双子(疑惑)ですが、なにか?   作:LW

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体育祭編の続きです。


09 還って来たのか、若葉姫色

「いやああぁぁぁっっっ!!!!!!」

 

その後も体育祭は混迷を極めた。

此処は実際に参加した競技にスポットライトを当てて行く事にしよう。

 

【ゴーストバトルバスターズ】。

競技名はアレだが、要は正月にやる羽根突きだ。根岸が参加した。

ルールは通常の羽根突きと同じだ。

一度羽根を落とす度に、墨で一筆書きの落書きをされるのもお約束!

だがこの競技に、得点と言う概念は無い。

 

この競技は一度羽根を落とす度に一筆書きの落書きをされて、

【ギブアップ】した方が敗者となる。

詰りどれだけ上手く羽根を落させて、

どれだけ上手く酷い落書きを、一筆で書くかで勝敗が決まる。

 

「大人しくしなさい、貴方は敗者!

 蹂躙されるだけの存在なのだから」

 

根岸は一筆で般若心経を描いた。勿論対戦相手の顔に、だ。

対戦相手の女子は、ガチで泣きが入っている。

 

既に呪いを掛けているのでは!?と言う空気だった。

対戦相手は足から崩れてギブアップした。

その後の試合も、対戦相手の棄権が続いて根岸が一位で優勝。

歓声は沸か無かった。クラスの出迎えも他には居ない。

 

「お疲れ。

 般若心経何て描けるんだな?」

 

「念仏を唱えたら、成仏してくれないかと思って」

 

次は【パッチワーク借り者競争】。

これも普通の【借り者】競争だった。借り者が、文字通り人間限定なだけだ。

まず100m走って、お題の入った箱からクジを引く。

次にもう100m走って、二つ目の箱からもクジを引く。

そしてクジのお題を、二つ合わせた人物を借りて来ればクリアだ。

 

但し自分の所属外の組から借りて来ると、得点を半分奪われる。

出来るだけ自分の所属の組から、相手を選ばなければならない。

 

「一つ目のお題は【美少女】か」

 

良く有るパターンの一つだ。

だがこれは楽勝の部類!白織に頼めば良い。

それにお題が【美少女】で、普通に褒め言葉だ。

女子相手に普通に頼み易い。後の問題は二つ目!

 

「【未来】だと!?」

 

微妙なヤツが来た。二つ合わせて【未来の美少女】になる。

【未来の美少女】詰り既に美少女の白織は、判定で弾かれる虞が!?

 

なら根岸に頼むか?この状況下で根岸が将来、

美容整形を受ける!と宣言していた事を思い出していた。

だがそうなると、審査員に根岸の件を説明する事になる。

 

此処で根岸の件を説明して良いのか?

アレは吹聴して良い内容だったか?恐らく普通にアウトだろう。なら、

 

「大島!来てくれっ!!」

 

此処で生贄になるのは、

先程見事な女装とダンスを披露した、大島で良いだろう。

判定も問題無くクリア出来た。一位のクリアだ。

 

「!!!」

 

サボっていた白織が、遂に他の女子に捕まった。

そして全員参加競技をサボったペナルティで、

次の競技に強制参加の刑が下された。

次の競技は【ラ・ピュセル】。不人気競技の一つだ。

 

この競技は聖女役の女子一名が、火刑台に磔刑される。

そして聖女の頭上には、

バラエティー番組で良く観る風船が!と言うシチュエーションである。

言うまでも無く、この風船は時間経過で爆発する。

中身は不明だ。運が良ければ音だけの爆発だが、

運が悪ければ、粉や水入りだろう。未通知な点が何気に酷い。

 

聖女に仕える騎士役の走者が、

導火線を切る鋏をバトンにして走るリレー競技!それがラ・ピュセルだ。

 

「何と言うジャンヌ推し競技!

 オレがジャンヌを助けてやるぜ!!と言う野望を感じる」

 

「全て燃えてしまえば良いのに」

 

だが白織は火刑を免れた。

見事聖女様が火刑台から解放された処で、午前の部が終了。

昼食を挟んで、続きは午後の部となった。

 

 

「遂に来てしまったか」

 

午後の部になった。

午後の部最初の競技は、あのプリンセスナイト走である。

舞踏会走と同じく、制服姿で行う競技だ。もう着替えは済ませて有る。

今はプリンセス役の白織を待っている処だ。

 

「オリくん」

 

「来たか、白織。

 って、それはっっ!!!」

 

準備を終えた白織が、姿を現した。

こちらと同じく!制服姿で来ると思っていたが、

白織は、純白のドレス姿で現れた。

 

「そのドレスは!?」

 

「これは―――」

 

何でもアラクネ(裁縫)部が、

プリンセスナイト走の為に用意した衣装らしい。

それにしても真っ白だ。

髪は黒髪だった。肌も白い訳では無い。瞳は言うまでも無いだろう。

だがそれでも、あの日に見たアルビノ白織を彷彿とさせられた。

 

「旅に出る必要など無かった。と言う事か」

 

「?」

 

「何でも無い。行けるか?」

 

白織は此処で、返事の代りに見事なカーテシーを決めた。

ロングドレスのカーテシーは圧巻である。

これこそ!と言う気がする。その素晴らしさに暫し言葉を失う。

 

「オリくん、

 ソフィアのカーテシー。喜んでた」

 

「観ていたのか!?」

 

「でも良い。

 喜んでくれた、見たいだから」

 

白織が首に腕を回して来る。

これはプリンセスナイト走。お姫様抱っこの合図だ。

問題無くお姫様抱っこを実行する。

 

「重く無い?」

 

「羽のように軽い。

 と応えるのがお約束だろう。大丈夫だ、行ける」

 

「オリくん、帰宅部」

 

「ゲームをプレイする為に、

 部活もやらずにバイトに励む、ゲーマーのSTRを見せてやろう。

 崖から墜ちそうなヒロインを引き上げてこそ、真のゲーマーだ!」

 

「お願い、

 今はナイトのピショップ様」

 

「それはゲームの話だ」

 

その後は無事!プリンセスナイト走をやり切って、屋上に避難した。

競技中はノリでクリアしたが、アレはガチのお姫様抱っこだ。

クラスメイトの歓待に呑まれたく無かったので、とにかく離脱!

