個性『男』   作:蓮太郎

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ランキングにそこそこ長い時間居た事とキン肉マンしらない人が興味を持ってうれしいこの頃。

キン肉マンを知らない人もアニメを見よう!


男・試験の後に

 

「今年は豊作だったな!磨いたら光る奴らばっかりだ!」

 

「実技試験で活躍する子は多かったわ。大怪我した子も居ないし、選ぶのが困っちゃう」

 

「推薦の生徒だけでなく一般から逸材になりそうなのがいっぱいですね」

 

「爆豪って奴はレスキューポイントが0だがロボットぶっ壊しまくって77ポイント稼いで2位(・・)だ!」

 

「こういうのは珍しいね。少しはレスキューポイントも入るはずなのに」

 

 雄英高校入試試験後、合格者となった生徒の教師になるヒーロー達が語り合っていた。

 

 その内容はもちろん実技試験。筆記試験も重要ではあるが、動かなければヒーローは務まらないため一部の教師が非効率的と言う試験を重要視しているのだ。

 

 もちろん現実は人間の(ヴィラン)を相手にするので勝手はかなり違うのだが、そういうものとなっている。

 

 何処の世界(キン肉マン)でもよくある話である。

 

「で、一位なんだけど…………」

 

 皆の雑談が一度落ち着き、ネズミの校長が誰も触れていない、触れるかどうか怪しい話を持ち上げる。

 

「ヴィランポイント32点、レスキューポイント60点。ダントツで首位の子なんだけど、無個性で申請通ってるんだよね?」

 

「すぐさま市役所に問い合わせたけど、変更はなかった」

 

「もしかしたら試験のタイミングで発現したんじゃないか?」

 

「だとしても、あの筋肉はどう説明するんだ。0点ロボットの下に入ったのだってその力が使えると自覚してなければできないんじゃないか?」

 

 緑谷出久、無個性でありながらヒーロー科の入試試験に無謀にも挑み、そして首席という開校以来の偉業を成し遂げた少年…………という話になっている。

 

 実際、調査書にも平凡な少年という当たり障りのないことしか書いておらず、急激に筋肉をつけたことに対しても意図的に隠していない様子ではあった。

 

 だが、そんな平凡な無個性の少年が(ヴィラン)ロボを丁寧に倒せるものか。

 

 まして、巨大ロボットを持ち上げてひっくり返すなど『個性』抜きにできるものか。

 

「どうする?要注意人物として置いておくか?」

 

「何かあった時に疑われる可能性だってある。正体不明な人間をここに在籍させておく事自体が非合理だ」

 

あー、その、その子について、なんだけど

 

 議論が白熱しそうになる中、1人の教師が鍛え上げられた手を挙げた。

 

それが、まあ、なんだ、知ってる人の教え子、っぽいというか。安全性は私が保証できるから、あれだ、大丈夫、だと思うなぁ〜…………?」

 

「何でそんな自信ないんですか!?」

 

「(あのオールマイトが凄く震えてる!?)」

 

 そう、物凄く歯切れが悪くなって小刻みに微振動して姿が若干ブレてるオールマイトである。

 

 最高のヒーローである彼も『完璧の塔』との繋がりはあった。

 

 滅多に連絡はないとはいえど誰が在籍しているかは知っているし(ただし変装してヒーローしている人物(完璧・拾式)がいることは知らない)、火事場のクソ力がどのようなものかも知っている。

 

 まだヒーローとして大成していない頃に、修行のために手合わせした際に見たことがあるため確信はあった。もちろん奈落男を名乗る人物にボコボコにされた。

 

 しかも何処からか雄英高校の教師になるという情報を嗅ぎつけた『あやつ』から連絡が来たので死ぬほどビビったことも加えておく。

 

「うーん、その人って誰か言えるのかな?」

 

「ちょっと勘弁してほしいかな〜、と。本当に頭が上がらない人なので」

 

「なるほど、彼がこう言うんだ。ここは『個性』云々は置いておき、緑谷君が首席で合格、という事でいいね?」

 

 ネズミの校長の一声に、皆沈黙で応える。

 

 ただし表情に関しては多種多様で、どうヒーローに育て上げるか、納得はしてないが様子見、あの子が来たらあの方々もセットになるのか怖えよ怖えよ、みたいな感じである。

 

 こうして将来有望な生徒を入学させるために教師陣は夜遅くまで頑張る。

 

 何故なら天下の雄英高校は他の一般高校と比べて倍率が300倍なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「出久よ、試験が終わったからと言って鍛錬を怠ることは許さん」

 

「はいっ!」

 

 300㎏もあるダンベルを片手ずつ水平に持ち両手を広げつつ、やじろべえのように片足でバランスを保っていた。

 

 なお、足場は針先を少しつぶしたような広さしかなく、その周りには倒れこむと皮膚を容易く貫く針が敷き詰められていた。

 

 つまりバランスを崩すと大変な目にあうことは分かり切った事である。

 

「一つの仕事が終わればまた新たな仕事が来る。今の君はまだまだヒヨッコ、いや卵から孵化する前に過ぎん。また、受かったとて高校は通過点でしかないのだ」

 

「はい、まだスタートラインに立ててない自覚はあります。火事場のクソ力だって使いこなせてないし…………」

 

 ぶおん、と巨大な振り子鉄球が出久に向けて降りかかってくる。

 

 それを身体をずらし、されど落ちないように足の指に力を入れて受け止めて弾き返す。

 

 バランスを取りつつ体幹を鍛える訓練だ。受けの力と受け流す力を付けるために考案された訓練であり、塔の住人からすると基礎の中の基礎のような訓練ではある。

 

 まだ基礎のなっていない出久にはうってつけだったが。

 

「力を使いこなせていないのは事実、だがきっかけを掴めば技のように自然と慣れてくる。始まりはそういうものだ」

 

「…………貴方もそういう時期があったんですか?」

 

 恐れ多くも完璧で頂点に位置する男に質問する出久。下手したら誰かが不敬といって処してくるかもしれない。

 

 だが、誰にでも完璧ではない(ビギナーの)頃はある。

 

「ああ、遥か昔に試行錯誤していた時期に、取り返しのつかない失敗をしてしまったこともあった」

 

「それは、聞いていい話ですか?」

 

「もう少し先だ。少なくとも火事場のクソ力の第二段階を完全に自分のものにするまでは」

 

「精進、します!」

 

 再び襲い掛かる鉄球を体幹とフィジカルで弾き返す出久は疲れてませんよというアピールを込めて元気よく答えた。

 

「ゴールドよ、お前が弟と共に見つけた種がようやく芽吹くぞ」

 

 鉄球をはじいた時にザ・マンの口から漏れ出た言葉、音源である出久には十分に聞き取ることは出来なかった。

 





Q.なんでオールマイトはこんなにビビってるの?

A.若い頃に手合わせしたのがザ・マンとカラスマンとジャスティスマンとガンマンだったから。

こんな面子と未熟な頃に手合わせしたらトラウマにならないわけがないだろ!!!!!

この塔には居ない金と銀は一体どこにやら。どこかで発掘されそうな予感はあったり、なかったり。

なお、出久の修業はキン肉マンとカメハメの謎トレーニングのオマージュだったりします。
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