転生したら鳥人だった件   作:狼ルプス

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二人の名前

『改めて自己紹介をしよう。我が名は暴風竜ヴェルドラ。この世界に4体のみ存在する竜種が一体である。それで……約束は覚えているな?』

 

暴風竜ことヴェルドラさんは俺達に威圧的にそう尋ねてくる。

 

「も、ももももも勿論覚えてます!お、お、怯えてなんていましぇん!な、な、な、アスカクンッ!?」

 

「はい、最初は驚きましたが、今は大丈夫です。ヴェルドラさん」

 

正直にそう言うとヴェルドラは「うむ」と満足そうに頷く。

 

『じゃあ、また話に来ますんで』

 

「え、悟さん、いったいどこへ?」

 

相手が竜と言うこともあり、悟さんは早々に逃げようとする。

 

『待て』

 

だが、そんな悟さんをヴェルドラさんは止めた。

 

『実に珍しい……本来思考をしない低位モンスターのスライムに自我がある。それにその翼… 有翼族(ハーピィ)、いや上位種族の有翼族(ハーピィ)か?珍しいな。ユニークか?』

 

「「ユニーク?」」

 

『異常な能力を持つ個体だ』

 

「あの……俺のこの姿は珍しいって、有翼族(ハーピィ)…とはどう違うんですか?」

 

『うむ、有翼族(ハーピィ)は人語を話し、二足歩行や飛行が出来、手足は鳥のような見た目となっている。稀に人間に近い形で生まれてくる上位種族もいるが、お前のように人間そのままの見た目とは珍しい、鳥人と言ったところだな』

 

「鳥人…ですか」

 

「あの……俺達、元は人間なんです。刺されて死んで、気が付いたらこんな姿になってて」

 

「俺は事故で……悟さんとは年月は離れてますけど……」

 

『なるほど、“転生者”だったか、道理でお互い名で呼び合っているわけだ」

 

「転生……やっぱスライムに生まれ変わったんですね」

 

『お前たち、物凄く稀な生まれ方をしたな』

 

ヴェルドラさんのその言葉に、俺達は首を傾げる。

 

『異世界から来る者は偶にはいるが、我の知る限り転生者は初めてだ。魂だけで世界を渡るのは、普通は耐えられないからな』

 

「それって、転生じゃないけど異世界から来た人はいるってことですか?」

 

『そうだ。“異世界人”と呼ばれている。そう言う者は、世界を渡る際に特殊な能力を獲得するらしい』

 

「飛鳥や俺のスキルもそれかな?」

 

「おそらくそうだろうな…」

 

「待てよ……と言うことは俺たち以外にも日本人がいるかも……」

 

悟さんの言葉にハッとし、俺達は顔を見合わせる。

 

「ちょっとその異世界人を鳥君と一緒に探して会ってみようと思います」

 

「ヴェルドラさん、異世界人が集まる場所や向かう場所とかはご存じですか?」

 

『なんだ?もう行ってしまうのか?』

 

「「(しょんぼりしてる⁉︎)」」

 

悟さんと俺が去ろうとしてることが分かると、ヴェルドラさんは目に見えて落ち込んだ。

 

「……悟さん、もうちょっとここにいないか?俺、ヴェルドラさんともう少し話がしたいし、何よりドラゴンと会話なんて滅多にないからな!」

 

「やけにテンション高いね飛鳥。けど、そうだね……やっぱもうちょっとここに居ようかな?」

 

 『そうか!ゆっくりしていくとよい!』

 

俺達が残ると分かると、ヴェルドラさんはわずかに尾を左右に振り、嬉しそうな声を上げた。

 

「そう言えば、封印って言ってたけどどうしてそんなことに?」

 

『うむ!よくぞ聞いてくれた!あれは、三百年前のこと、ちょっとうっかり町をひとつ灰にしちゃってな」

 

「しちゃってな……て」

 

「えらくとんでもないことしてますよね……」

 

『そんな我を討伐に来た者がいる。加護を受けた人間の“勇者”と呼ばれる存在だ。ちょびっと相手を舐めていたのは間違いない。だが途中から本気を出したのだ。しかし、負けてしまったな!』

 

「ヴェルドラさんが負けた……」

 

「ヴェルドラさん、凄い強そうなんですけど、その勇者ってそんなに強かったのですか?」

 

『あぁ、強かったさ。ユニークスキル『絶対切断』で我を圧倒!そして、『無限牢獄』で我を封印したのだ』

 

「そのヴェルドラさんの周りに光っているのが無限牢獄ですか?」

 

『ああ、その通りだ。その勇者は自分のことを“召喚者”と言っていたな』

 

「「召喚者?」」

俺は首を傾げ、悟さんはスライムボディで?マークを作る。ヴェルドラさん曰く、召喚者とは魔法使いが30人以上で何日もかけて異世界から呼ぶ者で、強力な兵器として使われているらしい。

