転生したら鳥人だった件   作:狼ルプス

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デザストと蓮の決着に泣けました。挿入歌も凄く良かった。


ジュラの森大同盟

湿地帯での戦いから数日、今の俺達はあまり休む暇がない。一度町に戻ったリムルも戦いの結果を報告したのちすぐに戻ってきた。

 

 

会議──頭が痛くなる仕事だ。俺は生前でも会議の参加経験は少なかったから正直苦手だ。

 

 

  

 出席者は、俺と膝の上に乗ってるリムル、後ろに控えている鬼人たち、そしてリザードマンからは首領と親衛隊隊長とその副長……ガビルさんはどうやら反逆罪で連行され投獄されたようだ。

 

ガビルさんに連れてこられたゴブリンたちからは数名、オークからは代表10名、

 

 

 

 

 

 

 

樹妖精(ドライアド)からは、トレイニーさんのみだ。

 

 オーク側の空気は、同じ場所とは思えない程重く、暗い。まるで死にそうな表情だった。

 

「(まったく、何が 『議長はリムル・テンペストとします』だ!戦後処理なんてどうやって進めていいかわかんねーよ!)」

 

「(愚痴っても仕方ないだろう。やれるだけ頑張ろう、出来るだけサポートはするからさ…)」

 

「(お前は余裕でいいよな!まさかと思うが全部俺に押し付ける気か??)」

 

「(まさか、リムルの気持ちは理解はしてるよ…俺だってこういうのは苦手だしさ……)」

 

「(ならいいけどさ……それよりお前、大丈夫なのか?)」

 

「(ん?なにがだ?)」

 

「(虚無専用のベルトが出たんだろ?それに絵柄が無かった本も絵が浮き出たっていうしな)」

 

「………」

 

ルインは懐から絵の載っていなかったはずの一冊のワンダーライドブックを見つめる。

 

表紙の文字は英字で《Eternal Phoenix》と書かれている。表紙を開いて目にした生き物は火の鳥…… 不死鳥(フェニックス)が描かれていた。

 

そして文は…

 

 

──かつてから伝わる不死鳥の伝説が今、現実となる…と書かれていた。

 

 

「(不死鳥の伝説……か)」

 

 

動揺なんてものじゃない、

夢で俺が変身していたと思われるオレンジの剣士……… “ファルシオン”が使っていた物だったのだから。

 

形状は烈火,流水,黄雷とは異なり、オレンジ色で、装身スロットが右側だけにしか無く、オレンジの翼の造形をしたバックルとなっていた。

 

外そうとしたが、何故かソードライバーのように外す事ができなかった。しかし念じれば消せ、出現させる事ができる。このベルトは○ウガやア○ト等と同じようなタイプのようだ。

 

 

名前は《覇剣ブレードライバー》──ファルシオンの名前もバックルに触れたら能力と使い方、内容がわかった。同時にある人物の姿が流れ込んできた。

 

 

 

 

 

 

剣を重ね合わせた三人の剣士のうち、一人の男は使命感に厚い好漢だった。

 

しかし、一人の騎士の仲間が力の誘惑に溺れ、その人物の家族を殺めてしまった事で全てが狂ってしまった。

 

愛する者を仲間の裏切りで奪われた男は怒りや悲しみ、絶望に飲まれて家族を手に掛けた仲間を斬殺した。

 

 

『裏切り、殺し合うのが人間の本質だ。人間がいる限り……争いは永遠に無くならない。終わらせるには!この世界を滅ぼし……無に帰すしかない!!』

 

大きな本を片手に持ち、開くと、世界は崩壊を始めた。全てを虚無に帰さんとしたが、光剛剣最光と闇黒剣月闇を携えた剣士に封印された。

 

 

『全てを無に帰す……』

 

『間もなく全てが消え去る。この世の……終焉だ』

 

 

『争いは無くならない』

 

『「力」こそ争いの源』

 

『世界は悪と災いで出来ている』

 

