転生したら鳥人だった件   作:狼ルプス

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リムルと大鬼族

「(ここは………?)」

 

ルインは眠りについていたはずだった。しかし、突如として見知らぬ地に放り込まれたことに気づく。そして……、

 

「………!? 」

 

目に映ったのは、衝撃的な光景だった。

 

砕けた地表は剥き出しに、地面は血で染まり、煙を出しながら座礁している。極め付けは、地面を埋め尽くす大量の死体…鎧を身につけている人間の兵士、屍が築き上げられ、見渡す限り死体、死体、死体…中には真っ二つに引き裂かれた者、首が刎ねられて原型が分からない者もいた。その溢れんばかりの血が地面を染め上げている。

 

「何だよ、これ……⁉︎」

 

ルインは何が起きたのかわからなかった。夢にしては現実味がありすぎる。

 

 

『や、やめ………』

 

 

「………!!」

 

声がする方へ振り向くと、一人の人間が命乞いをしていた。

 

 

『お、俺は命令されてやっていただけです!!西方聖教会のやつらが魔物を敵視していて……』

 

 

『…………』

 

 

「ッ!あれは……⁉︎」

 

人間の兵士の前には、血に染まった無銘剣虚無を手に取り、オレンジ色の鎧を身に纏った剣士がいた。その見た目は何処か不死鳥を連想させる様な見た目だった。そして腰にはソードライバーと似た形状のバックルを身につけていた。

 

「あれは…俺、なのか?」

 

ルインは鎧の剣士を見て、すぐに自分が変身している姿だと理解する。

 

 

『あなたも人間ならわかるはずだ⁉︎魔物は神の意のもとに残滅すべき存在!!あなたの力さえあれば魔物を滅ぼす事も……!』

 

『何を言っている?お前の言っていることは全て無意味だよ。俺達の国に犠牲者が出たんだ。お前達は敵なんだよ。お前達はこうなる事がわかっていて戦争を仕掛けたんだろ?』

 

 

すると生き残っている兵士がオレンジ色の剣士に向けて突撃してくる。数は上回っているが、剣士は

 

 

『お前達のやっている事は……何もかもが無意味だ』

 

 

【必殺黙読……抜刀】

 

無銘剣虚無をバックルの鞘に納刀してから、トリガーを押し、即座に抜刀した。

 

 

『無知な兵士達よ…無となるがいい……!』

 

 

【不死鳥…無双斬り…!】

 

 

無銘剣虚無から不死鳥を模した巨大な衝撃波を放ち、兵士達に食らわせた。兵士達に直撃すると衝撃波が起きる。

 

ルインは衝撃波が迫り、手で覆うと、目の前の光景は暗転した。

 

 

 

 

 

 

「ッ!!」

 

ルインは勢い良く飛び起きた。辺りを見渡すと外は明るく、テントの中にいた

 

「……なんだったんだ、あれは……」

 

「る、ルインさん……」

 

声のする方を見ると、オーガの姫が心配そうに見つめていた

 

「姫様、起きてたのか……」

 

「はい、おはようございます。ルインさん、魘されていましたが、何か悪い夢でも?」

 

「そのようだ……すまない、心配かけさせてしまって」

 

ルインはすぐに起き上がり身支度の準備を始める。その後、オーガの姫がテントの中で身支度をする中、ルインは外の椅子に腰掛け、火炎剣烈火を磨く。

 

 

「(あれは一体なんだったんだ?ただの夢じゃなかった……なんで俺が人間を……それに、あのバックル、似ていたが別物だった。それに、あのライドブックはなんだったんだ?)」

 

ルインは夢の内容が頭から離れなかった。あまりに現実味のありすぎる内容に疑問がたくさん出てくる。

 

「(まさか………な)」

ルインは立て掛けている闇黒剣月闇を見るが、すぐに視線を外し、火炎剣烈火の手入れに集中する。今回の件はただの夢にしておこうと決めたようだ。

 

 

ルインが視線を外した直後………闇黒剣月闇が、怪しく光っていた。

 

 

そして、準備を終えた姫が出てきた後、ルインはキャンプ道具を片付け、出立の準備が整える。

 

「よし、準備はできたか、お姫様?」

 

「はい!」

 

姫様は笑顔で元気よく返事をする。なんか物凄く心を許されてる気がした。

 

 

「移動方法は昨日と同じだ。今は朝だから違う景色も見える筈だ」

 

【ランプドアランジーナ! 】

 

