転生したら鳥人だった件   作:狼ルプス

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運命の出会い

 

ドワーフ王国から戻って数週間の時がたった。

 

俺達がゴブリン村に戻ると、何故かゴブリンの数が増えていた。

 

 各ゴブリンの長達の話を聞くと、そもそもの始まりは、森の秩序が乱れ始めた事に原因があるようだ。

 

牙狼族の襲撃の際、リグルド村長達が見捨てられたのも、戦力を割く余裕が無かった事に起因する、と。

 

豚頭族《オーク》に、蜥蜴人族《リザードマン》、大鬼族《オーガ》──この森の智恵ある魔物達が、森の覇権を求めて動き出したのだ。

 

今までも、小競り合いはあったようだが、暗黙の了解で、武力衝突には至らなかったらしい。

 

この森の支配者の消失という事態を受けて、これまでの鬱憤を晴らそうという動きが出たのであろう。

 

本来、魔物とは、自らの力を誇示したがる性質を持つ生き物らしい。

 

溜まりに溜まった鬱憤を晴らすべく、各種族とも準備に余念がない。戦端が開かれるのは、時間の問題であった。

 

その中でも弱小種族である子鬼族《ゴブリン》は、彼等の前にはただ蹂躙されるだけの存在でしかないのだ。

 

 

各族長ゴブリンは慌てた。

 

このままでは、自分達は争いに巻き込まれ破滅してしまうだろう、と。

 

族長会議を開き、連日話し合いが行われたが、貯まるところは、智恵無き魔物……

 

いい案など出るハズもなく、そんな中、牙狼族の襲撃の報が寄せられたが、今はそれどころでは無かったのだ。その為、リグルド村長の部族は忘れられた。

 

そして、食糧の備蓄も乏しくなって来た頃、森に新たな脅威が現れたとの報告がなされた、

 

それを駆る者達の噂を。

 

その者達は、平地を駆けるかの如く森の中を疾走し、強力な森の魔物を仕留めていった。

 

 

 「今すぐにでも、その者達の庇護下に入るべき」という主張、そして、「怪しすぎる、何らかの罠に違いない」とする主張に分かれた。

 

 罠だと訝しむ者達に、「我々を罠に嵌める理由がない!」と説得しても聞き入れない。

 

また、罠で無かったとしても、受け入れてくれるとも限らない。智恵無き身の悲しさか、言葉での結論は出なかった。

 

故に、庇護を求める者の代表達が、この場に足を運ぶ事となったのだそうだ。

 

リムルと俺は名もないゴブリン達を受け入れる事に決まった。

 

 

「来たい者だけ来ればいい」と言う言葉に従った500人のゴブリン達にそう伝えた。

 

 

カイジンさんやドワーフ三兄弟がゴブリン村に来てからはかなり発展し始めている。開拓に必要な道具や、衣類はまだ村全体とまではいかないが服を着る者も多くなり、俺の服も新調してもらった。

 

 

 

次は、名前付けである。

 

500人近くの名前、それは俺とリムル手分けして250人名付けをした

 

俺達は低位活動状態ギリギリ寸前になりながらも2日で全員の名前を付ける事が出来た。一人だったらおそらく4、5日はかかっていたかもしれない

 

リムルからは「お前がいなかったら確実にガス欠になってたよ」と感謝された。まぁ俺も魔素の消費のせいか、疲労はあるが、達成感もあった。

 

進化した族長達はリグルド村長を筆頭に、ルグルド、レグルド、ログルド…と名付けた。

 

わかるかもしれないが、並べて見ると、一目瞭然、「ら・り・る・れ・ろ」である。

 

「わかりやすい方がいいだろ?」と言うリムルの提案でつけた名前だ。名前らしくなったのは不幸中の幸いだろう。

 

何処ぞの呪術のさ、し、す組じゃないんだからな?

 

 

そして、この事で、リグルド村長をゴブリン・キングに格上げし、そして、残りの4族長をゴブリン・ロードに任命した

 

 

 

 

大工道具は、カイジンさんが抜かりなく用意してくれた。

 

衣服類は、ドワーフ三兄弟の長男ガルムさんと次男ドルドさんの指揮の元、順調に製作されている。

 

木材類は、村の空き地に順調に確保されていっていた。

 

 そして、新たな村の建設予定の区画を確認する。それは、村というよりも町と呼ぶべき規模…俺達の新たな住処だ。

 

 全ての準備が整った事を確認し、俺達は出発する。新たな地へ向けて、踏み出すための新たな第一歩の旗揚げだった。

 

