「「打ち上げ?」」
「ああ!おかげさまで無事に納品が終わったからな!是非ご馳走させてくれや!」
「いいよそんなの、俺、味覚ねぇし」
「お気持ちは嬉しいですが、俺達は充分に対価はもらっています」
納品が無事に終わったので、その祝賀会という名目らしいが、既に技術者を紹介してくれる対価をもらっているので必要ないと断った。だが……。
「まあまあ、エルフの綺麗な姉〜ちゃんもいっぱいいるから!」
「そそ!!!若い子から、熟女まで!紳士御用達の店なんだよ!」
「…う……う!」
「エルフ!!!」
「(まさかここでその種族の名前を聞くとはな……なんだろう、内容からすると嫌な予感がする……)」
「おいおい!リムルの旦那達が来ないと、始まらないぜ?」
「しょ、しょうがないなぁ…!付き合ってやるか!」
「リムル!?……わかりました。ご馳走になります」
俺達が向かう店の名は店の名前は、『夜の蝶』というらしい。
まさか……!
「「「いらっしゃいませーーー!!!」」」
店の中に入ると、数人のエルフが出迎えてくれた。
「うっひょーーーーーーーーッ!!!」
「(んなっ⁉︎こ、これは……)」
リムルはなんとも言えない声をあげるが、リムルを抱えているルインは目を逸らしてしまう
「うわーーー!可愛いい!!!お兄さん、この子抱っこしてもいいですか?」
「へっ⁉︎あ、えっと、構いませんが……」
そう言いながら、緑色のドレスを着たエルフが駆け寄ってきたので、ルインが流されるままリムルを渡すと、彼を強く抱きしめた。
「(キ、キターーーーーーーーー!!!!!)」
「ちょっとぉ!ワタシが先に目ぇつけてたのにぃ〜!!!」
「(ちょっ、やっべー!服薄ーーいいぃ!!)」
「ポヨヨンしてる!気持ちぃぃ!」
「(気持ちいいのはこっちですぅ……)」
黒髪褐色のエルフに抱かれ、リムルのスライムの身体が、プヨンプヨン、ボヨンボヨンと弾む。
「(リムルが楽しそうならいいが………目のやり場に困るな…)」
「(ここは、楽園ですか?)」
リムルが堪能している中、ルインの周りにもエルフ達が集まっていた。
「わぁー!お兄さんの翼…すんごくふわふわ!」
「本当だ!あったかーい!」
「あっ⁉︎あの、ちょっと……」
リムルはエルフの感触に鼻の下…いや、スライムを伸ばしデレデレしており、ルインは無意識に翼を出していたことに気づかず翼をもふもふされていた。ルインは、リムルと違い、頬を上気させ恥ずかしそうにしている。
「嫌がっていた割には、えらく楽しんでくれてるみたいだな、リムルの旦那?それに比べて、ルインの旦那は意外とウブだねぇ」
「え…?い、いや、それほどでも?」
「あの、流石に俺、こう言った経験は………」
「「「「……………」」」」
「(何が可笑しいんですか⁉︎)」
四人はニヤニヤしており、そのうちの一人はサムズアップをしていた。
二人が落ち着きを取り戻したところで、ルイン達は席に座り、食事や酒を楽しんでいた。
「いや本当、旦那らには感謝してるんだ。お陰でドワーフ王への面目が立つ。」
「俺は何もしていませんよ、リムルが全部解決したようなものですから」
「謙虚だな。しかし恐れ入ったよ、俺の渾身の一振りが、まさか数秒で量産されちまうとはね」
「カイジンの一振りが素晴らしかったからな。俺はそれを複製しただけだ」
「カイジンさん、あなたは素晴らしい職人ですよ」
「…………」
俺達のこの言葉に嘘偽りはない。実際、カイジンさん以外の剣でもコピーはリムルなら可能だっただろう。しかし、彼の一振りを超える物は出来なかったと思う。何十年も剣を作り続けて精錬させた一振りはそう簡単には作り出せない。
「それでな、旦那ら…技術者を紹介してくれって話だっただろ?あれなんだがな………」
「あ、ママさん。さっきの美味しいのおかわりもらえる?」
「俺も、リムルと同じ奴をお願いします」
「お、おい……」
「はい、どうぞ。お兄さんさんはともかく、スライムさん。味、わからないんじゃなかったの?」