『ならばお前は今、俺と何をしている!?人がいるから…!世界があるから!力があるから争いが起こる!!それが人の歴史だ!!人類はその先には進めないのだ!』

 

 

「………」

 

俺は覇権ブレードライバーから映し出された人物の言葉が頭から離れなかった。

 

 

「(ルイン?)」

 

「(…平気だ。身体には異常はない……)」

 

 

「(そうか、だけどさ……)」

 

 

リムルはトレイニーに視線を向けると笑顔を返す。

 

「(くそぅ……いい笑顔)」

 

 

「(リムル……)」

 

「(ああ、今日は俺なりの考えを言うから、ルインもしっかりサポートしろよな?)」

 

「(了解)」

 

哀しき王の想いを、リムルと共に約束した責任を果たす為、表情を引き締める。

 

 

「えー…こういう会議は初めてで正直苦手だ。だから、思った事だけを言う。そのあとで皆で検討をして欲しい。まず最初に明言するが…俺達はオークに罪を問う考えはない」

 

リムルから出た言葉に一番動揺を隠せなかったのは、オーク達だ。

 

事の発端である自分達を罪には問う考えはないとはっきり告げたのだから当然かもしれない。

 

次に反応があったのはリザードマンの面々だ。

 

「被害の大きいリザードマンからしたら、不服だろうが聞いてくれ。彼らが武力蜂起に至った原因と現在の状況を話す。因みにルインは俺とゲルドの会話を聞いてるから、証言にはなる筈だ」

 

 

「それでは、俺からオークの現状を説明させていただきます…」

 

 リムルは勿論の事、ルインの事を疑ったりする者などここにはいない。オークの現状の説明をはじめた。

 

 

「───なるほど大飢饉…それにゲルミュッドなる魔人の存在ですか…」

 

魔人ゲルミュッドに関してはゲルドに呆気なく首を撥ねられたが、存在自体は俺達やトレイニーさんも確認している為疑う余地もない。トレイニーさんから聞いたもう一人の魔人はわからないが…

 

「そうだ。まぁ、だからと言って侵略行為が許されないのは当然だ。逼迫した状況からわかる通り、彼らには賠償できるだけの蓄えは無い」

 

「ここまでは建前でもあります。だろ、リムル?」

 

「ああ…」

 

「建前?ではお二人の本音を伺ってもよろしいかな?」

 

 

建前ではなく、本音……約束があるから。少しだけ間を置いて、リムルは答えた。

 

 

「オーク達の罪は全て俺達が引き受けた。文句あるなら俺達に言え」

 

「オークの皆の事は俺達が護る……」

 

二人の発言に納得できない者もいる。他の誰でもないオーク達だ。

 

「お、お待ち頂きたい!いくらなんでも、それでは道理が……」

 

 罪を肩代わりしてもらった挙句、護ってもらうなどと、いきなり受け入れるのは難しかったからだ。

 

「理由も無しにこんな発言はしない…」

 

「これは……魔王ゲルドとの約束だ」

 

「ッ………!」

 

それを聞いたフードをかぶった側近のオークは言葉も無かった。

 

「成る程……しかし、それは少々ずるいお答えですな」

 

 リザードマン側も控えめな受け答えだった。簡単には受け入れるのは難しいだろう。

 

「(もっともな返答だ……)」

 

「(まぁ、簡単には受け入れられないだろう……でもここで引き下がる訳にはいかない)」

 

「(ゲルドさんと約束したんだ。オーク達の結末は、必ず変えるって…)」

 

ゲルドさんとの約束は護りたかった……自身を犠牲にして、すべてを投げうってでも、民を護ろうとした王に応える為に。

 

すると鬼人側のベニマルが口を開く。

 

「魔物に共通する唯一不変の法律ルールがある。弱肉強食……立ち向かった時点で覚悟は出来ていた筈だ」

 

「弱肉強食……確かにその通りですな。駄々を捏ねてはリザードマンの沽券に障りましょう」

 

