聖杯戦争で暇つぶし   作:プラスマイナス裏表

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VNAの中でもシオンの能力は割とやりたい放題なのですが、物語関係無く作者の好きなものを使うと思うので悪しからず。戦闘においてはクロスオーバーの化身。


第21話

「……!!!!」

「……ん」

「あ……う……⁉︎」

「お前、朝早いのな」

「〜〜〜◎♣︎←✔︎〜!!!」

「せめて人類がいる世界の言葉を話せ」

「す、すまんフタガミ!まさかお前がこんな時間にいるとは!」

「ああ、オレと姉さんの睡眠時間の違いでな、姉さんが寝溜めしてた分数日はオレの睡眠時間が極端に短くなるんだよ。取り敢えず入れよ、寒いだろ」

 

 風呂場の入り口で目線がサメみたいに泳ぎ出し謎の言語を発し始めたシロウを呆れたように見る。

 姉さんは用事が無ければ半日は寝るロングスリーパー、オレは5時間ほどの通常。溜めてるって表現が正しいのか知らんが今は1時間くらいで十分だ。

 

「あ、ああ、悪かった……」

「おいおいおい、なんで出てくんだよ。入れっつったろ」

「お前と入るわけにはいかないだろ⁉︎」

「あ……?ああ、別に女の体だからってのは気にすんな。オレは気にしない」

「俺が気にするだろ!大体他のやつに見られたらどうすんだ!」

「知らん。サーヴァントならその辺気にしないだろうし、魔術師は性も手段の1つに過ぎん。つまり気にするのはお前だけだ」

「そんなわけないだろ!とにかく悪かった!」

「……」

 

 終始オレと目線を合わせる事なく、ピシャンと出て行ってしまった。

 

「ふぅ……」

 

 いいねぇ……オレも姉さんもそういう機会は無かったしな。ああいう感情の揺らめきは体験してみたいものだ。

 ……そういや前もなんかあった気がするが。

 

 ♢♢♢

 

「そらそーだろ」

「アンタは特別なのよシオン。サーヴァントじゃあるまいし」

「ホントにすまん!」

 

 シロウは年相応の罪悪感を持ってるようで、朝食の準備前から謝罪が止まない。

 オレは男なんだし気にするこたぁねんだけどな……体は姉さんのままだけど。

 

「お前もそんなもんじゃないのか?」

「違うに決まってるでしょ」

「そうなのか。魔術師ってのは根源以外眼中に無いのかと思ってたが」

「そ、それは……たしかに根源を目指すのは魔術師の本懐でしょうけど、それが全てって魔術師だけじゃないわ。力が欲しいだけとかのハンパなのとか色んなのがいるわよ」

「じゃあお前は魔術師の本懐を軽く見てるハンパ者ってことだな」

「そんなわけないでしょう⁉︎」

「だそうだ、良かったなシロウ。公認だぞ」

「なっ⁉︎」

「何言ってんの⁉︎」

「なんだよ、根源以外はアウトオブ眼中なんだろ。なら陣営の性欲処理くらいしろよ。魔力供給にもなって一石二鳥だろ」

「わ、私が……!?殺すわよ……!」

「そーかい。ざんねんだったなーシロウ」

「何がだ!」

「年相応の対象を持たないと色々苦労するぞーって話だ。先行ってるぞ」

 

 ショタのまま童貞拗らせて数千数億年過ごすと小学生レベルまでしか受け付けなくなるからな。あのロリコンめ。

 投げっぱなしに話を切り玄関を出る。

 特に授業を聞くつもりもないが優等生を演じるため教科書は一通り持っていく。流石オレの生まれと同じ世界だけあって常識的な量で済んでいる。前の世界だと論文書くのかってレベルを小学校で出されてたからな。

 

「お、フタガミ。こんな早くにどうしたい」

「……誰だっけ」

「おいおい!弓道部主将といえば私だろう。美綴綾子、また忘れた?」

「そうだったかな。何の用?」

 

 学校に着くなり弓道部主将を名乗る女が声をかけてくる。

 

「私が衛宮とフタガミに声かける時は勧誘しか無いよ。これから朝練だし、ちょっとやってかない?」

「やってどうするの?」

「そりゃあ入部してもらうさ。フタガミと衛宮、2人が入ってくれれば私も安心だしね」

「やったことないけど」

 

 頼むよー、といった態度だが素人なのは知ってるはずなんだが……

 思い出した、コイツ確か変な信条みたいのあったよな。そのせいか?