「綺麗な人にお酌してもらえたら、何でも美味しく感じるんだ」
「あら、お上手」
「(リムルはこう言ったこと、生前よくあったのかな?)」
話を遮ったのは、カイジンがこの国随一の職人だからだ。王に恩義があるだろうし、彼の義理堅い性格を考えて、二人は無理を言って困らせたくないと考えたのだ。
「(もう充分に見返りはもらえた感じだしな、そうだろルイン?)」
「(ああ、充分にな。それと、久しぶりに飲む果実酒はやっぱり美味いな、食事も進む……)」
リムルは頭のマシュマロのような感触を堪能し、すっかり露出の高いドレスのことを忘れたルインは、会話を楽しみながら生前でも好きだった果実酒を堪能している。因みにお酒が回っている為か、翼は出したままである。
「ねぇねぇ、スライムさん。お兄さん。これ、やってみない?」
「「ん?」」
「これ!」
俺達に声を掛けてきた褐色に黒髪のエルフの女の子は仕草で何かを伝えてくる
「私、“これ”得意なんだよ?“結構凄い”って、好評なんだから。」
「へ、へぇ〜。それで、一体ナニをするんだ?」
「(いや、リムル。あの仕草は恐らく)占いですか?」
「お兄さん正解!」
「(あ、なんだ……)」
リムルは少し残念そうな雰囲気だった。
「何を占ってくれるんだ?」
「そうねぇ。何が良い?」
何が、と、言われて、二人はどうしようかと悩んでいると、
「スライムさんとお兄さんの運命の人とか!」
「え?」
「俺達の……運命の人?」
リムルを膝に乗せているエルフの子が、そんな事を言い出した。
「あ、それ良いかもー」
「じゃあ、まずはスライムさんから始めるね。」
リムルに有無を言わさず、占いが始まった。
「(運命の人かぁ…普通に考えたら嫁ってことだよな?)」
「(……考えたことがなかったな。そもそもその運命は色恋沙汰とは限らないし)」
「あ、映った!」
「(はっ!嫁か⁉︎)」
「(何が映る?)」
二人は映り始めた水晶玉を覗き込む。
水晶に映ったのは、左眼の眼元に火傷のような痕が付いた黒髪の女性と、5人の子供だった。
「(この娘が、俺の運命の人?)」
そこに同じように水晶玉を見ていたカイジンが声を掛けてくる。
「おい、その人、もしかして爆炎の支配者、シズエ・イザワじゃねぇか!?」
「シズエ?イザワ?」
「有名なんですか?」
ルインがカイジンに問い掛ける。
「自由組合ギルドの英雄だよ。見た目は人間の若い娘さんだが、何十年も活躍してたんだ。今はもう引退して、どっかの国で若手を育ててるんじゃなかったかな。」
「英雄……」
「(シズエ・イザワ……、逆から読むとイザワ・シズエ、リムル、水晶に映ってる女性の名前…)」
「(ああ、どう考えても俺達と同じ日本人の名前だよな…漢字なら井沢 静江ってなるしな)」
水晶に出てきた火傷傷のある女性が日本人である可能性が出てきた。同じ転生者か、ヴェルドラが言っていた召喚者なのかはわからないが……。
「スライムさん、運命の人、気になるんだ?」
「ずるーい」
「え?あ、いや…」
「うふふ、じゃあ次はお兄さんの番ね」
「あ、お願いします」
ルインの占いが始まり、数分すると何かが浮かび始める。すると和風を感じさせる雰囲気をした人物が出てきた。しかし顔がはっきりわからない
「(着物を着た桃色髪の女の子?でも顔が…)」
「お兄さんのは顔がわからないわね?女の子なのはわかるんだけど…」
「(何か、複雑な占い結果になったな)」
「(まぁ、いいさ……)」
そんな事を話していると、誰かが店に入って来る音がした。
「あら、いらっしゃい」
「おい、マダム!この店は魔物の連れ込みを許すのか?」
そんな声が聞こえてきた。
「え?い、いえ。魔物と言いましても、紳士的なスライムですし、もう一人の方はいい子ですし……」
「なにぃ?魔物じゃないとでも抜かすか!?」
「いえ……そのような訳では、決して……」
ママさんがのらりくらりと言葉を濁して怒りを逸らそうとしているのだが、全く取りあおうとしない。
「まずいな……大臣のベスターだ」
「(大臣、あの人が……)」
