???『絶対は、僕だ!!』
おま!!なんでこのタイミングで来るんだよぉぉぉ!!イベントピックアップの時に来てくれよぉぉぉ!!(当時諭吉二枚爆発で☆3が1枚も無しという地獄を思い出して)
お昼を取って午後、今回の主目的たるファルトレクトレーニングのために山中へと入った私たちは、施設から30分ほど歩いた山林の中に散らばっていた。
「しっかし、ファルトレクっちゅうトレーニングをやるって話だったけど、内容は遊びと変わらんのやな」
私のそばの樹の後ろに隠れるタマモクロスさんが呟くように話した。
「おハナさん曰く、ファルトレクは遊びでやるのが効果的なんだそうです」
「せやかて、こないな歳になって
そう、今回のトレーニングの内容はチーム対抗のケイドロ。お互いに8人ずつ居るこの状況でやるとなるとかなりハードだ。
「確かルールとして、中心のアスレチックから半径5キロの紐が円上に配置されてるんやったな」
「ええ、逃げる泥棒側も追う警察側もそこを超えるのは禁止、あと泥棒側は制限時間30分を逃げ切れば勝ちですね」
なお普通のケイドロと違って見張りは禁止されている。これは普通のケイドロと違って復活のルールが無いうえに、捕まった人はアスレチック場で終わるまで筋トレという罰ゲームがある。
警察側は捕まえたウマ娘が腕に付けているテープを腕に巻くことで何人捕まえたかアピールする。数に応じて終わったあとに順位付けするそうだ。
「けどこのルール、明らかにウチら泥棒側に不利やろ。ケイドロの旨味は味方の復活やん、それできへんかったら逃げ切るの大変やで」
「だから泥棒側にもメリットになる特別ルールがあるんじゃないですか」
泥棒側のメリットルールは、警察側は捕まえたあと直接アスレチック場で待機してるおハナさんとたづなさんに引き渡さなきゃいけないということ。
つまり、普通のケイドロと違ってタッチしたからと言って放っておけば、捕まってない扱いとなって人数が減らないというわけだ。
「っと、早速カネケヤキ先輩とキーストン先輩がこっちに来たで」
「いきなり大物ウマ娘が来ましたね」
私達は大木の後に身を隠しながら二人の先輩に視線を向ける。二人はまだ此方に気づいてないのか周囲を見渡しながら歩いてる状況だ。
(地面の状態は良好、雑草も生えてるけどそこまで長かったりはしない、ならここは)
私は改めて二人の先輩に視線を一瞬だけ向けて、すぐに二人が歩いてる反対側へと走る。
「!!キーストン!!カブラヤオーが居たぞ」
「ちっ!!いきなりジョーカーか!!運がない!!」
二人の先輩はすぐさま私のことを追いかけてくる。が、下り斜面と小柄な体格を自在に操る私に対して、馴れてない山走りという状況はいくら年上の大先輩とはいえ上手く追い付いてこれない。
たった数十秒走っただけだというのに二人のウマ娘は息絶え絶えという有り様で木に寄りかかっていて、私は二人の視線からあっという間に消えていた
「くそ!シンザンの阿呆が差せなかっただけはあるよ」
「体が馴れて出来上がってる私達よりも自由に走れてる。これがファルトレクを長年続けてきたウマ娘の力ね」
厄介な、と口々に言う二人の先輩だが、私としても馴れてないうえに数十秒とはいえ、下手に気を抜いたら本気で捕まるかと、警戒しながらも冷や汗をかいていた。
「あら、こんなところに
「っ!!」
が、警戒の反対側から別の先輩……リギルのステルスウマ娘ことメジロファントム先輩がゆらりゆらりとこちらへ向かってくる。
すぐさま私は跳び跳ねるようにその場から離れるが、流石に今のさっきで逃げたゆえに、足音でキーストン先輩たちも此方に気づいてしまった。
私は捕まらないようにするために自然の中を駆ける。が、流石に3対1は厳しいうえに、馴れてないとはいえ相手はG1勝利ウマ娘ばかり、簡単に撒くことはできない。
「ってゲッ!!」
とにかく逃げ回ろうとしたそのとき、目の前から妹のミスカブラヤとそれを追うタケシバオー先輩が飛び込んでくる。
どうするか、一瞬だけ考えた私だがすぐに答えを出すと、妹に向かって全速力で走り出す。
「おや、飛んで火に入る夏のウマ娘かな」
タケシバオー先輩はすぐに此方に体勢を直しいつでも捕まえられるように腕を出す。
そしてそれに対して私は、直前で直角右に回って逃げた。
「な!!」
「はい!?」
「ちょ、お姉ちゃん!?」
まさか直角に曲がるなんて思ってなかった妹含め五人は一瞬だけその場で固まってしまい、私はその隙に距離を取って大逃げする。
(このゲーム生き残れば勝ちだから、ミカを助けてもあんまり意味ないし)
―――カブラヤオー、彼女は勝つことを求めてるためか、時折……というより思考パターンは基本的にクレバーなリアリストである。
そのため勝つためならば、格闘ゲームでは情け容赦のない嵌めコンをするし、こういった誰か一人でも生き残ればいいサバイバルゲームの場合、味方を犠牲に生き残るという普通ならば嫌われるような行為を平然と行えるタイプのウマ娘である。
(それに、ミカなら頑張れば警察側四人相手でも5分ぐらい耐えられるでしょ)
一応ミカのことを信用してるとはいえ、相手はG1勝利ウマ娘だ、無惨に散るであろう妹に内心
「見つけたぞカヤ!!」
「げっ!!今度はルドルフ!?」
つもりだったのにまさかのここでルドルフが突撃してきた。
「ぜぇ……ぜぇ……‼️待てカヤァァァァ!!」
「いや過呼吸になりながら突撃してくるの怖いんだけど!!」
しかも若干目が血走ってるし、というかなんでこんなに私のところに寄ってくるかな!?
