転生したら鳥人だった件   作:狼ルプス

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闇の剣士と運命

「さて、どれから使うか……」

ルインは今、自身の鍛錬場所にて、たくさんの小さな本と新たな剣を見つめていた。

 

シズさん達の一件から数日が経った。俺達がシズさんを看病していた間も、町の建設は着々と進められている。

今ではリムルと俺の指示がなくても皆んなしっかりやるべき事をやってくれる。俺も手伝おうとすると、みんなからはなぜか遠慮されてしまうのだ。何もしないでただ開拓の様子を見守るのも嫌なので、こうして自身の鍛錬をしている。町はリムルに任せている為、何かあった時は直ぐに連絡する様に伝えている。

 

今回は泊まり込みで皆んなには数日戻らないと伝えている。誤って力加減を間違えたら町に被害が及ぶ可能性があるからだ。

 

リムルがシズさんを受け入れたことで、『繋がりし者』により、俺もシズさんが持つスキルを獲得できた。

 

しかし、それだけではなかった……。

 

「(この変化は一体何を意味しているのか……)」

 

シズさんの剣が、納刀された火炎剣烈火に変化したのとほぼ同時期、リムルに流水と黄雷を出してもらうと、何故か烈火同様、鞘に納刀されており、しかも青い本と黄色の本が三冊ずつ出てきたのだ。

 

俺はリムルに何かしたのかと尋ねると「何もしてねぇよ⁉︎」と全力で否定された。大賢者に聞いてみても「理解不能」と言われた。

 

本の名前はワンダーライドブック…あの時ソードライバーを手にした途端に頭の中から情報が流れ込んだのだ。

 

ただ、無銘剣虚無だけは変化が無かった。形状も同じはずなのだが、鞘がない。試しに、烈火,黄雷,虚無を、流水が納刀されていた鞘へ納めようとすると虚無だけ拒絶反応が起こった。

 

そして俺のテントには、いつのまにか絵が描かれていない本一冊を含め沢山の本があった。その為、今、本の能力を理解する為に一冊一冊確認しているのだ。

 

 

「数日前にはブレイブドラゴンと月闇を使ったからな。今回はこのライドブックから使ってみるか」

 

ルインは闇黒剣月闇を手に持ち、クリムゾンカラーのワンダーライドブックを手に取る。

 

 

【西遊ジャーニー!】

 

 

「絵からしてもしかしてとは思っていたが、『西遊記』だよな……これ」

 

ルインは呟きながら起動すると、闇黒剣月闇にスキャンした。

 

 

【必殺リード!ジャアク西遊ジャー】

 

 

【月闇必殺撃!習得一閃!】

 

闇黒剣月闇が赤くなり、ルインが振るうと、孫 悟空が使う武器如意棒の様に伸びた。

 

 

「成る程、この本は物語に添った攻撃が出来るのか。次はこれだ」

 

 

ハリネズミの絵が載っている蛍光イエローの本を取り出し、起動させてから、闇黒剣月闇にスキャンさせる。

 

【ニードルヘッジホッグ!】

 

【必殺リード!ジャアクヘッジホッグ!】

 

 

【月闇必殺撃!習得一閃!】

 

 

 

闇黒剣月闇を上空に向けて斬撃を放つと、紫色の無数の針が現れた。闇黒剣月闇をそのまま振り下ろすと、そのまま地面に落下し、深く刺さり込む。

 

「……エグいな……魔獣だったら串刺しもいいところだ」

 

ルインは本の能力を使い、物語のジャンルを把握していった。

 

 

「今のところ、神話,生物,童話の三つの物語に分かれているんだな、これは。後は、ライドブック単体を起動させれば……」

 

 

【ライオン戦記】

 

獅子が描かれている青い本を開くと、本から青い鬣のライオンが飛び出してきた。

 

 

「召喚ができるってわけか……」

 

青のライオンは俺に寄ってきて座り込む。俺が恐る恐る撫でると気持ちよさそうにしていた。しばらく撫でてライドブックを閉じると、光の粒子となって消えた。

 

 