ベニマルとシュナの父親は二人を護る為に殺されたと彼女から聞いた。現頭首であるベニマルの言葉が芯に響いたのかもしれない。

 

「いいのか?」

 

「もとより、この戦の勝者はリムル様とルイン様方のお2人にございます。お2人の決定に異論などありません」

 

「(いや、正確にはリムルが……)」

 

「(いんだよ、こまけーことは。いいんじゃないの?みんながそう思ってるなら…)」

 

 

こんなにあっさりと受け入れる事が出来たのはどうやらそういう事だったらしい。

 

ヴェルドラが言っていた事も今なら理解できる。

 

色々と意見を言い、聞くところは聞いて、最後には従うつもりだった様だ。

 

だが、問題点もある。

 

 

「――しかし、それはそれとして、どうしても確認せねばならぬことがございます。オークの罪を問わぬということは…生き残った彼ら全てをこの森にて受け入れるおつもりですか?」

 

 

この場にいるのが全てではない。忘れてはならないのはその数だ。この戦いで多くの犠牲が出たが、生き残ったオークは15万を超える。

 

その数字は戦士の数だけではなく全部族総出、大飢饉から逃れる為、出てきたのだ。『ウエルモノ』の効果がない今、弱っているオークが倒れるのも時間の問題である。

 

 

「………夢物語のように聞こえるかもしれないが、森にすむ各種族間で大同盟を結べたらどうだろうか」

 

「大同盟……」

 

「オークたちにはひとまず各地に散ってもらうが、その土地土地で労働力を提供してもらいたい」

 

「その見返りに我らは食糧や住む場所を提供するということですか?」

 

「そうだ。住む家なんかの技術支援は俺たち町の職人に頼む。もちろんタダじゃないぞ、ウチも人手不足だからオークの労働力は当てにしてる。技術を身につけたらそのうち自分たちの町を作ればいい。各地に散った者達とも一緒に住めるようになるだろう。他種族共生国家とか出来たら面白いんだけどな」

 

 

皆で楽しく暮らせる町を作る、俺達が目指す行きつく先の理想だ。

 

「(他種族共生国家、面白いことを考えたな…)」

 

「(だろ?それが一番面白いし、何にしても平和が一番ってな)」

 

「(ほんと、欲張りだよ…お前は)」

 

「(それが俺だからな…お前も色々と協力しろよな?)」

 

「(ああ…こうなったらとことん付き合うさ…)」

 

 

 全ての話を聞いた所で、おずおずと口を開いたのはオーク達だった、信じられない、と言わんばかりの表情で。

 

「わ、我々が、その同盟に参加させてもらえると………?」

 

 

「帰る場所も行く当てもないんだろ?居場所を用意してやるから働けよ。サボることは許さんよ」

 

「ははっ!もちろん……もちろんですとも!!命がけで働かせてもらいます!」

 

オーク達は膝をつき頭を下げる。

 

「(お、大袈裟な気が……)」

 

「(いいだろ、心意気として受け止めてやれ)」

 

「(そうだな…)」 

 

「…我らも異論はありませぬ。ぜひ、協力させていただきたい」

 

 

オークに続いてリザードマン達が跪いた。

 

「??」

 

「(なんで跪くんだ?)」

 

 参加してくれるのは有難い。しかし、二人は何故跪くのか意味が判らなかった。

 

「(リムル、もしかして、これって仕来りじゃないか?)」

 

「(かもな。未だに魔物の常識はよくわからん……)」

 

「(一先ず、俺達も……)」

 

「(だな、頭下げるべ…)」

 

 

脳内会話を終えて、ルインは立ち上がる為に、リムルを膝上から降ろそうとした所で、シオンに嗜められた。

 

「お二人とも、何をなされようとしておられるのですか?」

 

「え?だって、礼を……とかじゃないのか?オークの皆もしてるし…」

 

「そういう儀式みたいなものじゃないのか?」

 

 

