ハートジャスティス   作:ココリンク

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12話 花が咲く

4/23(日)

 

 

 

「明人ー! こっちこっちー!!」

 

深い森の中、赤い花の髪留めをした小柄の女の子が無邪気に飛び跳ねながら、手招きをしている。

 

「咲希、そんなに慌てなくても逃げないぞ。

足元、根っこ気をつけてな」

 

そんな女の子を追いかける、ラフな格好だがどこか芯の強そうな男の子は微笑みながら、女の子の足元の側に伸びる根っこを注意した。

 

二人の名前は早苗咲希(さなえ さき)と竹内明人(たけうち あきと)。

 

直樹な三晴の隣のクラスの小学6年生だ。

 

6年間同じクラスであり、5年生のときから同じ生き物係をしている。

 

「だいじょーぶ!

って……わああ!」

 

咲希は明人の注意をよそにスキップしていたが、木の根につまずき、転びそうになってしまう。

 

「あ、咲希!」

 

明人は急いで咲希へ駆け寄り、体を支えた。

 

「気を付けてって言ったろ」

 

「ごめんごめん。百合ちゃんと来たときはこんなに暗くなかったのに……

明人! ありがと!」

 

やれやれと言うふうな明人に、咲希は少し照れながら満面な笑みで返した。

 

明人はその笑みの可愛さに思わず微笑むと、咲希の手を握った。

 

「やっぱり危ないから……こうしよう」

 

「うん!

明人の手、温かいからすき!」

 

「……俺も、咲希のかわいい手、好きだよ」

 

「ありがと!!」

 

照れながら言う明人に、咲希は終始満面な笑顔で元気よく話す。

 

このふたり、恋人同士なのである。

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

「あ! 明人見て!

あそこだよ!」

 

薄暗い森の中、開けた場所が見えた。

 

咲希は嬉しそうにそこを指差す。

 

大きな花畑があり、そこだけ切り取られたかのように深く覆われた木の葉がない。

 

いかにもここは神聖な場所ですよというふうにキラキラした光が差している。

 

その光景が美しく、明人は思わず見惚れていた。

 

「この前、百合ちゃんとお花のこと調べてたら見つけたの!

あそこもおむね、温かくなるんだー」

 

咲希は花が好きで、よく親友の不来方百合(こずかた ゆり)と月詠山の麓の花畑で遊んでいる。

 

その中で、正体不明の花が見付かり、以降、散歩がてら花を調べに街中を探索することがある。

 

そして、あちこちに点在する花畑の中でも、その正体不明の花の近くに行くと、咲希の胸が少し温かくなっていた。

 

「どう?

おむね? 温かい?」

 

咲希は首を傾げながら、明人を見上げて訊く。

 

明人はそっと自分の手を胸に当てる。

 

ほんのやんわりとだが、胸の芯がポカポカしているような気がした。

 

「うん。

温かい。ここもそうかもな」

 

明人は微笑みながら、咲希に優しく言う。

 

「やったー! 百合ちゃんにも教えてあげよ!」

 

咲希は腕をぶんぶん振り、元気に飛び跳ねる。

 

「足元危ないよ」

 

「はーーい!」

 

明人は注意するが、咲希は返事するだけだった。

 

明人は手をしっかりと握り、優しく微笑むと花畑の方を見て、少し難しい顔をした。

 

(結局、いつもこれだけなんだよな。

俺と咲希の胸が温かく、アイツの胸はそうならない。

それしかわかってねえし、わかったとしても発展なし)

 

明人は一度何かに熱中するとなかなか抜け出せない。

 

いろんなことに熱しては冷めてきたが、一年前からずっと咲希に熱中し、冷める様子は見せない。

 

それどころか、咲希に関係しているほぼすべてのことに興味を持ち出してしまい、正体不明の花についても明人は色々と考えていた。

 

だが、かつて百合と話したとき、“学者の間でも、なにか不思議な神聖な力が関わってるとだけしかわからない”と言われ、調べようもないことに半ば、諦めかけているところもあった。

 

「明人ー!

