転生したら鳥人だった件   作:狼ルプス

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リザードマンの訪問者

俺,リムル,ベニマル,シオン,ハクロウ先生,リグルド村長は言葉を無くしていた。入り口のど真ん中でガビルと名乗ったリザードマンが格好つけながら「自分たちの配下になれ」だとかどうだとか叫んでる。俺達はなんて反応したら良いのかわからない。スポットライトのつもりなのか、盾の反射を利用し、光を浴びている。

正直言って第一印象は最悪だぞ?まぁ、まだどんなやつか知らないから見た目で勝手に判断するのはいけないか。

 

 

「ご尊顔をよーく覚えておくがよいぞ!このお方こそ、リザードマンの次期首領となられる戦士、頭が高い!」

 

「は、はぁ……」

 

「(配下に加えてやる?光栄に思え?このリザードマン…ガビルだったか?偉そうに、いったい何様のつもりだ。ってちょ……)」

 

リムルがガビルの言い分に腹が立っている中、ミリミリミリと鈍い音がリムルからし始める。

 

 

「(シオンさんやめて!スライムボディがスリムボディになっちゃうぅぅ!!)」

 

「ぶっ!」

 

シオンが苛立ったのかリムルを強く握り抱きしめている為、リムルは苦しそうにもがいた。そして、シオンが我にかえり力を抜くと、リムルはベニマルの元に避難する。ルインはリムルの内心の呟きに吹き出していたがそれに気づくものは幸いいなかった

 

「すみません!すみません!」

 

シオンは頭を何度も下げリムルに謝罪する。リムルは痛覚無効があるが流石に苦しい感覚はあるのだろう。

 

 

「ガビルさん、でしたか?いきなりそんなことを言われても……」

 

「皆まで言わねばわからんのか?やれやれ、これだから人間などと言う下等な生き物は……」

 

 

「「「っ………!」」」

 

「落ち着け、平気だ」

 

ガビルのその一言にその場にいた鬼人全員が一斉にガビルを鋭く睨んだが、ルインが鬼人達をなんとか落ち着かせた。仲間や慕う相手を愚弄されたら腹は立つ。ましてや鬼人達にとってルインは一族の姫の命の恩人である。

 

しかしガビルは殺気をぶつけられても平然としていた。これだけの気をぶつけられてもびくともしない程の胆力の持ち主なのか、ただこの殺気に気が付かない程無自覚なアホなのか……その考えは口に出さず、心にしまった。

 

 

「おっと、失敬。話を戻すが、貴様らも聞いておるだろう?オークの軍勢がこの森に侵攻中だと言う話だ」

 

 

「確かに聞いてはいますが……」

  

「であろう?しからば我輩の配下に加わるがいい!配下に加わるがいい!このガビルが、貧弱なお前達を……オークの脅威より守ってやろうではないか!!そう貧弱なッ……貧弱な?……貧弱?」

 

 

ガビル視点 

 

「「「…………」」」←鬼人(角出し状態)

 

「………」←ホブゴブリン

 

「………」←スライム

 

「………」←人間?

 

しばらくガビルはルイン達を見つめると、仲間のリザードマンと姿勢を低くしヒソヒソと話し込む。

 

 

「ゴブリンがいないようだが?」

 

「あれー?」

 

「情報によればここは確かにゴブリンの村のはず……」

 

「っていうか貧弱な奴が誰もいないよ?」

 

 

 

 

 

「(なぁ、ルイン)」

 

「(この事態を考えるとリザードマンとの共闘も一つの選択肢だと思う。思うけれども……)」

 

「(ああいうアホに背中をあずけるのはちょっと……)」

 

「(不安しかない……)」「(アホそうだしねー)」

 

 

「あーゴホン!聞けばこの村にはあの牙狼族を飼い慣らした者がいるそうだな?そいつは幹部に引き立ててやる。連れて来るがよい」

 

ガビルは指をくいくいと動かし、要求してくる。対して鬼人達の反応は…

 

「(いかん、シオンがまたイラつき始めた……苦しい苦しい!)」

 

シオンが再びイラつき始め、リムルをまた強く握り締め始める。

 

「ルイン様、リムル様、こいつ、殺して……良いですか?」

 

「あは、良いよ♪」

 

「アホか!良いわけないでしょーが!!」

 

ベニマルは爽やかな笑みで殺す許可を頼むと、リムルは軽い感じで許可を出した。勿論、ルインは慌てて突っ込みながら静止する。

 

 

 

「(とにかく話を進めないと、取り敢えず……)ランガ!」

 

『ハッ、ここに!』

 