「違います!本当にもうお二人は……」

 

 

促されるままに、後ろに控えていた鬼人たちも全員前に出てオークやリザードマン達側に跪いた。

 

 

「(これって……)」

 

「(ああ…嫌な予感がしてきた)」

 

 

「よろしいでしょう。わたくし、トレイニーが宣誓します。リムル様とルイン様をジュラの大森林の新たなる盟主として認め……、その名の下に“ジュラの森大同盟”は成立致しました!!」

 

「「(盟主⁉︎俺たちが⁉︎普通一人でしょ!!/だろ!!)」

 

まさか盟主に任命されるとは思わなかった。声には出さないが、脳内では見事被った。

 

「本来盟主はお一人なのですが、お二人を盟主とする事に異論があるものはありませんか?」

 

トレイニーの言葉に誰も反対する者はいなかった。ましてや俺たちの町に住んでいたゴブリンや鬼人達からすれば主が二人のためなんら問題もなく、オークやリザードマンも反論する者もいなかった

 

 

「(リ、リムル……)」

 

 

「(こんな空気じゃ辞退できるわけないだろ……あぁ、もう!いいよ、やるよ、やりますよ!)えー、意見が割れる時はみんなに頼ったり、するけど、そういうことなんで…!」

 

 

「み、みんな…よろしく頼むぞ!!」

 

 

『はっ!!』

 

 

こうして冷や汗が止まらない二人を置き去りに、ジュラの森大同盟は成立した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同盟が締結され解散し移動しているベニマル達にフードをかぶったオークが話しかける。

 

「なにか用か?」

 

 「……弱肉強食とは言っても、憎しみはそう簡単に割り切れるものでは無い。我らはオーガの里を……!」

 

 ベニマル達に跪いて頭を下げる。

 

「詫びて詫び切れはしない。虫のいい話であることは重々承知している。だが、どうかこの首一つでご容赦願えないだろうか…!」

 

 

自分達の罪を喰った,護ると宣言されたなど所詮は方便である。ベニマル達は己が生まれ育った里を蹂躙されたことは忘れるはずもない

 

せめても自分の命だけでその怒りを鎮めて欲しいと地に頭を擦るのだった。

 

 

「我らは、今後もルイン様、リムル様のもとに在り続けたいと伝えたら俺たちに役職を下さった。今回の働きを見て考えてくださったらしい」

 

 

「私は、武士(モノノフ)!リムル様とルイン様の護衛役ですよ!後、リムル様の専属秘書も兼ねてます!」

 

 

胸を張って答えるシオン。

 

 

「ハクロウは『指南役』、ソウエイは『隠密』。町に残っているシュナとクロベエにもだ。で、俺は『侍大将』の座を賜った。軍事を預かる役どころだ。そんなところについちまった以上有能な人材を勝手に始末するわけにはいかないだろう」

 

「ッ!!?」

 

「お二人に仇なす存在ならば容赦はしないが、同盟に参加し盟主と仰ぐのなら敵では無い」

 

「仇なすなど滅相もない!あの方達は我らを救ってくださった!従いこそすれ仇なすなどありえん!!」

 

「では、俺たちは同じ主を仰ぐ仲間だ。せいぜいお二人の役に立て。それを詫びとして受け取っておこう」

 

 

「………父王ゲルドの名に誓って…!」

 

 

 

亡き王に誓いを立て、フードのオークは目頭を熱くする。その影では一人の人物が様子を見守っていた。

 

 

 

 

「ベニマル…俺も、負けてられないな。それに…」

 

 

 

 

 

ルインは移動の際、話し声が聞こえたので気配を消し見守っていたのだ。ベニマルの器の大きさにルインも尊敬の意を抱いた。

 

そしてルインの持っている亀と蛇の絵が載った鼠色のライドブックが、光を放っていた。

 

 

 

 

 

本当に大変なのはここからなのを身に持って体感することになる。

デザストがリムルとルイン達の世界に行くのはあり?

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