シャンフロ豪雨メーカー   作:Almin

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今回は短めですが、よく考えたら豪雨メーカーはこれくらいのを幾つか書くつもりだったのを思い出しました。


隻口留華の場合

 

 

雨、雨、雨。

 

天気予報の通り、街は水のカーテンに覆われている。

 

「……部長め」

 

上司(ハゲ)の介護さえなければ今頃は家で鑑賞会だったというのに。

 

豪雨による電車の運休。

最寄り駅まであと1駅というところで足止めを喰ってしまった。

 

(タクシー……は辛うじて動いているけど、長蛇の列ね)

 

傘は持っているものの、この雨ではほとんど役に立たないだろう。

 

 

駅中のコンビニに足を向けたが、雨合羽は売り切れていた。

 

(みんな考えることは同じ、ってワケだ)

 

せめて温かいものを、とレジ横の揚げられた鶏を1つ買い、外に出る。

 

タクシーの列に並び、ホットスナックを齧った。

 

 

◇◇◇

 

「お客さんも災難でしたね。どちらまで?」

 

タクシーの順番が回ってくるまでに、3本ほど特撮とアニメの録画が観れてしまった。

 

マンションの名前を告げ、他愛ない天候の話をしながら5分、タクシーは豪雨の中を進んだ。

 

自室に戻ってまず服を着替える。

 

(そこまで濡れなかったのし、お風呂は後でいいか)

 

作り置きの惣菜とご飯を温めて簡単な夕食……とテレビ。

 

「ちょっと予定が狂ったけど……これこれ」

 

調理戦隊クックファイブの特典付きディスク!

通販で買ったのは良いけどタイミングを逃して観れてなかったのよ!

(※テレビ放送はリアルタイムで全話視聴済)

 

「噂では一部ディレクターカットで未放送の映像が入ってるとか……」

 

ごくり。

 

問題は、これを今から見ると深夜を大幅に越えることだけど……

 

(ま、途中で止めて明日続きを観ればいいだけよ)

 

数時間後

 

「……ベースをワンドで……そういえばキョージュが……ちょうど良さそうね……」

 

改めて見てもこの武器デザインには惹かれるものがある。

 

メジャーな調理器具をモチーフにしつつ、そこそこカッコいい。商品化では流石にオミットされてしまった機能もあるけれど、多分私なら再現できる。

 

もちろん既製のイメージをそのまま、というのはポリシーに反するので、あくまで参考にするだけだ。

 

「ただリソースポイントがなぁ」

 

夢と希望を詰め込んだ勇輝の晶剣(グリッターグリット)ができるのなら、これもできる。という確信と同時に必要なリソースポイントも試す前からおおよそ予測ができてしまう。

 

それこそ水晶群蠍(クリスタルスコーピオン)か、それ以上のポイントは必須……

 

「そういえば前に調理器具を鍛造してたPLがいたわ」

 

シャンフロのゲーム外掲示板に一言書き込む。

 

――――話変わるけど包丁とかお玉って料理技能補正入れれる?

 

――――入るはず。たしか前にオム烈がジョークで作ってたな

 

――――「()タマ」?たしかスープ系の完成度に補正かかったかな

 

――――リソースポイントどれくらい使ったか憶えてる?

 

――――大した量使ってない。ほぼ形状で入るみたい

 

――――包丁はリソース割かないと切れ味落ちるぞ。それでも大したリソース量じゃないが

 

――――ありがとう。助かった

 

――――イムロンさん、もしかして料理焦がした?新作楽しみ。

 

……最後のは見なかったことにして、と。

 

早速シャンフロで試作を作りましょう。

 

そうと決まればログインして……あ。

 

「あー!!!もうこんな時間じゃない!」

 

 

VRヘッドギアの時間表示を見た私は、急いで明かりを消し、ベッドに入ったのだった。

 

 

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