 

「なら尚更だって。才能はやってみないと分からないもんだ」

「なら衛宮さんが来てからで良い?衛宮さんがやるって言うならやる」

「お、そりゃ楽しみだ。ここで待ってようか」

「なんでよ……」

 

 シロウもやりたがらないだろうし上手いこと抜けられるだろ。オレのせいじゃない。

 ちなみに学校での口調は姉さんに合わせる。多分その方が支障が無い。

 

「お、おーい衛宮ー!」

「おはよう美綴。なんだよ、妙にテンション高いな。俺からも話があったんだが……」

「今日はいい知らせがあるぞ、お前が的前に立てばフタガミが入部してくれるそうだ」

「ホントかフタガミ⁉︎」

「話変わってる。衛宮さんがやるなら体験くらいはって」

「うーん……まぁ体験くらいならしてみていいんじゃないか?フタガミも何か部活でもしてみればいい」

「えぇ……」

 

 マジか。マジか……

 

「よーし。悪いみんな!体験入部だ、少し開けてくれ!」

 

 流されるまま弓道部へ移動させられ、装備一式を借りる。

 部長の指示はよく通り、オレとシロウの2人が十分なスペースを持って的前に立たされる。

 

《おい、コレは当てていいのか?》

 

 シロウにアイコンタクトで意思を伝えてみる。正確に伝わるか知らんが躊躇してるのが伝わればいい。

 

《別に強制じゃない。好きにやってみるといい》

 

 そう思えばなんとも正確な答えが帰って来た。

 マジか。じゃあやるぞ?後ろ向いて撃って百発百中でも文句言うなよ?

 とはいえ魔術認知は保たれているこの世界、アルテミスなんぞ使ったら即グレーゾーンなので他を探す。

 ……身近にいるじゃねぇか。アーチャー。

 

「ほっ」

 

 アーチャーの能力で正確に的を射る。

 やってみた感じなんとも無いな。体験にしても感情の揺らめきは無い。

 ただ能力使った分弓も英霊のそれと同じレベルになっていたのか耳が消し飛んでそれを瞬時に回復させた分が無駄だった。誰も見えてないだろうが。

 

「流石フタガミだな。俺と同じくらいなんて」

「まぁ……でも、これで終わり。教室行く」

 

 同じくらい、なんてものじゃない。位置どころか入射角まで同じだ。英霊レベルの射とかこの日本で何人できるか……

 

「待ちなって、やっぱり入部どう?」

「やんないよ。籍だけ置こうか?」

「お、いいねぇ!衛宮とフタガミで部長副部長だ!」

「「しない!」」

 

 コイツ話聞かないタイプか?

 借りていた弓を能力で軽く矯正してから返し即座に道場を出る。

 副部長のものらしかったがどんなレベルだ……?シロウが段違いに上手すぎるだけで他は底辺なのか?

 

 ♢♢♢

 

 授業も終わり、やる事もなく自室へ。

 オレとてこの戦争の全てを知ってるわけじゃない。大体の流れ、大体の構造しか知らない。

 そう。例えばオレが仮眠取ってる間に2組が病院へ行っていることなど起きるまで知らなかった。

 

「VNAを知っていながらオレ達が干渉した戦争でオレを連れてかないとかマジか?ソラのシャドウがまた出たら終わりだぞおい」

 

 姉さんが死んだらループなのはいいが他のが死ぬとどうなるんだ。

 あ、聖杯が完成しない手段として全員生存を掲げるだけで別に死んでもいいのか。聖杯が完成しなきゃいいんだからな。大体五騎で使用は可能らしいからそのラインでいくと思ったより気楽だ。セイバーとアーチャーを確定としてもう1騎残すだけならライダーもキャスターも殺していいじゃねぇか。

 

「もー1人マスター懐柔してオレの能力で叶えられる分なら望み叶えて終わりじゃねぇか?多分聖杯が完成しない未来が確定した時点で次転生だよな」

 

 考えれば考えるほどハードルの下がるこの戦争に気分を良くし、冷蔵庫を漁り食事を作る。

 ……と思ったが面倒だな。オレは姉さんほど料理に重きを置いてないからな。

 

「……卵3つくらいでいいか」

 

 丸呑みで。

 

「ダメに決まっているでしょう。事もあろうに何をしようとしているのですか、シオン」

 

