聖杯戦争で暇つぶし   作:プラスマイナス裏表

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第16話

「むふふふぅぅぅぅぅ〜〜〜♡」

「あああぁぁぁぁ……体重がぁ……体重がぁ……」

「うう……ひっく、おいしい、うううぅぅぅぅ……」

「ふあー、やー食った食った」

「フタガミさん!私はもう少しおかわりが欲しいです!よろしいですか!」

「ウタネさん、私には甘味を更に」

「はいはーい。他はどうする?」

「「「「いただきます!」」」」

「はーい」

 

 いくら使ってもすぐ無くなっていく。大きな袋8袋分、えっちゃんの筋力を借りなきゃ持てなかったほどの食材が尽きそう。私なら半年は持ちそうなんだけど……よく食べるねぇ。

 さっきからフライパンや包丁を二刀流してるんだども、少し底のあるやつだと中華のひっくり返すテクニック的なやつで大体混ぜられる。熱は逃げてると思うけども。

 火力は最大、常に熱がキッチンを支配する。まじで熱い。やりたくない職業に料理人が追加されるね。常時焼き入れされてるフライパン等のコーティングは私の能力がなんとかしてる。

 適当に買ってきた旬の野菜。取り敢えず高そうな牛、豚、鳥。新鮮な魚。それらをありったけ買い漁っての全力調理。

 もちろん私は素材の名前や料理名なんて微塵も知らないから表現できないが葉物野菜と多分豚肉の謎の炒め物が完成した。2皿ほど。

 してついでとばかりに焼き上がったチーズケーキをえっちゃんに投げ渡す。えっちゃんは甘味に関しては天変地異を乗り越えるしチーズケーキと言いながらチーズより何より砂糖が多いから他の人食べられないしで問題無し。

 

「はいお待ち」

「おお……!有難う御座います!いただきます!……はぁ……!なんと、なんと……!」

 

 セイバーが渡した大皿2皿を前にするとエサを渡された子犬のように目をキラキラさせ、自分の小皿へと小さめのトングで移していく。他の面々も我先にと群がってる。餌やりだな。

 そしてセイバーが山盛りにしたそれを口に入れると、今にも泣き出さんばかりに目を閉じる。それからひたすらに白米と野菜炒めを交互に口に運び、そのたびに噛み締める。

 ……昼間もだがあまり凝った味付けやらをしたつもりはなかったが……?

 他の反応から見ても美味しいらしいことは推測できる。じゃあなんだ?もしかしてこの世界の食文化は私の世界より遥かに下にある可能性も……?

 

「さて……」

 

 食文化は……と考えながら調理していたら買ってきた食材どころか冷蔵庫の中身全部無くなってた。エゲツない。

 食後に藤村先生とお付きの少女は帰って、そのあと少しして遠坂さんが動く。

 

「ウタネ、お風呂行きましょ」

「ぶっ……!」

「私?別に良いよ、代謝能力死んでるから」

 

 お風呂、お風呂ね。そういえば入浴の習慣完全に消えてたな。お風呂は一応毎日沸いてるけど……私は転生というかヴィーナスの影響なのか知らないけど代謝が無い……分かりやすく言えばほぼサーヴァント状態が転生してから続いてる。服少なくていいって言ったのはそれが理由。

 

「と、遠坂、何も一緒に入らなくてもいいだろ」

「なに?シロウも一緒に入る?」

「ば、馬鹿言うな!」

「ああ、そういうことならいいよ、私がするから」

「だからフタガミもそういうことを簡単に言うなよな!」

「何?あんたたちそういう仲なの?」

「違う!フタガミが勝手に言ってるだけだ!」

「……まぁいいわ。とりあえずウタネは来なさい。同盟の条件に追加よ」

「うん……?えっちゃん、どう思う?」

「さぁ。現状マイナスにはならないと判断します。私は読書してるのでごゆっくり。何かあれば自分で動いてください」

「私えっちゃんのマスター扱いだよね。もう少し守ろうという気概があっても良くない?」

「死んでも死なない人を守ろうなどとは一切思いませんね。自分の影に気を使う人がどれだけいるでしょうか」

「まぁいいや。行こうか」

 

 糖分が足りて動きたくない様子。

 お風呂かー、久しぶりだなぁー。

 浴室は屋敷に相応しく木造で、何人かは同時に入れるだけの十分な広さを有していた。

 

「おほー、貧相なユニットバスとは違うねー。ユニットバス使ったことないけども」

「えぇ……立派ね……おのれおのれおのれ……」

「なんで呪詛撒いてるの……家改装したら立派になってるって」

「違うわよ!あの家の改装なんて嘘に決まってるでしょ⁉︎うぅ……あなた、着痩せするタイプだったのね……」

「うん……?ああ、胸か」

「ダイレクトに言わなくていいのよ!何⁉︎分かってたの⁉︎」

「いや……別に。いんじゃない、別に。別に大きかろうが小さかろうが機能に変わりは無いし」

 