ルインの影の中からランガが本来の大きさで飛び出してきた。

 

「お客人がお前と話をしたいそうだ。頼めるか?」

 

『御意!』

 

ランガはスキル『威圧』をリザードマンに向けて放つ。するとガビルの後ろにいたリザードマン達は畏縮していた。

 

「あれ?あいつ、あんなデカかったですかね?」

 

「あれがランガの本当の大きさなんだよ。尻尾を振った時の被害が甚大だったんで叱ったら小さくなったんだけどな」

 

「へぇ……」

 

「今回みたいに威嚇するには、あのサイズの方が、都合が良いってわけなんだろうな」

 

ベニマルの疑問にリムルは簡単に答えた。

 

『主よりお前の相手をする様に命を受けた。聞いてやるから話すがいい』

 

「貴殿が牙狼族の族長殿かな?」

 

「(お、思いのほか根性あるみたいだな……)」

 

「(伊達に次期首領って言うのもあながち間違いじゃないかもな、お調子者のアホだが……)」

 

ルインとリムルは根性があるガビルの評価を多少は改めた。しかしその評価はすぐ地に落ちることになる。

 

「美しい毛並み、鋭い眼光、さすが威風堂々たる佇まい、しかし……主が人間とスライムとは些か拍子抜けであるな」

 

「(あぁん?)」

 

「(今のところどんな相手でも人間って認知されてるな俺……流石に今の言い方はムッとしたぞ……)」

 

「(だったら、はよ翼出しなよ。何でしまってんのこんな時まで?)」

 

「(タイミングを見て明かす。心配するな)」

 

ルインはタイミングを図るにも都合よくはこず、翼を出せずにいた

 

 

「どうやら貴殿は騙されておるようだ。よかろう、この我輩が貴殿を操る不埒者を倒してみせようではないか」

 

「ガビル様かっけー!!」

 

「然り!」

 

「見せてやって下さいよガビル様ー!!」「ガビル無双!!」

 

ガービール!ガービール!とノリノリコールが響き渡るが、ランガは……

 

 

『……トカゲ風情が、我が主達を愚弄するとは』

 

「(あ、やばい……)」

 

「(これだと死ぬな、ガビルさん)」

 

 

「あれ?何やってるっすか?」

 

緊迫した中、なんと、死にかけていたはずのゴブタが何ごともなかった状態でスキップをしながらこの場にやってきた。それを見たリムル達は驚いていた。

 

「ゴブタ⁉︎」

 

「お前、無事だったのか⁉︎」

 

「(シオンの手料理のせいで)死にかけてたはずじゃ……!」

 

 

《告。個体名ゴブタは、シオンの料理に抵抗し、『毒耐性』を獲得したようです》

 

「(うそーん……)」

 

「(俺達も獲得してないスキルを…)」

 

『丁度いいところへ来た、ゴブタよ』

 

「へ?」

ランガはゴブタの服を噛み、持ち上げ、槍を持たせ、ガビルの前へと連れていく。

 

「え?え?」

 

そして状況がまだわからないゴブタは……

 

「なんすかこの状況ーー!!?」

 

混乱しながら戦闘態勢になっていた。

 

「トカゲ、この者を倒せたのなら貴様の話…一考してやろう」

 

「なんで……」

 

ゴブタは未だ状況が飲み込めないまま嫌そうにしていた。

 

「構いませんぞ、部下にやらせれば恥はかきませんからな。なぁ、人間とスライム殿?」

 

「む、ゴブタ、遠慮はいらんやったれ」

 

「お前の修行の成果を見せる時だぞ」

 

「ええっ、ルイン様まで、なんなんすかもーー」

 

「勝ったらクロベエに頼んでお前に専用の武器を作ってもらってやる」

 

「あ、ホントっすか?ちょっとやる気出たっす」

 

「負けたらシオンの手料理の刑な!」

 

「(リムル、流石にそれは……)」

 

「それだけは勘弁っす!」

 

リムルの言葉にゴブタはオーラを出し、背水の陣で挑みにかかる。しかしその言葉を聞いた俺達は顔を青くなる。シオンは……

 

「何やら非常に不愉快な会話です……」

 

「ふぐぅっ!」

シオンは先程の会話に不快と思ったのかリムルを絞るように抱きしめ、リムルは苦悩の声を上げていた

 

「(今のはリムルの言い方が悪い……しかし、今後シオンは料理の改善させていかないと……本当に犠牲者が出かねない)」

 

『では、はじめろ!』

 

ランガの遠吠えの合図で戦闘が開始された。ゴブタとガビルは槍を構える。

 

 

「オオオオオ!」

 