 手にした卵を上を向いて口に入れようとした所に卿が姿を表す。いつからいたんだ。

 

「……効率的な栄養補給?」

「効率は構いませんが人間の範疇で……哺乳類の出来る限界でお願いします。爬虫類ですかあなたは」

 

 何で段階を下げた。許容範囲を妥協するな。

 

「……まぁ、オレが蛇やトカゲだった可能性も存在するから爬虫類といえば爬虫類だ」

「……私たちが認識する存在としてのシオンは最低でもヒトの形をしているので人間らしい振る舞いをお願いします」

「だから栄養のため鶏卵食おうとしてんじゃねぇか」

「ではせめて殻を割ろうとしてください。おおよその文明国でそれを丸呑みしようとすればドン引きされますよ」

「しらねーよ……オレは社会適合者だからな、人目があるとこではしない。今は誰も見てないんだしいいだろ」

 

 不毛な論争と判断して卵を口に放る。

 流石に丸呑みと言えどそのままでは不能なので爬虫類の柔軟性と消化力を能力で維持。しばらくは能力使いっぱなしだが……普通に料理した方が良かったか?

 

「……ん」

「どうやら戻ってきたようですね」

「ああ」

 

 外に気配。感覚でセイバー組が近づいて来ているのと、アーチャー組がいるのが分かる。

 別行動してたってことは何かしらがあったってことだろう。

 とりあえず最低どちらかは洗脳されてる前提で玄関へ向かう。

 

「なんだ、2人とも正常じゃねぇか」

「何の話よ」

「別に。で、なんかあったか」

「美綴さんが襲われたの。犯人は間桐慎二とライダー。これは確定よ」

「そうか」

 

 玄関先、敷地内とはいえ人目がない可能性は無いと言うのに戦争の話を始める凛。

 ま、マスターが誰だろうとライダーと間桐ってのは分かってたしな。どうでもいいが。

 

「慎二が……」

「どうする気だ?」

「決まっている。被害を食い止める為、間桐慎二とライダーを速やかに始末する。それが正義だ」

「待て!他に手段は無いのか?言ったよな、令呪がサーヴァントとマスターの繋がりだって、なら、慎二から令呪を……」

「無理ね。間桐の家系は魔術師として……いえ、既に魔術師ですらないわ。それがマスターだっていうなら何か別の手段を使ってる。そんな奴が戦争から手を引くとは思えないわ」

「衛宮士郎。お前は正義の味方になりたいのだろう。ここで間桐慎二を始末できれば多くの民を救えるぞ」

「何が言いたい……」

「奴に最も近いのはお前だ。協力関係を結ぶフリをして近付き奴を暗殺しろ。それが最善の正義だ。まさか、今も犠牲になっている一般人多数より友人1人の方が大事だ、などとは言うまい」

「……」

 

 アーチャーの低い声がシロウを圧す。

 シロウは言葉を失ったかと思ったが、違うようだ。

 

「そんなものは正義の味方じゃない。慎二は殺さない。街の人も守る。ライダーだけを倒せばいい話だ!」

「聖杯戦争とはマスターの死によって決するものだ。貴様のようなヌルい考えではこの先邪魔になるだけだ。これ以上言うなら斬り捨てるぞ」

「やめなさいアーチャー。シロウに原因があるとはいえもう過ぎたことよ。それにシオンがいるならライダーだけを狙うことも十分可能。ま、今日はもういいわ、明日、私たちは間桐に乗り込む。シロウ、貴方がどうするかは貴方が決めるのよ」

 

 アーチャーとシロウを静止し、休むから、と屋敷へ消えた凛とアーチャー。

 

「だそうだ。どーすんだ?」

「……アーチャーの言う正義は間違ってる。だが正しいのも分かる……すまない、限界まで考えさせてくれ」

「そうか。ま、オレで手が足りるなら言え。貸すから」

「おや珍しい。ウタネさんよりは理解が良いと思っていましたがそこまでとは」

「割と簡単だからな。間桐慎二とライダーを引き込めるならそれもアリってだけだ」

「簡単……?あれほど不可能だと言っていたのにですか?」

「ま、考え方だ。どこぞの科学者みたいにプライムあるわけじゃねぇしな」

「……?」

 

 プライムを知らない卿やシロウは呆けたまま部屋へ戻るオレを止めることは無かった。

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