 

 

 

 

 

 

「ふっ!はっ!」

 

ルインは村からかなり離れた場所で鍛練をしていた。村の開拓を手伝う合間で剣の扱いを覚えているのだ。今使っているのは水勢剣流水…ルインは流水の能力を用いながらエクストラスキル『水操作』を駆使する。

 

「水刃!」

 

ルインは流水で水刃を放つと途轍もない大きさの水の刃が放たれる。

そのスキルは、ルインとリムルが使う水刃以上の大きさだった。切れ味も鋭く、地面すらも切り裂いていた。

 

 

「………」

 

ルインは構えをとき、水勢剣流水を見つめる。

 

「(なんて力だ。水を湛えるほど切れ味が増す……大分加減も調整できるようなったが、加減していてもこれほどとはな)」

 

ルインは抉れた地面を見つめながら呟く。反対の腰には雷鳴剣黄雷がある。雷鳴剣黄雷を使って訓練をした際、使い続けた影響かエクストラスキル『雷操作』を獲得した。同時に『黄雷』を持つリムルも、繋がりし者により『雷操作』を獲得した。獲得したリムルからは「(何やってんのお前?)」と脳内会話で突っ込まれた。

 

俺の剣技はこの世界に転生してからはほぼ独学だ。剣の特性を活かしながら戦うこと、そして、武術を指南してくれる者がこの村にいないことも影響している。

 

「(今日はここまでにしよう。後は見回りでもしながら村に戻るか……)」

 

ルインは水勢剣流水を鞘に納刀すると、翼を出し空から森を巡回しながら、村に向けて飛び立つ。

 

ルインの翼は『自由の翼』により、本来の有翼族《ハーピィ》からかけ離れていた。その翼は、まるで……

 

 

 

 

 

 

 

不死鳥(フェニックス)を連想させる翼だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(この辺りは異常なし……魔獣の気配は感じないな)」

 

飛んでから数十分経ち、風にあたられながら飛行するルインは森を見渡し巡回していると、

 

「(ん?何か聴こえるな……)」

 

突然空中で止まる。ルインの持つスキル『聴覚強化』で何かを感知したからだ。

 

「(向こうから何か騒ぎ声がする……音は四つ。この音は…人間か?それとこの多い気配は……魔獣!まさか…襲われているのか)」

 

すると噴煙が昇り始めた。規模から見ると魔獣の仕業だろう。ルインは噴煙が上った方へ向う。

 

「……いた!しかしでかいなあの蟻、数は…6か…大賢者、あの蟻みたいな魔獣…いや、魔虫?、はなんて言うんだ?」

 

《解、巨大妖蟻(ジャイアントアント)です》「解説どうも!」

 

巨大妖蟻から逃げている4人組を発見した。

 

「あれ?あの三人は確か……洞窟で見た冒険者達……もう一人は新メンバーか?」

 

ルインが見た四人のうち三人はリムルと洞窟から出る際に見かけた三人だった。そして、以前見なかったもう一人は仮面を身につけている女性だった。彼女は以前はいなかった為、新メンバーかなんらかの理由で同行していると判断する。

 

 

すると仮面をつけた女性が剣を抜剣すると、刃は炎を纏った。すると、女性は炎を纏った剣を駆使し、巨大妖蟻を次々と斬り倒していく。

 

「(凄いなあの人、相当な場数を踏んでいるな、あの動きは……)」

 

ルインは助太刀に入ろうと思ったが、全て倒してしまった為、必要はなさそうだと思った瞬間……

 

「…!まずい!」

 

倒し損ねた一匹が襲いかかるも、女性は何故か動けない様子だった。ルインは一気に急降下し、水勢剣流水の柄を握りトリガーを押す。

 

【必殺読破!】

 

 

そして、一気に水勢剣流水を抜刀する。

 

 

【流水抜刀!】

 

「ハイドロ・ストリーム!」

 

俺は水勢剣流水に水を覆わせ、巨大妖蟻を縦一閃に一刀両断する。そして、衝撃が起きると、巨大妖蟻は水と化し弾けた。

 

 

突然の出来事に仮面を衝撃で飛ばされた女性はその場に座り込んで水を浴びながら呆然としていた。

 

そこに戦いを離れて見ていたメンバー達が駆け寄る。

 

「シズさん、大丈夫か?!」

 

「今の、水の斬撃…みたいでやしたね…」

 

「あの人が…」

 

「大丈夫ですか?」

 

俺は水勢剣流水を納刀し、安否を確認する。

 

「ひ、人?」

 

