艦隊これくしょん 前日譚 海の咆哮に答えしもの 作:マツケン-2
自らをロシア帝国の艦隊「バルテック艦隊」と相まみえ、この時代まで記念艦としてその勇姿を残す「戦艦三笠」と名乗った史上最初の艦娘が出現して以降、同じような事例が日本だけでなく、アメリカ、イギリスでも確認され始めていた。共通していたことは全員が若い女性であり、背中にはその名乗っている艦船が持つ巨大な主砲やマストなどがそのまま小さくなったようなものが載せられている機械を背負い、海上に立っている状態で発見されていたということであった。
この女性たちの発言と深海棲艦を「撃沈」していることから、彼女達が深海棲艦に有効的に対抗しうる唯一の手段であると各国は確信していた。そこで秘密裏に彼女達を軍に招き入れ、深海棲艦に対抗するための部隊、「艦隊」を創生したのである。
同時に彼女たちを艦艇の魂持った娘であることから「艦娘」と、背中の機械は彼女達を艦船として成り立たせるための装備として、鉄の箱である進水したての船を大海原を行かせるための機関などの総称、「艤装」と似ていることからそう呼ばれることになった。
またその頃から艤装の操作、運用を補助していると見られる手の平に乗る人形のような生物が見られるようになっていた。彼女らは自分達が気に入った人にしか姿を見ることはなかったが、艦娘がその能力を発揮するために不可欠な存在であったため、彼らを「妖精」と呼び、艦隊の一員として加えることにしたのであった。
そんな中、妖精の力を借りることで、艦娘としての素養を持つ女性達を次第に確認されるようになり、戦艦より小さいが、艦隊の運用する上で欠かすことのできない駆逐艦や巡洋艦といった艦種の艦娘たちの存在も確認されていた。
しかしここである問題が生じてしまう。戦艦よりも小さいその艦種の艦娘たちに成人している人はおらずまだ学生であるはずの年齢の少女達ばかりであった。特に駆逐艦級の艦娘たちに至っては、
「14歳未満は戦闘行為に参加させてはいけない」
という国際法に抵触する年齢の少女達も多数存在していたのであった。
小回りの効く巡洋艦や駆逐艦を始めとする補助艦艇の存在は艦隊を運用する上で不可欠な存在である。このままでは艦娘を深海棲艦に対抗しうる部隊として運用することはできない。そのため艦娘の出現した国との間で長い論議が行われることになる。その討議の中では語彙を荒くし、罵り合いが始まる場面すらあったが、最終的には、
「人類の脅威になり得る深海棲艦に対し、それに対して対抗しうる能力を持つ14歳未満の子供に関しては、深海棲艦に限り戦闘行為を許可する」
という紳士協定が結ばれることになった。”紳士協定”であるのは、正式な協定としてしまうと艦娘、そして深海棲艦の存在を公に認めてしまうためであり、その時交わされた文章も国連事務所で厳重に保管されることになった。
こうして戦艦や巡洋艦、駆逐艦の艦娘で水上打撃艦隊が編成され、人類は深海棲艦に対抗する力を徐々に身につけていくのであつた。