個性『男』   作:蓮太郎

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祝!キン肉マン完璧超人始祖編アニメ化!!!!

という訳で記念に投稿。


男・夢に手を伸ばせ

 

 時間と言うのは必要な時に限って早く過ぎると感じるものである。出久がヴィランに襲われてから気づけば受験の日までやってきた。

 

 『完璧の塔』の住民から直接的な激励の言葉はなかった。だが、試験の数日前から特訓に妙に気合が入っていたのは覚えている。

 

 もし、ここで自分が試験に落ちてしまっては彼らの顔に、なによりも自分を見出してくれた『あの人』の顔に泥を塗ることになる。それだけは断じてあってはならない。

 

 そういえば、と最後に『あの人』に会ったのはいつだったかと考えた。

 

 若干の緊張を紛らわせるために、出久は記憶をたどっていった。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 これは、完璧の塔にて三週間前のこと。特訓の最中にペインマンが席を外して休憩時間となっているときに『彼』が来た時のことだった。

 

『出久よ、もうすぐ時が来る』

 

『え?あ、はい。確かに受験までもう一か月は切ってます』

 

『…ああ、そうだな。一つ問題を出そう。何故、人々は個性を持つことになった(・・・)か?』

 

 突然の質問(?)に出久は一瞬首を傾げ、結果として教科書で学んだとおりのことしか思い浮かばなかった。

 

『それって中国で光る子供が生まれて爆発的に個性因子が覚醒していった、という答えではないですよね』

 

『その通りだ。ただの突然変異が急速に広まり全人類に影響を与えることなどない。では何故「個性」と言うものを持つようになったか』

 

『…………大昔から個性因子が存在していたのに突然覚醒したきっかけがあったから?』

 

『正解であり不正解でもある。彼らは血が薄くなっていただけに過ぎないのだ』

 

『待ってください、それって、まるで「個性」の大本がいるようないい方じゃないですか!』

 

『その通りだ。太古の昔、特別な能力を持つものが蔓延っていた。その名も「超人」、人の枠を超えた超越者の名前だ』

 

『ちょう、じん…………』

 

『だが、彼らは強い力を持つが故に悪逆へと溺れていった。無論、神はそれを許すことはなく「超人」は神々の手によって絶滅されてしまった…………かに思われた』

 

 ここで『彼』は一呼吸はさみ、言葉を続けた。

 

『しかし「超人」が地上から消え失せても「超人因子」は消えることはなかった。ただし生き延びたのは「超人」と人間の、いわゆるハーフの子で因子が不活性であった者だけだった。生き残った彼らがが長い年月をかけて繁栄し多くの子を残した結果、超人の血が薄まりいつしか「超人」は歴史の中から消えた』

 

『…………えっと』

 

『まあ難しい話ではあるな。いきなり説明されてそう簡単に分かるものではない』

 

 かなり現実味がなく、凄いことを聞いてしまったような錯覚に陥った出久に『彼』は微笑んでいだ。

 

 しれっと神と言う単語が出たことはスルーするしかない。

 

 そこまで踏み込んだら何故か後戻りが出来ない気がして。

 

『出久よ、心して聞け。お前には確かに「個性」と言う特殊な能力はない。だが現人類全体において誰もが必ず有している力を持っている』

 

『…………っ!』

 

『火事場の馬鹿力と言う言葉は聞いたことがあるだろう。私が、いや、「我々」が扱うのはそれをさらに発展させた力!』

 

 

『その名も「火事場のクソ力」!』

 

 

 『彼』の体が光り輝く。まさしく命の力と言わんばかりの光景に出久は眩しくても光から目を離せなかった。

 

 元から威圧感ある体が光るということは個性社会ではよくあることなのだが、これ(・・)に至っては話が違う。

 

 「火事場のクソ力」を引き出した『彼』は体を光らせることを一度やめ、出久の目をしっかりと見る。

 

『出久よ、いずれお前も自然にこの力を使えるようになるだろう。だが今のままでは「火事場のクソ力」の真の力は引き出すことは出来ん』

 

『で、ではどうしたらその力を引き出せるんですか?』

 

『口では軽々しく言える。だが実践するとなれば話は変わる。お前にその覚悟はあるか?』

 

 鋭い眼光が自分の身体を縛り付けているのではないかと言うほどのプレッシャーを感じる。

 

 それでも出久は絶対に引くことは無い。

 

 ここでの修業は非常に苦しかった。逃げ出しそうになるくらいスパルタだった。はっきり言って骨折していないことが不思議なくらい厳しかった。

 

 そんな辛さで折れるようならとっくの昔に逃げ出している。

 

 だから、彼は必ず期待に応える。

 

『はい!もちろんです!』

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

『はい、よーいスタート!』

 

 回想から意識が戻り、プレゼントマイクの試験開始の合図と同時に出久は走り出した。

 

『どうしたぁ!現実じゃあ待ったなんてないんだぜ!』

 

 とてもやかましい賑やかしが響き渡る中、試験内容を即座に頭の中で組み立てていく。

 

 実技試験の内容はロボットを壊して得点を稼いでいく。

 

 得点の内容はロボット個々で変わるが、恐らく重要なのは0ポイントのロボットだろうと目の前に飛び出してきたロボットを見て考える。

 

『ブッ殺ス!ブッ殺ス!』

 

「ちょっと物騒じゃないか!?」

 

 言葉に殺意がモロに出ているロボットの足元をスライディングで潜り抜ける。

 

 ただスルーしただけではない。下に滑り込んだ際にある程度の構造は把握した。

 

 明らかな弱点は関節。そして次に目に当たるカメラ。

 

 AIは試験の内容を考えてお粗末なものなのは間違いないだろう。

 

 ならば鍛え上げたパワーだけで何とかなる。

 

「ロボット類は、こうする!」

 

 足を可能な限りの力で持ち上げて、勢いのままひっくり返す。

 

 そのまま足を掴んだままぐるんと回転する。足の関節を捻り続け、そして破壊する。

 

 スピニング・トーホールド。(この世界において)大昔のプロレス技でとある男の伝家の宝刀とされた技である。

 

「よし、次!」

 

 確実に点を一つずつ取る。それが実技試験で出久に求められる最低ラインである。

 

 無個性というハンデ…………というには鍛え上げられすぎてパワフルなのだが戦闘系の個性持ちと比べて得られる得点は間違いなく少なくなる。

 

 即座にロボットを破壊していかなければという焦りはある。しかし、ここで下手を打ってろくに倒せなければ塔の住人になんて言われるのか。

 

 特に10番目の人が滅茶苦茶叱ってきそうなことを脳内で想像して少し震えあがる。

 

 次々に出てくるロボットを関節技で倒していく出久は皆の目にどう映っているのか。

 

 全ては試験が終わってからでなければ分からない。

 

 





死ぬほど鍛え上げられたのは、ガンマンさんとジャスティスマンのせいです。

彼らが少しでも痛みを感じる程度に力をつけるのが入試試験に挑戦させる条件で出久は泡を吹きかけたとかんとか。

感想や評価をいただけるとモチベーションにつながるのでよろしくお願いします。
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