デート・ア・ライブ 懺悔精霊<フレイ>   作:皐月の王

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社会人になって書くことがここまで困難になるとは……情けねぇ


協力協定

現在、焔華は<フラクシナス>に招かれていた。琴里が話したいという事を士道経由で焔華に伝わり、焔華はそれに応じたと言う事だ。

 

「ようこそ、<フラクシナス>へ。私が艦長の五河琴里よ」

 

「どうも、天輝焔華です」

 

琴里と焔華は自己紹介をする。<フラクシナス>艦橋は緊張に包まれていた。ASTをものともしない精霊が<フラクシナス>内に居て、艦長と話そうとしている。

 

「とりあえず、士道と十香を守ってくれたことに礼を言うわ。ありがと」

 

「ううん、私がしたかったからしただけだよ。お礼を言われるほどじゃないよ」

 

琴里は会話をしながら目の前の精霊がどんな人物なのかを探ろうとしていた。上手く行けば保護が出来き、士道に力を封印させることも可能となる。そうなればいいと考えた、数値的には友好的な数値だったからだ。

 

「あの、琴里ちゃん。琴里ちゃんの組織と私やよしのんを襲う人達に着いて教えてくれないかな?どうして襲ってくるか知りたいと思うし、琴里ちゃん達が友好的にしてくれる理由も知りたいしね」

 

焔華から話を切り出した。琴里は頷きながら、ASTについて、ラタトスクについてを話した。ラタトスクは精霊と対話をして、空間震災害の平和的解決を目指して作られた組織がラタトスクで、士道は精霊の力を封印する力があるというのを聞いた。一方ASTは対精霊部隊の通称で武力を以て精霊を殲滅する事を目的とした組織、各国にも同様の部隊が存在しているという事を知った。

 

「それで、他に聞きたいことはある?」

 

「そうだね、士道君が精霊の力を封印する力を持っているのは分かったけど、それとデートってどう関係あるの?」

 

「好感度をあげてキスをするのが封印の条件だからよ」

 

焔華はそんな条件があったんだと驚きの表情を浮かべた。そのためのデートだったのかと理解した。しかし、悪意や敵意は感じなかったし、助けたいと言う純粋な気持ちだと言うのは焔華には見えていた。だから警戒もしなかった。

 

「なるほど……。ねぇ、琴里ちゃんお願い聞いてくれない?」

 

「お願い?」

 

琴里は思わず眉を顰める。精霊から取引を持ちかけられると思わなかったからだ。しかし、焔華も緊張しているというのは伝わってくる。

 

「うん、私の力を封印するのを待って欲しいかな。その代わりにって言うのも変だけど、私も精霊の保護に協力をする。精霊が出てきてASTと言う人達を足止めとかしないと、落ち着いて話も出来ないと思うからさ……。勿論、士道君も守るよ。どうかな?」

 

焔華が言うのは、封印はまだしないで欲しい。その代わり保護には協力するというものだ。ASTの足止め、士道の護衛。それを行うのが精霊の焔華と言う。

 

(悪くないわね。少なくても士道を守る要になるし、いざと言う時に頼りになる戦闘能力、しかもそこまで攻撃的なオーラは出さないし)

 

琴里からしたら、悪くは無いと思った。

 

「分かったわ。焔華の封印は後回しに、代わりに貴方はラタトスクに協力することでいいわね?」

 

「うん。ありがとう琴里ちゃん」

 

「礼なんていいわよ。これからよろしく頼むわよ焔華」

 

そして、その日の夜は……

 

「というわけで、焔華はしばらく家で暮らすから」

 

「改めて、天輝焔華です。よろしくお願いします。士道君」

 

五河家にお世話になることになった焔華。

 

「どういうことだよ琴里……何も聞いてないぞ」

 

士道は肩を落としながら話を聞き、驚く。

 

「つまり、これは焔華は俺やラタトスクのために力を振るうという事なのか?」

 

「まぁ、簡単に言えばそうだね。私だって、私みたいな精霊を見捨てるなんて出来ない。だから、協力出来るならって思ったの」

 

「そういう事で、焔華は家で暮らすことになったわ。この前はどこで寝たか聞いた時、廃屋という答えを聞いて驚いたわよ」

 

「それは、まだ家で寝てもらった方がいいな」

 

だが、空き部屋が無い事に気づき、しばらくは琴里の部屋でお世話になることになった。そして、焔華は入浴をする。

 

髪を洗い、体を洗い湯船に浸かる。

 

「……あったかい」

 

ふぅーと息を吐きながら天井を見る。そして軽く自分の事を思い返してみる。

 

名前は覚えている、一般常識も……。しかし、それ以外の事は覚えていない。どこでどうしていたのか…まるで覚えていないのだ。思い出そうとする気には何故かならない。まるでそれを忌避しているかのように

 

「……私って何だろう」

 

湯船に浸かりながらそう考えていた。

 