 遠坂さん、何かと思えばそういうことか。

 別に奇形なわけでもなし、気にすること無いと思うけどなぁ……前の世界ではどうやって段差越えてるんだってくらいのが山ほどいたし。劣等感も優越感も無いや。どうせ普段潰してるわけだし。

 

「はーあ。じゃあ死んで貰おうかしらね」

「うん。やれるものなら」

 

 スッ、と殺意を見せた遠坂さんを放置してシャワーを借りる。

 温度調整すご。何度か分からないけど出した瞬間から適温なんだが。最近のはよくできてるねぇ。

 おー、暫くぶりだけどいいものだね。普段お酒に溺れてるから面倒過ぎること以外はいいものだ。

 

「ガンド!」

 

 例のアレ、当たればスタンするらしい攻撃をまともに受けてみる。

 そういえばなんだけど私、前の世界ではほぼ全身に能力の補強してるからそもそも殆どの物理攻撃は効かないんだよね。忘れてた。

 

「ガンド!ガンドガンドガンドォォォォ!」

「じゃ、お先に浸かるよ〜」

「ガガ☆ガガガンドー!」

「何その派生……」

「何で効かないのよ!」

「何でって言われても……」

 

 そもそもソラでも使えるような初級魔術が効くわけない……

 

「まぁ諦めてゆっくりしなよ。私に命握られてるも同然なんだからさ」

「く……!」

「ほらー、そんな棒立ちしてると私が偉そうにしてるみたいでしょ。気持ちいいよ?」

「1つ答えなさい」

「うん?」

「ヴィーナスの目的だとかはもう聞かないわ。けど何故この戦争に介入するの?あなたたちが求めるものは聖杯なの?」

「……ヴィーナスがどう知られてるかは興味無い、求めるものも特に無い。ただ頼まれたからやる、それだけだ」

「頼まれたから……?誰に?」

「……1つ、と言ったはず。終わりだ」

「求めるものを聞いたはずよ。それが答えられなかった以上、無効だわ」

「……はぁ、図太いことで。まぁ強いて言うなら永遠だ。普通の人で言うなら死ぬのは嫌、って言うのと変わらない」

「そう。もういいわ。戦争が終わるまで私たちを殺す気も無いんでしょ」

「……初めからそう言ってるはずだったんだが……?」

「はいはい、悪かったわね。失礼しますよ、ホント」

 

 すすす、と上品に湯船に浸かる遠坂さん。

 

「そーだよー。私達ほど藪蛇なものはないからねー」

「藪蛇?」

「触らぬ神にタタリ無し?何もしなければ何も無いよって」

 

 逆に私がヴィーナスについて教えてほしいくらいだ。

 私が転生する前にヴィーナスをしてる私がいたのか?まぁ、ソラが来てて名乗った可能性もあるけども。

 

「もう何も言わないわ。聖杯はともかく、死傷者を出さないって方針には私も賛成だから。シロウもそうでしょ」

「私とえっちゃんはマスターとサーヴァントも殺す気無い。理由は言えないけど、これは貴女たちのためを思っての事だと信じて欲しい。戦争内14人、誰も欠落せずにいること。そのためなら何でもする」

「何でも?今すぐ私に令呪とサーヴァントを渡せと言っても?」

「うん。いいよ」

「嘘よ嘘!そんなことしたらアーチャーに悪いでしょ」

「ふーん。思ってたよりは人間味あるのね」

「何よ、未熟だって言いたいの?」

「うーん?別に?魔術師としては十分だと思うよ。剣術武術もできるならなおさらね」

「それはどうも。貴女には手も足も出なかったけどね」

「そりゃあね。魔術師程度で私に挑むのは無謀だよ」

「全部知ってる、って感じね」

「別に。私はえっちゃんと違って誰が参加してるとかは知らない。けど一緒だよ。どんなサーヴァントもマスターも、私達には敵わない」

 

 やってみなければ分からない。そんなセリフは聞きたくない。

 根性論は確かに人の限界をある程度越えられる可能性はある。ある程度、可能性があるだけだ。人がどれだけ鍛えて限界を振り切ったとしても、1メートルの津波には赤子と同様に流されるしかない。

 私達とその他には、それだけ開きがある。特に今回転生した私なら尚更だ。

 

「そ。なら一般人の被害を出さない、って言うのには協力しなさいよ」

「ああうん。手間にならない程度はね」

「あら、手間を惜しんで人が死んだらどうするのかしら。死人は出さないんじゃなかったの?」

「どーしよーね。そーなったらそーなったでそのサーヴァントには消えてもらおうかなー。1人2人ならいいでしょ、多分」

 

 んーでも全員生存とか言ってたしダメかな。まぁ、えっちゃんが忠告くらいしてくれるでしょう。

 

「じゃ、すぐ行きましょ。学校のとは別のサーヴァントが動いてる可能性が高いわ」

「はやー……」

 

 ホントに大丈夫か?という速度で泡だらけになり一瞬でそれが流され、即座に出て行った。

 仕方ないので私も湯船と融合し始めていた体を無理矢理動かす。お湯が冷めるまで入っていたかった……

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