ルインは黄色のライドブック、ランプドアランジーナワンダーライドブックを単体で起動させ、魔法の絨毯を召喚し、乗っかる。

 

「きゃっ……!」

 

「おっと……!」

 

乗る時に姫がバランスを崩しかけたので、ルインは手を掴む。着物ゆえか、足が上げにくかったのだろう。

 

 

「大丈夫か?」

 

「す、すみません」

 

「気にするな、こっちも配慮が足りなかった。絨毯を地面につけておけば良かったかもな」

 

 

姫は無事に絨毯に乗り、慣れたかのように座る。

 

「それじゃあ、町に向けて出発だ!」

 

「よろしくお願いします」

 

ルインの号令と同時に、二人を乗せた絨毯は空へと飛び立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇その頃、リムルは……

 

 

俺たちがシズさんの看病をしていた間も、町の開発は着々と進んでいた。カイジン、そしてドワーフ三兄弟のガルム,ドルト,ミルドが、衣類や道具作成、住居建設を進め、リグルド指揮の下、ゴブリンロード達が村の統治を行う流れが出来ていた。

 

「(よし、誰もいないな…)」

リムルは周囲を見渡し、誰もいない事を確認すると、自分達のテントの中に入っていく。

 

そして、入ってすぐに、リムルはスライムの体からシズの仮面を取り出し、柱に立て掛ける

 

「(修理完了っと!シズさん、形見、大切にするよ……)さてと……うふふ、ウハハハハ!ヘェ〜シン!」

 

リムルは姿形を変え、人間の姿へと擬態する。

 

「(すごくスムーズに擬態できるな。人間の身体だ、有難い)」

 

手を握ったり開いたりと感覚を確認し、周囲を見渡す。そして人間の持つ五感の感覚を確かめる。

 

「よし、早速イフリートが持つスキルを使ってみるか……」

 

その後も、リムルはイフリートの持つスキル『分身体』を使い、分身体の性別を男や女へと変えていく。しかし、女性寄りだとシズエ似になって、背徳感が募ったリムルは直ぐに分身体を解除し、衣服に着替える。

 

 

そして、リムルは一日人型で過ごす事に決めたのだ。

 

 

「リムル様、おはようございます」

 

「おう、おはよう」

 

 

俺は辺りを見回した。

 

上下水管道の設置を優先しているので、家はまだテントばかりだが、カイジンやドワーフ三兄弟の工房など、いくつか建て終わった箇所もある。

 

思っていた以上にリグルドの統率力が高かったようだ。

 

 

「(昨夜ルインが言っていたオーガの里の壊滅、そしてその里を壊滅させたオークの軍勢、確かにこの町も安全とは言い切れない、あいつが戻るまで俺も自身の力も確認しておかないとな……)」

 

リムルは町を見渡しながらルインの連絡内容に考え込む、ルインがオーガの姫を助けたと言った時、「このイケメンが!」と言いたかったが、声からして何かあったのだと察し、衝動を抑えた。

 

 

「リムル様!」

 

「おう、リグルド、おはよう」

 

「おはようございます。今からお出かけですかな?」

 

「ああ、ちょっと封印の洞窟までな」

 

リグルドは、ゴブリン・キングに格上げしたせいか、ますます筋骨隆々でツヤツヤになっている。

 

 

「そうだ。ゴブリン・ロード達は役に立てているか?」

 

「もちろんですとも!」

 

 リグルドは嬉しそうにそう答える。住人がおよそ500人増えた結果、流石のリグルド1人ではまとめきれないので、リグルドの下に、新たにゴブリン・ロード4人を指名した。

 

この時、ルインがいて良かったよ。スライムの俺と違って、あいつは疲労感はあったようだけど……。

 

それぞれの役職は、ルインと話し合って決めた。ルグルド,レグルド,ログルドが、司法,立法,行政を司る長官となり、ゴブリナのリリナが生産物の管理大臣となった。

 

三人の名前を決めた時、ルインは無意識に脳内で『何処ぞの呪術のさしす組じゃないんだぞ…』とボヤいてたが、何のアニメか知らんけど、いーじゃんね、『ラピュ○』だって、「カ,キ,ク,ケ,コ」ってキャラいたんだし。

 

 

まっ、今はまだ名ばかりの役職なんだけどな。細けぇことは追々決めていけばいいのだ。

 

 

「ところで、リムル様……」

  

「ん?」

 

「今日もお食事は必要ないのですか?」

 

リグルドに行く場所を伝えると、リグルドがそう訊いてきた。

 

