ジュラの大森林のとある場所──怪しい会話をしていた魔人達の中に、ドライアドのトレイニーが介入していた。
「森を乱した罪であなた方を排除します。精霊召喚
トレイニーは精霊召喚を発動し、上位精霊を召喚した。
「さぁ、断罪の時です。罪を悔いて祈りなさい。
精霊シルフィードは風魔法を発動させ、一人の仮面をつけた魔人の腕を斬り落とした。
「おお怖っ、無茶苦茶しよるなアンタ、問答無用かいな……!まぁ目的は達成しとるし、ワイらはお暇させてもらうわ。ほなサイナラ!」
トレイニーが魔人達を追いつめたと思った途端、煙玉をまかれ、逃げられてしまった。
「まさか、逃げられるとは……。状況は思わしくありません。リムル・テンペスト、ルイン・テンペスト、オークロードの討伐信じていますよ」
所変わって、湿地帯──リザードマンとオークの戦闘が繰り広げられている。
あちこちで戦塵が巻き起こり、無数のオークが“上空から”確認できた、そして、追いつめられているリザードマンも。
「ひょーー、『大賢者』さまさまだよなー。簡単に空を飛べてしまった。お前が見てた世界ってこんな感じになってたのか」
「ああ、俺が飛び方を教える必要もなかったな。と言うかその翼、ジャイアントバットのか?」
「ああ、勿論『自由の翼』の効果付きだ。空中散歩を楽しみたい所だが、そんな場合じゃないしな」
「だな、大賢者、俺とリムルの魔力感知をマクロにしてくれ」
《了》
「……やっぱりリザードマンの方は分が悪いか」
「ああ。シミュレーションゲームなら完全に詰んでるな」
「ゲーム感覚で言葉に出すのはやめろ。これは現実で起こってる事だ」
大賢者に頼み、魔力感知をマクロにし、戦況を見た。判りやすく色分けしてみると、リザードマンは完全に囲まれてしまっている。数も見るからに圧倒的に負けている。
「リムル、あそこ…」
「ん?」
ルインが指さす方を見ると、三叉の槍を持ったリザードマンが黒い鎧を身につけた上位個体のオークと一対一で戦っていた。
「一騎打ち?それにあれは…ガビルか」
「ああ、なかなか漢気のあるやつみたいだ。見た目で判断したらいけないってのはこの事だな」
「まぁ、お調子者でもあるのは残念だけどな…」
「そうか?ああいう奴は嫌いじゃないぞ?」
「そうなんか?まぁ、それは置いといて、ソウエイは上手くやってるかな?」
「ソウエイなら大丈夫だろう。60程の相手に引けを取らなかったしな」
「……あのイケメンに任せておけば心配はいらないか」
「イケメン関係あったのか今?」
「いいだろ、そこは突っ込まなくて!とりあえず手筈通り、ランガ…聞こえるか?手筈通りに頼むぞ』
『は!承知しました!』
ランガはリムルの指示に力強く返事をする。
『ゴブタ、お前も部下を連れてランガと一緒に影移動でガビルの所に移動してくれ』
『へ?俺もっすか?』
『大丈夫だ。ゴブタも充分強い。自信をもて、ハクロウ先生との修行に比べればマシな方だろ?』
『わかりましたっす!』
『ベニマル、先生、シオン、準備はできたか?』
『もちろんです、ルイン様!我が同胞達の無念、この場にいないシュナとクロベエの分まで、ここで晴らさせてもらおう!!」
『この機会を与えてくださったリムル様とルイン様に感謝を…愚かな豚どもは、私が成敗してやります!!』
『さぁて、おっ始めるかのぉ…!』
『存分に暴れてこい!ただし被害は最小限に抑えるように…』
鬼人達はルインの一言で更にやる気になる。今のベニマル達ならば大丈夫だろう。俺は仲間を信じる。それだけだ
◇
我が名はランガ、リムル様とルイン様の従者である
我とゴブタは我が主達の命により、『影移動』でガビルのもとに駆けつけた時には、既に奴は満身創痍となっていた。もう少し遅ければきっとオークどもの餌食となっていただろう。
「っ!貴殿は…っあの村の主人殿ではないか!」
「(主?なに言ってるっすか、この人?)」
「もしや、助太刀に来てくれたのであるか?」
『あれは
自分を敗ったゴブタを真の主と思い込んでいたガビルの言葉を否定しながら、ガビルの背後にランガは現れた。リザードマン達は突然現れた事に混乱していた。
「牙狼族の…っ」
『我が名はランガ、リムル様とルイン様の命により助太刀に来た』
「いかにしてここまで……?」
『影移動だ。学ばんのか貴様ら』
ランガはガビル達に呆れながらため息を吐く。ランガは黒い鎧を装備している豚頭将軍(オークジェネラル)とその配下達へと視線を移した。
「グググ……リムル?ルインだと?知らんな。どこの馬の骨かは知らんが、邪魔立てするなら容赦は──」
するとオークの背後に巨大な黒い半球形の結界が現れ、黒い炎が充満する。その中では、数百のオークが消し炭と化していた。