そして、渡された下着を身につけ、寝間着を着て琴里の部屋に行く。布団は敷かれており何時でも寝れるようになっていた。

 

「おやすみなさい焔華」

 

「おやすみなさい琴里ちゃん」

 

焔華は夢を見た。暗い暗い闇の奥底で泣いている少女を見る夢を。焔華の声は出ず、手を伸ばすことも出来ない。目先の少女は泣いていた。そして

 

『ダレモタスケテクレナイ、ワタシヲ、ミナイ。ワタシハクルシイノニ』

 

呪詛を吐くように、世界を呪わんばかりにこう告げた。

 

『コンナセカイ、コワレテシマエ!!!』

 

「っ!」

 

焔華は目が覚め体を起こす。額には汗が滲み呼吸が少し乱れていた。何か怖いものを見た気がした、しかし内容を覚えていない。何で目覚めた、何を見たか焔華は少し混乱したが、頭を振り、時計に目をやると8時半を指していた。朝である。

 

「起きよう…」

 

琴里を起こさないように布団を畳み、自身の力で服装を何時もの服装に変えこっそりと部屋を出る。

 

「おはよう、士道君」

 

「おう、おはよう焔華。ゆっくり眠れたか?」

 

「うん!ぐっすり眠れたよ!」

 

そう笑顔で答える。焔華の様子を見た上で士道はよかったと頷いた。その後10時以降、十香と令音はお出かけに行った。

 

「学校休みだし……俺も午前中に買い物行ってくるか」

 

「私も付いて行くよ。荷物持ちさせてよ」

 

「女の子にそんな事させる訳には行かないだろ?」

 

「でも、このままお世話になりっぱなしは嫌だから……お願い!」

 

手を合わせて焔華はお願いする。士道は折れて

 

「じゃあ少し着替えてくるから待っててくれ」

 

「分かった!」

 

その時の焔華の笑顔を見た士道は少し顔を赤くしていた。

 

士道は家に鍵を閉め、焔華と共に商店街を目指しながら歩く。しばらく歩いて……

 

「ねぇ、士道君あれ、よしのんじゃない?」

 

焔華が指さす方向に、ウサギのような耳が着いた緑色のフード少女が居た。空間震によって破壊され立ち入り禁止となったエリアの向こうに焔華と同じ精霊である、よしのんが居た。士道と焔華は塀に身を隠すと

 

「警報は……鳴ってねえよな。……っ、十香の時と同じパターンか」

 

「必ずしも空間震で引っ張られて現れる訳じゃないんだね」

 

焔華は頷きながら納得する。士道は精霊なのに知らないのかと突っ込みたかったが、とりあえずそれを胸の内にしまうことにした。

 

「とりあえず、琴里ちゃんに連絡したら?」

 

「あ、ああ。そうだな」

 

士道は携帯電話で琴里に連絡を取る。そして士道はインカムをつけて

 

「おう、聞こえるよ」

 

インカムからは琴里の声が聞こえる。しかし、焔華にはそのインカムは渡されていない。とりあえず士道に付き添うしかないのだ。

 

『このまま彼女を放って置くことも出来ないわ。とりあえずコンタクトを取って見ましょう。そこに焔華も居るのよね?』

 

「ああ、居るぞ。今は買い物に付いて来てくれているんだ」

 

『あら、仲が良くなっているのは感心するわ。よしのんは昨日焔華に守ってもらったわ。だから、彼女がいると落ち着くと思うわ。二人で行ってくれるかしら?』

 

その指示を士道は焔華に伝える。焔華は頷き了承し作戦に出る。

 

「じゃあ、声をかけるぞ」

 

『ええ。――っと。ちょっと待ちなさい』

 

士道と焔華が接触しようとしたところで艦橋のモニタには選択肢が出る。

 

①声をかけると同時に仰向けに転がって腹を見せ、敵意がないことをアピール。

 

②すぐさまギュッとハグをして、こちらの愛を伝える。

 

③こちらが丸腰であることを示すため、全裸になって声をかける。

 

と、3つの選択肢が出てきた。

 

『ち、令音が居ないのは痛いけれど、仕方ないわね』

 

令音は今現在、十香と出掛けているため不在となっている。その選択肢がどうなっているかは分からない現場の二人。どう出るのか緊張する士道と、よしのんを見ている焔華は指示を待つ。

 

『士道、声をかける前に服を脱ぎなさい』

 

琴里は静かにそう告げた。士道は

 

「ごめんだよ!」

 

悲鳴のような叫び声が響き渡る。

 

「そんな大きな声を出したら!」

 

焔華が言うも時すでに遅し、士道の大きな声でよしのんはハッとした様子で振り返っていた。顔面は蒼白にして歯をカチカチと鳴らし、全身を小刻みに震わせ始めていた。

 

「……ひっ、ぃ……っ」

 

今にも泣き出しそうな顔で右手をかざす。それはよしのんが天使を顕現させた際のものだ。焔華は

 

「大丈夫、何もしないから!」

 

