艦隊これくしょん 前日譚  海の咆哮に答えしもの   作:マツケン-2

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第九章 道筋

 この大震災では、海岸から数キロの内陸まで津波が深く広く入り込んだことにより、福島、宮城、岩手を中心に太平洋に面した地域に甚大な津波災害を引き起こされ、あまりにも多くの人命が失われてしまっていた。

 

 なかでも事前の想定を遥かに超えて津波によって、地震や津波発生時に指定されていた避難所にも津波が押し寄せ、多数の犠牲を生んだケースがあまりにも多かった。

 その中で救助活動は、まだあたり一面が海のようになっている時から、津波の第二波、第三波や強い余震の危険がある中から開始されていた。

 

 そんな中、不可思議な現象が多く目撃されていた。若い女性や女児が街に溢れた海水に上に立っている、というものであった。

 

 全身がずぶ濡れで、津波漂流物による怪我をしているおり、奇妙な機械を背負っている、というのが共通点があり、これは新たな艦娘が出現した以外に説明がつかないものであった。それは避難中や避難所で津波に飲み込まれた彼女らが、それをきっかけに艦娘としての能力を発現されたことによるものであった。

 

 将来的に考えられていた深海棲艦の上陸に備えて、艦娘の存在を知らされていた陸自、空自の目撃した隊員も、その光景には驚きを隠せなかったという。

 

 そして彼女たちの証言から驚くべき事実が判明した。彼女たちは今までに出現した艦娘とは一線を画する存在であり、最前線で深海棲艦と戦っている第一次世界大戦より前に建造された艦艇の艦娘ではなく、主に第二次世界大戦で活躍して艦艇の艦娘であった。

 

 ”ロングランス”と恐れられていた比類なき長射程と威力を持つ、唯一無二の酸素魚雷を操る駆逐艦、その駆逐艦を従える強力、高速な巡洋艦、はるか遠くの目標をも打ち抜き、圧倒的な防御力を誇る戦艦、そして多数の航空機を操り、戦艦すら圧倒する現代では最強の軍艦とされる航空母艦、それぞれの魂に魅入られた艦娘たちが姿を表したのである。

 

 それだけではない、彼女たちが持っていた装備の中には艦娘用のレーダーやソサーが含まれていたのである。現代と比較すれば原始的なものではあるが、それでも飛躍的な進歩であった。すでに航空機と思しき飛行物体や潜水艦の存在が確認されており、手出しすることができなかったそれらに対しても、対策を講じることが可能となった。

 

 以降、最初から震災までに就役していた艦娘を第一世代、震災以降に就役していた艦娘を第二世代と呼称するようになった。

 

 それは人類にとって再び訪れた、希望の光でもあった。

 しかし、第二世代の艦娘たちは震災孤児や、海にトラウマを持つ人も多く、当然艦娘としての経験がないことが課題であった。

 

 彼女らが実戦に立てるまでにはまだ時間がかかる。それまではなんとか第一世代の艦娘たちだけで凌ぐほかなかった。希望はあるが、絶望に変わるかもしれないという不安定な情勢の中、第二世代艦娘の育成と第一世代艦娘の奮闘が始まるのであった。

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