……明人?」

 

そんな明人の顔の前に咲希は手を振る。

 

「あ、ごめん。

ちょっと考え事」

 

心配そうに見上げる咲希を見て、明人は優しく笑い頭を撫でた。

 

「百合ちゃんも明人も、新しいとこのお花見るといっつも考えてる顔するね!

仲良しさんだ!」

 

「だから、アイツとは仲良くねえよ」

 

嬉しそうに微笑む咲希に、明人は苦笑いする。

 

「仲良しだよー!

ねえ明人!

遊んでいこ! 寝っ転がりたい!」

 

「そうだな」

 

咲希は明人の手を引き、走り出す。

 

明人も咲希が転ばないよう、しっかりと手を握ったままあとに続いた。

 

「……あれ? 誰かいるよー」

 

花畑に足を踏み入れると、咲希は花畑の隅に人影を見た。

 

明人も目を凝らしてじっと見る。

 

深い紫色のローブのような物を身に纏っており、素肌が見えない。

 

体格も隠れてわからないが、身長は大きかった。

 

猫背気味に立ち、下を向いて、足元の花を見るかにしている。

 

「植物学者かなにかじゃないか?

ほら、よくアイツが“この街には神聖な力が月詠山の湧き水から注がれてる”って言ってるし、その研究じゃないか?」

 

「えーー、じゃあ遊べないの?」

 

「サンプルを取りに来ただけならいいんじゃないか?

……たぶん」

 

明人はそれらしいことを言うが、本を軽く読んだり、話のうわべだけを聞いた猿知恵な部分も多いため、なんとなくでしか答えられなかった。

 

「じゃあきいてみよ! “遊んでいい?”って!」

 

咲希はそう言うと、明人から手を離し花を踏まないように花畑の外を回って、ローブの人に駆け寄った。

 

「すみませーーん!」

 

咲希は手を振りながらその人に呼び掛ける。

 

ローブの人は咲希に気付いたのか、ゆっくりと顔を上げ、咲希の方に体を向けた。

 

(……!)

 

咲希は驚いた顔をすると、その場に立ち止まる。

 

(……? 咲希?)

 

明人は突然立ち止まる咲希を不思議に思い、咲希のもとに走った。

 

(まっくろ……)

 

咲希は恐怖を覚えていた。

 

話しかけようとしたローブの人。

 

その人が咲希に向けた顔は、ローブのフードの影に隠れて何も見えない闇だった。

 

その吸い込まれそうな闇の中、赤い双眸が妖しく光ったとき

 

その人は右腕を咲希へ伸ばすと、その手先から魔法陣が現れた。

 

「……えっ!?」

 

咲希は急に現れた怪しく回る魔法陣を前に動けなくなってしまう。

 

「咲希!!」

 

明人は底のしれない恐怖を覚えたが、怖がる咲希を前に思わず、走る速度を上げていた。

 

ローブの人は何も言わず、少しだけ力む。

 

すると、魔法陣の真ん中からはドス黒い闇の弾が発射された。

 

「え……」

 

咲希はあまりの突然のことに動けない。

 

「咲希ー!!!」

 

明人は全速力で駆け、咲希へダイブ。

 

咲希の体を押し倒し、弾は咲希の頭上を飛び越え、一本の木を貫いて消滅した。

 

「大丈夫か!? 咲希!」

 

明人はすぐに咲希を起こし、慌てて訊くが、咲希は涙を流しながら、首を横に振るだけだった。

 

「ごめんな……。

あとで痛いの痛いの飛んでいけするから、もうちょっと我慢して」

 

明人は咲希の頭を撫でながらそう言い、ローブの人に視線を向ける。

 

(……!

マジかよ…!)

 

ローブの人の前に、今度は魔法陣が2つ現れていた。

 

明人は、さっき咲希を押し倒したとき、木が折れた音が聞こえていた。

 

それを人間が受けたらどうなるかは想像に難くなかった。

 

「お前!! なんなんだ!!!