「ハァー、まだまだ課題は山積みだな。町の開拓もそうだが、ライドブックの能力も理解しないといけない。そう言えば、リムルも人の姿になれる様になったから俺のスキルが役に立つかもな……」

 

人の姿を得て、本格的に剣を使えるようになったリムルが、剣をいつでも使える様に理解しておかなければならない。それに俺の持つユニークスキル『自由の翼』も獲得できたようなので、飛び方を教えれば、できることの幅が更に広がるだろう。

 

「もうこんな時間か…今日は休んで、明日町に戻ろう」

 

ルインは更なる課題を考えたところで、辺りは日が暮れていた。

 

「よし、そうと決まれば、寝泊まりの準備をしないと」

 

ルインが手を前にかざすと、剣と本は消え、青い光が集まり、カイジン達が作ってくれたキャンプ道具が現れた。

 

突如と現れ事に不思議に思うかもしれないが、これは新たに獲得した『万能収納』と言うユニークスキルだ。

 

俺の所持品も多くなり、いくつかはリムルの胃袋に預けているが、リムルがいない際は不便だ。不意に「何か収容できる様な物が欲しいな」と呟いたら何故か獲得できた。俺の持つ剣や、その他道具なども収容でき、いつでも取り出せる便利なスキルだ。その為、今は剣と本を全て持ち運びできるのだ。ただしリムルは既に収容できるスキルがある為、獲得は出来なかった。理由はあるが、それはそのうち説明する

 

 

「随分と便利になったな……」

 

そう言いながら、ルインは焚き火の準備を行う。火を着けて、夕食の準備をしようとした時……

 

「……ん、なんだ、この音……?」

 

ルインは手を止め、スキル『聴覚強化』で何かを聞き取った。しかしそれは音だけではなかった。

 

「それにこの匂い、血か?魔獣特有の血の匂いじゃない、まさか、誰か襲われているのか……!?」

 

ルインは冷静に闇黒剣月闇と龍の絵が載っている紫色のライドブックを取り出し、闇移動でその場から移動する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グフフ、やっと追い詰めたぞ」

 

 

「ヒッ……」

 

あちらこちらボロボロで、瞳に涙を浮かべている桃色髪の少女が、鎧を着ている猪のような軍団に囲まれていた。

 

 

「お前を食えば、俺はまた強くなれる!」

 

 

「お、お兄様………」

 

「お前の護衛もみな俺達の力となった。後はお前を食って俺の力にする!」

 

 

「(ごめんなさい、お兄様。私は……ここまでの様です)」

 

「死ね!」

 

猪人間軍団の一人は血がこびりついた武器を振り上げ、少女の命を奪おうと振り下ろす。少女は目を閉じ、顔を腕で覆う。

 

その時、金属がぶつかり合う大きな音がした。俯いていた少女はゆっくりと顔を上げる。 

 

 

突如として現れた乱入者に驚きを隠せない猪軍団から少女の危機を救ったのは…

 

「どう言う状況だ……これは?」

 

闇黒剣月闇の刀身で相手の攻撃を受け止めていたルインだった。

 

「……え?」

 

「何っ⁉︎貴様、何処から⁉︎」

 

「取り敢えず、吹っ飛べ…!」

 

「グハァ!!」

 

ルインはスキル『身体装甲』を使い片腕のみを硬化させ、胴体を殴ると、相手は吹き飛ぶ。

 

「!?」

 

突然現れた乱入者の助太刀に少女は驚きを隠せなかった。ルインは装甲を纏った腕を見つめる。

 

「(まさかリムルと違って『進○の巨人』みたいな硬質化とはな……)」

 

「あ、あなたは…?」

 

「話は後で」

 

少女から話しかけられるが、ルインは身体装甲を解き、目の前にいる猪軍団に対峙する。

 

「貴様、何処から!?」

 

「何処でもいいでしょう」

 

「この気配、貴様、に、人間か!?」

 

「魔物ですよ。あんた達と同じ、ね」

 

「ふざけた事を!何処からどう見ても人間ではないか!!」

 

猪軍団はルインを人間と認識している。現在ルインは翼はしまっている為、人間と間違えられてしまうのだ。

 