 

だがそれ以上に白織だ。

ドレス姿の白織にすっかりやられた。

自分が今、どんなアホ面を曝しているのか?見当も着かない。

 

「避難だ。避難!

 こう言う時こそ、後はサボる」

 

残りの競技も知った事では無い。後はサボる!

そう決め込んで、屋上のベンチで休む。

 

「あらあら、

 体育祭。終ってしまいますよ?それに最後のダンスも」

 

聴き慣れた声だった。だが聴いた事が無い気もしていた。

意識が浮上する。どうやら少し眠っていたらしい。

もう黄昏時だった。

その黄昏の夕闇の中に、白織が居た。制服姿の白織だ。

 

「どうしました?

 そんな怖い顔をして」

 

それは確かに白織だった。

視覚的に、どう見ても見慣れた白織だ。

だが感覚は違った。これは白織では無い!と訴えている。

これは!この目の前の白織のようなナニカは、

つい先程恥ずかしい思いをして、プリンセスナイト走をした白織では!

自身が惚れた白織では無い!!

 

「還って来たのか、

 若葉姫色。若葉A!」

 

目の前の、

白織と同じ姿をしたヤツをそう呼ぶと、

ヤツは、若葉Aは嗤った。

嗤っていた。愉しそうに嗤っていた。

珍しい玩具を手に入れた子供のように、無邪気な子供のように、

残酷な子供のように、嗤っていた。

 

 

「本当に解るんですね?でも、残念。

 私はAでは有りません。Dです」

 

「D?」

 

「はい。AでもBでも、勿論白織でも有りません。

 私は、Dです」

 

「それで、そのDとやらが何の用だ?」

 

「連れないですね?

 もうすっかりあの子の事が好きになって、私は用済みですか?

 元々興味が有ったのは、私の方だったでしょう?」

 

「………」

 

「まぁ良いです。本当に見分けが付くのか、確かめたかっただけですから。

 【鑑定】の亜種上位互換に、似たようなスキルでしょうか?

 言うなれば【稀少鑑定】!それとも【レアセンサー】?」

 

「稀少鑑定?レアセンサー?」

 

「貴方の魂に由来する生来の能力です。

 これからもその感覚、大切にした方が良いですよ?」

 

話しは終りだ。と言わんばかりに背を向けるD。

Dを止める言葉は無い。だが最後にDは、

 

「そうだ!もう一つだけ訊いて置きましょう。

 貴方は【突然見知らぬ世界に行くとしたら、何を持って行きますか?】」

 

心理テスト?RPG?と言いたくなったが止める。

某スローライフ系ラノベ主人公は、

此処で女神に仕返ししようとして、延々と苦労する事になる。

此処はガチ解答のターン!訓練されたラノベ脳がそう判断した!!

 

「【状態異常完全無効化】だな?

 序に推しヒロインも護れれば、尚更良し!」

 

「地味で堅実なのに、贅沢です。

 まぁ良いでしょう。訊いて見ただけですから。

 では【オリくん】さん。これからも、

 あの子とイチャコラして、私を愉しませて下さい」

 

思考に、視界にノイズが入る。

気が着くと屋上のベンチで眠っていた。夢オチと言う事は無いだろう。

【D】と名乗ったもう一人の若葉姫色。

と言うより、オリジナルの若葉姫色の事を覚えている。

 

「オリくん。

 体育祭、もう終る」

 

そして目の前には、

プリンセスナイト走の時と同じ、白いドレス姿の白織が居る。

自分が知る白織だ。それがハッキリと解る。

これがDの言っていた【稀少鑑定】だか【レアセンサー】の能力なのか?

 

「白織」

 

「オリくん?」

 

白織の手を取る。

散々練習した舞踏会走の、女子をダンスに誘うポーズだ。

だが此処で、台詞差分が入る。

 

「長々と待たせて済まない。

 白織が好きだ。好きになった。ヒロインになって欲しい」

 

そう告白すると、白織に抱き着かれる。

飛び込んで来られて、長いドレスのスカートが黄昏に舞う。

確実にCG入りの一枚絵シーンである。

 

「掴まえた」

 

「離す予定は無い」

 

抱き着いて来た白織を抱き締め返した。

こうして体育祭の日に、白織と恋人同士になった。

 

これからDの言う通り、イチャコラが始る筈だった。

しかしただの人間である自分には、未来は視えない。

イチャコラが始る筈の未来は、その日の古文の授業の時間で終了する。




転生前なので、Dの白織の呼び方は【あの子】となっています。
ドレス姿の白織に、あっさり堕とされる話でした☆

今回で日本前日譚編は終り、次回から【異世界転生編】です。
ですが私の想定するシナリオでは、かなりあっさり終りそうです。

「これからどうする?
 えっ人型になったから、オリくんを迎えに行く?
 あぁうんそっかぁ~、白ちゃんにはちゃっかり番が居たんだっけ?
 いやいや、番が居るのは大切な事だと思うよ?」

と言う感じで、いきなり白織さんが登場予定☆
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