転生したら鳥人だった件   作:狼ルプス

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鬼人達の今後

 

「お二人とも……勝利を信じていました!!」

 

「むぐっ」

 

「ちょっ…シオ…フグっ⁉︎」

 

駆け寄ったシオンが、俺達を自慢の“包容”力で抱きしめた。シオンの外見は生前の世界からすれば、スタイル抜群の美女と呼ぶに相応しい。

 

自分で言うのもなんだが、俺は未だこう言ったことに耐性がないため、顔だけでなくおそらく耳も真っ赤だろう

 

 

それに、最光に変身した後は妙に体が凝る……まだ慣れていないのもあるかもしれないが……やばい、なんか意識が…

 

 

「あの、シオンさん、ルインを離してやってくれないか?別の意味でルインが死ぬぞ……」

 

「え?わぁっ⁉︎も、申し訳ありませんルイン様!!お、お顔が赤いですが大丈夫ですか⁉︎」

 

シオンは、リムルの指摘で、耳まで真っ赤にしたルインに気づくと、慌てて離れる。

 

「ダイジョブ、キニシナイデ、ああ、ゴホン!……生き残ったオーク達は、正気に戻っていってるようだな」

 

ルインは誤魔化すように咳払いをし、オーク達に視線を向ける。王を失った悲痛な想い、そして、自分たちが仕出かしてしまった事の重さ、様々な負の感情がその顔に見て取れた。本来のオーク達は優しい種族で、たとえ異常だったとは言え、記憶もはっきり残っているのだろう

 

 

 

俺は、彼らを護る……魔王ゲルドとそう約束を交わした。俺に大それた事が出来るかはわからないが、やってやる。

 

 

「(ったく、こいつは…)」

 

ルインの考えを簡単に見抜いていたリムルはルインの肩をぱかっ!と叩いた。

 

 

「ルイン、お前1人で気張るなよ……俺だっているんだぞ?」

 

「……そうだったな。一人でやれることなんて限界もある。頼りにさせてもらうぞ、親友」

 

「おう!そっちこそな!」

 

二人は拳と拳を重ね合う。

 

 

二人の話していた内容が気になったシオンが尋ねようとしたその時だった。

 

 

突如風が舞い上がると同時に、トレイニーが姿を現した。

 

「流石は複数の聖剣に選ばれしもの、約束を見事果たして下さいましたね。ルイン様が剣のお姿になられたのは流石に驚きましたが……」

 

流石のトレイニーさんも俺が最光になったのを見て驚いていたようだ。最近エグ○イドのライドブックを使い、修行場がゲームエリアの異空間に移ったからだろう。流石のトレイニーさんも異空間までは見通せなかったようだ。

 

 

「良いタイミングだな、トレイニーさん」

 

「オークロードの討伐はこれで終わりました。後はこの戦いの後処理なんですが…」

 

「お、おい、あれ樹妖精(ドライアド)様じゃないか⁉︎」

 

「えっ⁉︎本物⁉︎」

 

樹妖精(ドライアド)本人の登場にガビルさんが連れていたゴブリン達が動揺する。確かソウエイは樹妖精(ドライアド)は『大変珍しい相手』と言っていたし、リグルドさんも『姿を表したのは二十年以上も前』と言っていたから当然の反応と言えるかもしれない。

 

俺の転生体「鳥人」がごく稀なように、樹妖精(ドライアド)は現れること自体が希少中の希少中なのだろう。

 

 

 

 

「…コホン、森の管理者の権限において、事態の収束に向けた話し合いを行います。日時は明日早朝、場所はここより少し南西、森寄りの広場。参加を希望する種族は一族の意見をまとめ、代表を選んでおくように、以上です」

 

 

オーク側の混乱はまだまだあるが、場は収束に向かっていった。

 

「(……管理者って言う肩書きは伊達じゃないな)」

 

「(流石は社長(仮)、こう言う時は頼りになるな。後処理は俺達が出張らなくてもよさそうだな)」   

 

今後の課題、ゲルドさんとの約束は必ず果たすつもだが、多種族への説明やら後処理やらはよく分からないためトレイニーさんがいれば大丈夫…とリムルは「思っていた」。

 

 

 

「それから異論はないと思いますが…議長はリムル・テンペストとします」

 

「(え!?俺⁉︎)」

 

「(やっぱりか…)」 

 

まさか当てられると思わず、任せる気満々だったリムルは驚いていた。

 

俺も驚きはしたが、予感はあった。一番の功労者であり、勝者でもあるのは間違いなくリムルだ。

 

「(けど……よかった)」

 

流れ的には当然であり、内心自分でなくて良かった…と一安心する。

 

「(おいコラ!!なにホッとしてんじゃ、お前は!納得するような顔するんじゃない!ってかお前もやれ!お前だって貢献しただろうが!)」

 

「(いやいや、ゲルドさんを止めたのはリムルだ。俺はお前の剣の役割を果たしたに過ぎない。それと、いつぞやの町の主にした事の仕返しだ)」

 

「(お前まだ根に持ってたのかよ⁉︎いつの話してんだ⁉︎陰気臭ッ!?)」

 

 

 

「それとルイン様にはリムル様の補佐をお願いしますね?」

 

「はい、わかりました」

 

良い笑顔で、ルインは引き受ける。

 

 

「(とりあえず頑張ろう、出来るだけサポートはするから)」

 

「(……後で覚えてろよ)」

 

 

こんな大きな戦いの後のまとめ役を考えたら軽いもの……とこの時思ってたが……後に、大変な事になってしまうことになるのを俺はまだ知らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一同が解散した後、俺、そして俺の頭に乗っているスライム状態のリムル、鬼人達は湿地帯を眺められる丘の上に集まった。空は日が昇り始めていた。