なにが目的だ!!? なんのために!!!」

 

明人は精一杯敵を睨み付け、これでもかと大声をだす。

 

虚勢を張り、威嚇をしなんとか怯ませようとしたのだ。

 

だが、無情にもローブの人は少しだけ力み、魔法陣から闇の弾を発射させた。

 

「咲希! 危ない!」

 

明人は咲希の頭を抑え、無理矢理しゃがませて、弾を躱す。

 

また背後から木々が折れる音がするが、明人は怖くて見れなかった。

 

明人は起き上がり、ローブの人をじっと見詰めた。

 

(考えろ……よく見てよく観察して隙をつく……!

ゲーマーの母ちゃんが、初めてボスを相手にするときに口にする言葉だ……!

よくわかんねえけど、アレは俺たちを狙ってる、そしてよくわかんねえ魔法陣で攻撃……

そうか、魔法陣……)

 

明人は足元で丸まって震える咲希に小さい声で呼び掛けた。

 

「咲希、安心しろ。

逃げられる」

 

「……ほんと?」

 

咲希は涙を湛える眼差しを向けた。

 

「ああ。

あの魔法陣が出てから攻撃が出るまでかなりの時間がかかる。

だから今急いで逃げれば、攻撃まで間に合わない」

 

「……うん」

 

咲希は涙を拭い、立ち上がろうとして、ふたとき、ふと、ローブの人の足元を見た。

 

「…………!

だめ!!」

 

その瞬間、咲希は慌ててローブの人に向かっていった。

 

「……!? 咲希!!?

なにしてる!!?」

 

明人は咲希の手を掴んで、止めた。

 

「離して!!」

 

「離すか!!

なにしてる!?」

 

「お花が!

お花が枯れてるの!!」

 

咲希は必死の形相でローブの人の足元を指さした。

 

「……花?」

 

明人も見るとたしかに、ローブの人の周りだけ花が枯れていた。

 

偶然かと思ったが、ローブの人を中心に次から次へと花が枯れてきている。

 

ローブの人の仕業なことは明白だった。

 

「……でも! 逃げよ!

命の方が大事だ!」

 

だからといって、自分だけが止める術はない。

 

そもそも魔法陣や闇の弾という、ゲームやアニメの中でしか見たことのない攻撃が自分たちを襲っている事自体恐怖以外何者でもなかった。

 

「だめ! 百合ちゃんに教えなきゃだもん!」

 

「だからって!

死んだら意味が

 

明人が言い切ろうとしたとき、急に咲希の足元が緑色に輝き出した。

 

咲希は驚いた顔をして、また恐怖で固まる。

 

「……!? 咲希!!」

 

明人は咲希の足元を見た。

 

そこには黒く闇の粒子に染まった花が、花弁を咲希に向け、その上に緑の魔法陣を出していた。

 

明人は、咲希と話している間、ローブの人が何もしていないのが不思議だったが、足元へ攻撃の準備を進めていたことに今気づいた。

 

「逃げろ! 咲希!!」

 

明人は咲希を引っ張り、魔法陣から引っ張り出した。

 

その瞬間、上空にドス黒い柱のようなエネルギーが放出され、雲を貫き、霧散させた。

 

「危なかった……

とにかく逃げ

 

明人は咲希を腕に抱きながら、黒く焦げた地面を見ると、咲希に逃げるように伝えようとした

 

だが、咲希は明人の腕を振り解き、ローブの人の前まで走った。

 

「ちょっ! 咲希!!」

 

明人は足元とローブの人の様子を確認する。

 

まだどこにも魔法陣はない。

 

「お花はみんなのものだよ!

枯らしちゃうのだめ!!

あと、危ないから人に物投げちゃだめ!!」

 

咲希はローブの人を前にしても毅然とした態度で注意した。

 

迫真の目付きに、動じないその姿勢。

 

ローブの人の動きが一瞬止まる。

 

だが、ローブの人は聞く耳を持たず、手から直接闇の弾を作り、咲希へ投げ付けた。

 

「きゃっ……!!」

 

咲希は勢いよく吹き飛ばされ、花畑に転がる。

 

「……!? 咲希!!」

 

明人は急いで咲希に駆け寄り、ローブの人を見た。

 

(普通に出せるのかよ……!!)