「人に見えるかもしれませんが、俺は魔物の有翼族(ハーピィ)です。証拠に、ほら」

 

ルインは翼を見せると驚いたような表情を見せる。

 

「ほ、本当に魔物なの⁉︎」

 

杖を持った女の子は驚いていた。

 

「(それにしても、この女の人、水晶で見た……)」

 

「オーイ、ルイーン!」

 

すると後ろからリムルが仮面を被った状態で近づき、俺の頭に乗っかる。

 

助けた人達は、リムルを見て何か面食らったような表情をしていた。

 

「……スライム?」

 

「ん?スライムで悪いか?」

 

「あ、いや……」

 

「まぁいいさ。ほら、そこのお姉さんのだろ?」

 

そう言ってリムルは頭から降りて、座り込んでいた女性に仮面を渡す。

 

「助かったよ。ありがとう」

 

「!」

 

その時に、リムルは初めてその女性の顔を確認した。

 

黒髪に黒い瞳。そして何より特徴的な左眼の下にある火傷のような跡。ドワーフ王国でエルフの女の子が占いをしてくれた時に見た女性だった。

 

 

「(思っていたより早く会えたな、運命の人……)」

 

「(シズエ・イザワ、カイジンさんが言っていた爆炎の支配者……)」

 

そんな事を思っていると、

 

「はああぁぁあ………」

 

ため息を吐きながら、背中に剣を背負った男がその場に座り込む。

 

「どうした?あんた達はどこか怪我でもしてるのか?」

 

そうリムルが聞くと、

 

「いや、精神的な疲労っつーか……」

 

「あっしら3日も巨大妖蟻に追われていたんでやんす……」

 

「荷物は落とすし」

 

「振り切ったと思って休めば寝込みを襲われやすし」

 

「装備は壊れるしぃ。くたくただし、お腹ぺこぺこだしぃ」

 

と、どんどん言葉を並べていく彼らを見てリムルは何かを思い出していた。

 

「(そう言えば……この3人、以前俺達と洞窟ですれ違った連中だよな?)」

 

「(ああ、まさかここで会うなんて思いもしなかったよ……)あの、よかったら、簡単な食事でよければご馳走しますよ?此処じゃ何ですし、俺達の町に来ますか?」

 

「魔物が町!?」

 

「怪しい…」

 

「でも悪い人じゃなさそうでやんすよ」

 

こそこそ話しているが、俺達には丸聞こえである。警戒しても仕方ないか。

 

 

「俺はルイン、町の主の片割れです。こっちのスライムは……」

 

「俺はリムル。『ぷるぷる、ぼく悪いスライムじゃないよう』!」

 

「ぶっ!」

 

無害アピールをすると、シズさんがそれに反応する。

 

 

「(!このネタわかったってことは、あのシズって言う人はやっぱり、同郷の人か?)」

 

「どうしたんでやすか、シズさん?」

 

「いや、なんでもない。それよりお邪魔しよう。この子達はきっと信用できる」

 

そう言って、シズさんはリムルに近づいて抱き上げ、そう言ってくれた。

 

「町はこっち?」

 

「あ、ああ」

 

「案内します、ついてきてください」

 

シズさんはリムルを抱き上げたまま、着いてきてくれた。俺がその隣を歩くと、冒険者の3人組も顔をお互いに見合わせてから俺達の後に着いてきてくれた。

 

「なぁ、自分で歩けるんだけど」

 

「ねぇ。スライムさんとルイン君は、国はどこ?」

 

リムルの言葉を聞き、俺達の町について聞いてきた。

 

「国と呼べる程の規模ではないぞ?」

 

「まだ名もない町ですし…」

 

「そうじゃなくて、さっきスライムさんが言っていたのはゲームのセリフでしょう?私はよく知らないけれど、同郷だった子から聞いたことがある。」

 

「同郷……」

 

「(彼女の言っている国というのは……やっぱり)」

 

「故郷はどこ?スライムさん、ルイン君」

 

「……黄金の国ジパングだよ」

 

「同じく、日本です」

 

「やっぱり!そうだと思った。私と同じだね。私は2人と会えて嬉しいよ」

 

彼女は仮面をずらして俺達に笑顔を見せながらそう言った。

 

これがこの世界に転生し、リムルにとって、ヴェルドラに次いで2番目の……運命の出会いだった。

 

 

 

 

この出会いで事態は大きく動き始める事になる。




今回ルインが出した技は変身時よりも威力は弱い方です

デザストがリムルとルイン達の世界に行くのはあり?

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