 

「その勇者に封印されてからずっとここに?」

 

『ああ、もう暇で暇で……』

 

 

昔の事を思い出し、若干凹み気味になってるヴェルドラさん。

 

「(三百年も一人……悟さん)」

 

「(ああ、考えてることは同じだな)ヴェルドラさん、俺達と友達にならないか?」

 

『友達だと!?暴風竜である我と友達だと!?』

 

俺達の提案に、ヴェルドラさんは大声を上げる。

 

「い、嫌ならいいんだけど!」

 

「きょ、強制ではないので大丈夫!」

 

 

『バ、バカ!誰も嫌とは言ってないだろう!』

 

「じゃ、じゃあ……どうするの?」

 

『そ、そうだな……どうしてもと言うのなら……考えてやってもいいんだからね!』

 

「ツンデレか!」

 

ヴェルドラさんは満更でもなさそうだ。

 

「ならどうしても!嫌なら絶交!もうここにも来ない!」

 

『し、仕方ないな!友達になってやるわ!感謝せよ!』

 

「素直じゃないねぇ…」

 

「ああ、まったくだよ…」

 

そう言って俺達はヴェルドラさんは封印越しではあるも、指先で触れ合う。

 

「じゃあ、よろしく。ヴェルドラ…さん」

 

「自分も…よろしくお願いします、ヴェルドラさん」

 

『うむ!それと友達なのだから………ヴェルドラでよい!』

 

「はは、分かったよ。ヴェル、ドラ……」

 

「それなら改めて、よろしくな、ヴェルドラ!」

 

こうして、俺達はヴェルドラと友達となった

 

「で、どうする?」

 

ヴェルドラと友達になった後、そう言い出した。意味が分からず、ヴェルドラは首を傾げる。

 

『ん?どうするとは?』

 

「勇者が掛けた封印だよ」

 

「確かに、この封印をどうにかしないと、ヴェルドラが動けないからか」

 

 

ヴェルドラは《無限牢獄》によってここから動けない。それも300年間もだ。

 

「300年も友達がここに封印されてたなんて可哀想だからな」

 

「出せるなら封印を解いてやりたいが…」

 

『お、お前たち……!』

 

嬉しいあまりヴェルドラは、瞳をうるうるとさせてくる。

 

「それで、ヴェルドラ。脱出方法や解除方法とかは分からないのか?」

 

『うむ……あるなら有難いが、生憎心当たりがない。それにな……実は後100年ほどで我の魔力が底を尽く。魔素が漏れ続けておってな』

 

「魔素がって、それってヤバいんじゃ?」

 

「(魔素って確か、全ての魔物の生命の元って大賢者が言っていたな。それが漏れ続ける………)って、かなりヤバイじゃないか!!」

 

『その通り、魔素がこのまま漏れ続け、底を尽きたら我は、朽ち果てる!』

 

「いや、そんな胸を張って言える状態じゃないと思うが…」

 

両手を腰に当てて、胸を張って自信満々に言うヴェルドラ。しかし飛鳥は何か浮かんだのか悟さんに問いかける。

 

「悟さん、捕食できるか確かめてみてくれないか?」

 

「わかった、試してみるか。『大賢者』、『捕食者』で『無限牢獄』を捕食しろ」

 

そう言い、悟さんは《無限牢獄》に触れる。

 

《ユニークスキル『捕食者』にて、ユニークスキル『無限牢獄』を捕食します…失敗しました》

 

無慈悲な声が聞こえた。やはり簡単にはいかないようだ

 

「やっぱ無理か」

 

「なら俺の虚無はどうだ?確か全てを無に帰すんだよな、この剣…大賢者、『無限牢獄』の解除は可能か?」

 

《解。エクストラスキル・『無』と無銘剣虚無を使用すると無限牢獄を解くことが可能です》

 

「なぬ⁉︎」

 

『なに⁉︎可能なのか⁉︎」

 

「だったら早速……」

 

《問い。現在での個体名・有翼族(ハーピィ)が『無』と無銘剣虚無を使用すると、無限牢獄と共に個体名・ヴェルドラまでも無に帰される恐れがあります。》

 

 

「『え……』」

 

「え……大賢者、今なんて?」

 

悟さんとヴェルドラは真っ白となり、飛鳥は同様しながら大賢者に問う。

 

《無限牢獄と共に個体名・ヴェルドラまでも無に帰される恐れがあります。実行しますか?》

 

 

「ど、どうするふた「『NOだ!!断じてNOだ!』」……ですよね」

 

現状俺が『無』のエクストラスキル、虚無を使えばヴェルドラまでが消える可能性があるため虚無での無限牢獄の解除は諦めた。

 