「カブラヤオーを捕まえれば、おハナさんが今度スイーツバイキングに連れていってくれるからだぁぁぁ!!」
「ルドルフがめっちゃ女の子してるんだけど!?」
「よし、そこになおれカブラヤオー!!お前は私のことを何だと思ってるんだ!!」
「しょうもない親父ギャグ大好きで、自分の部屋の共用の冷蔵庫にスルメやらのおつまみばかり容れてる親父臭いウマ娘」
事実である。シンボリルドルフ、良い家柄に生まれたこのウマ娘、実家から出てきたおかげなのか反動なのか、コンビニに寄ってはスルメやらチータラやらカルパスやらといった、どうみても週末のおっさんのおつまみを買い漁っては夜な夜な同じ寮の同級生ウマ娘を呼んでは麦茶片手に食べてる、他人にはどうしても言えない残念な一面が存在している。
「よしそれを言うなら
事実である。カブラヤオー、普段から規則正しい生活を心掛けてる彼女だが、トレセン学園に来てからというもの、珍しい缶詰めやらレトルトやらを買い漁っては、週末に果物ジュースとそれで静かに晩酌しており、ルドルフとマルゼンの二人とあわせて年寄りウマ娘と言われてる一面があった。
「それをそこで出しますか!!良いでしょう、
「よし買ったぞ!!その戦争買ったからな!!このボッチ親父韋駄天ウマ娘!!」
ぎゃーぎゃーわーわー喧嘩しながら逃げては追いかけてを繰り返し、私達は制限時間を過ぎても追いかけっこを続けるのだった。
なおこの事がきっかけだったのか、私とルドルフはたまにどちらかの部屋でお互いのコレクションを持ち寄って夜な夜な晩酌することから、陰で夫婦ウマ娘と揶揄されることになることは、まだ先の話。
おまけ マチカネ日記
『今日の双子座は運勢最悪!!今日はお外でのんびり過ごすことが吉です』
「のんびり、のんびりですか……けど今日に限って親しい友達が……そもそも私、友達少ないんですが」
「まぁそんな自虐は放っておくとして、他の朝の占いは……」
『今日の●型の運勢は残念です!!けどそんなあなたはお魚を食べると運気が上がるかも!!』
「ミニャァァァ!!そ、そんな、今日の私の運勢は最悪ってことですか!!どうすれば、どうすれば!!」
ピロピロリン!!チャクシンデスヨ!!
「っと!!か、カブラヤ姉様!!も、もしもし!!」
『あ、久しぶりフクキタル。ちょっとお願いがあるんだけど』
「カ、カブラヤ姉様が私にお願いするなんて珍しいです!!ど、どうかしたんですか!!」
『いや~最近キャンプしてて知り合った釣り好きウマ娘の娘から、たまたま大量に釣れたお魚を貰ったんだけど、流石にトレセン学園に持って帰るのも不味いからさ、もし良かったらこれから向かうから引き取って欲しいんだけど。確か今日のフクキタルの血液型、お魚を食べると運気が上がるって聞いたから』
「カブラヤ姉様……!!勿論です!!カブラヤ姉様の頼みならマグロだろうがジンベイザメだろうが引き取ってみせます!!」
『流石にマグロとかサメは釣れてないみたいだけどね……え、この前クロマグロ釣ったの?しかも船釣りで持って帰った!?なにやってるのセイ!?』
※クロマグロは一定の重さを下回るものを釣って持ち帰った場合、懲役刑か罰金となる場合がございます。釣ってしまった場合は直ちにリリースしてください。