デート・ア・ライブ 懺悔精霊<フレイ>   作:皐月の王

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昔から少し考えていたデート・ア・ライブ、今回から書きます!


少女は死して精霊となる

「そんな目でこっち見るな!俺の前から失せろ!」

 

何度も言われた、何度も、何十回も、何百回も否定される。何度も殴られ、蹴られ、憂さ晴らしの道具にされる。上手くいかない時の八つ当たりは少女に来る。少女が失敗しても同様だ。気に入らなければ暴力を振るわれる。

 

「お父さんと結婚しなければよかった!!!貴方を産まなければ私は!!!」

 

少女は認めて欲しかった。自分を見て欲しかった。優しかったはずの母親は壊れた。いや、父親が酒に溺れた日に暴力を振るわれ始めた日から、徐々に壊れていった。

 

「やめて!お父さん!」

 

懇願する少女。しかし、その願いは届かず腹を蹴られ、髪を捕まれ持ち上げられたかと思うと、投げ飛ばされてしまう。壁に強く打ちつけられる。衝撃で息が出来なくなる。

 

「うっ!ゴホッ…ゴホッ…ウッ!」

 

これが少女の日常であり、そこに救いなんてない。

 

「貴方のせいよ!あの子が傷だらけで訳わかんない人が来るのは!私はあの子を見たくない!あの子がいるからこの地獄も続いて、私は救われないのよ!」

 

「お前が狂っているからだろ!お前の教育が良くないからあいつは……!」

 

ガラスが割れる音と言い争う父親と母親の声が耳に入る。少女は聞きたくないと耳を塞ぐ。自分を否定する言葉と、仲良くして欲しい二人の言い争う声。地獄のような場所で願うのは地獄に終わりが来ることである。狂いそうになるし壊れそうになる毎日の中、それを願い続ける。

 

「――――あぁ……我慢ならない。お前が俺を否定するなら……俺を不幸にすると言うなら…!!!」

 

「何をするつも―――」

 

その後、母親の悲鳴だけが家に響き渡る。少女は震えた、体から熱が逃げていくのを感じる。この場から動いたらまた痛い目に合うだろう。しかし、気になってリビングに見に行ってしまった。

 

そこでの光景は少女には刺激が強すぎた。動かない母親とその上に乗る父。手には刃物が握られており、赤い液体が着いていた。母親は……確かめるまでもない。自身の血の海で眠るのみ

 

「あっ……あ……」

 

「……見たんだな」

 

静かで厳かな声で父親が尋ねる。父親は少女に向き、一歩、一歩と近づき……

 

「……お前も、俺を否定するんだよな?お前も俺が嫌いだよな?だったら……」

 

「え……あ……。…え?」

 

ドス……。

 

鋭い痛みが腹部に広がる。鉄の味がする液体が口から零れる。

 

「最後に俺の為に死んでくれ」

 

涙が零れた、これで終わるのだと思うと涙が溢れた。幸せな時間もあったはずなのに、残酷なまでに救いは無かった。

 

――――――――――――――

 

『君は不幸だった。君は報われなければならない』

 

その声以外何も感じない所で少女は存在した。

 

『君は生きていい、救われるべきだ』

 

「貴方は……?」

 

声は少女の質問に対して、何ともないように

 

『僕はただのお節介さ。で、君を転生させる。力を君に宿させてね。それに合わせた世界に転生させるよ』

 

少女は言われたことにピンと来なかった。しかし、自分が死んだということは分かった。転生は生まれ変わるということだ。そして最後に感じた腹部の痛みは今でも覚えている。

 

「私……あっ…」

 

『時間みたいだね。ここでの会話の記憶も残らないし、気兼ねなく転生して思うように生きてね。天輝 焔華ちゃん』

 

焔華の意識は途切れる。頭が痛む気がした、それと同時に、名前と一般常識以外の体験と記憶は全て奥底に消えていく。

 

次に目を開けた時にはクレーターの中心に立っていた。破壊された街並みのクレーターの真ん中に立っていた。

 

頭の中に今の姿の情報が入ってくる。

 

「あっ……っつう!」

 

苦悶の声をあげ頭を抑える。その時腕を見た。

両腕は肘のところまで金色の篭手が着いており、両足は膝の近くまで金色のグリーブがつけられている。背中には二つに分かれた赤いマント、腰にも赤いマントがある。体を見ると赤い鎧を身にまとっていた。

 

「……ここは、それにこの街」

 

破壊された街、クレーターの真ん中に佇む。どうすればいいか分からない。何から始めればいいかなんて誰も教えてくれないだろう。そんな中、空から声が聞こえる。

 

「目標確認!霊力のパターンから見て新種の精霊です!」

 

敵意、殺意を向けてくるのが分かる。人が空を飛んでいる時点でそっちも気になるが、向こうはこちらに敵意を向けている。彼らはASTである。対精霊部隊、精霊を狩り、精霊を殺すために機械の鎧を纏う魔術師達。もちろん焔華と話す気はなく、処理しに来たのだ。そんな時、頭に天使の名が浮かぶ。焔華はその名を告げる。

 

「……《懺悔君主(ウリエル)》!」

 

天使の名前を告げると、両手に二つの光が集まり武器が握られる。右手には紅く燃え上がる炎の如くの剣。円状の中央に柄が存在し、三対の太陽のような意匠があり、それは真紅の短い刃のような物だ。左手には上下には槍の矛先が存在し、二対の翼があり円状の中央に柄がある形を成していた。

 

「霊力の上昇を確認……!天使です!」

 

「っ!何をしかけてくるか分からないわ!警戒しながら攻撃開始!」

 

ASTからミサイルが放たれる。光の槍と横に軽く振る。その軌跡から無数の光弾が展開される。

 

「行って!」

 

号令を出すように槍の矛先をミサイルに向ける。光弾は迫り来るミサイルを撃ち落とす。それを免れたミサイルは、剣を地面に刺し炎を壁を作り出し防ぐ。炎はクレーターを赤熱させ融解させる程の熱を放った。焔華は慌てて剣を抜く。軽く融解する地面を見て

 

(加減しないと人を殺してしまう……。あの人たち訳が分からないけど、あ機械と武器を壊せば……!)

 

そんなことを考えて、手に持つ武器をしっかりと握る。

 

「《懺悔君主(ウリエル)》……【閃光(ルクス・ヴァイス)】」

 

光を纏い空飛ぶASTの隊員に向かって飛び出す。

 

「来るぞ……!なに!?」

 

手に持つ武器は両断され、落下による浮遊感に襲われる。

 

「このぉぉぉぉ!!」

 

他の人達も挑みかかるが、目で追うのも不可能の速度で、その場に居た全員を無力化し飛び去る。

 

(誰も死んでいないことを祈るしかないよ…)

 

焔華は適当に人が寄り付かなさそうな場所に降り立つ。

 

「このままだと、目立つよね。服装変えないと」

 

霊装を解除して新たな服を作り出す。ノースリーブの白めの服に水色のノースリーブの上衣に黒いショートパンツにブーツ。と言う服装だ。

 

「よし、これなら良いよね」

 

呟きながらも大きく深呼吸して歩き出す。そして道路案内標識を見た、そこには天宮市と書かれていた。

 




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