「ブホッ!ゲホ、ゲホッ!に、20万⁉︎」
「20万のオークの軍勢がこの森に侵攻してきてるってのか?」
「は……」
ガビル館リザードマンとの邂逅後、一室に、町の主のリムルとルイン、鬼人達、そしてリグルドとリグルら各ゴブリンロードが集まり、会議が行われていた。
現在は、今後の方針の為に、ソウエイによる偵察の報告を訊いているところである。
あまりの数に驚いたルインは飲んでいたお茶を吹き出しむせてしまう。そんな彼をシュナが優しく背中を摩って介抱してくれた。
「俺たちの里を襲撃したのは数千程度だったはずだが……」
「あれは別働隊だったのだ。本隊は大河に沿って北上している。そして本隊と別働隊の動きから予想できる合流地点はここより東の湿地帯……」
ソウエイは板に描かれた作図で正確な位置を指す。その場所はリザードマンの領地だった。
「オークの目的ってなんなんだろうな」
リムルは指を顎に当てながら考え込む
「………心当たりは一つだけある」
「え、本当かルイン?」
「ああ、俺がシュナを助けた際、遭遇したオークがこんな事を言っていたんだ…… 『オーガを食らって力を得る。食べた力を我が物にするのだ』……と」
「食べた力を我が物に?どう言う事だ?」
「おそらくオークは食らった相手の力を自分のものにできるうえにそれを共有する事が出来る……お前の『捕食者』と似たスキルを持っているかもしれないな。だが、それ以外の目的もありそうな気はする」
「なるほどな、オークはそもそもあまり知能の高い魔物じゃねぇ、ルインの旦那の言う通り、この侵攻に本能以外の目的があるってんなら、何がしかのバックの存在がいるだろうな……」
「たとえば魔王…とかか?お前たちの村に来た“ゲルミュッド”とかいう魔族が絡んでるんだとしたら……」
リムルの言葉に周りは静まりかえった。可能性はゼロではない、そう実感していたからだ
「……なんてな、ま、何の根拠もない話だ。忘れてくれ…」
「(まさか……いや、その魔王がシズさんを召喚した魔王とは限らないな……)」
ルインは魔王レオンが絡んでいる可能性はないとふんだ。この世界には複数人の魔王が存在しているため、候補からすぐに外した。
「魔王が絡んでいるかどうかは分からん。だが……
「いないと楽観視するよりは、警戒するべきかと……」
「だな……」
「あぁ、しばらくの間、警備隊を強化しよう」
ゴブリンロードの一人、レグルドが警戒すべきと判断したので、二人は頷く。
「っ……⁉︎」
「ソウエイ、どうした?」
「偵察中の分身体に接触してきた者がいます。リムル様とルイン様のお二人に取り次いでもらいたいとの事、いかが致しましょう?」
「俺達に?」
「相手は?」
「それが…大変珍しい相手でして、その……
「
「
「(やけに戸惑っているな。それに
「(知らないのか⁉︎カードゲームとかによくいた木の精的なお姉ちゃんだよ!!)」
「(お、おう、テンション高いな、取り敢えず)ソウエイ、呼んでもらっていいか?」
「は」
ソウエイの返事と同時に、ルインとリムルの前に葉っぱがヒラヒラと落ちてきた。するとテーブルの真ん中に芽が出始め、辺りに被害が出ないほどの風が起き、晴れると……
「初めまして、“聖なる剣に選ばれし魔物を統べる者達”、及びその従者たる皆様、突然の訪問、相すみません。わたくしは
緑色の神秘的なオーラを放つ綺麗な女性が、会議室に現れた。
「初めまして、俺はリムル=テンペストです」
「"魔物を統べる者達"のお噂、存じ上げております。お隣にいらっしゃるのは、"聖なる剣に選ばれし者"との呼び声高い
「(っ⁉︎この人、只者じゃないな)」
ルインが鳥人であることは、外部の者は一部を除いて知る由もない。それを一目で見破った彼女にルインは驚きを隠せなかった。
「は、初めまして、ルイン・テンペストです。トレイニーさん、でしたか?今日はどのようなご用向きで……」
「本日はお願いがあって罷り越しました。リムル・テンペスト様、ルイン・テンペスト様…… “聖なる剣に選ばれし魔物を統べる者達”よ、あなた達に
「「…………」」
二人は突然の依頼に沈黙した。いきなりそんな事を言われたら誰でもこんな反応になる。
「ええと…俺達がですか?」
「(突然何を言っているんだ……)」
「ええそうです。先程のオークの件ですが、わたくし達
トレイニーの言葉に周囲は動揺し始める。