「一つ聞く。お前達は何者で、目的はなんだ?何故この少女を襲う?」

 

「我らは豚頭族(オーク)!そして、そいつは餌だからだ!!オーガを食らって力を得る。食べた力を我が物にするのだ!人間、貴様も同様だ!!逃げられると思うな!!」

 

「人間一人で何が出来る!数は我らが有利!大人しく我らの糧となるがいい!!」

 

ルインは相手の発言に顔を伏せる。ヴェルドラの言う通り、この世界に生前の常識は通用しない、弱肉強食…強き者が生き、弱き者が負ける。それがこの世界のルールだ。

 

「俺は、無闇な争いは好まないが、どうやら今回はそうはいかないみたいだ。お前達の事情は分かったが、あえて言わせてもらいます」

 

ルインはブレイブドラゴンに似た龍の絵が描かれた紫色のワンダーライドブックを左手に持つ。

「俺は……お前達よりも強い」

 

「何だと…!?」

 

 

【ジャアクドラゴン!】

 

 

ジャアクドラゴンワンダーライドブックを起動し、片手でリビジョンガードバインドを開く。

 

【かつて世界を包み込んだ暗闇を生んだのはたった1体の神獣だった…】

 

 

ジャアクドラゴンワンダーライドブックからライドスペルによる物語の朗読が語られる。

 

ガードバインディングを閉じ、闇黒剣月闇にワンダーライドブックを読み込ませる。

 

【ジャアクリード!】

 

待機音が流れ出し、ルインはジャアクドラゴンの本を自動的に出現した腰のベルト“ 邪剣カリバードライバー”に装填した。そしてルインは自身の姿を変える言葉を口にする。

 

「変身……!」

 

闇黒剣月闇を自身の目の前に構え、柄で邪剣カリバードライバーのボタンを押した。

 

【闇黒剣月闇!】

 

ジャアクドラゴンワンダーライドブックが開き、紫色甲冑を纏った剣士の絵が描かれたページが開かれる。

 

「フッ!」  

 

 

【Get go under conquer than get keen.ジャアクドラゴン!】

 

闇黒剣月闇を振り下ろし、斬撃波を飛ばす。すると本から神獣ジャアクドラゴンが現れ、ルインの周囲を飛び回ると、紫色の炎の様なオーラが彼を包み込む。そして、斬撃波がルインの元へ帰って来る。

 

 

【月闇翻訳!光を奪いし、漆黒の剣が冷酷無情に暗黒竜を支配する!】

 

ルインの姿は大きく変わった。紫色を基調とした身体に、ネジ留めされている様な仮面に左肩の鎧、頭部にある金色の剣の兜、右肩には黒い竜の頭部を模した鎧に左腰から下がるローブ……

 

 

この世界に闇の剣士カリバーが降り立った。

 

 

 

「な、なんだ貴様は………」

オーク軍団は動揺していた。その姿からは禍々しい何かを感じ取れたからだ。

 

 

「そうだな、“闇の剣士カリバー”………とでも言おう」

 

「闇の……剣士」

 

「君はそこでじっとしててくれ…動かれると守るに守れないからな」

 

「は、はい!」

少女は突然の事に思考が追いつけずにいたが、ルインの問いかけに返事をする。

 

 

「す、姿を変えたところで何になる!!同族達よ、慌てるな!奴はたった一人……」

 

すると言葉を発したオークの一人は最期まで言葉を発せなかった。

 

 

「喋る余裕があるのならば……行動に移すべきだな」

 

カリバーが、オークの一人の鎧を貫通し、斬り裂いたからだ。

 

「生憎と、変身した姿での実戦は初めてなんでね。少し付き合ってもらうぞ…!」

 

「ガハァ!?」

 

カリバーがオーク軍団に高速接近すると、軍団は一瞬にしてルインの剣に斬り伏せられた。

 

オークを次々と倒していくカリバー…もはや勝敗は目に見えていた。少女はその光景を見て動揺していた。自身の同族ですら数で押して競り勝った者達が、たった一人の、全身鎧を纏った“人間のような何か”により押されているのだ。

