転生したら鳥人だった件   作:狼ルプス

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爆炎の精霊

「で、その人間のお客さんは、今、食事をしてるんっすか?」

 

「あぁ、そりゃ3日も逃げ回ってたらお腹も空くよな……疲れも見えてたし」

 

「3日もすか⁉︎それは大変だったんすね」

 

俺は、今、休憩中のゴブタと会話をしていた。ゴブタは俺達がドワーフ王国に忘れてしまっていたが、何とゴブタは自力で脱出してきたのだ。リグルと合流した際にゴブタを思い出し、月闇の力を使い救出を試みようとしたら、ゴブタが嵐牙狼族(テンペストウルフ)の召喚に成功し追いついてきた。あの時は本当に申し訳なかった……。

 

置いていかれたゴブタの頭の中は1つの願いで満たされていたとのことだ。

 

『この場から逃げ出したい!』…そう思った瞬間、召喚に成功したらしい。

 

大賢者曰く、『思念伝達』と『影移動』を合わせて編み出したようだ。

意外とそういう感覚的なものに関しては天才なのかもしれない。

 

 

 

しかし、残念ながら、ゴブタは説明が下手だった。俺が鍛練をする為、村から離れようとした時のことだ。

 

 

『はい!じゃあまず、オイラがお手本を見せるっす!よく見ておくっすよ』

 

 

ゴブタは仲間のホブゴブリン達にそう言うと、

 

『ふんぬううううううう……ほいっ!』

 

『『おおおおおおっ!』』

 

 ゴブタの影から嵐牙狼族(テンペストウルフ)が現れた。

 

『こんなカンジっす!みんなもやってみるっすよ!』

 

仲間のホブゴブリンにアドバイスするも誰もできず、ゴブチが説明を求めると、

 

「それじゃダメっすよ。もっとこう……“んんっ”………ときて、“ふわあ〜〜〜〜っポンッ”ってカンジっす!」

 

 

『『『『?????』』』』

 

全員、頭にはてなを浮かべ、首を傾げる。

 

『天才型、か……』

 

そう呟き、ルインは飛び去ったのだ。

 

 

 

「(こればかりは仕方がないか。こういった戦闘に関する指導者がいないと話にならないな……)」

 

ルインは内心で戦闘に関する指導者も欲しいと思った。

 

 

「おお!ここに居られましたか!探しましたぞ!!」

 

 

「リグルドさん、どうかしたんですか?」

 

「は!リムル様がルイン様を呼ぶようにと…」

 

「リムルが?わかりました、すぐに行く、案内してください。ゴブタ、話に付き合ってくれてありがとな。訓練、頑張れよ……」

 

「はいっす!一生懸命頑張るっす!」

 

そう言って、リグルドについて行く。

 

 

「あーーーーーー!ギド、ひどーーい!よくも私のお肉を!!」

 

「食卓とは戦場なんでやすよエレンの姉さん」

 

するとエレンはカバルに近づき

 

「いいわよぅ、じゃあカバルのもらうから」

 

カバルがじっと見つめていた肉を食べた。

 

「ギャーーーーーーーーーー!丹精込めて育てた俺の肉がーーーーー!!」

 

何というか

 

「賑やかな奴等だろ?」

 

「……そうだな」

 

 

いつの間にか頭に乗っかっているリムルと一緒に、テントへ入ると先程の4人が食事をしていた。同様に驚いた様子だが、口に物を含んでいなかったのが幸いしたようだ。

 

そして、俺達を見て気を取り直したのかまず例の3人組が一気に捲し立ててきた。

 

「これは失礼しました!まさか魔族に助けて頂けるとも思っていませんでしたが、助かりました!」

 

「あ!私たちは、人間の冒険者やってます!このお肉、とっても美味しいです!本当にありがとうございます!」

 

「どうも!助かりやした。しかし、こんな所にホブゴブリンが村を建設中とは思いやせんでした」

 

「ごほごほ、ぐす。」ゴクゴク

 