 

「明人……痛い…………」

 

咲希は弾をくらった腹をさすりながら、明人に手を伸ばす。

 

「痛かったな……待ってろ……

俺がなんとかする」

 

明人は優しくそう言うと、目つきを鋭くさせ、ローブの人を睨んだ。

 

「テメェ……!!

咲希になにをする!!!!」

 

明人は拳を握り、ローブの人に向かった。

 

「(逃げるなんてしなくても、倒せばいいんだろ!!

咲希を傷付けるやつは許さない!!)

うおおおおお!!」

 

明人は殴りかかろうとしたが

 

「うぐっ!!」

 

その拳はローブの人の腕に弾かれ、すぐに生成された闇の弾をもろに食らってしまった。

 

明人はなんとか踏ん張り、腹を抑えながら息を漏らす。

 

(死にはしねえけど、普通に痛い……吐きそう…………

兄貴のパンチの何倍も強え…………)

 

「明人……」

 

咲希も明人のピンチに、お腹を抑えながら立ち上がる。

 

「やめて! 明人も!! お花も!!

いじめないで!!」

 

そして、精一杯叫んだ。

 

その瞬間、咲希の胸と足元の花が淡く光った。

 

それを見たローブの人は咲希に腕を伸ばし、魔法陣を出現させた。

 

「ひっ……!」

 

咲希は恐怖し動けなくなる。

 

「……!! 咲希!!

テメェ!! やらせるか!!!」

 

明人は標的が咲希に向いていることがわかると、必死の形相でローブの人へ向かった。

 

だが、ローブの人は反対側の手から闇の弾を作り出し、明人へ投げ付ける。

 

「おっと! させねえよ!!」

 

明人は間一髪避け、ローブの人を殴り付けようとした。

 

そのとき

 

ローブの人は魔法陣の向きを急に明人へ変えた。

 

「…………え」

 

明人は一瞬絶望を覚えた後

 

魔法陣からの闇の弾を体にもろに受け、地面に叩き付けられた。

 

着弾地点からは砂煙が舞う。

 

その衝撃は森の木々を揺らし、花畑の花を何枚か散らした。

 

「明人……

…………明人!!」

 

咲希は一瞬、なにが起こったかわからなかったが、理解が追い付くと、明人のもとへ駆け寄った。

 

その瞬間、ローブの人は強く力む。

 

すると、花畑の花がほぼ全て枯れてしまった。

 

そして次の瞬間、咲希の足元に緑色の魔法陣が出現し、ノータイムで闇のエネルギーが湧き上がった。

 

「きゃあああああああああああああ!!!!!!」

 

咲希の悲鳴が森中に木霊する。

 

エネルギーが収まると、2メートルまで浮き上がっていた咲希が地面に叩き付けられた。

 

体中煤と血だらけになっている。

 

砂煙も晴れ、その中からは地面にめり込みぐったりと倒れ、血まみれの明人が現れた。

 

「…………………………あき……と」

 

咲希は目を薄っすらと明け、朦朧とする意識の中、ローブの人に連れて行かれそうになっている明人を見た。

 

周りの景色も色がない。

 

「だめ……………」

 

咲希の目から涙が流れる。

 

「もう……だめ…………」

 

力を入れようとしてもまったく入らない。

 

ローブの人がこっちへ来ているのが見える。

 

咲希は顔を落とし、まぶたが閉じそうになった。

 

そのとき

 

「もう……いじめちゃ……だめ」

 

咲希は寝そべる地面の右手近くに咲く、まだ枯れていない花を見た。

 

その花は光り輝くと、咲希の右手にその光を移した。

 

(うっ……!!)

 

その瞬間、出血によって奪われていた咲希の体の熱がぽーっと温まってくる感じがしてきた。

 

(あったかい……

似てる……いっつも、あのお花の近くに来たときみたい)

 

咲希はゆっくり立ち上がる。

 

そして、怒った顔をしてローブの人を見た。

 

「みんな仲良く!