「なっ…⁉︎」
「おお、始まったすね」
ゴブタはこの光景に驚く事なく冷静に黒い炎を眺めていた。
「なんだ⁉︎一体なにが起こったと…(まさか大魔法⁉︎リザードマンごときが多人数による儀式魔法を使えるとは!一騎打ちには早々にケリをつけあの大魔法を操る者どもを始末せねば…って)なにぃ⁉︎増えただと⁉︎」
黒い鎧のオークは再びガビル達に視線を戻すと、ゴブタの部下達が影移動でこの場に来ていたのだ。
「ええと、ガビルさん、でしたっけ?さっさと態勢を立て直して防御陣形を整えるっすよ」
「う、うむ…わかったのである。しかし、あの黒い炎はいったい…」
「心配いらないっす。味方の術っすから……多分」
「──だからどけと言っただろう」
「貴様ら、何者だ⁉︎」
ゴブタ達の部隊から少し離れた場所に三人の影があった。噴煙が晴れると角を出している状態のベニマル、シオン、ハクロウの三人が立っていた
「非道いな、散々里を食い散らかしてくれたじゃないか」
「その角…まさかオーガか⁉︎」
「どうかな、今は少し違うかもしれないな」
ベニマルは掌に黒い炎の球体を形成する。
「もう一度言う……道を開けろ豚共、灰すら遺さず消されたくなければな……」
ベニマルは炎を放った。オーク達は炎を避けるが、広範囲の結界が張られて逃げられない。その結果、結界内は黒い炎に包まれ、結界内にいたオークは骨も残らず焼き尽くされた。
「おお……」
「スッゲェ」
上空にいた二人はベニマルの技に感嘆の声を上げる。
「ふんっ!大方このトカゲ共を助けに来たつもりらしいが、無駄なことを!何処ぞの木っ端魔物の配下が加わったところで、我らの優勢は微塵も揺るがんわ!」
「ムッ…木っ端て…」
主であるリムルとルインを木っ端呼ばいされた事により、ゴブタは憤る。
『………では見せてやろう』
ランガからオーラが溢れ出し、力を解放すると同時に、あたりに暗雲が漂い始める。
次第にそこから巨大な竜巻と雷が幾つも現れ、オーク達を飲み込んでいく。
「!ええぇ……」
「ウソーン……」
上空にいるリムルとルインは突如現れた巨大な竜巻に、目を奪われた。
「「なにコレ……」」
二人の声は見事に重なった
《解。個体名ランガの広範囲攻撃技『
「あ、そう……」
「あはは(規格外だな)」
「(奇遇だな。俺も同じ気持ちだよ。けどさ、俺達も人のこと言えないんだぞ?)」
「(いや、こう見ると俺達はとてつもない力と、部下を持ったんだなぁって改めて実感するよ)」
「(それもそうだな……)」
繋がりし者の脳内会話で話しかけてきたリムルに対してルインは乾いた笑いを出す。声が引き攣ったように感じた。
そしてランガの放った技は、一瞬にしてオーク達を飲み込んでいく。ゴブタが目を開けた時には、オーク達は影形もなく吹き飛んでしまっていた。
嵐が止んだのを確認したゴブタがランガの方を見やると、姿を大きく変えたランガの姿があった。
「おおっ!
『よく見たか、オーク共よ!これが貴様らが木っ端と侮った御方達の力の一端だ!!』
ランガは、身体が更に大きくなり、二本角となっていた。
「(周りにいたオーク達……もう吹っ飛んじゃったすよ)」
そしてベニマルは次々とドーム状の結界と黒炎を放ち、黒い炎がオーク達を焼き尽くす。
「これが俺達の新たな門出」
ハクロウは目に見えぬ剣技でオークの軍勢を斬りつけ、納刀するとオーク達は一斉に血を噴き出し倒れる。
「ルイン様とリムル様の華々しい勝ち戦よのぉ!」
「まずは第一戦、ですね」
シオンは上空にいる二人を見つめながら笑顔で呟く。
「くっ、調子に乗るなよ!」
「「「「うおおおおおおお!!」」」」
「スゥ……ふんっ!」
シオンはその場から動かず大太刀を構え、思いっきり振り下ろすと、斬撃波が放たれ、オーク諸共地面をも斬り裂く。
「ふぅ、リムル様ー!ルイン様ー!」
シオンは上空にいる二人に手を振る。
「(なぁルイン……)」
「(うん、多分同じ事を思ってるはずだ)」
リムルと手を振り返すルインはシオンの一撃に若干引きながら
「「((シオンを怒らせるのだけは絶対にやめよう))」」
思っていたことが見事に被った二人であった……。
デザストがリムルとルイン達の世界に行くのはあり?
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あり
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無し
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