艦隊これくしょん 前日譚  海の咆哮に答えしもの   作:マツケン-2

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第十章 静寂、第十一章 反抗

第十章

 

 予想に反して、深海棲艦たちの動きは東日本大震災以降急速に沈静化してゆく。それをチャンスと捉え、第二世代の艦娘達に最大限の教育、訓練を行い、その一方で素質のある少女達の発見、勧誘活動も積極的に行われていった。

 

 一方で、この大震災では過去の災害とは違う一面も見せていた。地震発生時の映像のほとんどは一般市民のカメラで取られたものであり、報道カメラによるもの映像は少ない。

 

 スマトラ島沖地震では、観光客が持ち合わせているカメラで津波の襲来の瞬間が捉えられることもあったが、そのときに手元にカメラがないケースや、すぐ撮影ができなかった、撮影しててもそれを見せる手段があまりなかったなど、様々な要因があって深海棲艦が映った映像が広く流れることはなかった。

 

 しかしこの東日本大震災では、個人が持っている携帯電話などですぐ撮影できることや、動画配信サービスが普及し始めていたこともあり、簡単に震災の映像を公的な手段を問わずに世界に配信することが可能となっていたのである。

 

 実際、今回の東日本大震災でも深海棲艦が沿岸に流れ着くケースが多く見られ、艦娘が水上に立っている映像や、打ち上げられたた深海棲艦の映像が動画配信サービス上で流れることもあった。

 

 しかし大半の人はそんな非現実なものを信じることはせず、フェイク映像やオカルトの一種と見られ、それらの映像も各国からすぐ消去する指示が出せたこともあり、広く知れ渡ることはなかった。

 

 しかしそんな中でもその映像を信ずるものが現れ、密かに保存されていた映像を根拠に「海からの使者」「呆れた人類を滅ぼすために来た」「海からの救世主」ということを信じた人たちが集まり始めていたのである。

 

 2021年現在、世界に蔓延している新型コロナの対して人類がその叡智を結集して僅かな期間で作られたワクチンを「政府が国民を監視するために仕込みが施されている」「そもそもこのウィルスは人為的に作れたものだ」、と主張する個人や団体がいることと同じことが起きていたのであった。

 

第十一章

 2013年4月。ついに深海棲艦たちが人類に対して組織的な戦闘行動、つまり宣戦布告をしてくる。

 

 舞台はハワイ、パールハーバーにあるアメリカ海軍の基地に対して、戦艦や空母を含んだ深海棲艦の大艦隊が攻撃を仕掛けて来たのである。艦船用のレーダーやソナーでは全く捉えられることなく忍び寄った深海棲艦の艦隊によってハワイは蹂躙される、かに見えた。

 

 しかし人類側もそれをただ待っていたわけではなかった。この時、アメリカ海軍所属の第二世代艦娘達は訓練のために訪れていた海上自衛隊所属の艦娘たちとともに反撃を行い、なんとか深海棲艦の艦隊を撃退することに成功。ハワイを守ることができたのである。

 

 このときの戦闘の様子はすぐさま世界中の報道機関はもちろん、一般市民からも伝えられ、世界に衝撃を与えることになり、この深海棲艦の襲撃を期に、世界各国で一斉に深海棲艦と艦娘の存在の公表に踏み切る。

 

 当然あんな異型の生物が存在することや少女達が戦闘行動をしていることに対して批判がおこった。しかし配信された映像からは、既存の兵器が通用せずに撃破されてゆく様子とその異型の生物に対して攻撃を行い、撃破してゆく艦娘達の様子があり、大きな声を挙げることは結局誰もできなくなってしまっていた。

 

 こうして艦娘の存在が公となったり、やがて”アイドル”のような存在になってゆくのであった。

 

 しかし深海棲艦の動向が不透明なことがあり、しばらくの間は民間の輸送船は船団という形をとり、それを艦娘達が護衛することになった。また不要不急な海の航海として国際クルーズ船の運行は即刻停止され、航行中の船は近場の港に、早急に停泊することになったのである。

 

 これがとある悲劇の引き金となることにを、まだ誰も知るよしがなかった。

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