いじめちゃだめ!!」

 

咲希は指をローブの人に向け、勇ましくそう言うと、大きく胸が輝き出した。

 

「…………咲希……」

 

その輝きで明人は目覚め、薄っすらまぶたを開けて見ていた。

 

光が収まると、咲希は右手をギュッと握り、優しく離す。

 

すると、その手の中には光の種があった。

 

「えい!!」

 

咲希は地面にその種を撒くと、すぐに種はあの正体不明の花になった。

 

ローブの人は危機感を覚えたのか、すぐに闇の弾を生成し、咲希に投げ付けた。

 

咲希は右手と左手合わせて、花のようにすると、闇の弾に向けた。

 

「ブルームシャワー!!」

 

そして、その叫びと同時に咲希の手から光の光線が発射される。

 

光の光線と闇の弾はせめぎ合う。

 

だが、闇の弾のほうが勢いが強く、止められない。

 

と思ったそのとき、地面に咲かせた花は向きを変え、闇の弾丸に光の光線を出した。

 

花の光線は弾丸を貫き、消滅させた。

 

花も役目を終えたかのように、枯れてしまい、光の粒子になって消滅する。

 

「えい!!」

 

咲希はまた拳を握り、種を作り、それを撒く。

 

ローブの人も腕を伸ばし、魔法陣を作り出した。

 

「ブルームシャワー!!」

 

咲希は手を花の形にして、光線を撃ち出す。

 

地面の花も光線を撃ち出し、収束し、一つの大きな光線になる。

 

ローブの人も少し力み、魔法陣から闇の弾を撃ち出す。

 

光と闇は互いにせめぎ合う。

 

が、少し経った後、闇の弾が光の光線を押し返し始めた。

 

「う……ううう!!」

 

咲希は力を入れるが、状況は変わらない。

 

それどころか、力なく右手をおろしてしまい、拮抗する相手がなくなった弾は猛スピードで発射された。

 

着弾し、大きな砂煙を舞わせる。

 

ローブの人はじっとそのいく末を見届けようとした。

 

そのとき

 

「ブルームレーザー!」

 

ローブの人の背後から声が聞こえたと思ったら、光線が胸を貫いた。

 

見ると、新たな花が光線を出していた。

 

咲希はあのとき、右手をおろしたのは、諦めたわけでも力がもたなかったわけでもない。

 

予め新しく花の種を作って、不意をつくためだった。

 

急な攻撃に狼狽えるローブの人の背中に、咲希は両手を添えた。

 

そして

 

「ブルームシャワー!!!」

 

大きく叫ぶと、掌から光の光線が発射され、ローブの人を貫いた。

 

ローブの人は叫ぶこともなく、終始無言のまま闇の粒子になって消えた。

 

「うぐ……」

 

ローブの人に抱えられっぱなしだった明人は、消滅と同時に地面に落ちた。

 

「………………。

…? 明人……?

!! 明人!?」

 

怒った顔から、いつものあどけない顔に戻った咲希は、倒れた明人を見て、急いで駆け寄った。

 

「明人!! 大丈夫!?

明人!!!」

 

咲希は明人を揺らし、涙ながらに叫ぶ。

 

「……咲希…………。」

 

明人はなんとか目を開け、掠れた声を出す。

 

「明人!! よかった!!

わたしたち、助かったんだね!!」

 

咲希は明人が目を覚ましたことに、満面な笑みを浮かべる。

 

「大人の人、連れてきて」

 

しかし、明人はゆっくり微笑むとそれだけ言って、また目を閉じた。

 

「明人?

……明人!!」

 

咲希はまた揺らして、大きく叫ぶが反応はない。

 

「…………わかった……

花奈ちゃん読んでくる」

 

咲希は涙を流しながら、急いで走り、着た道を全速力で駆け抜けた。

 

(あの光……咲希に何が起こったんだろ…………

それであの魔法使いはなにものだ?

あの花のヒミツって……

…………とにかく、今度アイツと話し合って今後のことをきめよ…………

…………………生きてられたら……な)

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