冷たい方程式   作:明日死ぬ

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ピースサイン

タキオンのレースが終わって、トウカイテイオー。ついにやってくる。

ダービー、日本一を決める場所。この特別感。戦極やKOKみたいな大会が出てもUMBが特別扱いされるようなものだろうか。

 

「トレーナーって時々意味わかんないこと言うよね」

 

 今日は抽選会だ。ダービーにある謎のジンクス。大外で勝ったウマ娘は居ない。だからそれ以外だとありがたい。

 

「えーと……? 1。1!?」

 

1枠。大当たりだ。

 

 

 

 

 

 

 ⏱  ⏱  ⏱

 

強いウマ娘とは何ぞや。

トレーナー曰く、それは三つの条件を持つウマ娘である。

 

『よく食べるウマ娘は強い』

 

 一つはよく食べること。ウマ娘の食事量は人間と比べて多い。科学的な裏付けはないけど、この食事量が人間を超える身体能力を支えているのではないかという考え方が一般的だ。その中でも際立って多く食べるウマ娘は食べる強いという仮説

 

『沢山レースに出ているウマ娘は強い』

 

 レースに出るのはいいことづくめだとトレーナーは言う。レースに慣れれば勝ちやすくなるし、勝負勘みたいなものも付いてくる。プロップスも増す、ライブもうまくなる。ただし消耗する。だから、出続けられるというのは勝ち負け関係なしに一種の才能だ。

 

『どんな条件でも戦えるウマ娘は強い』

 

 レースというのは実に不確定要素が多い。トレーナーが逃げを好むのは、バ群に沈んだりペースを乱されたりといった要素を極力回避できるかららしい。距離がどうとか、天気がどうとか、本当に強いウマ娘は多少の不利をものともしない。

 

そして、面白いことにトレーナーの育成はこの真逆。隣の芝生は青いということなのか?

 ボクのはちみーやタキオンの紅茶を没収するし、食事も自分で作る。レースは絞る。条件を限定してその中での特訓を繰り返す。芸術品のようなもの。この一瞬にすべてをかける。

何回も繰り返した、ゲートを出る練習。

 

「トウカイテイオー、抜け出した!」

 

逃げる。

 

「ついてく、ついてく……」

 

 プレッシャーすらも追い風にして、走ろう。一陣の風となれ。ペースは完璧。

 

「ついてく、ついてく……」

 

 ライスシャワーか。要注意ウマ娘の一人としてトレーナーが言ってた。こっちが逃げの一手を打ったのに、きっちりと付いて来てる。予測されてたかな。

 

「だとしても、抜かせない!」

 

 走れ、走れ。そら最終コーナー、このままぶっちぎって!

 

「なんと大外からスペシャルウィーク! ダービーのジンクスを覆すのか!?」

 

「スペシャルウィークが先頭に立った!」

 

「なっ!?」

 

 負け――いや、負けない! カイチョ―が、トレーナーが、ボクのファンが、皆期待してるんだ、ボクが勝つのを。負けるわけない。

 

『テイオーステップは封印しよう 足に負担が掛かりすぎる』

 

 姿勢を低くする。

 

「出るか? 出るか! 伝家の宝刀 テイオーステップ!」

 

 負けるわけにはいかない!

 

「両者並ぶ! どっちだ! どっちだ!? 抜け出したのは――」

 

「日本ダービー 勝ったのはトウカイテイオー! 二冠達成です!!」

 

 はぁ、はぁ、はぁ。

 

「勝った……」

 

 勝ったんだ。これで、三冠に王手。まずは、コールして

 

「うわっ」

 

 バランスを崩して転ぶ。いや、本当は足で踏ん張れたけど、その時に気づいてしまった。

 

「大丈夫」

 

 トレーナーが、手を貸してくれる。その顔はどこか悲し気で。

 

「そんな顔しないでよ」

 

「テイオー!」「テイオー!」「テイオー!」「テイオー!」「テイオー!」「テイオー!」「テイオー!」

 

 緊急で検査したら、骨折していた。

 

「菊花賞は、諦めるしかないと思う」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「ライブも、今日は出ずに」

 

「何言ってるのさ、トレーナー。ダービーで勝ったのに、出るに決まってる」

 

「でも足が」

 

「ちょっとくらい悪くなっても関係ないよ。だってもう、三冠は取れないんだから」

 

 だから、そんな顔しないでよ。




次章 馬と鹿 に続く 三章は菊花賞までのお話になります
皐月賞~ダービーと違って間があるので、多分二章よりは長いです。
活動報告でサブタイトル等の募集をしているのでよければ
四章、クラシック有馬記念が最終章の予定です。

ジャパンカップで勝って欲しいウマ娘は?

  • トウカイテイオー
  • アグネスタキオン
  • スペシャルウィーク
  • ライスシャワー
  • その他・外国ウマ娘
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