まあ慌てる事はない。

 

「ま、ゆっくり食事でもして、終わったら話を聞かせてくれ!」

 

リムルがそう言って、彼等の食事が終わるのを待つ事にした。どうせなら、食事が終わってから呼んでくれれば良かったのだが、その辺りはまだ気配りが出来ないようだ。今後の教育が必要な所だろう。

 

そして、気まずいだろうからと、俺達はテントを出た。食事が終わったら、俺達専用のテントに案内するよう、見張りに言いつけた。

 

リグルドさんは申し訳なさそうにしていたが、

 

「気にしなくて大丈夫です。そこらに関しては今後の課題でもありますから。」

 

 とそう慰めた。彼等は彼等なりに、成長している。最初から全て上手くいく事など無い。一歩一歩地道にだ。

 

 

 

「先ほどは失礼!」と食事を終えた4人が入ってきた。簡易テントだから、少し狭く感じる。

 

案内のゴブリナが下がると同時に、お茶を運んできた別のゴブリナが入ってきた。

   

「では、改めて、俺はここの片割れの主のリムルと言う」

 

「こちらも改めて、もう一人の町の主、ルインです。あなた方は、ここへは何をしに来られたのですか?」

 

 俺の質問は、想定内だったのだろう。ちゃんと相談する時間を与えたのだ。その辺どう答えるかは決まっていたようだ。

 

「初めまして、俺はカバル。一応、このメンバーのリーダーをしている。こいつがエレンで、こっちがギドだ。言ってわかるかな?Bランクの冒険者だ。」

 

「初めまして!エレンです!」

 

「ども!ギドといいやす。お見知りおきを!」

 

「で、こっちが道が一緒という事で、臨時メンバーになった、シズさんだ」

 

「改めて、シズです」

 

「(やっぱりあの作法は…日本人特有だな…)」 

 

「(ああ、現にシズさん以外の3人は胡座をかいて座ってるしな)」

 

シズのお茶を飲む仕草、その正座の仕方はまさに日本人のマナーである作法だった。

 

 

「これはご丁寧に。それで?」

 

 話を進める。疑う事を知らないのか、ペラペラと何をしていたのか話してくれた。

 

曰く、ブルムンド王国とやらのギルドマスターの依頼を受けてこの辺りで怪しい事が起きてないか調べていたそうだ。しかし、

 

「でな、怪しいこととか言われてもさ、何が怪しいかなんて俺らに判るわけないんだよ!」

 

「そうそぅ!ちゃんと具体的に『何々を調べろ!』って言って欲しかったよね!」

 

「いくらあっしらが調査が得意と言っても、限界があるってもんでやす!」

 

 などと、ギルドマスターの悪口を言い始める始末だ……俺はギルドマスターに同情した。

 

しかも、怪しそうな大岩に空いた穴へ不用意に剣を突き刺したら、あの巨大蟻…ジャイアントアントを怒らせてしまったらしい。呆れて言葉も出ない。

 

何故そこで、剣を突き刺すという行動を選択したのか問い詰めたい衝動を抑える。

 

そこから3日、必死で逃げて、荷物を紛失して現在に到るそうだ。何と言うか、「ドンマイ」としか言いようがなかった。

 

「この辺りに怪しい物はないと思いますが、しいて言えば、洞窟、かな?」

 

 

「いやいや、あそこには何も無かったんだよ!知ってるかな〜?“邪竜が封印されてる!”とか、言われてたんだよね。中で、お風呂も入れないのに、2週間も滞在して調査したけど、何にも居なかったもんね!」

 

「って、バカ!それは流石に言っちゃダメな話なんじゃねぇの?」

 

「知りやせんぜ?!バラしたのは、姉さんですぜ!あっしには関係ありやせんぜ!」

 

 ポロっと話したエレンに、男達は大慌てしている。

 

「(今までよく生きてたなこの3人…)」

 

「(ああ、いい意味で相当悪運が強いみたいだな…)あの洞窟、調査したと言ってたけど、何で調べに行ったんですか?」

 