焔華は傘をその場に投げ捨て、両手を上げて降参のポーズを取る。そして、指示を受けた士道も傘を捨て、雨で濡れた道の上に寝転がり、

 

「参った!降参!」

 

「……っ!?」

 

二人の行動を見て振り下ろしかけていた手をよしのんは、呆気にとられたような顔になる。よしのんは右手を元の位置に戻し、様子を伺い始める。

 

「……せ、成功……したのか?」

 

「大丈夫……だと思いたい」

 

士道は寝転がったまま、焔華はその場で一歩も動かないまま。

 

「よ、よう……」

 

「………」

 

声をかけるもよしのんは警戒するように睨むだけ

 

「昨日ぶりだね?」

 

「………」

 

焔華が話しかけてもあまり変わらない。その時ふと、今日のよしのんと、昨日のよしのんを頭で比べてみる。そしてあることに気づく。よしのんがパペットをつけていないことに。そのタイミングで士道も質問する。

 

「なあ……おまえ、もしかして、パペットを探してたりする……のか?」

 

士道が言った瞬間目を見開き走りより頭をガッと掴み、問い詰めるように揺さぶる。

 

「……っ!……っ!?」

 

「あッ、あててて……っ!ちょっ、止めろって」

 

言うとよしのんがハッとしたように士道の頭から手を離す。

 

「やっぱり……探しているんだね」

 

焔華の言葉によしのんは何度も力強く頷く。そして不安そうな瞳で士道と焔華を見る。その目はパペットの所在を問うように。

 

「ごめんなさい。私もどこにあるのか分からないの」

 

「俺もだ。どこにあるかは……」

 

二人が言うとよしのんはこの世の終わりを告げられたような顔をしてその場でヘナヘナとへたり込んだ。

 

そしてそのまま顔を俯かせ

 

「ぅえ……っ、……っ」

 

と嗚咽を漏らし始める。その姿を焔華はじっとしていることが出来なかった。

 

「っ!」

 

焔華は優しく安心させるようによしのんを抱きしめる。ビクッと体を震わすよしのんだが

 

「大丈夫……私達も探すの手伝うから……ね?士道君」

 

「ああ、俺もパペットを探すの手伝うよ」

 

「……!」

 

士道と焔華が言うと驚いたように目を見開いた。そして表情を明るくさせる。うんうんと首を縦に振る。落ち着いた様子を見て焔華は離れる。

 

「ええと……それで、なんだけど。パペットは、いつどこでなくちまったんだ?」

 

問と、よしのんは逡巡するように視線を泳がせ、その桜色の唇を開いた。

 

「……き、きのぅ……」

 

ウサギの耳付きフードをきゅっと握って目元を隠すようにしながらたどたどしく言う

 

「こわい……人達、攻撃……され……気づいたら……いなく、なっ……」

 

「昨日、ASTに襲われたのか」

 

「っ……あの後だね……」

 

焔華は自分が情けなく思える。よしのんが逃げ出す時に自分も一緒に行くべきだったと、悔いても仕方ないとは思っても悔やまれるものだ。

 

『こっちからもカメラをあるだけ送るわ。できるだけ彼女とコミュニケーションを取りながら捜索してちょうだい』

 

士道は紹介を示すようにインカムを小突くとよしのんに目をやった。

 

「よし……じゃあ、探すか、よしのん」

 

「……!」

 

よしのんが首肯し、しばし口をモゴモゴさせてから、声を発してくる。

 

「わ、わたし……は、」

 

「ん?」

 

「私……は、よしのん、じゃなくて……四糸乃。よしのんは……私の、友達……」

 

「いい名前だね。四糸乃」

 

焔華がそういうと、四糸乃が走っていこうとする。

 

「あ……ちょっと!」

 

その声に驚いた四糸乃は肩を震わせた。瞬間、四糸乃の周囲の雨が突然針のようになって、士道の方に飛んできた

 

「うわぁぁぁッ!?」

 

しかし、士道には一つも当たることは無かった。焔華が前に立ち、防壁のようなものを張り防いでいた。

 

「早く安心させてあげて」

 

「あ、ああ。お、落ち着いて!俺だ、俺だ!」

 

四糸乃はビクビクしながら振り向くと、士道と焔華の顔を見て小さく息を吐いた。

 

「よ、かったらこれ。……もう濡れてるかもしれないけど。ないよりマシだろ?」

 

士道は自分の傘を渡し、傘の使い方を教えてあげていた。焔華は自分の傘を拾い上げ、四糸乃が士道にお礼を言って捜索に戻ったのをみとどけ、士道の上に傘を開き、肩に手を置く。

 

「焔華?」

 

「少し待って」

 

そういうと、温かい光が士道を包む。すると先程まで濡れていた服が天日干ししたように乾いた。

 

「焔華、お前……」

 

「私は濡れないし、傘も渡しておくね。さ、パペット探し行こっか」

 

焔華は士道に傘を持たせ、先にパペット探しに参加する。




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