「…トレイニーさん、とりあえず返事は保留にさせてくれ。こう見えて、俺達は二人でここの主なんでな。鬼人達の援護はするが、率先して藪をつつくつもりはないんだ」
「今は情報を整理した後に答えを出させてもらえませんか?」
「……承知しました」
数分後、トレイニーさんはリグルドさんとカイジンさんの間に座る。二人は緊張気味でとても気まずそうだった。
トレイニーさんは最近つくれるようになったポテトチップスを食べながらお茶を飲んでいた。
「よし、会議を続けよう。トレイニーさん、オークロードの能力について何か知っていますか?今のところ、オークが食べた相手の能力を自分の物にするのは把握してはいますが」
「オークロードが生まれる時、必ず保有するユニークスキル『
「食らった相手のその力を奪う……って事か」
「成る程、ルインの言っていたことは大体は当たってるわけか。この町には
「この町はオーク達の欲しそうなエサだらけって事になるのか」
「一番ヤツらの食いつきそうなエサを忘れてやしませんか?いるじゃないですか、最強の
「何処に?」
「俺達は別にそんな大層な者じゃ……」
ベニマルの言葉にルインは否定するが、町の者たちからすると、二人はこの町の最強なのは確定的に明らかだった。
「今回のオークロード誕生の切っ掛けに、魔人の存在を確認しております。あなた様達の存在は放っておけない相手かと思いますよ。その魔人はいずれかの魔王の手の者ですからね」
トレイニーさんはこの森で起こった事は全て把握していると言っていた。
つまりシズさんとの関係性も知っているということになる。
食えない人だよ、トレイニーさん…あなたは。そう言われて俺達が動かない訳がないと知ってたって事か。
「改めて、オークロードの討伐を依頼します。暴風竜の加護を受け、牙狼族を下し、鬼人を庇護する貴方様達なら、オークロードに後れを取ることはないでしょう」
「(………ルイン、腹をくくるしかないな、こりぁ…)」
「(そうだな、こうなったら何処までも付き合ってやるよ、相棒)」
「当然です!お二人ならばオークロードなど敵ではありません!」
「まぁ!やはりそうですよね」
シオンがリムルに抱きつき堂々と宣言をする。リムルは擬態を解除し、スライムに戻ると、シオンはリムルを抱える。
「トレイニーさん、オークロード討伐の依頼、引き受けます。みんなも、それでいいか?」
「もちろんですルイン様!」
みんなもこの依頼を引き受ける事に賛同した。そしてルインはトレイニーに聞きたいことがあったため質問をする
「トレイニーさん、俺から一つ聞きたい事があります。最初に……俺の事を"聖なる剣に選ばれし者"、とおっしゃっていましたが、どう言う事ですか?」
「あら、お気づきになられていないのですか?あなた様達が扱う剣、あれは聖剣ですよ」
「聖剣⁉︎」
「マジか⁉︎ルインの旦那、何で黙ってたんだよ!」
「いや、その、聞かれなかったから『そういうとこだぞ、ルインの旦那!』……なんか、すみません」
俺とリムル以外は俺達の使う剣が聖剣だった事に驚いている様子だった。俺達が知ったのは、俺が烈火を手にした時とリムルが流水を装着した時…その時に流れてきた情報で知ったのだ。
「数本もの聖剣を扱う者は異例ですむ事ではありません。それに、
「伝承?」
「人が鍛えし始まりの聖剣に火を灯さんとする者現れし時、星を結びて力を束ね、物語を終焉へと導く聖剣が生まれる……と」
「それ、私も聞いたことがあります…」
「そうなのか、シュナ?」
「はい、お母様がよく幼いときに聞かせてくださいました。お母様は伝承や言い伝えに関するお話は詳しい方でしたので。ルインさんにお話した
「(ルイン、この話どう思う?)」
「(俺達が扱う聖剣と無関係…ってわけではなさそうだな。物語を終焉へと導く聖剣……か)」
二人はひとまず内容を頭の隅に置き、話をオークロードに戻す。リザードマンとの共闘を前向きに考え、ソウエイにリザードマンの首領のところに交渉を頼んだ。
ガビルだとややこしくなる可能性がある為直談判に出る。ソウエイは会議が終わると、『影移動』で湿地帯へと足を踏み入れるのだった。
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デザストがリムルとルイン達の世界に行くのはあり?
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