「(カイジンを陥れようとした噂の大臣か…)」
いかにも神経質そうな雰囲気を出すベスターは酒の入った器をもち
「ふん!魔物共にはこれがお似合いよ」
俺達にぶっ掛けてきた。
「「…………」」
リムルを膝に乗せてる子に酒がちょっと掛かったが、それを気にする素振りもない。
「た、大変……っ」
「お兄さん、スライムさん、大丈夫?」
女の子達がハンカチで濡れたリムルを拭いてくれ、ルインに手渡すが受け取る気配がない
「……俺も大丈夫だよ。お姉さんこそドレス濡れなかった?ルインも大丈夫かっ……⁉︎」
「…………」
《告、果実酒、アルコール濃度7%》
「(いや、そっちじゃない!やべー、何言ったらいいんだこりゃ!?)」
ルインはブチギレ間近だったのだ。これでキレない訳が無いが、相手が国の大臣のため、耐えている。
「お、お兄さん、大丈夫?」
「(落ち着け、手を出したら終わりだ)大丈夫、平気です」
ルインは気持ちを落ち着かせ、ハンカチを受け取り顔を拭く。リムルを膝の上に乗せているエルフはリムルを丁寧に拭き、二人は大臣を睨みつけようとした子達を諫める。
相手は一国の大臣、カイジン達やこの店の人達に迷惑を掛けるわけにはいかないとその場で耐える。
すると今まで黙っていたカイジンさんが立ち上がる。
「おや、カイジン殿。貴方もこの店にぶげらぁっ!」
カイジンが立ち上がったかと思うと、そのままベスターに近づき、思い切り右ストレートで殴り飛ばした。
「ベスター、てめぇ!俺の客に舐めた真似しやがってよ、覚悟は出来てるんだろうな?」
「きき、貴様!この私に向かって、そのような口を……!!」
「黙れぇ!!」
するともう一発重い右ストレートが炸裂し、ベスターは気絶した。
「悪かったなママさん。店を汚して。」
「それはいいけど……」
「カイジンさん、正直に言ってすっきりする一発でしたが、相手は一国の大臣ですよね?」
「この国に居られるなくなるんじゃないか?」
そう。大臣を殴ってしまえば、この国に居る事は間違いなく出来なくなるだろう。もしかすると重い罰も下されるかもしれないのだ。
「旦那さん方、あんたらは腕の良い職人を探してたんだろ?俺じゃ駄目かい?」
「え………」
「え、いいの⁉︎で、でも、王のために頑張ってきたんだろう?」
「へっ、やっぱりそれを気にしてたのかい。恩人を蔑ろにしてお仕えしたところで、王が喜ぶもんか。ここで応えなきゃ、俺は王の顔に泥を塗っちまう。だから、旦那らについて行かせてくれ!」
「…………カイジンさん!」
「実は、俺達はその言葉を待っていたんだ!これからもよろしく頼むな、カイジン!」
「ありがとうございます。カイジンさん……」
「礼なんていいさ、よっしゃ、伸びてるこいつは放っておいて、飲み直しだー!」
「「「おーーー!」」」
こうして二人は心強い強い職人が来ることになり、二人はそれを心良く受け入れたのだった。
しかし、そう簡単にいかないのが世の中だ。
リムル達の下にカイジンが来てくれる事になったはいいが、一国の大臣を殴った為、やっぱり見逃してくれるわけがない
「なぁ、兄貴に旦那達まで……何をやっているんだよ」
警備兵を引き連れてやって来たカイドウさんの第一声がこれだ。まぁ、当然か……。
「ちょいと馬鹿にお灸を据えてやっただけよ」
「ちょいとって……大臣相手にそりぁまずいだろ。とにかく、兄貴達の身柄は裁判まで一旦拘束させて貰う」
「「裁判?」」
そう言って、カイドウさんは部下に指示を出す。そんな訳で、俺達は仲良く王宮へと連行されて行ったのだった。
デザストがリムルとルイン達の世界に行くのはあり?
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あり
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無し
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作者に任せる