宝探しに来ていた訳でもない様子だったのはすぐにわかった。

 

「もう言ってしまったもんは、しょーがねえ。実は、エレンが言った通り、邪竜の反応が無くなったと噂になってな…」

 

 

「(邪竜…おそらくヴェルドラの事だよな?)」

 

「(あそこの洞窟の竜と言えば、な…)」

 

 

魔物と同じで、ヴェルドラが消えた事で、人間も大騒ぎになったらしい。

 

 

「しかも、中は魔素が濃いから、反応石持って行ったんだが、濃度が低下しててな。完全に、異変は察知出来なかったんだよ。今じゃあの洞窟、普通よりは濃度濃いけど、唯の洞窟になっちまってる」

 

「まあ、強い魔物いっぱいいるから、入らない方がいいのは確かだけどね!お宝は何にも無かったし、鉱石なんかも何にもなし!危ない魔物、倒して中に入るメリット何にもないのよ!」

 

「探せば、盗賊達の装備くらい、落ちてるかも知れやせんが、大した物はなさそうでやす」

 

 

「(鉱石の犯人……)」

 

「(俺だな、内部の鉱石…目立つのを片っ端から捕食した犯人は……まあ、大丈夫大丈夫!!言わなきゃバレないって!!!)」

 

「(そう、だろうか……)」

 

それからも、話は続いた。三人は色々な情報を提供してくれた。

ドジなところはあるが、気のいい人達だった。洞窟の価値が減ったという事で、ここへの調査も減るだろう。

 

 

「俺たちご覧の通り町を作ってる途中だが、その、ギルド的に何か問題があったりするか?」

 

 リムルがふと訊いてみた。

 

「いや……、大丈夫だろ?」

 

「そうねぇ……ギルドが口出す問題じゃないしね。国はどうなんだろ?」

 

「うーん、あっしには判りやせん」

 

との事だった。確かに、国が動くかどうかまでは、ギルド員には判らないだろう。

 

「とりあえず、話はわかりました。今日は此処に泊ってくれても構いません。ゆっくり疲れを癒していってください」

 

「「「「ありがとうございます」」」」

 

「リグルド、リグル、このお客人方を丁重にな」

 

「「はっ!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

四人がゆっくり休んだ、翌日の事、ルインは風に当たりたいと思い、いつもの丘の上に向かうと、シズがリムルを抱えながら丘の上で町を眺めていた。

 

 

 

「リムル?シズさんも……」

 

「おはー、ルインちゃん」

 

「ルイン君…」

 

「おはようございます。二人はここで何を?」

 

「ふふ、スライムさんとお話ししてたの。そうだ、二人に聞きたかった事があるの。スライムさんとルイン君はどうやってこの世界に?異世界から渡ってくる者は、その際強く望んだ能力を得る。それが「スキル」だったり「耐性」だったりするんだけど」

 

「俺、前世は刺されて……」

 

「俺は信号無視による交通事故で……」

 

二人がそう言うと、シズから驚いたような雰囲気を感じた。

 

「その時に、背中が熱いとか血が抜けて寒いとか考えてたから、それで手に入れたんだろうな。」

 

「俺もリムルと似たようなものです」

 

「そっか……2人とも大変だったんだね。」

 

「まぁな」

 

「特に悔いもなかった言うと嘘になりますけど、親孝行はしたかったです。シズさんも、苦労したんじゃありませんか?」

 

ルインがシズにそう問いかけはじめる。

 

「シズさんが巨大妖蟻との戦いの時に剣に炎を操って戦っていましたけど、あれはこっちに来る時に望んで得た力なんですか?」

 

「いいえ、違う。炎は私にとって呪いだから」

 

「呪い?どういうことですか?」

 

するとシズは仮面を外して語りはじめる。

 

「私が元の世界で最後に見た光景は辺り一面の炎、とても怖い音が鳴り響く中、住み慣れた町は紅蓮に染まっていた。」

 

