃対象に設定しています。

竜の墓標で目覚めた後は、

峡谷内にHMX-13シリーズの存在を感知して、強襲した流れです。

戦闘時に接近して来たのは、天候操作装置では無くセリオを狙っています。

 

黒い霧

体液を媒介にした腐蝕攻撃。周囲への浸蝕が速く、効果範囲がエグイ。

体液(水)を媒介にしているので、水属性無効で対処可能。

龍の体液なので対龍特効も入る。レン達が生き残れたのはその恩恵。

 

再現

記録を再現する実質上の不死スキル。

一部を除いて、システム内スキルでは干渉不能。




最近になってデスエンカ~デスエンカと耳にするので、
ネタになって貰いました☆

次回から季節ハズレですが、臨海学園編(水着イベ)を描く予定。
先に帝国の過去イベントが入るパターンも有。
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