「ふっ、ドラゴンの末裔たる我らリザードマンが、ホブゴブリンなんぞにぬおっ⁉︎」

 

ガビルが話す途中、ゴブタが槍を思いっきり投げ飛ばしたのだ。

 

「おのれ、小癪なっ!」

 

ガビルも槍を横から振るうが不発に終わる。目の前にいたはずのゴブタの姿が消えていたからだ

 

「(勝負有りだな……)」

 

ルインはゴブタの勝利を確信した。

 

「なっ⁉︎馬鹿なっ、消え……タァッ!!?」

 

そして、ガビルの影からゴブタが出現し、ガビルの首筋に回し蹴りを喰らわせた。ガビルは白目を剥きながら気絶した。

余りの一瞬の出来事に、待機しているリザードマンも沈黙してしまっている。

 

 

「(まさかあいつ、影移動使いこなしてんの⁉︎しかもあの回し蹴りも以前くらわせた奴だし…)」

 

「(ゴブタもやるもんだろ?ハクロウ先生との稽古も嫌々な感じだったが、意外と一番食いついてたからな……)」

 

「(そうなんか……こりぁ評価を改めないとな。マジモンの天才かもしれないな…)」

 

 

「終わりだな。勝負アリ、勝者、ゴブタ!!」

 

「っし!」

ゴブタか勝利するとベニマル,リグルド,ランガはゴブタを胴上げする。

 

『影移動』のスキルは嵐牙狼族(テンペストウルフ)の持つスキルで、リムルとルイン、そしてソウエイも獲得しているが、ルインとリムルは月闇の闇移動があるため使う機会は少ない。

 

「(俺の予想だとゴブタが負けた時イチャモン着けてボッコボコにするかと思ってた)」

 

「(ゴブタはお前が考えてるよりも結構強いぞ?まぁ、ゴブタの場合は感覚派なのが欠点でもあり、長所なんだけどな…)」

 

「(…俺は空気が読める男だ!期待通りだったことにするか)やったなゴブタ!約束通りクロベエに頼んでやる!」

 

「お疲れ様ゴブタ、ナイスファイトだったぞ」

 

ルインはサムズアップでゴブタの健闘を称賛する

 

「やったっす!ルイン様もありがとうございます!」

 

そしてルインは未だポカンとしているリザードマンに顔を向け口を開く

 

「皆さん、ご覧の通り、勝負はゴブタの勝ちです。今回の件は協力する話ならば検討はしますが、配下になるのはお断りさせてもらいます」

 

 

「そう言う事だ。今日のところはソイツを連れて帰って出直してくれ」

 

 

 

「い、いずれまた来るぜ!」

 

「然り、これで終わりではないぞ」

 

ガビルの部下は気を失っているガビルを抱え始める。

 

「あっ、ちょっと待ってください」

 

ルインは万能収納の中から液体の入った球体を取り出し、リザードマンに駆け寄る

 

「これ、ガビルさんに使ってあげてください、回復薬です」

 

「然り、何のつもりだ?」

 

「気まぐれです。あなた方の様子を見たら、相当慕っているんだと感じました。確かに次期首領もあながち間違いじゃないですけど、もう少し言葉を慎重に選んだ方がいいと思います。今回はそんな大きな事態にはなりませんでしたが、下手な相手だったらあなた方は無事では済まないでしょう」

 

 

「………助言として受け取ろう。それと、これは感謝するぞ……人間」

 

「それからもう一つ、俺は人間じゃありません。これを見れば納得してくれるはずです」

 

 

ルインは翼を出すと、ガビルの部下達は驚きを隠せなかった

 

 

 

「う、嘘だ⁉︎」

 

「お、お前、俺達と同じ魔物だったのか⁉︎さっきまでは人間の気配だったではないか!!」

 

「お気持ちはわかりますが、正真正銘の魔物です。種族は有翼族(ハーピィ)です」

 

 

「然り、我らは騙されていたということか…」

 

ガビルの部下達はルインの正体に納得しない者もいるが、ガビルに寄り添っているリザードマンはルインから回復薬を受け取り、ガビルは引きずられながらその場を後にし去っていった。

  

「(俺の正体に納得していない様子だな、あれは……)」 

 

「(そればかりは仕方ないだろうよルインちゃんよ)」

 

 

ルインはようやくリザードマン達に自身の正体が有翼族(ハーピィ)と明かしたが、一部のリザードマンは俺が魔物だと納得していない様子だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この時、万能収納の空間の中にある一冊のライドブックが、僅かに光を放っていた。

 

 

デザストがリムルとルイン達の世界に行くのはあり?

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