「………空襲、ですか?」

 

「多分、そう。東京大空襲って言われてるんでしょ?私の教え子……その子も日本出身なんだけど、歴史の授業で習ったらしいね」

 

俺はシズさんが経験した地獄を簡潔にだが説明してもらった……シズさんにとっては、つらい記憶だろう。

 

 

「嫌なこと思い出させてすみません……それで、シズさんはその空襲が原因でこっちの世界に?」

 

「ううん。私は死んでないよ。」

 

「え?そうなのか?」

 

「炎の中を必死に逃げ回っていた時、私はある男に召喚されたの。でも男が本当に召喚したかったのは別の誰かだったみたいで、とても落胆した様子だった。だから、すぐ私に対する興味を失ったようだったけど、ふとした気紛れからか、彼は私に炎の精霊を憑依させたの。炎を操る力をくれたけれど……同時に呪いでもあったの。この力…炎のせいで、私は大切な人達を失ってしまったから……」

 

 その時のシズが脳裏に描いたのは、この世界に来て初めてできた友である1人の少女と1匹の魔物であった。

 

 

「だからかな……人と親しくなるのは少し怖かったんだけど、やっぱり仲間っていいね。最後の旅で楽しい人達と出会えたもの。彼らはお互いを信頼してるし、遠慮なく喧嘩もするし。いい冒険者だよ。ちょっと危なっかしいけどね」

 

「(?最後?)」

 

 

ルインはシズの“最後”という単語が気になったが、あえて黙った。そして、シズは町にいるカバル達を優しげに見つめる。

 

戦争の最中に人違いでこの世界に飛ばされた挙句に呪いなんかまでかけられて、今は楽しくもどこか危なっかしい仲間たちをフォローして……「苦労」なんて言葉では纏めきれないような人生を送っているようだが、少なくとも、今は幸せなようだ。

 

 俺達はもっと彼女の話を聞きたいと思い、気分転換を兼ねて散歩に行くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わぁ………」

 

 俺達は今、ランガの背に乗り、森の中を駆け抜けていた。

 

 

「すごい速いね。聞いた事はないけど、嵐牙狼族(テンペストウルフ)だっけ?」

 

「そうだよ。ランガだ」

 

「ランガ、ご主人達をちゃんと守るんだよ」

 

「無論です。我が主達の朋友よ」

 

「……………」

 

「ルイン君、どうかしたの?さっきから黙ったままだけど……」 

 

「(顔真っ赤だぜ、ルインちゃ〜〜〜ん?)」

 

「(言わないでくれ、これでも平常心を保ってるんだ)」

 

現在3人はランガに乗っているが、スライム体のリムルはほぼ重さがないのと同じで、ランガにとっては人間二人を乗せている感覚だ。しかしそこは問題ない。問題は、シズはバイクで二人乗りをしている感じでルインにしがみついている状態のため、ルインの背中には女性特有の柔らかい感触が当たっていることだ。

 

「(やれやれ、少しは『女』に慣れろよな、無自覚イケメンさんよ……!)」

 

「(イケメン関係あるか今?)」

 

「?」

 

シズは首を傾げ、ルインはなんとか平常心を保ちながらランガに揺られて町の森を駆け抜ける。

 

「はぇ〜〜……」

 

「どうかしたのか?」

 

リムルが後ろにいるシズに声をかける。

 

「うん。町で出迎えてくれたホブゴブリンのリグルドさんも、このランガも流暢に話すなぁ……って」

 

 そう言ってシズが思い出すのは、リムル達に案内されて町へついた時に出迎えてくれたとても体格の良いホブゴブリンだ。特徴的な肌の色などがなければ、ホブゴブリンとは分かりにくかっただろう。

 

「魔物が喋るのは珍しいんですか?」

 

俺がそうシズに聞く。

 

「すごくね。でも、それ以上に魔物が町を作ってることに驚いたけど」

 

「俺達の町は気に入ってもらえたかな?」

 

リムルがそう聞くと、

 

「とっても」

 