「しっかし、飛鳥がダメとなると、振り出しに戻っちまったな……」

 

『どうにかならないか?』

 

《可能性を検討します》

 

「可能性?不可能じゃないってことか?」

 

《大賢者》の回答によると、時間をかけて《無限牢獄》の外と内から情報を解析することで《無限牢獄》を破ることが出来るかもしれないとのことだ。

 

『しかし、我のスキルは我と同様に封印されて使えぬぞ』

 

「ヴェルドラは俺達に情報をくれるだけでいい。解析はこっちでやる」

 

『それには時間が掛かろう。お前たちは早くここを出発して他の同郷の者に会いに行きたいのだろう?』

 

「うん。そこで、提案だ。ヴェルドラ、俺の胃袋に入る気はないか?」

 

『く、クハハハハハハハッ!!』

 

説明を聞いたヴェルドラは高笑いを上げて、悟さんを見る。

 

『面白い!是非やってくれ!お前に我の全てを委ねよう!』

 

「そんなに簡単に信じていいのか?」

 

『無論だ。ここでお前達の帰りを寂しく待つよりも、共に『無限牢獄」を破る方が面白そうだ!』

 

「決まりだな…悟さん」

 

「ああ、それじゃあ、今からお前を《捕食者》で食うぞ」

 

『待て。その前に、お前たちに名前を付けてやろう。名で呼び合っているようだが、人間の異世界人ならともかく、お前達は魔物として転生している為名無し状態だ」

 

「「名前?」」

 

『同格と云う事を、魂に刻むのだ。そして、お前たちも我に名前を付けろ。人間でいうファミリーネームみたいなものだ。我がお前たちに付けるのは、加護になる。先ほど言ったように、お前たちはまだ名無しだが、これでネームドモンスターを名乗れるぞ!』

 

「ネームドモンスター……いいな!」

 

「ああ、悪くない響きだ!」

 

『それじゃあ、カッコいいの頼むぞ!』

 

「ああ!そっちもな!」

 

「さて、悟さん、なんかいいアイディアある?」

 

「う~ん……折角だし、暴風竜から取ったらどうかな?」

 

「(暴風竜からか…………暴風……ストーム?いや、イマイチだな………他の国の言葉で言うと)」

 

 

悟さんと二人して悩んでいると、ふと頭にある単語が思い浮かんだ。

 

「(悟さん、一個だけヴェルドラにピッタリなファミリーネームがあった)」

 

 

「(ああ、俺もだ。だったら同時に行ってみるか?)」

 

二人は脳内会話で同時に

 

 

「「テンペスト!」」

 

スライムさんと言葉が重なる。すると二人が出したファミリーネームは同じだった事にお互い笑みを浮かべる

 

「はは、やっぱり同じだったか!」

 

「悟さんもね」

 

『それで、ヴェルドラ、どうかな?テンペストは?』

 

「ヴェルドラ・テンペスト、カッコいいと思うけど」

 

『テンペストだとおおおおっ!素晴らしい……なんと素晴らしい響きだ!我は今日からヴェルドラ・テンペスト!』

 

気に入ったらしくご満悦だ。

 

『お前たちの名も決まったぞ。お前は“リムル”、そして、お前が“ルインだ”!』

 

そう言って、スライム君と俺を順に指差す。

 

『今日より、“リムル・テンペスト”と“ルイン・テンペスト”と名乗るがよい!』

 

「“リムル”か。いい名前だ!」

 

「“ルイン”。ありがとう…ヴェルドラ、最っ高な名前だ!」

 

その瞬間、体の内側から力が溢れる感じがして心地よくなった。

 

《ユニークスキル・『自由の翼』を獲得》

 

「(《自由の翼』?いや、それは後でいいか)」

 

「(なんか飛す……じゃなくて、ルインがなんかスキル獲得したっぽいけど、それは後で聞こう)それじゃあ、名残惜しいけどそろそろ食うぞ、ヴェルドラ。さっさと《無限牢獄》から脱出して来いよ』」

 

「ヴェルドラ、外で会えるのを楽しみにしてるよ。その時は沢山の土産話を用意しておく」

 

『ああ、任せておけ。そんなに待たせず、お前たちと相見えよう。土産話は期待しているぞ!』

 

そして、ヴェルドラは悟さん改め、リムルの《捕食者》によって、胃袋に仕舞われた。

 

「リムル、ヴェルドラを頼むよ」

 

「任せろ!」

 

「よし!それじゃ、まずは洞窟を出ないとな」

 

「ああ、行こう!」

 

リムルとルインは出口を探しに、再び洞窟を進み始めた。

 

 

 

 

 

 

しかしルインは気付いてはいない、二振りの剣が妖しく光っていることに

デザストがリムルとルイン達の世界に行くのはあり?

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