「ああ、どうせスライムの身体じゃ味がしな……!待って!今日から俺も一緒に飯を食う事にする!」

 

「なんと!」

 

リムルの答えを聞いたリグルドが嬉しそうな顔をする。

 

「では今夜は宴会ですな。ご馳走を用意するようリリナに申し付けておきましょう。」

 

「うむ、頼んだぞ!」

 

そうしてリムルはランガに跨り洞窟を目指す。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひゃっほーーーーーーーー!」

 

リムルは嬉しそうにはしゃいでいた。何せ味覚がないスライムから人間に擬態出来る様になった事で味覚を手にしてる可能性が出てきたのだ。

 

「(こんな事態だけど、メニューは何だろう?やっぱ肉かな⁉︎肉だよな!!白米も欲しいけど稲がないからな〜〜!今度ルインと一緒に探してみるか!あいつにはかなり気を遣わせてしまったからな……)」

 

 

ルインは今まであまり食事の話題をせず、リムルの前ではあまり食べることもなかったのだ。だが今は違う。楽しく一緒に食事を味わえるとテンションが上がっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして、町の出口を目指していると、狩りに向かおうとするリグルとゴブタ達に出会った。

 

「よう、リグル!周辺警備兼食料調達、ご苦労さま!」

 

「リムル様!」

 

「今夜は宴会の予定なんだ!美味そうな獲物を頼むよ?ルインも知ったらきっと喜ぶ筈だからな、アイツには内緒だぞ?」

 

「今日はリムル様も食べるっすか?」

 

そう言うと、リグルは嬉しそうな顔をし、ゴブタが少し驚いたような顔で聞いてきた。

 

「ああ!なんてったって、この身体には味覚があるからな!」

 

「へぇー、いっぱい食べたら、おっぱいも育つっすかね?」

 

視線をリムルの胸に向けながら、失礼な事を言った。その瞬間、リムルは無言で後ろ回し蹴りをゴブタの鳩尾に打ち込む。

 

「げふぅっ!!」

 

防御する間も無く、もろに喰らったゴブタは余りの威力に吹っ飛んでしまう。もっとも、今回はゴブタの自業自得なので、助けたりはしない。ゴブタの相棒の嵐牙狼も呆れていた。

 

「すみません!ゴブタには後でキッチリと教育しておきますので、それから、特上の牛鹿をご用意しましょう」

 

「おう!頼むな!(んー?牛なの?鹿なの?)」

 

「はい!お任せください。最近は森の奥から移動してくる魔獣が多いので、獲物は豊富なんです」

 

「……何かあったのか?」

 

「いえ、たまにですが、環境の変化などで魔獣の移動がありますからね。大した事はないと思うのですが、念の為に警備態勢は強化しております」

 

そうリグルは答えたので、リムルは少し考えた。

 

 

 リグルはただの環境の変化と言ったが、どうにも気になる。万が一という事もあるし、念の為にランガを同行させよう。

 

「ランガ、警備隊に同行してくれ。もしもの時は頼む」

 

「は!承知しました!」

 

「し、しかし、リムル様はお出掛けでは………」

 

「大丈夫だ。もうすぐそこだからな」

 

「遠慮はいらぬ。我を連れて行け、リグル殿。」

 

申し出をすぐに受けたランガはリムルに頼まれたのが嬉しかったのか、尻尾を凄い勢いで振っていた。普通に振っている尻尾とは違い、強風が起こるほどの規模なのはご愛嬌だ。

 

 

「じゃあ、俺は洞窟にいるからな。何かあったら連絡する様に」

 

 

 

 

リグル達と別れた後、俺はヴェルドラの封印された洞窟に到着し、地底湖の側まで到着する。

 

    

「よし、ここら辺でいいな」

 

 

俺がここに来た目的は、シズさんが持っていたユニークスキル『変質者』の効果を確かめる為だ、誰にも迷惑にならないような場所で。

 

 

『変質者』…字面の印象はあれだが、彼女の思いがこもった大切な能力だ。その能力は統合と分離、様々なスキルを統合し、新しいスキルへと変化させる……簡潔に言えば新しい能力をポンポンと獲得できるのだ。

 

その一つが……

 

 

 「…………何これ、えげつない」

 

リムルの周囲には黒い炎が円状に燃え広がっていた。

 

《エクストラスキル・『黒炎』です》

 

「これも、使い所を考えないとな……」

 

 

そう言いながら、リムルは両手を広げるて炎を消す。こんな感じで、一気に強力なスキルをリムルは獲得した。突然大量に手に入れた事に、本人は少しビビっている。

 