「(よかった。シズさんは暗い顔よりも、明るい笑顔が似合ってるよ)」 

 

「(だな……)」

 

シズさんは笑顔を浮かべながらそう言った。こんな風に褒められると、皆で頑張っている甲斐があるというものだ。

 

「そうだ!面白いものをみせてやるよ!」

 

何かを思いついたのか、リムルはそう言うと、シズさんと俺を『思念伝達』で意識を繋げる。

 

「今から俺達の記憶の一部を見せるけどルインも手伝ってくれ…」

 

「わかった。『繋がりし者』があるから、多分簡単にできるはずだ」

 

「OK……シズさん、見えるか?」

 

「うん、何か見えてきた。えっと、誰かの部屋?」

 

少しずつ二つの記憶が見え始める。一つは机、本棚に沢山の本が見え、もう一つも同じように机や椅子のような物が見える。そして後者の机の上に乗せてある薄い黒い板にエルフのような女性が浮かび上がった瞬間だった。

 

 

 

「ちょっ!間違った!今のなし!!」

 

急にそう言ってルインのも含め、記憶のイメージを消した。

 

「綺麗だったよ?本がいっぱいあった部屋は…」

 

「俺の部屋です。生前は読書も趣味だったので…自然とあんなに溜まってしまって」

 

恥ずかしそうにルインは言う。生前では趣味で読書などもしており、本は漫画も含めて、溜まりに溜まってしまっていたのだ

 

 

「見せたかったのはこっちだ」

 

リムルがそう言うと、見えてきたのは一面焼け野原で瓦礫があちこちにある街のような場所。空襲の後の光景だった。徐々に道が整備された物に変わっていき、露店が建てられ、しばらくすると巨大な塔が建てられたりしていき、人々は皆笑顔を浮かばせている。

 

 イメージの中は夜に変わったが、街の明かりは夜なのに昼間だと勘違いしてしまうほどに照らしていた。俺達が過ごした日本の姿だ。

 

「すごい………これが、あの炎に包まれた街が、こんなに……」

 

シズは思わずそう呟いた。

 

「そっか……こんなに綺麗になったんだね……」

 

 

「俺はこっちでも同じように皆で楽しく暮らせる町を作りたいと思っている。それに向かって俺達も頑張っているんだ」

 

「俺もリムルと同じです。簡単にいかないのはわかっていますが、これが俺たちがやりたい事なんです。それと、シズさん、良かったらまたこの町に遊びに来てくれませんか?」

 

「え?」

 

「そうだな。同郷のシズさんにここを第二の故郷と思ってもらえたら俺達も嬉しい」

 

「……ありがとう。きっとお邪魔する」

 

 

 

リムルとルインに再来を約束した瞬間だった。その時……

 

 

 

 

 

 

ドクン!とシズの心臓が大きく鼓動し、胸を押さえる。

 

「(そんな……まさか、もう!?)」

 

「そういえば、シズさんを召喚したのって誰なんだ?」

 

「言われてみればそうだった。30人の魔法使いが3日もかけて召喚は行うと聞いてますけど、人1人を別の世界から呼び出すなんて、1人の人間でできるものではないと思いますが…」

 

 

「あの人は……」

 

シズは2人に心配をかけまいと、焦りを顔に出さないように質問に答える。

 

「この世界の頂点の一角……魔王、レオン・クロムウェル」

 

「「魔王!?」」

 

 その名を聞き、2人は驚愕の声をあげる。

 

「(いるとは聞いていたが、思わぬところで名が出たな。しかもイケメンそうな名前だしムカツク)」

 

「(シズさんを召喚した者がまさか魔王とは……)」

 

 2人がこんな事を考えているうちにも、シズの心臓の鼓動はどんどん強く、激しくなっていく。

 

「(早すぎる!!このままだと2人を巻きこんでしまう。早く離れないと……)」

 

 

しかし、既に手遅れだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シズさん、さっき最後の旅、と言っていましたけどあれってどういう……シズさん?」