 

「この戦いまで、と言う話だったな。今までご苦労だった」

 

「短い間だったけど、みんなと過ごせて楽しかったよ…」

 

 

鬼人達との契約はオークロードの件が終わるまでだ。オークロードがいなくなった今、鬼人達も俺達の部下でいることも、居座る理由もなくなった。

 

寂しいけど、今生の別れと言う訳でもない。時間が有れば会いに行けば良いと考えていたが、

 

 

「ルイン様、リムル様、お願いがございます」

 

 

「なんだ?」

 

「どったの?」

 

 

「どうか、なにとぞ我らの忠誠をお受け取り下さい。我らは、これからもお二人にお仕え致します」

 

「……え、それって」

 

「……良いのか?」

 

 

「はい」

 

ベニマルの答えは俺達の傍に仕えると言うものだった。ハクロウ先生もソウエイもベニマルに従う……と言うより、心から俺達に仕えたい、と言った。

 

「異論はござらん」

 

「貴方様達に出会えて、我らは幸運でございます!」

 

「ふふ、それに……」

 

シオンはルインの手を握って二人を見つめ笑顔で告げる。

 

 

「私は、リムル様の専属秘書で…お二人の護衛役です!ぜーったい離れませんからね」

 

「そうか……」

 

「ふふ、安心しました?」

 

「うん……けど、お前達は本当にそれでいいのか?」

 

「もちろんです!それに……寂しそうにしてるルイン様を見てるとこちらも寂しい気持ちになります。シュナ様だってきっとそうです!これからも、私はお2人をお守りします!」

 

「俺、そんな顔してたか?」

 

「ルインちゃんは顔に出やすいからな〜。こんな俺達だが、これからもよろしくな、お前ら!」

 

 

「は!」

 

「我らの命…」

 

「果てるまで!」

 

 

「ベニマル、シオン、ソウエイ、先生……あはは、みんな…最っ高だ!!」

 

ルインがそう笑顔で応えると、万能収納にしまっていたはずの風双剣翠風と一冊のワンダーライドブックが現れ、緑色の光を放ちながらソウエイの前に浮かぶ。

 

 

 

これには皆、動揺した。

 

「こ、これは……」

 

「ルイン様が使ってる聖剣の一振り……」

 

「しかし、何故ソウエイの元へ……?」

 

「ルイン様、リムル様…これは…」

 

 

「い、いや…俺にもさっぱり、ルイン…お前は?」

 

 

「……おそらくソウエイは、風の聖剣…風双剣翠風に選ばれたんだ」

 

「マジか⁉︎」

 

「なんと⁉︎」

 

「ソウエイが聖剣に⁉︎」

 

ルインの言葉に一同は驚く。実を言うと、翠風は以前反応を示していたのだ。リザードマンの首領の娘を助けた時…オークと戦うソウエイを見守っていたあの時に光を放っていた。

 

 

「俺が……聖剣に…」

 

「ソウエイ、その剣を手に取るかはお前次第だ…ただし心に刻め…力を得ることは大いなる責任が伴う。俺達の使う聖剣と本は使い方を間違えれば…世界すら破滅させる力にもなる」

 

「……大いなる、責任」

 

ソウエイは、ルインの言葉に目を瞑り、考え込む。ソウエイは聖剣の力を目の当たりにし、身に持って体験している。変身したリムルに手も足も出ず、しかも手加減された状態で完敗している。

たとえ不意打ちでもやられるはずのない剣の達人のハクロウでさえ変身しているルインに一撃でやられた。

 

そしてソウエイは目を開く。その目は覚悟を決めた瞳だった

 

 

「心得ました。この剣を扱う事の重み、しかと受け止めました」

 

ソウエイはゆっくり風双剣翠風に手を伸ばし、柄を握ると緑色の光は弾けた

 

【風双剣翠風!】

 

【猿飛忍者伝!】

 

 

《告、個体名ソウエイがエクストラスキル・『翠風』を獲得》

 

世界の言葉が二人の脳内に響く

 

「(まさかソウエイが風の聖剣に選ばれるとはな)」

 

「(ああ、今後どうなるか全く予想がつかないな…)」

 

「(だな。まぁ予想がつかないなんて今に始まったことじゃないけどさ。そうだ、俺は一回町に戻ってこの結果を伝えてくるよ。お前はどうする?)」

 

「(俺は残るよ…出来るだけ休んでおきたい。最光に変身したせいか身体中凝っててな…)」

 

「(了解だ。んじゃ…俺は行くからな)」

 

リムルはルインの頭から降り、人間に擬態して月闇を片手に持つ。そして、月闇で空間を斬り、闇を作り出すとその中へ入って姿を消した。

 

 

「あの、ルイン様」

 

「ん、どうしたシオン?」

 

「その腰についているそれはなんでしょうか?以前リムル様が使っていたものと違う形状のようですが…」

 

「はい?」

 

 

ルインはシオンに促され腰あたりを見ると、ソードライバーに似た形状で、オレンジの翼のような造形のあるバックルに一冊の本が装身され、そのバックルには…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無銘剣虚無が納刀されていた。

 

 

「なっ⁉︎これって……!」

 

それは、夢で見ていたオレンジ色の剣士が使っていたものだった。ルインは顔の血が引いてくると同時に絶句した。

 

 

「あれは……夢じゃなかったのか…!」

 

 

 

 

 

 

 

ルインが手にしたのは破滅をもたらす不死の力……この力で彼がもたらす未来は破滅か……それとも希望か。

デザストがリムルとルイン達の世界に行くのはあり?

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