「しかし、本当にシズさんには感謝しないと。この仮面、魔力を抑える力があるんだよな?」

 

懐から出したのは、シズの着けていた仮面だ。リムルは試しに仮面を被ってみた。

 

「どうだ?」

 

 

《解。僅かに漏れ出ていたオーラが完全に消滅しました。この状態ならば、人間と認識されるでしょう》

 

「よし、これからは対外向けにはこの格好で出向くことにしよう」

  

そう言うとリムルは地底湖に近づき、反射する水面に仮面をつけている自分を見つめ、いろんなポーズを取る。

 

「似合うな……」

 

《はい》

 

「淡白だな」 

 

 

 

 

 

 

 

  

『リムル様!!』

 

頭の中に俺の名を呼ぶ声が響く。

 

《個体名:ランガからの思念伝達。声音から救援要請と推測》

 

大賢者の説明を聞き終わると、リムルは思念が伝わってきた方へと走り出す。ランガが救援を呼ぶという事はかなりの緊急事態の可能性が高い。

 

 

 

 

そして、急いで洞窟から出て、森の中を疾走し、ランガ達の元へ辿り着くと……

 

 

「ぎゃーーーーっ!死ぬって死んじゃうって!」

 

白髪の刀を持った初老の男にゴブタが斬られる光景が目に映った。

 

「どうした⁉︎」

 

「斬られたっす!チョー痛いっす!」

 

駆けつけたリムルは、ゴブタの容態を確認する。傷は浅いようなので、リムルが前を見やると、二人の初老の男と、肌の色が赤い赤髪の大男が立っていた。

 

「何だ、お前ら?」

 

「リムル様じゃないっすか⁉︎心配になったから来てくれたんっすね…」

 

「そうだな、元気そうだし…回復薬は必要なさそうだな」

 

「ちょ、ちょっと!欲しいっす!冗談言ってすまなかったすよ!」

 

リムルは、ゴブタに回復薬をペッ!と顔面にかけると、ゴブタの傷は瞬時に治った。

 

「た、助かったっす!ありがとうございます!」

 

 

 

近くでは、ランガが、巨大な木造のハンマーを持った男と二刀流を携えた男の二人を相手に交戦していた。周りでは、警備隊の皆が倒れ伏している。その近くにリグルが棍棒を持つ紫髪の女と交戦していた。

 

「ランガ、リグル、戻れ」

 

リムルの指示を聞いた二人はリムルの元に退がる。

 

「主よ、申し訳ありません。我がいながら…この様な…」

 

「申し訳ありません、リムル様」

リグルは膝をつき息を荒立てる。怪我は浅いものの、衣服は所々切れていた。

 

「安心しろ、あとは俺に任せて、ゆっくり休め」

 

「ありがとうございます」

 

リムルはリグルに回復薬をゴブタ同様にかける。

 

「(ランガ達が苦戦するほどの相手、なかなか厄介な相手らしい)」

 

「面目ありません、まさか大鬼族(オーガ)に出くわすとは思わず」

 

「オーガ⁉︎(ルインの言っていたオーガ生き残りか、しかし想像とした見た目と違うんだな。けど、好都合だ。あいつにいい報告が出来そうだ)」

 

 

リムルは“オーガ”に視線を向けると、5人のオーガがリムル達を睨みつけていた。しかしリムルはまず、5人のオーガに話しかける

 

 

「おい、お前ら、うちの奴らが失礼したな。話し合い応じる気はあるか?」

 

 

リムルは彼らを説得しに前へと出たが、本当はすぐにルインが保護したオーガの姫様の事を伝えたいが、まずは話し合いに持っていく。彼らはそんなリムルに対し、はっきりとした敵意を向けてきた。

 

 

「正体を表せ、邪悪な魔人め!」

 

 

「……は?おいおい⁉︎ちょっと待て!俺が何だって?」

 

 

「魔物を使役するなど、普通の人間にできる芸当ではあるまい。見た目を偽り、オーラを抑えている様だが甘いわ!」

 

「正体を現すがいい…!」

 

「黒幕から出向いてくれるとは、好都合というもの……」

 

「(ガーン!!俺の正体なんて、ただの愛くるしいスライムなのに……どうしよう、この様子だと話し合いに応じる気配が全くないぞ)」

 

 

リムルはオーガの発言にショックを受ける。ここに今、とんでもない誤解が生まれてしまった。

 

 

 

ルインが戻ってくるまで、後数分……

 

デザストがリムルとルイン達の世界に行くのはあり?

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