 

「シズさん、大丈夫か?顔色が……」

 

脚を止めたランガから降りて、顔を俯けていたシズはいきなりリムルをランガからはたき落す。

 

「リムル!」

 

「主よ!」

 

ランガは急いでリムルの傍に駆け寄る。

 

「リムル、大丈夫か?」

 

「俺は平気だ。それより……」

 

リムル達が見る中、シズが立ち上がり、頭に乗せていた仮面が落ちる。

 

《対象の魔力が増大しました。警戒してください》

 

大賢者が警戒を呼びかけると同時に、シズを中心に炎が噴き上がる。

 

彼女の眼は、赤く染まり、その瞳は黄色くなっていた。

 

「(なんだよ、その殺気は……)

 

「(さっきまでとはまるで、別人……)」

 

「おおい!リムルの旦那ー!ルインの旦那ー!」

 

そこにカバル達三人組が町に方から駆けつけて来た。

 

「さっきなんかすげぇ火柱が見えたけど……げ!?あれ……シズさんか?何がどうなって………」

 

「……ん?」

 

「どうしたのギド?」

 

「シズ……シズエ?シズエ・イザワ?え、まさかあの……??」

 

 

 

シズは指を上に向けて曲げると、立っている場所を中心に小規模な爆発と火柱が立ち、先程まで立っていた所から更に後ろに退避して炎を避ける。

 

  

そして、その炎を見てギドは確信した。

 

「ま、間違いありやせん。彼女は『爆炎の支配者』シズエ・イザワ。その身にイフリートを宿す最強の精霊使役者(エレメンタラー)でやんす……!!」

 

「イフリートぉ!?上位の精霊じゃねーか!!」

 

「冗談でしょ!?伝説的英雄じゃない!!」

 

 三人がぎゃーぎゃー騒いでいる中、ルインは闇黒剣月闇と水勢剣流水を抜剣する

 

 「三人とも、ここは俺達に任せてここから逃げ「そんな訳にはいかねぇよ」………え」

 

 三人に逃げるよう言おうとするが、カバルがそれを止める。

 

「あの人がなんで殺意剥き出しにしてんのか知らねーが」

 

「あの人は俺達の仲間でやすよ。」

 

「ほっといて逃げるなんてできないわよ!」

 

「(シズさん、この3人は素敵な仲間達ですよ)」

 

「わかった、気をつけろよ」

 

リムルは三人にそう伝えておく。いつでも対応出来るよう、構えた時だった。

 

 「…………ハナ…………レテ………」

 

 「「「「「!!」」」」」

 

 「オサエキレナイ………ワタシカラ………ハナレテ………」

 

 そう言うシズの背後に炎を纏った何かがぼんやりと浮かび上がり始めた。

 

「(抑えきれない……?)」

 

「(そういえばシズさんは呪いだと言っていたけど………)」

 

「「(ひょっとして…/まさか……)」」

 

 《個体名シズエ・イザワと同化しているイフリートが、主導権を取り戻そうと暴走していようです》

 

大賢者が答えを導き出す。

 

「なるほど……だったらやる事は一つ」

 

「ああ……心配するなシズさん」

 

「あなたの呪いは俺達が必ず解く」

 

「任せてくれ/約束だ」

 

 素早く動けるようにリムルとルインはそう言う。

 

「……オ………ネ……ガ…イ………」

 

2人のその言葉を信じ、涙を浮かべていたシズが目を瞑る。

 

「勝利条件は、イフリートの制圧と」

 

「シズさんの救出、絶対に助けるぞ」

 

「はい!」 

 

「はは……まさか、過去の英雄と戦う日が来るようとはね……」

 

「人生、何が起こるかわかりやせんね……」

 

 

三人も武器を構える。

 

 

 

「シズさん、あなたを止められるのは……」

 

 

「「俺達だ………!」」

 

 

 

 

爆炎の支配者との戦いが、幕を開けた。

 

デザストがリムルとルイン達の世界に行くのはあり?

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