 

 

 

「こんなものか?威勢が良かった割には口先だけの様だな」 

 

 

オークは武器を構え、接近して、飛び上がり奇襲を仕掛けるが、

 

カリバーは邪剣カリバードライバーにセットされたワンダーライドブックのページを押した。

 

 

【ジャアクドラゴン!】

 

「闇の炎に飲まれるといい」

 

カリバーは禍々しい紫色の炎を纏った腕を、オークに向けて放つ。

 

「ギャアァァァァ!」

 

カリバーはオークを骨すら残さず燃やし、残りはリーダー格のオークと残りの二人だけとなった。

 

「このまま退けば命は奪わない。もし来ると言うのならば……斬り伏せる」

 

 

「ちょ、調子に乗るな!」

 

「人間風情が舐めた事を!!」

 

「貴様を殺しその力を我らの糧とする!!」

 

カリバーはその場から動かずに、冷静にカリバードライバーからはライドブックを引き抜く

 

「そうか」

 

【必殺リード!ジャアクドラゴン!】

 

 

ジャアクドラゴンの本を再び邪剣カリバードライバーに装填すると、カリバーは闇黒剣月闇を構え、刀身に紫色のエネルギー刃が形成させる。

 

 

「だったらこれで話は終わりだ」

 

そして、闇黒剣月闇のトリガーを押した。

 

 

【月闇必殺撃!習得一閃!】

 

オークに向かって闇黒剣月闇を振るうと、紫色のエネルギー状の巨大な斬撃が放たれる、そして、避ける間も無くオークに直撃し爆発が起きる。

 

爆風が晴れると、オーク達は地面に倒れていた。カリバーはオークに近づき、オークの様子を窺う。

 

 

「お、お前はい、いったい……何、者だ……?」

 

 

「言ったはずだ。話は終わりだと……」

 

オークはその言葉を最期に完全に倒れ伏した。それを確認したカリバーはオークを遺体もろとも闇黒剣月闇の力で闇の中に呑み込ませる。

 

 

 

「あ、あの……」

 

「ん?」

カリバーは振り向くと、安全とわかったのか、先程の少女が近づいていた。

 

 

「助けていただきありがとうございます」

 

「気にしなくてもいい、たまたま気配を察知しっ⁉︎(こ、この子は……)」

 

彼は仮面の下から少女を見て驚いていた。額に白い角が二本あり、目の下には血涙の様な模様があった。

 

そう、ドワーフ王国の「夜の蝶」に行った時、占いで見た着物を着た桃色髪の女の子…ルインの運命の相手だった。

 

 

「?どうかされましたか?」

 

「っ、すまない。気配を察知して駆けつけただけだ。それよりも、君、怪我を……」

 

「あ、はい、かすり傷ですよ、オークから逃げてた途中、追撃されて…」

 

 

「ちょっと待っててくれ」

 

ルインはスキルを使い、リムルが作った瓶入りの回復薬を取り出した

 

「これを……回復薬だ。塗ってもいいし、かけてもいい。飲んだって構わない。俺の親友が作った物だ」

 

「は、はい」

少女は戸惑いながらも瓶を受け取り、蓋を開け、中に入っている液体を飲む

 

すると少女は水色に光だし、怪我が一瞬にして治った。

 

 

「うん、これで大丈夫だな」

 

「き、傷が治った!?」

 

少女は怪我した箇所をを確認すると追った傷が全て治っている事におどろきを隠せなかった。

 

「あ、あの貴方様は一体……?」

 

「そうか、自己紹介がまだだったな……」

 

カリバーはカリバードライバーからジャアクドラゴンライドブックを抜き、元の姿に戻る。

 

「ルイン・テンペスト。有翼族(ハーピィ)の鳥人だ」

 

「私は、名もないオーガの姫です」

 

オーガの姫は安心したのか、笑顔を見せながらそう言った。

 

これがこの世界に転生したルインにとって、ヴェルドラに次いで2番目の……運命の出会いを果たした。

デザストがリムルとルイン達の世界に行くのはあり?

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